2008-08

「館長雇止め・バックラッシュ裁判」控訴審

 三井マリ子さんは、2000年、大阪府豊中市の男女共同参画推進センター「すてっぷ」の初代館長(全国公募による。非常勤)として、数々の独創的な企画を打ち出すなど全力で仕事を進め、その実績は市やセンターにも高く評価されました。しかし、そうした三井さんの仕事が目ざわりだったバックラッシュ勢力(男女平等の推進に反対する勢力)が市やセンターに圧力をかけ、その圧力に屈した豊中市などは、非常勤館長職廃止して館長を常勤化する「組織変更」の名の下に2004年3月、三井さんを雇止めし、新館長への採用も拒否しました。

 三井さんは同年12月、豊中市と「すてっぷ」を運営する「とよなか男女共同参画推進財団」を相手取って、損害賠償を求めて大阪地裁に提訴しました 三井さんはこの裁判を、「非常勤労働者」と「バックラッシュ」という日本の女性にとっての二大問題に取り組むものとして位置づけて闘っておられます。

 しかし、昨年9月の大阪地裁判決は、三井さんの敗訴でした。そこで、三井さんは大阪高裁に控訴しました(裁判の詳しい経過は、私が作成したこのページをご覧ください)。

 今年1月には、弁護団は、一審判決を徹底的に批判した「控訴理由書」(PDFファイル)を提出しました。私は、控訴理由書のごく一部を簡単に紹介した文を、この裁判を支援する会のブログに書きました。
[控訴理由書要約・その1]
 ・組織変更がなぜ必要だったかという理由として、判決がただ一つ挙げた「山本事務局長の後任を市から派遣できない」という点について。
 ・判決が特に認めなかった「バックラッシュ攻撃に豊中市が屈した」という点について。
[控訴理由書要約・その2]
 ・弁護団が新機軸として打ち出した、採用拒否の違法性についての新しい論証

 2月26日には、控訴審の第1回口頭弁論がおこなわれました。当日の法廷では、三井さんは以下の「意見陳述」をおこないました。


 昨秋、大阪地裁の山田裁判長は、雇用継続を拒否した豊中市らに損害賠償を求めた私の訴えを棄却しました。

 豊中市や財団は嘘に嘘を重ねて私の人生を翻弄しました。私は、その人間としての不誠実さに直面して苦しみました。体中に湿疹ができました。眠れない夜が続きました。そして職を失い収入がなくなりました。ところが、一審判決は、その苦しみを癒すどころか倍増させるものでした。

 この私の苦しみは、この日本社会において軽んじられてきたおびただしい数の働く女たちの苦しみであり、大勢の非常勤職の人たちの苦しみでもあります。

 私の首斬りの背後には、バックラッシュ勢力の攻撃があります。その勢力は、個人として女性が生き生きと生きていける社会が嫌いです。男女平等を目指す言動も嫌いなのです。

 その勢力に属する人々は、男女平等を求めて活動する人々やその著作までも執拗に攻撃します。その手法は、事実を歪曲・すり替えしたり、根も葉もないことをでっちあげたり、誹謗中傷をしたりします。それをチラシ、噂、メディアで広めます。たとえば私に関しては、「すてっぷの館長は、講演会で専業主婦は知能指数が低い人がすることで、専業主婦しかやる能力がないからだと言った」というとんでもない嘘を、市議会議員が、噂と称して流しました。

 こうした攻撃は豊中市だけではありません。日本の津々裏々で見られます。日本各地で男女平等推進施策を踏み潰しては快哉を叫んでいます。

 そのような攻撃を受けて疲弊している多くの人々に対しても、一審判決は、さらなる打撃を与えたのです。

 ですから、私は、このまま黙って引き下がるわけにはいかないのです。

 2000年、私は全国公募に応募した60人の中から選ばれ、豊中市の男女共同参画推進センターの初代館長に就任しました。このセンターは「すてっぷ」と呼ばれました。豊中市民の長い間の夢でした。「男女平等の社会をつくることは国の最重要課題」とうたう男女共同参画社会基本法の賜物でもありました。

 私は、館長としてスタッフの仕事の下支えをし、「豊中にすてっぷあり」と言われる、その日を目指して、一生懸命に働きました。すてっぷから徒歩2、3分の地に住まいも移しました。こうした私の仕事は、市や財団から評価されこそすれ批判されたことはありませんでした。

 しかし3年後、豊中市は、「組織強化」の美名のもとに、2004年4月からは非常勤館長職をなくして館長ポストを常勤化すると言い出しました。そうなった場合、「第一義的には三井さんです」と言って私をだまし、裏では「三井は3年で辞めると言った」「三井は常勤はできないと言った」との嘘をふりまき、後任館長を密かに決めていたのです。

 候補者10人のリストが極秘に作成され、2003年10月には市長にだけ見せて、「それで当たれ」という市長命令の下、候補者打診が進められ、12月には次期館長がひそかに決まっていたのです。

 全国からの抗議の声や、私が「常勤館長をやる意思がある」と表明したこともあって、2004年2月、市は採用試験をすることに決めました。すてっぷ館長として働き続けたかった私は一縷の望みをかけて受験をしました。しかし私は、不合格とされ、2004年3月31日で豊中市を追われました。

 その採用試験官には、後任館長探しに狂奔していた市の人権文化部長が入っていました。この不公正さを1審は認めております。しかし、慰謝料を支払わないといけない程の違法性を認めることはできないと、損害賠償は否定されました。

 この判決を聞いた私は、「10発殴られたら違法、と言ってやってもいいが、5,6発だろ、我慢しろよ」と裁判官から言われたような気持になりました。

 女性の人権擁護と男女平等の推進を市民の先頭に立って担うべき豊中市が、女性の人権擁護と男女平等施策を誠実に実行してきた女性センター館長を、嘘まみれの陰湿な手法で排除したのです。使い捨てたのです。そしてそのことで、私は、精神的にも経済的にも、計り知れない打撃を受けました。だのに、なぜ、それが違法にならないのでしょうか?

 裁判長、最後に申し上げます。週2,3日出勤の館長職では運営上問題があるなどと理由をこじつけて、市は非常勤館長の私を排除しました。しかし、私の後任の常勤館長は「組織強化になっていない」と法廷で証言し、2007年3月31日付けで辞職しました。こうして、すてっぷは、常勤館長の休職期間を入れると館長職不在のまま1年以上が過ぎました。今日、2月26日現在も館長はいません。

 まさに、バックラッシュ勢力の狙い通りのことが、すてっぷで起きているのです。この一事をもってしても、豊中市の言う組織強化なるものは、私を排除するための単なる方便だったといえると思います。

 控訴審の公正なる審判を切に願い、意見陳述を終えます。


 控訴審の第2回目は、6月5日(木)午後1時15分から、大阪高裁74号法廷でおこなわれます。

 当日は、続いて、中央公会堂で以下のような集会もおこなわれます。
第1部:弁護士解説付き交流会(2:00-4:00)
 「これが控訴審のポイントだ」

 ゲスト:脇田滋さん(龍谷大学法学部教授)(脇田さんのサイト)……脇田さんは、この裁判に対して、三井さんの雇止めの不当性を述べた意見書を提出なさっています。
 脇田さんのこの裁判へのコメント:「ぼくは、このケースは完全に解雇だと思います。組織変更はやる必要はなかったと思いますね。必要がなかった組織変更を出してきて首にしただけでなく、採用試験をやって公正さを装って雇用拒否をしたんですねぇ」
第2部:支援コンサート(4:00-6:00)
 「女たちは後戻りしない」

 byMASAさん(サックス奏者)(挨拶MASAさんのサイト公演日程)
 詳しくは、ここを参照してください。ぜひおいでください。

「館長雇止め・バックラッシュ裁判」東京報告会

 昨年末に、「館長雇止め・バックラッシュ裁判」(私のサイトの中の特集ページ参照)は、朝日新聞の記事でも取り上げられました(「女性施設 絶えぬ労使紛争 男女平等が目的なのに・・・低賃金で不安定」2007年12月29日。まだ掲載されていない地方もあります)。
 この裁判に関して、東京でも、1月19日(土)に以下の催しがあります。私は関西在住なので行けませんが、関東在住の方は、よろしければぜひ参加なさってみてください。



三井マリ子さん・紀藤弁護士を囲んで
"すてっぷ"で何があったの?
大阪府豊中市女性センター
館長雇止め・バックラッシュ裁判


 大阪府豊中市の男女共同参画センター「すてっぷ」の三井館長の企画は新鮮で、視野が広く、市や財団、そして多くの市民から、高く評価されていました。にもかかわらず、突然の解雇。いったい何があったのでしょう?

 三井マリ子さんは真実を明らかにするために提訴しました。第一審は原告敗訴! 行政の嘘・偽りのすべてが明らかにされ、三井さんに対する不正の数々を認めながらも、「違法とまではいえない」とバッサリ切り捨てました。「10発殴られたら違法だが、5、6発なら我慢しなさい」と言っているようなものでした。

 こんなでたらめな判決を許してしまったら、理由なく使い捨てにされても泣き寝入りするしかなくなります。三井さんは、勇気を持って再び立ち上がりました。非常勤職の雇止めと、行政の不正の背後にあるバックラッシュ(男女平等推進の流れを押しとどめる動き)という2大テーマを扱う訴訟です。裁判で見えてきた、驚くべき真実。これはあなたの身にも、あなたの周りでも起こりうる問題です。一緒に考えてみませんか?

■板橋区立グリーンホール2階 男女平等推進センター会議室(地図)
 03―3579―2790

■2008年1月19日(土)14:00〜16:00

■お話
三井マリ子(原告・すてっぷ初代館長)
紀藤 正樹(弁護士・三井裁判代理人)
藤原 房子(元日本経済新聞社編集委員、元日本女性学習財団代表)
堀内 光子(前ILO駐日代表)

■参加費 500円(資料代含む)
■主 催 ファイトバックの会@東京
■連絡先 本村090-2237−3981 03−3936−4050(FAX専用)折り返しご連絡します

木村民子(ファイトバックの会副代表)



 先日私がインターネット新聞JANJANに書いた、次の2つの記事が編集部長賞をいただきました。よろしければお読みください。
 「館長雇止め・バックラッシュ裁判」で宮地光子弁護士が講演(上)
 「館長雇止め・バックラッシュ裁判」宮地光子弁護士の講演(下)

 一審判決に対する抗議デモを報告した藤美津子さんの記事「支援の輪、ひろがる『館長雇止め・バックラッシュ裁判』」も同時受賞です。こちらは素晴らしい写真も入った記事ですので、ぜひご覧ください。

「館長雇止め・バックラッシュ裁判」宮地光子弁護士の講演

 12月8日、「館長雇止め・バックラッシュ裁判」(原告・三井マリ子さん)(私のHPのこの裁判のページ参照)に関する宮地光子弁護士の講演がありました。

 9月の一審判決に対する簡単な批判は、すでに判決当日におこなわれていますが(遠山日出也「市民感覚との大きなズレ」で報告しました)、この講演では、その時に語られなかった点を中心に、より突っ込んだお話が聞けました。
 以下、やや詳しくご紹介します(ただし、メモや記憶に頼って書いていますので、不正確な箇所もあると思います)。

宮地光子「館長雇止め・バックラッシュ裁判の意味するもの」
   <目次>
はじめに
一、雇止めに関する判例から
二、雇止めに関する原判決の論理とその不当性
 1.雇止めが違法であると言えない理由
 2.法的な権利と言えない理由
 3.不当な目的1─「バックラッシュに屈した」と言えない理由
 4.不当な目的2─非正規雇止め導入のための原告を排除したといえない理由
三、採用拒否に関する原判決の論理
 1.選考手続きにおける不当目的に有無について
 2.選考手続きにおける手続き違反の有無について
四、採用拒否に関する原判決の不当性
 1.採用拒否についての判例
 2.本件採用手続きの趣旨
五、有期雇用をどう規制するか
 1.現行法(略)
 2.ILO条約と勧告の内容
 3.ILO加盟国の義務
 4.労働契約法について

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三井マリ子さん控訴。今月16日に一審判決への抗議デモ

三井マリ子さん控訴
 「館長雇止め・パックラッシュ裁判」(私のHPのこの裁判のページ参照)の大阪地裁の不当判決(9月12日)に対して、同月26日、原告の三井マリ子さんは控訴しました。
 控訴にあたって、三井さんは、「控訴審に向けて歩み始めました。裁判長も認めた被告の『嘘』『不正』を違法に」とという文を発表しました。ぜひお読みください。
 判決文などを引用した参考メモ・「判決も認めた被告側の5つの嘘と不公正」も、ファイトバック会で作成しました(いちおう私が作成を担当しました)。

記者向け報告会
 「『しょせん女の非常勤問題』というバイアス」……記者向け報告会で私が感じたことをまとめました。

デモ
 この裁判を支援する「ファイトバックの会」では、今月16日に以下のデモを計画しています。せひ参加してください。

天高く怒り燃ゆるデモ
「生きさせろ! 非常勤の怒りを、悔しさを、いっしょに地裁に届けよう!」

 9月12日、大阪地裁は、雇用継続を拒否した豊中市らに損害賠償を求めていた三井マリ子さんの訴えを棄却しました。判決は、豊中市の嘘と不正を認めながらも、雇止めは違法とはいえないというものでした。
 三井さんは、2000年、全国公募で“女性センター”館長に選ばれました。ところが3年後、市や財団から評価されながら、「組織強化」の名の下に雇止めされたのです。情報から隔絶され、嘘に嘘をつかれたあげくの首切り事件の背後には、バックラッシュ攻撃がありました。三井さんは、怒りをこめて大阪高裁に控訴しました。
 非常勤の多くは常勤と同じような仕事をしながら、いつ辞めさせられるかわからない不安におびえています。非常勤の人権など歯牙にもかけない不当判決に、三井さんや弁護団はもちろん、私たちは怒りが沸点に達しています。

 11月16日(金)12時から2時。
 大阪地裁正門前に集合しましょう。みんなでデモをしましょう。不当判決に抗議するハガキを地裁まで届けましょう。ぜひご参加くださいますようおねがいいたします。

デモの詳細はこちらから
 http://fightback.fem.jp/flyer-07_11_16demo.html
不当判決抗議ハガキはこちら
 http://fightback.fem.jp/flyer-07_11_16futouhanketu_kougi.html

館長雇止め・バックラッシュ裁判を支援する会               
(略称ファイトバックの会)
HPhttp://fightback.fem.jp
ブログhttp://fightback.exblog.jp
連絡先
e-mail:ikaridemo16@yahoo.co.jp
tel :080-3783-4552(ふじ)
   090-3288-4684(上田)

「館長雇止め・バックラッシュ裁判」で不当判決

 9月12日、館長雇止め・バックラッシュ裁判(原告・三井マリ子さん)の判決が大阪地裁でありました。
 「原告の請求をいずれも棄却する」──原告の全面敗訴でした。
 三井さんと弁護団は、それぞれ以下の声明を出しました。
 ・三井マリ子「不当判決」
 ・弁護士一同「きわめて不当な判決」

 私は、判決の前に数日間かけて、6月の結審の際に提出された「原告最終準備書面」をもう一度読み直して、詳しい要約を作ってみていました。
 今回、それを私のHPにupしました(「最終準備書面要旨・詳細版」)。あらすじをつかむには、私が6月にこのブログで書いたより簡単な要約のほうがわかりやすいと思いますけれども、今回の「詳細版」のほうが詳細ですし、1、(1)、ア、(ア)などの数字や符号が原文と合致するように要約しましたので、原文と照らし合わせるには便利です。

 原告最終準備書面は、多くの資料を駆使した大変な力作であり、立証も緻密におこなわれています。もちろん直接的な証拠がないために、間接証拠や情況証拠の積み重ねで立証している箇所もありますから、そうした箇所を裁判官がどう判断するだろうかという不安はありました。
 けれど、「全面敗訴はないだろう」と思っていましたので、いささかショックでした。
 弁護士さんの解説を聞くと(遠山日出也「不当判決:市民感覚との大きなズレ」に詳しく書きました)、やはり、原告側にほぼ不可能に立証責任を課している箇所があるようです。また、最終準備書面の内容を理解せずに書いたり、「結論先にありき」で書いたりしている箇所もあるように感じました。

 けれど、今回、こうした緻密な最終準備書面を作成したことは、けっして無駄ではなかったと思います。
 第一に、それ自体が、今後、今回の事件の最も重要な資料の一つになるだろうと考えられるからです。
 第二に、上の弁護士さんの解説を読んでいただければわかるように、今回の判決も、原告側が主張したさまざまな事実自体については認めた箇所が少なくないからです。ただ、それを「慰謝料を課すほどの違法性はなかった」などといった議論でごまかしているだけです。だから、こうした点は、今後の裁判で使っていけるだろうということを弁護士さんもおっしゃっていました。

 今回、とにかく一審が終わったので、私のHPの中に「館長雇止め・バックラッシュ裁判」専用のページを作って、この裁判の基本資料や私の文のリンクなどを一箇所にまとめました。

「館長雇止め・バックラッシュ裁判」で、原告の主張の正当性が全面的に明らかに──原告最終準備書面──

 バックラッシュ勢力に屈した豊中市らによって「とよなか男女共同参画推進センター・すてっぷ」館長(非常勤)の三井マリ子さんが雇止めされたことを訴えた「館長雇止め・バックラッシュ裁判」が6月6日結審しました。
 この日、この裁判を支援する「ファイトバックの会」は、結審にあたっての「声明」を出しました。

 原告側弁護団からは、この日、「最終準備書面」が出されました。
 最終準備書面は、原告側の主張の総まとめの文書です。
 この書面では、これまでに出された多数の証拠や証言にもとづいて、原告側の主張の正当性が何重にも立証されています(その証拠・証言には、被告側のものも多く含まれています)。
 また、私はこの最終準備書面によって、今回の三井さんの「すてっぷ」雇止め事件の隠されていた全貌がほぼ明らかになったと感じました。その全貌は、「どす黒い陰謀」という形容がぴったり来るものです。

 私はすでに、最終準備書面の「第6 組織体制の変更に名を借りた原告排除」については、ファイトバックの会のブログに次の記事を書いています。
 「明らかにされた豊中市の陰謀」

 今回は、この書面全体の要約を書いてみました(ただし、細かな節の番号などは対応していません)。わかりやすいように、被告側の主張はオレンジ色で示してみました。文中の敬称は、略させていただくことに統一しています。
 詳しくは、ぜひ最終準備書面の原文(PDFファイル)をご覧ください。

 なお、判決は9月12日(水)です。
 また、6月末ごろまでに「公正な判決を求めるハガキを出しましょう!」というアクションが提起されています。ぜひご協力ください。

 <目次>
第1 原告と被告財団の雇用契約
第2 館長としての実績
第3 地方自治行政の通常のあり方からは到底考えられない組織体制の変更
第4 原告排除の真のねらい──バックラッシュ──
第5 もうひとつの狙い
第6 組織体制の変更に名を借りた原告排除
第7 被告豊中市の責任
第8 原告の蒙った損害

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「館長雇止め・バックラッシュ裁判」まもなく結審――桂館長証人尋問とその後

 このブログでたびたびお伝えしている、「館長雇止め・バックラッシュ裁判」(大阪府豊中市の男女共同参画推進センター「すてっぷ」の館長だった三井マリ子さんが、バックラッシュ勢力の圧力に屈した豊中市によって2004年3月に雇い止めされたことを訴えた裁判。|事件の概要|この裁判を支援する「ファイトバックの会」のHP)ですが、さる2月21日、桂容子現館長の証人尋問がおこなわれました。

 被告(豊中市と「すてっぷ」財団)側は「2004年2月、三井さんと桂さんに対して公正な試験をおこなった結果、新館長として桂さんを決定した」と主張していました。
 それに対して、原告(三井さん)側は「面接が実施されるまでもなく、桂さんが新館長に選任されることはとっくに決まっていた」と主張していました。さらに、「その点は、桂さんに対する館長就任要請の説得活動などの実態を明らかにすることによって証明できる」とも主張してきました。
 裁判長も、桂さんの証人尋問の必要性を認めたため、桂さんに対する証人尋問がおこなわれることが、昨年、決まりました。
 それだけに、この日の桂さんの証言は注目されました。

 ただし、桂さんは「原告側の証人」として法廷に立ったわけではありません。それどころか、被告側の「すてっぷ」財団の職員という立場にありました。
 しかし、私は、にもかかわらず、彼女の証言によって、原告の三井さん側の主張の正しさはいっそう裏付けれらたように思いました。

〈目次〉
1.桂さんを何と言って説得したか?
2.一村市議の「陳述書」について
3.採用選考委員会は公正だったか?
4.三井さんを排除した組織変更は「体制強化」になったか?
5.桂証言全体として言えること
6.桂館長辞任――その意味するもの
7.バックラッシュ派の北川悟司氏が落選
8.結審は6月6日(水)

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仙頭史子さんから三井マリ子さんにエール

 この3月に勝利和解を勝ち取られた、アステラス製薬男女差別裁判・元原告の仙頭史子さんから、館長雇止め・バックラッシュ裁判原告の三井マリ子さんへ、以下のメッセージがこのたび寄せられました。


 三井さん。アステラス製薬男女差別裁判・元原告の仙頭です。私は同じ裁判長,共通の弁護士の下で,4度にわたる大法廷での証人尋問を満席にして男女差別裁判をたたかった結果,「原告の処遇と,原告と同時期入社同学歴である他の男性従業員の処遇との間に格差が存したことが認められ」(*)と,当方の主張がほとんど認められたことから判決を待つことなく3月27日に和解しました。
 元原告として,正社員の差別裁判はある程度流れができたように感じました。しかし,社会における差別が解消したわけではなく,派遣社員や契約社員と名を変えて差別はますます増えています。三井さんのように館長職に就くような人材でも非常勤という枠に押し込められれば,都合のよいように使い捨てにされ得る時代です。このような流れに釘を刺し,真に人格が尊重され,働きやすい社会にするために,立ち上がられた三井さんの元気にエール! 是非勝訴して多くの女性に三井さんからのエールを送って下さい。(裁判傍聴にも参加できず,何のお役にも立てなくて申し訳ありませんが)私も心から応援しています。
 最後に,私の裁判で証人尋問を大法廷で開くことができたのは,直前に三井さん裁判の「大法廷を使用させよ」事件が話題になったおかげなのです。ありがとうございました。
 仙頭史子

(*)和解条項の前文の一節にこのように明確に書かれています。


「アステラス製薬・仙頭史子さんの男女差別裁判を支援する会」のサイト
http://www003.upp.so-net.ne.jp/sentou/
「館長雇止め・バックラッシュ裁判を支援する会」のサイト
http://fightback.fem.jp/

「すてっぷ」の役員と研究者の社会的責任

 バックラッシュ勢力に屈した豊中市によって女性センターの館長の座を追われた三井マリ子さんの裁判の件ですが(事件の概要この裁判を支援する会のHP)、三井さんを直接雇い止めしたのは、その女性センター、「とよなか男女共同参画推進センター・すてっぷ」の理事会です。

 先日、その理事会の理事や評議員の名簿を見て、私はいささか驚きました。
 伊藤公雄氏や藤枝澪子氏といった女性学やジェンダー論の著名な研究者が、理事の一員だったからです。伊藤公雄氏は、バックラッシュ反対の立場で論陣も張っておられます。また、理事と違って決定権はありませんが、評議員の中にも著名な研究者がおられるようです。
 これはどうしたことでしょうか? 私は、「研究者の社会的責任」という観点から見て問題でないかと思うのです。ご承知のように、研究者の社会的責任は、核兵器や公害・薬害などの問題をめぐってたびたび社会的にも問題になってきました。私はいちおう歴史学が専門なのですが、学生時代は「何のための歴史学か、誰のための歴史学か」という議論をいろいろした覚えがあります。まして女性学やジェンダー論は、当初から女性解放やジェンダー関係変革のための学問として登場してきました。

 最近は大学の先生は多忙化していて、なかなか社会的活動の時間が取れないということをよく聞きます。だから、三井さんの雇止め事件についても、十分調べる時間がないのかもしれません。あるいは、いろいろ文献を読んだけれども、三井さんの言い分には納得できないという方もいらっしゃるかもしれません。また、理事会のようなところは私にとっては雲の上の世界なので、私などには分からない事情ももちろんあるでしょう。
 しかし、いずれにせよ黙っているだけでは、研究者の社会的責任を果たしているとは見られないように思うのですが、どうでしょうか? 著名な研究者の権威を隠れ蓑にして、行政が悪いことをするのを助けることにもなりかねないと思います。へたをすると、女性学やジェンダー論自体に対しても不信感を持たれてしまうのではないでしょうか?

 「理事」といっても、何もそれで生計を立てているわけではなく、ボランティア的なもののようです。でも、だからこそ自由な立場で発言できるのだと思います。もちろん内部ではあれこれ意見を言っておられることと思いますが、公に意見を言っていただけると良いと思います。
 実際、女性学研究者である評議員の小松満貴子氏は、この事件について公に意見を発表しておられます。しかも、三井さんを支持する立場からの意見です(「『館長雇い止めバックラッシュ裁判―原告・三井マリ子さんのお話を聞く』に参加して」)。

 この事件がバックラッシュ勢力による雇止めならば、きわめて重大な歴史的事件であることは論をまちません。他の理事や評議員の皆様も、ぜひこの事件を十分研究し、できればご意見を発表してほしいと思います。

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プロフィール

Author:遠山日出也
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 私のHPである中国女性・ジェンダー関係主要HPリスト(リンク集)も併せてご覧いただければ幸いです。私への連絡はこちらまで

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