2017-03

台湾女性研究者によるジェンダー講演会

 関西中国女性史研究会の10月研究会は、下記のように「奈良女子大学アジア・ジェンダー文化学研究センター」との共催、台湾・行政院文化建設委員会の後援という形で開催します。

講師:張小虹氏(台湾大学外文系教授)
 演題:「愛における不可能な任務について―映画『ラスト、コーション』に描かれた性・政治・歴史」
 *講演には通訳がつきませんが、当日、日本語訳レジュメを用意します。質疑応答には通訳(奈良女子大学大学院生王珍妮氏)がつきます。

日時:2009年10月17日(土)15:00~17:00
場所:奈良女子大学生活環境学部A棟大会議室(近鉄奈良駅徒歩5分)
主催:奈良女子大学アジア・ジェンダー文化学研究センター
共催:関西中国女性史研究会
後援:台湾・行政院文化建設委員会
*終了後、張小虹先生を囲む懇親会を設けたいと思います。こちらはあらかじめ連絡をください。

*映画『ラスト、コーション』について
 2007年公開。原題「色・戒」、張愛玲の同名の短編小説を映画化。監督:アン・リー、主演:トニー・レオン、タン・ウェイ。第64回ヴェネツィア国際映画祭金獅子賞受賞。日本占領下の香港と上海を舞台に、抗日組織を弾圧する特務機関員の責任者の暗殺計画をめぐって、暗殺を目論む女スパイと暗殺対象の男との間に芽生えた愛を描く。女スパイのモデルは、中国人の父、日本人の母の間にうまれた鄭蘋茹(テン・ピンルー)といわれる。映画での激しい性描写が話題となり、各国で成人映画に指定される。Victor Entertainmentより発売のDVDあり。

山西省女性作家協会設立

 4月19日、山西省太原市で、山西省女性作家協会(山西省女作家協会)が設立されました。これは、中華人民共和国で初めての女性の文学芸術活動従事者の社会団体(社団)組織です。

 会長は蒋韵さん、常務副会長は李建華さん、副会長は葛水平さんです。

 会員は600人あまりで、設立大会には100名あまりの女性作家が集まりました。

 山西省女性作家協会の前身は、1985年に設立された山西省女性作家懇親会(山西省女作家聯誼会)です。ところが、前の会長が手続きをいい加減にしていたため、蒋韵さんらが民政部門に登録をやり直さなければならなくなり、その際、民政部門に「学会」か「協会」かを選択するように言われたため、「協会」という名称を選んだという事情があるとのことです。ただし、「協会」といっても、山西省女性作家協会は、実際は一種の文化サロンで、ふだんは一つのテーマについて交流をするという活動をするようです。

 「男性作家と一線を画すのではないか?」という憶測をする人もいたようですが、蒋韵さんは「この協会は、けっしてフェミニズム団体ではありません。男性会員は入れませんが、私たちがおこなう活動には、彼らが参加して交流するのを歓迎します」と語っています。

 設立大会には、副省長で中国作家協会副主席、山西省作家協会主席の張平さんや、山西省婦連主席の張悦さんが出席して講話をしたということですから、良かれ悪しかれ公的な団体という色彩があるようです。

 ただし、蒋韵さんは、この協会を、女性の問題について女性作家どうしが語り合う場にもしようと考えています。蒋韵さんは「男性作家と比べて、女性作家は苦労しています。彼女たちは、やる仕事は男性と大差ないのに、家に帰るとあまりにも多くの家事をしなければなりません。女性は思いをぶちまけることが必要であり、文学も思いを語る一つの方法ですから、この面から言えば、女性は男性より文学に近いですが、女性作家どうしの交流ももう少しスムーズにします」というふうに語っています。

[資料]
「国内首個女作協争議声中山成立 蒋韵会長表示:不作和作協成競争対手」『中国婦女報』2008年4月23日。
「山西省女作家協会際太原成立──高建民致信祝賀,張平出席並講話」(2008-4-23)山西省婦聯HP
「山西省女作家協会成立 女作家蒋韵任会長」新華網(2008-4-22)

中国放送テレビ協会ドキュメンタリー委員会に女性監督クラブ設立

 昨年l2月16日、中国放送テレビ協会ドキュメンタリー委員会の下に、女性監督クラブ(女導演倶楽部)が設立されました。
 中国の女性監督(体制の内外の映画やテレビの制作者・研究者を含む)が作る職業的な社会組織です。
 クラブの主旨は、女性監督が協力して製作したり、研究・討論をしたり、懇親・交流をするための場を提供することです(1)
 「中国女性監督クラブ宣言」(2)も出していますが、「ここは女子主義者のサロンではなく、女性の映像創作者の暖かい故郷である」という一節で始まっており、フェミニズム色は薄いようです。

 朱羽君(中国メディア大学の教授)が主席で、ほかに副主席、秘書長、副秘書長などの役員を置いています(3)

 設立大会の様子は、新浪娯楽網でも報道されています(4)

 そしてこのたび、女性監督クラブのホームページ中国放送テレビ協会ドキュメンタリー委員会のサイトの中に設置されました。
 このホームページには、「クラブ情報」「女性監督の風采」「女性監督の活動」「女性監督の作品」「女性監督のブログ」の各コーナーがあります。
 「女性監督の風采」欄では、メンバーの経歴や作品が紹介されています。
 「女性監督の作品」欄からは短編の作品が鑑賞できるようです(私にはうまく見れませんが)
 「女性監督のブログ」からは、方燕妮・柴静・崔亜卿・楊陽のブログに行けます。

(1)「中国広播電視協会記録片委員会中国女導演倶楽部章程」(2006年12月16日)。
(2)「中国女導演倶楽部宣言」(2006年12月16日)。
(3)「女導演倶楽部領導成員名単」(2007年1月11日)。
(4)「女導演倶楽部成立 首先打造“美麗十分鐘”」(2006年12月17日)。

チェン・ウエイスー「布─結びあう女たち」、ユーチン・ヤン「纏足」上映

 第3回「女たちの映像祭」が、2006年12月1日(金)~3日(日)、とよなか男女共同参画推進センター・すてっぷホール(阪急宝塚線豊中駅すぐ)にて開催されます。

 「女たちの映像祭」というのは、2年に1度、インディペンデントのフェミニストの女性監督の作品を上演する映画祭で、今年で3回目です。
 主催は「波をつくる女たち(Women Make Sister Waves)」という女性グループ。
 上演後に必ずトークがあり、監督と観客が作品批評をするのが特色です。
(この映像祭については、ふじみつこさん[彼女のブログ「女たちよ! 女の連帯で平和を!」]にいろいろ教えていただきました)

 今年は、中国関係の映画として次の2本が上演されます。

チェン・ウエイスー「布─結びあう女たち(原題:玩布的姊妹)」(2004年 56分)
 12月1日(金)13:00~15:00、12月2日(土)18:00~20:00上映

 チェン監督は、12月3日(日)のシンポジウム「女の価値観をどう実現するか─女の表現をとおして」(15:00~17:00)にも出席なさいます。

ユーチン・ヤン「纏足─金色の蓮花靴は10センチ(原題:Footbinding:Search for the Three Inch Golden Lotus)」(48分)。
 12月3日(日)18:00~19:30上映

 チェン・ウエイスー(簡偉斯)監督は、台湾在住です。台湾女性映像学会の理事でもあります。台湾電影網による経歴はこのとおりです。
 すでにこの映像祭のキャラバン上映で、「響きあう女たちの声(迴首来的時路)」(1997年 60分)という映画が上演されています。これは戒厳令時代からの台湾の女性運動を扱った作品のようです。「女たちの映像祭」のブログの説明によると、「1971年、帰国したアネット・ルー[=今の副総統・呂秀蓮]は女性学生が増えたことを資源の浪費といい、浮気を理由にした妻を殺した夫に同情が集まる社会風潮に対して批判の意見を発表、そこから台湾の新しい女性解放運動が始まった」とあります。

 今回の「布─結びあう女たち(玩布的姊妹)」は、「玩布工作坊」というワークショップで、女性たちが布の表現に取り組みながら、自分史を語り合って結び付きを深めていくという話のようです。台湾ではすでにDVD(ワードファイル)が発売されています。
 チェン監督には、「《玩布姊妹》的心霊被単」(「網市女性電子報」173期)という文もあるようです。

 ユーチン・ヤン(Yue-Qing Yang)監督は、中国本土出身ですが、現在はカナダ在住です。
 ヤン監督の作品も、すでに第1回の映像祭で「女書─中国の隠された女文字」(2000年 58分)が上演されています。これは、1995年の北京女性会議で「女書」の存在を知ったヤン監督が、「それがどんなものか」「なぜ隠されていたのか」に興味を持ち、探っていく映画です。

 今回の「纏足」でも、監督は、なぜ多くの中国の女性がこの纏足という風習に耐えてきたのかを理解しようと試みているようです。そのためにヤン監督は帰国して、纏足の母とおばを訪ねます。
 実はこの作品は北京会議で上映予定でした。でも「中国の恥」と言われて上映できませんでした。やっと去年カナダのテレビで放映されました。
 纏足については、 最近翻訳された、ドロシー・コウ著(小野和子・小野啓子訳)『纏足の靴』(平凡社 2005年)が評判です。しかしヤン監督の作品は、解説を読むと、纏足を女性文化の創造という観点から捉えるドロシー・コウさんの著作と比べて、女性抑圧の面から捉える傾向が強いもののようです。

 チケットは前売り1000円、当日1400円、5枚つづり券4500円、三日通し券6000円とのことですので、高くないです。
 交流会券は1500円(前売りのみ・軽食飲み物付き)

 他にもアジアの映画が多数上演されます。
 他の作品など、詳しいことは「女たちの映像祭」のブログの10月15日の箇所をぜひ見てください。

本年の動向2―女性の視点からのメディアチェック

 1月 「2005年ジェンダー平等促進専門家推薦メディア」活動、8つの非女性メディアを表彰。
 3月 女性メディアモニターネットワーク、「2005年十大性差別コマーシャル」を選定。


 最近話題になったのは、3月に女性メディアモニターネットワーク(婦女伝媒監測網絡)が、「わが国のテレビコマーシャルには明らかに性別によるステロタイプの問題が存在しており、若干のコマーシャルには性差別の疑いがある」という調査報告を出したことです。
 その中で同ネットワークは、「2005年十大性差別コマーシャル」を選定しました。たとえば、ある自動車のコマーシャルは、肩をあらわにした服を着た助手席の女性が、車を運転している男性に向ってほほ笑みかけていて、車が止まると、男性が車から降りて女性のためにドアを空けてやるというものでした。また、ある電子辞書のコマーシャルは、衣服やショットや表情によってセクシーさをとことん強調された美女が、最後の場面だけ電子辞書を引くというものでした(1)
 このコマーシャル批判はかなりの反響を呼びましたが、市民からは「どこがいけないのかわからない」といった声も出ており、「我々のコマーシャルには性差別の意図は何もない」という反論をしたメーカーもありました(2)。それに対してネットワークが「主観的にはそうした意図がないのは確かだろうが‥‥」ということを自サイトで説明するなどのことがありました(3)

 「女性メディアモニターネットワーク」とは、メディアと女性の問題を考える女性ジャーナリストなどによって結成されたNGOですが、1996年3月に結成されています。
 また、それより前の1992年3-9月に、『中国婦女報』(中華全国婦女連合会の機関紙。中国共産党の指導の下にある官製の団体だが、近年少しずつ女性の独自の権利を主張するようになりつつある)において、すでに「コマーシャルの中の女性像」について議論がおこなわれています。その時には洗濯機に「愛妻号」という名前が付いていることなども問題になりました。
 また2004年9月には、中国メディア大学に「女性とメディア研究センター」が設置され、同年11月にはジェンダーとメディア行動グループ(Gender and Media Action Group)というNGOも結成されています。
 ですから、今回の動きもけっして昨日今日に始まったものではありません。
 しかし具体的に「十大性差別コマーシャル」といった形で批判をしたのは初めてであり、それだけに反発も表面化したのでしょうが、この事件はもう一方で、中国におけるメディアと女性の問題を考える気運の高まりも示しているとも言えると思います。

 また今年の1月には、中国婦女報社と中国メディア大学、女性メディアモニターネットワークなどによる「2005年ジェンダー平等促進専門家推薦メディア」活動が、8つの非女性メディアを表彰しました(4)
 これは、女性向けメディアでないにもかかわらず、女性やジェンダーの問題をきちんと報道しているメディアを表彰したものです。
 こちらの方は、多くの団体が加わった幅広い人々による活動ですから、悪いものを批判するのではなく、良いのものを表彰するという、いわば穏健な形になったのでしょう。
 もちろん批判だけでなく、評価も必要だという面もあるわけですので、両者があいまって効果をあげるかもしれません。この十年間ではあまり状況に変化がなかったとも報告されていますが(1)、今後に注目したいと思います。

(1)「有関人士認為広告性別歧視十年没大変化 首都女記協婦女伝媒監測網絡評出2005十大性別歧視広告渉嫌者為名牌」『中国婦女報』2006年3月10日。
(2)「性別歧視広告名単 廠家:我的広告没性別歧視意図」『北京娯楽信報』2006年3月8日。
(3)「弁別性別歧視重要性及其他―対電視広告与性別歧視問題進一歩説明」
(4)「“2005促進性別平等専家推進媒体”評選掲曉 中国日報等八家獲此殊栄」『中国婦女報』2006年1月9日、「2005 我們看伝媒」『中国婦女報』2006年1月13日。

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プロフィール

Author:遠山日出也
 検索から来られた方へ:このブログの記事を分類した一覧である「『中国女性・ジェンダーニュース+』記事総覧」を見ていただくか、下の「カテゴリー」欄を使われると、関連情報がご覧いただきやすいと思います。最近の行動派フェミニストについては、「中国の行動派フェミニスト年表、リンク集」をご覧ください。
 また、「中国女性・ジェンダー関係主要HPリスト」(リンク集)も併せてご覧いただければ幸いです。日本の問題の一部は、「ウィメンズ・アクション・ネットワーク(WAN)の労働争議・まとめ」や「館長雇止め・バックラッシュ裁判」でまとめています。
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