2017-05

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あるNGOでのセクシュアル・ハラスメント事件が女性たちの連帯で解決へ

目次
 一 「1980青年学社」の曹小強によるセクハラに対する告発と曹の形だけのお詫び
 二 告発の広がりと被害女性8名の共同声明、1980青年学社も声明
 三 曹小強の3通目のお詫び、被害女性8名の応答
 四 趙思楽による事件の分析――とくにフェミニスト刑事拘留事件の際の弁護士によるセクハラとの比較

一 「1980青年学社」の曹小強によるセクハラに対する告発と曹の形だけのお詫び

「1980青年学社」は民間の教育団体(NGO)である。1980青年学社は、たとえば今年の夏は、北京・天津と広州で、10日ほど、大学生や高校生を集めて合宿をし、学者や専門家、NGO関係者などの話を聞いて議論をしたり、民間のNGOを訪問したりするなどの活動している(1)。1980青年学社は、この活動を「留学(游学)」と呼んでいるが、これまでもこうした活動をすすめてきた。曹小強は、1980青年学社で、年長の先輩として活動してきた。

ところが、この曹小強が女子学生に対して「微信」(インスタントメッセンジャーアプリの名称)によるメッセージでセクハラをしたことを、今年6月4日、その女子学生の友人が、証拠となるスクリーンショットを付して告発した。そのスクリーンショットによると、曹は、まず詩歌の議論をして、その女子学生に対して「詩歌があまりうまくない」と言い、彼女に「恋愛をしたことがあるのか?」、「セックスをしたことがあるのか?」と尋ねて、セックスの話を持ちかけた。さらに、曹は、性器の写真や男女が性交しているポルノ写真を送りつけ、その女子学生が嫌がっているにもかかわらず、何度もそうした写真を送りつけた。この告発の中には、被害者自身の訴えも書かれており、彼女が言い表すことができないほどの苦痛や驚き、羞恥、恐怖を感じたこと、その後も生活に深刻な影響を受けていること、こうした人が教育界と公益(=現在の中国では、民間のNGOというニュアンスがある語)界にいることが許せないこと、他に被害を受ける女性を出したくないということが書かれていた(2)

6月5日、曹小強は、女子学生に対する謝罪のメール2通を発表した。しかし、それはごく簡単なもので、自らの責任の取り方についても、具体的なことは記していなかった。また、1通目では、自らの行為の原因を「私個人の若年の衝動」に帰しており、2通目では「女性の人格と意思の尊重が不足していた」ことには触れたが、「異性との交際の基準の理解が不当だった」とも言っており、自らの教育者としての身分を利用したことなどには触れていなかった(3)

二 告発の広がりと被害女性8名の共同声明、1980青年学社の声明

上のような曹のお詫びでは、話は終わらなかった。

最初の告発が出てから12時間経たない間に、5人の女子学生が「自分も曹小強にセクハラされた」と訴えた。

そのうちの1人は未成年の高校生だった。彼女は、曹小強から無理やりキスをされ、胸に触られて、強姦されそうになった経験を述訴えた。すると、さらに6時間経たない間に、被害を訴えた女性は合計11人に増えた。

6月7日、そのうち8名の女性が共同声明を出した。

この共同声明では、曹のお詫びのおざなりさや、彼がそのお詫びを自分のネットワークの中には発表せずに自分と無関係な場に発表しただけであること、お詫びの後も上のような被害の訴えが相次いでいることなどを指摘し、「私たちは曹小強のお詫びを受け入れない。以下のことを厳しく要求する」と述べて、次のことを求めた。

1.曹は必ず新たに心のこもったお詫びの手紙を出して、自分の行為が劣悪なセクシュアル・ハラスメントであったことを認めること。

2.お詫びの手紙は必ず自分のSNSの場(影響を及ぼすことができる関係団体・グループの微信の公式アカウント、微博、自分の友人グループを含むが、それに限らない。自分の友人グループでの完全な発表を必ず含むこと)と少なくとも一つの公衆メディア、公益のセルフメディアで発表すること。

3.私たちは、法律にもとづく追加的な処罰をする合法的な権利を保留する。

4.私たちは、セクシュアル・ハラスメント行為についての社会団体の、事件の後の手立てとして、活動の規約に反セクハラ条項を入れ、セクハラ研修をおこない、セクハラ防止システムを構築することを提案する。

5.私たちは、適切な場で、曹のセクハラの常習犯としてのやり口を公開すし、被害者たちのため相互の心理的サポートを提供する。

6.この一連のセクハラ事件は、青年が学習と親善に力を尽くす公益の場で発生したものである。私たちは公益団体が、その流動的で偶発的な教師-学生/権力関係において、参加者の社会経験の乏しさを利用して、セクハラやその他の不法な侵害をしたものであることを重視するように訴える。私たちは公益圏全体がセクハラ防止のための制度の建設を重視するよう提案する。

私たちは以下のように考える。

曹小強はその教育者としての身分を利用として、指導・教育される身分の私たちにセクハラをおこなった。また、未成年の女子学生に対しても少しもはばかることなくセクハラをしており、その性質は劣悪である。その謝罪も、重要な点を避けており、いかなる反省も欠乏している。

曹小強は自分が公益圏の中で被害者よりも「キャリアが長く」、「地位が高く」、「いささか名声がある」という実際状況を利用して、意識的に権力関係を利用して、職権を使って、女子学生の指導者という名目で、女子学生と会ったり、ものごとをする機会を求めたりし、被害者に対して不適切な性の暗示/明示をした。たとえ彼が行政関係上は被害者と直接の関係はなくとも、権力関係上、彼は、居心地の悪い世論・環境を作り出したり、ひそかに報復したり、プライバシーを漏らしたり、デマを流すなどの方法によって、被害者に直接拒絶できなくさせた。公民の自律的な権力関係において上位の者は、権力関係で下位の者に対して自分から性の要求をする権利はない。

社会の構造を顧みることができる公民として、以下のように考える。

私たちは、この事件の本質は、けっして男女のいちゃつきが誤解を生じたことにはなく、権力関係が対等でない下で起きたセクハラ行為であることを見なければならない。権力関係が上の者の性の要求は、権力関係が下の者にとっては誘導と支配を意味する。曹小強は意識的・無意識的に自分の権力関係を利用し、まったく反省することなく多くの女子学生にセクハラ行為をおこない、その後の謝罪の中では、「年が若くて無知だった」という理由でセクハラ行為における支配欲と権力による放埓を覆い隠している。この点はすべての人が警戒し、対策を建てる必要がある。

声明人:8名の曹小強のセクハラの当事者
2016年6月7日(4)

6月7日には、1980青年学社も声明を出した。

1980青年学社声明

まず、私たちの活動グループ全体として再度おわびをする。私たちは曹小強個人の品行のためにお詫びをするのではなく、私たちを信じ、私たちを支えてくれている人にお詫びをする。私たち自身が問題をすぐに発見して適切に処理できず、学生及びその他の人を傷つけたことに、深くおわびをする。

第二に、曹小強の行為は、被害者を傷つけただけでなく、1980青年学社の名誉を大きく傷つけた。私たちは、1980青年学社は、人を用い管理する問題について全責任を負っており、友人各位の批判と提案を聞いて、完全な運営システムを作り上げることを厳粛に声明する。

第三に、私たちは、すでに不断に弁護士・先生・友人各位の援助を求めており、真剣かつ理性的にこの問題を解決する。私たちは、学社に反セクハラシステムを作って、もし学社のメンバーがいかなる類似の問題を起こした場合でも、私たちは全力で調査に協力し、解決のための意見とリソースを提供して、いかなる人であっても庇わず、遊学の安全を守ることを承諾する。この点については、各界の意見と援助を受けて、意見を積極的に採用する。

第四に、1980青年学社は、かつて初歩の段階において、資金・理念・経験・実践などのさまざまな要素の制約を受けていた。第一期の遊学の中で、私たちは曹小強に指導に来てもらい、曹小強も資金の面でサポートしてくれて、第一期の遊学活動の助けになったことがある。だからこそ、第二期の遊学活動をする際にも、私たちは彼を招いた。これについては私たちも承認した。私たちは、彼がかつて援助したことには感謝している。

第五に、曹小強がかつて学社に指導と援助をしたことは否定できないが、1980青年学社の管理クラスではけっしてなかったし、1980青年学社の活動および遊学活動の組織と運営に参与したことはない。私たちは2日前に曹小強のことについて知ったばかりである。彼の行為は、公益人と教育探索者としてのあり方にきわめて反している。1980青年学社は、2016年6月4日以降は、曹小強にはいかなる指導活動にも参与するような招待しないし、いかなる援助と参与も拒絶する。私たちは夏の北京・天津の遊学活動は、予定通りおこなう。(以下略) (5)

三 曹小強の3通目のお詫び、被害女性8名の応答

6月8日、曹小強は、以下のお詫びを発表した。

すべての人へ

私、曹小強は、被害を受けたすべての女性とこの事件に関心を持っているみなさまに対して深いお詫びの意を表明する。

私は、私の行為が劣悪なセクシュアル・ハラスメントだったことを認める。2013年から、私は、インターネット上で言葉によって、20人あまりの女性に次々にセクシュアル・ハラスメントをした。この一連の事件において、私は主に言葉、写真、動画などを利用するやり方で、自分のSNSアカウントを使って、女性たちに対して公然と言葉によるからかいと侮辱をおこなって、心理的な満足を得ようとした。さらに一部の女性に対しては、彼女たちが望んでいない状況の下で、公の場で身体の接触をした。

ここに、インターネット上に既に共同声明を発表している8名の女性に対して、心から申し訳ありませんでした、と述べる。同時に、まだ共同声明に名前を出していない被害者、および名前を出すことを望まない人に対しても、私がお詫びの意を伝える機会を与えていただくことを希望する。私はすべての懲罰を受け賠償をしたいと思う。

この3年間、私は自分の行為がセクハラになっていることを意識しておらず、2015年になって、私は自分のこのような行為は私に心理的問題があるかもしれないとある程度意識しはじめたが、恐るべき惰性になっていたために、今日のようにコントロールできない程度になり、6月4日、この事件が明るみに出た。そのとき、私はどうしてよいかわからず、どうすべきかを知らず、一度はそこから逃れようとした。数日間の反省を経て、現在私は、事件が起こした劣悪な影響がよくわかった。また、この事件の背景にある私の心理上の良くない、暗い、完全に間違った認知や、非常に低俗な、女性に対してまったく尊重しない誤った認識については、いっそうわかった。さらに私が自分の指導者・文化人・思想家という役割を利用・標榜して、性別・年齢・キャリアの差によって自分を飾り立てていたことが、私がセクハラをする道具になった。

現在、私はすでに社会におけるすべての職務・仕事・事務を停止している。私がかつて職務に就いたり勤めたりしたすべての組織と企業に対して、私は深くお詫びをする。私は、あなた方の信頼と期待に背いた。私がひそかに女性に対してハラスメントをしたために、それらの組織は私の行為についてずっと知らなかった。だから、私はほしいままに出鱈目なことをし、最後には大きな誤りをしでかしたのである。

私は私がこれまでに傷つけた女子学生に対して、すべての責任を取りたい。それは以下の点を含むが、これらにとどまらない。

1.すべての被害者にお詫びする。また、このお詫びの手紙は私の自身の友人グループなどのSNS上でおこなう。

2.負うべき法律的責任を負う。

3.女子学生が求める心理的援助の費用と精神的損失の賠償をする。

4.第三者の、信頼性がある場でも発表する。

5.社会各界からの譴責と批判を受け入れる。

6.心理の医者の治療に積極的に協力する。

7.正面から責任を引き受け、逃避や責任逃れをしない。

同時に自分が泣いてお詫びを述べている動画も公表した(6)

この謝罪を受けて、6月9日、先に共同声明を出した被害者8名は、以下の応答を発表した。

私たちは、最大の善意によって、曹小強のこのたびの謝罪が自己反省の意識を持ち、私たちの訴えも尊重したものであると信じる。慎重な考慮を経て、私たちは曹小強の謝罪を受け入れることに決定し、今後曹小強が彼の承諾したことを一つ一つ実現するよう希望する。私たちも、適切な方法で彼が自分の承諾したことを実行するかを監督する。また、曹小強が謝罪の手紙の中で、「この三年間、私は私の行為がセクハラになっていると意識していなかった」と反省しているのであるから、私たちは彼が主体的に反セクハラワークショップに参加し、この面の認識を強めることを望む。私たちも彼に具体的なワークショップの情報を提供できる。

承諾の中の第3条の「女子学生が心理的援助のための費用と精神的損失の賠償をする」という点に関しては、多くのセクハラ事件は発生して数年がたっているが、現在また明るみに出されたため、当時心理的な傷を負った女子学生が自己の損失をあらためて評価しなければならない。また、一部の当事者はいまなお精神的・心理的な悩みを抱えている。私たちは、各自の具体的情況にもとづいて、いっそう意思疎通と相談をして、具体的な賠償の案を作成する必要があると考える。私たち以外の被害者に対しては、曹小強はお詫びの手紙の承諾のとおり、彼女たちと連絡を取り、誠実に謝罪と相応の賠償をするべきである。

最後に、私たちはまだ法に訴える合法的な権利を放棄していない。

私たちは、曹小強に対して人身攻撃や報復をするつもりはなく、ネット上で彼に対する悪意の推測がおこなわれることも望まない。しかし、私たちがいっそう望まないのは、私たちが公けしたことによる二次被害を受けることである。私たち女子学生に対してエリート的な説教や悪辣な攻撃をする人は、セクハラは社会問題であり、曹小強一人だけが「悪魔」なのではなく、私たちのような被害者は珍しくないということを認識してほしい。私たちを攻撃しているとき、あなたがたの身の回りの女性――それは娘や妻、母親かもしれない――も、セクハラにあったことがあるか、あっている危険がある。

私たちは、セクハラ事件に関心を寄せる人は、まず何がセクハラであるかをはっきり認識して、セクハラの形態は多様で、情況は複雑であることを知ってほしいとずっと思っている。(……)

ある人は、公の場で公然と他人にセクハラをする。たとえば、公の場で身体をさらけ出したり、微博で言葉によるセクハラをする。ある人は、公の場では、自分のイメージを良くするよう気をつけているが、私的に被害者と一人で接触するときには、行きすぎた性の要求をする。けれど、事件が発覚すると、彼らの今までのよいイメージによって、公衆は彼に同情しがちだ。しかし、私たちは必ずセクハラという事実自体を正視しなければならないと考える。過ちや罪を犯した人の良いイメージは、彼に免責を与える特権にはなりえず、年が若いことも、すぐれた才能も、後ろ盾も、特権になりえない。もしこれらのいわゆる技能が免責の通行証になるのならば、この社会は何の公正さがあると言えるのだろうか。

(……)私たちは、こうした議論が多くの人にセクハラの危険性を認識させ、セクハラ防止措置と正しいジェンダー教育が広く採用されることにつながることを望む。(7)

四 趙思楽による事件の分析――とくにフェミニスト刑事拘留事件の弁護士によるセクハラ事件との比較

フェミニストの趙思楽さん(2014年に、セックスワーカーを裁判なしで拘留できる「収容教育制度」についての情報公開申請を、裁判という手段を含めておこなったことで有名な女性)は、今回の曹小強によるセクハラ事件について、「事件の勃発から基本的解決まで1週間もかからなかった。その過程では被害者を責める言論もあった(8)とはいえ、去年の『フェミニスト事件』弁護士セクハラ事件と比べて、その結果も、速度もずっと良かった」と評価した。

「『フェミニスト事件』弁護士セクハラ事件」とは、以下のような事件である。

2015年3~4月、フェミニスト活動家5女性が刑事拘留される事件が起きたが、その際、彼女たちについた王秋実弁護士が、職権を利用して、当事者の家族や仲間に対してセクハラをおこなったことが明るみに出た。5人の拘留中は、捕まっている人の救援に悪い影響があることを怖れて被害者や支援者も黙っていたが、フェミニストで5人の支援者の一人である猪西西さんが公開書簡を出して、王弁護士に対して、公に声明を出して謝罪し、二度とそうしたことをしないことを表明するよう求めた。

ところが、多くの人は、それに対して、「なぜこの公開書簡を出す必要があったのか」、「この書簡が王秋実に対してどんな影響を与えるのか心配だ」などと言った。

こうした状況に対して、やはりフェミニストで5人の支援者の肖美腻(肖美麗)さんは、「私は性暴力に反対する活動をしているので、被害者を責めるロジックはよく知っている」が、「ほんとうにフェミニズムの話題が私たち自身に起きたときの、多くの友人の行為には、失望したし、辛かったし、傷ついた。」「もし私たちがセクハラを受けても声をあげることさえしなければ、その反セクハラ運動の意義はどこにあるのか?」と訴えた。

4月23日、王弁護士は声明を出して謝罪し、二度とこうした事件を起こさないと述べた。

しかし、猪西西さんや肖美腻さんは、この声明は、セクハラを「冗談」だと言って、自分の職権を利用したことも反省していないので、「お詫びではなく、弁解だ」と批判した。さらに、彼は、別の場では、批判について「意に介していない」、「どうしようもない」と言っているのに、彼が所属する北京紀安徳(紀安徳=ジェンダー)相談センター(LGBT団体)は、彼を「給与停止と反省」ですませたことも批判した(本ブログの記事「フェミニスト活動家5女性の釈放とその後の困難、闘い、弁護士によるセクハラ」参照)。

しかし、猪西西さんや肖美腻さんの訴えは、受け入れられることなく現在に至っている。

趙さんは、「『フェミニスト事件』弁護士セクハラ事件は、集団のセクハラに対する容認度が低く、声を上げる自覚が強かったからこそ、明るみに出た。実際は、民間グループでのセクハラと性差別という現象はよくあることなのに、大部分はうやむやになっており、公になることさえ少ない。このたびの曹小強のセクハラ事件をこのような結末にすることができたことは、現在のところ最も良いセクハラの解決の事例だと言いうる」と述べた。

趙さんは、今回の事件が良い結果になった原因には、客観的な要素もあるし、処理のプロセスが妥当だったためでもあると言う。

趙さんは、「客観的な要素」としては、以下の2点を挙げている。

(1)この事件が基本的には公益教育領域の内部で発生しており、異なる集団の相互関係という要素はなかったこと。王秋実のセクハラ事件は、フェミニストグループと人権派弁護士グループとの両者が関係していて、事件が最初からグループ間のある程度の不信と衝突を引き起こした。

(2)曹小強は公益教育領域の中で「一定のキャリアのある先輩」にすぎず、「業界内の有力者」ではなかったこと。しかし、問題が、リソースを掌握していたり、ジャンルを象徴する名誉ある人物に向けられたら、どのような結果になるだろうか? この点は検証する必要がある。

趙さんは、「処理のプロセス」という要因に関しては、以下の2点を挙げている。

(1)もっとも力になったのは、被害者が共同で声を挙げて、権利を守ったことである。それによって相互のサポートと保護ができたし、問題の重大さが体現でき、訴えの力が倍増した。

(2)当事者の友人や曹小強と関係がある機構が、事件の勃発から、隠しだてをするのではなく、援助を求めることを選択し、彼女たちが相談したジェンダーと法律の専門家、NGO内部のセクハラ問題を処理した経験のある公益人(9)が、問題を解決する上で不幸を生じさせなかった。

趙さんは、「全体として言えば、民間のセクハラ問題については、以前は沈黙が守られていた。『フェミニスト事件』弁護士セクハラ事件で沈黙は破られたが、権利を守るのは難しかった。しかし、『曹小強事件』では、是非の上では基本的に解決した。比較的早く欧米のNGOの活動規範と倫理に接触した公益領域で真っ先に前進があったのは、女性の権利団体の過去20年間における研究や意識の養成と不可分である」と述べた(10)

趙さんの分析に付け加えれば、王秋実弁護士の事件の場合は、今回よりも、運動がより体制批判的で、権力からより強く弾圧されている中での事件だったために、加害者への追及がやりにくかったという背景もあるように思う。

日本においても、「労働運動でもその他の社会運動でも、野宿の問題でも、もうセクハラだらけモラハラだらけ」(11)と言われるような現状がある。また、最近の東京都知事選の野党共同候補のセクハラ疑惑についての発言の中にも、性暴力を軽視した見地からのものが少なくなかったことが指摘されている。

そうした意味では、社会運動内部のセクハラは、日本も中国も取り組みはまだ端緒的だし、それだけに、お互いに参考にしうる経験があるだろうし、ともにそうした経験を積み重ねていくことが求められていると思う。

(1)@兔子走丢了「 1980青年学社暑期游学招募(京津部)(报名截至5.20) 」NGOCN(公益服务网)5月12日 12:15、@兔子走丢了「1980青年学社暑期游学招募(广州部)(报名截至5.31)」NGOCN(公益服务网)5月12日12:04。
(2)曹小强?懒叔?青年才俊?性骚扰女同学你还要不要脸」青年思潮2016年6月4日。
(3)8名曹小强性骚扰事件当事人联合声明」女权之声的博客2016年6月7日 18:47、「8名曹小强性骚扰事件当事人联合声明」女权之声的微博 2016年6月7日 18:47。
(4)同上。
(5)1980青年学社声明」微头条2016年7月16日 05:54。
(6)以上は、@豆沙边「独家:曹小强回应性骚扰事件」NGOCN(公益服务网)2016年6月8日 18:14:55より。
(7)以上は、「公益圈性骚扰丑闻8名受害人联合声明:性骚扰概念急需普及」新媒体女性的微博2016年6月9日 21:13:12。
(8)この点は、上の被害者8名の応答の中でも触れられている点だが、公開された微信のやり取りを見て、「被害者があまりきっぱり拒絶していない」と責める人などがいたようだ。それに対しては、加害者と被害者の地位や権力の違いを見落としている、などの批判がなされている(「问句“约吗”有多难? | 公益界性骚扰丑闻男方公开道歉」新媒体女性2016年6月8日 18:04:28)。
(9)1980青年学社の夏季遊学の指導者の中に、趙思楽さんが「フェミニスト活動家、コラムニスト」という肩書きで名を連ねている。また、黄葉韻子(黄葉)さんも、「大学読書サロン黄油詩社の一人、フェミニスト行動派」という肩書きで名を連ねている(@兔子走丢了「1980青年学社暑期游学招募(广州部)(报名截至5.31)」NGOCN(公益服务网)5月12日12:04)。黄葉韻子(黄葉)さんは、2015年に、うつ病の治療方法にもジェンダーバイアスがあることや、女性には外出やスポーツが奨励されない状況を批判するために、北京から広州までの徒歩旅行を試みたことで有名である(本ブログの記事「林鯨らの『性暴力反対・海南島一周自転車ツアー』と黄葉らの『直男癌に抗する、うつ病女性のフェミニズムウォーク』(北京~広州)」参照)。彼女たちが力になったのかもしれない。
(10)以上は、赵思乐「思乐女谈 -性骚扰的民间解决方案」東網2016年6月11日。
(11)[共同討議] 山下耕平、馬野骨介、高橋淳敏、野崎泰伸、上間愛、生田武志、栗田隆子「『自立』そして『支援』とは何か―反貧困運動と自立支援をかえりみる」(『フリーターズフリー』第3号)の馬野骨介の発言より(16頁)。
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広州地下鉄にクラウドファンディングによって痴漢反対ポスターを掲示する試みなど――2016年の女性たちの公共交通での痴漢反対運動

目次
はじめに――2012年~2015年の痴漢防止措置の要求運動
一 人民代表大会と政治協商会議の議員への痴漢防止措置要請
二 広州地下鉄にクラウドファンディングによって痴漢反対広告を出す運動
 1.地下鉄が措置を取らないので、自分たちでクラウドファンディング
 2.広州市交通管理委員会への申し入れ
 3.フェミニスト行動派の役割と彼女たちの微博の一時封鎖
おわりに――日本の痴漢撲滅ポスター、公共広告のあり方など

はじめに――2012年~2015年の痴漢防止措置の要求運動

広州市では、地下鉄での痴漢の問題について、2012年9月、若い女性が広州地下鉄に痴漢防止措置を求める署名を利用者から集める運動をしたり、柯倩婷さん(中山大学中文系副教授)が広州市交通管理委員会と広州地下鉄総公司に対して、痴漢防止措置について情報公開申請や建議をおこなったりした(本ブログの記事「各地の弁護士・市民が地下鉄会社に対して痴漢防止策の建議・署名運動」参照)。

また、2014年11月には、中山大学の女子学生の万欽(万青)さんと市民の于磊さんが、広州市交通管理委員会に行って、「公共交通でのセクシュアル・ハラスメントの防止についての建議の手紙」を手渡した(これは、前年の柯倩婷さんの建議の内容とほぼ同じだとのことだ)。12月には、万欽さんと于磊さんを含む5人が、広州市の交通管理委員会、地下鉄総公司、旅客輸送管理処、公安局(地下鉄分局・公共交通分局)と会談し、職員の研修などの点で前向きの回答を得た。その中で、万欽(万青)さんらの「痴漢防止の宣伝を強化する」という提案については、市の交通管理委員会と市の旅客輸送管理処の代表が、「もし婦女連合会が宣伝活動を主導して、ポスターや標語、ビデオ広告などの宣伝材料も提供してくれるなら、宣伝スペースを提供したい」と述べた。

同年の年末には、「フェミニスト行動派 (行動派フェミニスト、女権行動派)」の微博(中国版ツイッター)が、バスや地下鉄のセクハラ反対運動をするためのボランティアを募集し、来年、広州や杭州、北京などで活動をおこなうと述べた(以上は、本ブログの記事「広州で若い女性たちが公共交通の痴漢対策について交通管理委員会、地下鉄公司、警察、婦女連合会などと会談――各地で『赤ずきん』姿で痴漢・セクハラ反対活動」参照)。

毎年2~3月、中国では各地および全国の人民代表大会や政治協商会議が開催される。中国のフェミニストたちは、この2つの会(両会)の代表や委員(日本で言う議員)たちに向けて、女性のための政策を提案してもらうよう働きかけをおこなう。

2015年1月、万欽さんたちは、広州市の人民代表大会の代表に、彼女たちが書いた「公共交通のセクハラ防止メカニズムを構築する建議」を審議するように求めて、119通の書留と140通の電子メールを送った(1)

その結果、多くの代表が彼女たちに回答を寄こして建議に関心を示し、その半数近い人が、大会に提案か建議を出すことを考えたいと述べた(2)

ところが、フェミニスト活動家5女性が、国際女性デー前日(3月7日)にバスの中でステッカーを配布するなどの痴漢反対アクションを計画していたところ、3月6日~7日に、警察に拘束される事件が起きた。

彼女たちは4月に釈放されたが、その後、こうした若い行動派フェミニスト(フェミニスト行動派)の活動は非常に困難になった。

一 人民代表大会と政治協商会議の議員への要請

しかし、2016年も、全国のフェミニストが、人民代表大会の代表や政治協商会議の委員に公共交通の痴漢対策についての議案を提出するよう要請する手紙を送った。

すなわち、2月2日、全国8の省・市のフェミニストらが、10あまりの省の郵便局から合計一千通余りの公共交通の痴漢防止システムを作る提案を提出してもらうよう建議の手紙を出した(3)

広州、淄博、重慶など8地の十人余りがこの活動に参加した。その中の一人の張累累さん(仮名)がこの活動に参加したのは、「メディアで女性が痴漢にあったという報道がしょっちゅうあります。また、自分がバスや地下鉄に乗ったときの経験からも、公共空間にはこういう多くのまだ明るみに出ていない危険が存在しており、女性にきわめて大きな不安を与えています。しかし、有効な救済システムはないので、痴漢にあっている女性はいつも助けがない状況に置かれています」という理由からだった(4)

この手紙の中で、彼女たちは、以下のような建議をおこなった。

1. 交通部門は、公共交通関連部門にセクハラ防止工作制度を制定するよう督促すること。この制度は以下の点を含む。防止の原則、訴えへの対応、職責の分担、処置のプロセス、監督・審査など。また、この制度を、下級の会社の従業員の研修と審査に組み込むこと。

2. 交通部門は、公共交通関連部門に従業員のセクハラ防止研修をおこなうよう督促すること。研修の中では、次のことをおこなう。・会社にはセクハラを防止する法定の義務があり、従業員は会社を代表してこの義務を履行することが自分の仕事の責任であることを知らせる。・セクハラに関する認識の誤りを正す(「露出が多いとセクハラが増える」など、研究や証拠によって誤りが証明させているいわゆる「常識」を正すことを含む)。・従業員のセクハラ防止業務の分担とプロセスを明確にする。・セクハラ事件に応対する具体的な方法を訓練する。

3. 公共の場所、公共交通の乗り物に、セクハラの訴えの方法を設置・公表する。たとえば、ホットラインを設置し、処理の責任者を公表して、それをバス・地下鉄の目立つ場所に貼る。

4. 簡単に証拠をつかむ手段を設置する。現在、わが国の大多数の公共の場所と公共交通の乗り物には監視カメラがあり、痴漢が発生したら重要な証拠を提供できる。被害者が録画を調べる必要があるときには、責任者が簡単に証拠をつかむ手段を提供すること。

5.セクハラ防止の宣伝を強める。バス・地下鉄の中に不法分子を震え上がらせるスローガンを貼ると同時に、市民に主体的に制止あるいは通報することを呼びかける、たとえば、「セクハラは違法行為です、制止と通報にご協力ください」などと。

6.セクハラの「首問責任制 (最初に対応した職員が最後まで責任を持って対応すること)」を実行する。職員はセクハラの訴えを受けたら、直ちに制止して、加害者を取り押さえ、証拠を固め、すぐに警察に通報して、被害者にその他の必要な援助を提供しなければならない。

7.微博(中国版ツイッター)のセクハラ防止の窓口としての機能を強化する。微博でセクハラ防止の訴えの方法を公表し、積極的に回答をし、微博上でのセクハラの訴えを処理する。被害者を責めたり、乗客の私的言論を暴露したりすることを杜絶し、公衆の監督を誠実に受け入れる。

8.先進国・地域の公共の場の痴漢防止に関する合理的なシステムを参照する。

9.公安部門と交通部門が協力して、公共運輸関連部門に痴漢防止措置の整備を急がせること。(5)

以上の建議は、2014年11月の万欽(万青)さんと于磊さんの広州市の交通部門に対する建議と内容はほぼ同じである。ただし、緑色の箇所が変更ないし付加されている。この点は、一つには、2014年11月の建議は広州市の交通部門に対するものであったのに対して、今回は、国の交通部門に対するものだったからであろう。また、「4」の点は、中国におる監視カメラの普及と関係があるのかもしれない。

張累累さんは、「もうすぐ春節です。人民代表大会の代表が手紙を受け取ったら、返事やフィードバックをしていただくとともに、女性の権益のために的確な行動をして、女性が安全な空間の中で生活できるようにしてほしいと思います」と述べた(6)

これに対して代表たちがどのように反応したかについての報道は見当たらない。実際に回答がなかったのか、回答があっても報道されなかったのかは不明だが、この点は、前年のフェミニスト5女性の刑事拘留以降の運動に対する抑圧の強化と関係しているのかもしれない。もっとも、馮躍さんという男性の代表が、この年、全国人民代表大会で公共交通の痴漢問題で立法の提案をしているが、これは法律上の責任や賠償の問題で改善を図る提案であり(7)、彼女たちの建議とは少し異なるもののようだ。

二 広州地下鉄にクラウドファンディングによって痴漢反対広告を出す運動

1.地下鉄が措置を取らないので、自分たちでクラウドファンディング

2016年の3~4月には、「F女権小組」が、広州の地下鉄で公共空間でのセクハラ(痴漢)に反対する公益広告を出すためのクラウドファンディングをおこなった。「F女権小組」とは、広州で《陰道之道》(ヴァギナ・モノローグスの中国語版)の上演活動などをしてきたグループである。

F女権小組がこのクラウドファンディングをしたのは、「国内のフェミニストの仲間が公共空間のセクシュアル・ハラスメントに反対するために政策提言活動をたくさんしているにもかかわらず、関係部門は何の行動しない」という状況に対して、「それなら、自分で広告スペースを買って地下鉄の状況を少しでも変えたほうがよい」と考えたからだ。

以前から中国のフェミニストも指摘しているように、外国には痴漢を制止するための公共広告がたくさん出されている(8)

彼女たちは、まず3月8日―3月15日の期間に、広告のスローガンを募集した(9)

彼女たちは、広州地下鉄の乗降客の多い「S級」・「A++級」と呼ばれている駅に3.5m×1.5mの横長の広告を出そうと計画し、そのために4万元集めることを目標にクラウドファンディングをおこなった(10)

F女権小組は、資金集めのためのパーティーも4月24日におこなうと発表している。その呼びかけ文やポスターは、「みだら (騒)」という言葉を前面に打ち出している。これは2012年に上海地下鉄の痴漢反対パフォーマンスアートで唱えられた「私はみだらでもいいが、あなたのセクハラは許さない」というスローガンとも関係があろう。このパーティーでは、バニーガールや民謡歌手が出演したり、仮装高潮大会をするなど、いろいろ企画が立てられたようだ(11)

彼女たちは、4月27日までに、1100人余りの人から3.8万元あまりを集めることができた。また、デザイナーは無償で広告のデザインをしてくれた。資金を出してくれた多くの人は収入のない大学生であり、数元、数十元を寄付してくれた(12)

2.広州市交通管理委員会への申し入れ

彼女たちは、上述のように2014年12月に、市の交通管理委員会(市交委)が「もし婦連が私たちに痴漢に反対するスローガンとポスターを提供するなら、私たちは宣伝の方法とスペースを提供してもいい」と述べたことを思い出した。宣伝に参加した高原さん(仮名)は、「私たちにはもうデザインのプランがあるのだから、市交委に行って、本当に私たちにスペースを提供するのか尋ねたほうがいい」と述べた。

4月28日、3人の青年が広州市交通管理委員会陳情事務局に行って、広州の公共交通でセクハラ反対の宣伝をするよう要求し、公共交通の中にセクハラ防止システムを作ること、ジェンダー平等意識を有する公益広告を出すよう申し入れた(13)

彼女たちは、「誘惑は言い訳にならない。痴漢をやめろ」というスローガンの入ったポスターのパネルを持って行った。そのポスターでは、痴漢の手を女性の手がつかみ、周りの者たちが「やめろ!」「やめろ!」「やめろ!」と声をかけている(写真はこの記事の一番上→「广州公共交通工具应加强反性骚扰宣传」)(14)

市交委の陳情事務局の人は、このことを指導部に知らせた。市交委は1時間議論し(彼女たちは、その間待って)、建議の手紙を受け取ったものの、明確な回答をせず、15日以内に受理するか否かを考え、60日以内に処理した結果を考えると述べるにとどまった。

張累累さんはクラウドファンディングもおこなってきたのだが、彼女は、「私や私の身近な友人を含めた多くの女子学生は、みな痴漢にあったことがありますが、有効なサポートをいつも得られていません。これが、私たちが何とかして現状を変えたい理由です」と述べた(15)

張累累さんによると、セクハラ反対運動をする仲間は2~30人いて、その大部分は大学を卒業後あまりたっていない1990年代以後の生まれで、少なくない人が自分自身か周りの友人が痴漢に遭ったことがあるという。張累累さんは1993年生まれで、去年武漢大学の出版専攻を卒業して、今は広州で生活している(16)

残念ながら、彼女たちが申し入れをした後、進展があったという情報は見当たらない。

たしかに2014年に広州市交通管理委員会は宣伝スペースを提供したいと述べた。しかし、それは官制の女性団体である婦女連合会がポスターなどを提供することが前提だった。純粋の民間グループがポスターを作成しても、掲示はできないということなのだろうか?

3.フェミニスト行動派の役割と彼女たちの微博の一時封鎖

このクラウドファンディングと広州市交通管理委員会への申し入れに関しては、「フェミニスト行動派(女権行動派)」の微博アカウントとヴァギナ・モノローグスの中国語版の上映運動をおこなった「F女権小組」が中心的な役割を果たしている。ここから見て、行動派が中心になって行った活動だと考えられる。

ところが、上の運動をすすめている最中の3月末、フェミニスト行動派(女権行動派)の新浪微博のアカウント「女権行動派更好吃(女权行动派更好吃、女権行動派はますますおいしい)」が抹消された。新浪微博のユーザーサービスセンターは、その理由について、「有害情報の発信などの規約違反をしているから」だと述べた。行動派の女性が運営してきた「AntiPETD女権博士組織」のアカウントもログインできなくなった。

張累累さんは、「この微博は、フェミニズム活動とフェミニズムの文章以外の情報は発信してないのに、不当だ」と思った。張累累さんたちの分析によると、その原因は、最近、「広州地下鉄の反セクハラ広告のクラウドファンディング」をしたことかもしれないと言う(17)。この活動は、現在のところ、広告費のクラウドファンディング以外の行動はしていないのだが、彼女たちの一人の友人は、この活動のために、警察が家に来たという(18)

やむなく張累累さんは、「女権行動派吃不完(女权行动派吃不完、女権行動派は食べきれない)」(これは、女権行動派抓不完[女権行動派は捕まえきれない]のもじりで、弾圧に屈しないという意味が隠されている)という新しいアカウントを登録しようとした。だが、「このニックネームは登録できない」という表示が出た。張累累さんは、さまざまな似たような名称を試したが、「女権」という二字が入っていると登録できない。「人権」の二文字が入っていても登録できるのに、「女権」ではだめなのだ。張累累さんは、やむなく「権(权)」の文字を「木」と「又」の2つに分けて、「女木又行動派吃不完」という微博を登録した(19)

この事件は、日本の『朝日新聞』でも取り上げられた(20)

趙思楽さんは「『女権』が禁句(敏感詞、政治的にデリケートな言葉)になった」と述べた。趙さんぱ、中国の公式の場では、「婦女」が最も使われ、「男女平等」がそれに次ぎ、「女性の権益」「女性の権利」はあまり使われず、「女権」や「ジェンダー平等」はほとんど使われないことなどについて分析している(21)。ただし、4月13日には、「女権行動派吃不完」アカウントの登録に成功し、現在も発信を続けているので、「女権」の語が登録できないということ自体は一時的な現象だったようだ。

また、地下鉄に広告を出すためのクラウドファンディングに関しても、反逼婚広告を出すためのクラウドファンディングは、表現こそ穏健にされたものの、弾圧はされていない(「家族などからの結婚圧力(逼婚)を批判する若い女性たちの運動――2014年~2016年」参照)。

とすると、この微博に対する弾圧は、当時おこなわれた広州地下鉄に痴漢反対広告を出す運動が、微博アカウント「女権行動派」が前面に出た行動であり、前年に刑事拘留の口実にもされた公共交通での痴漢反対運動だったことと関係がありそうな気がする。

おわりに――日本での痴漢撲滅ポスター、公共広告のあり方など

日本では、警察などによって痴漢撲滅を呼びかけるポスターが鉄道に貼られている。しかし、「『痴漢撲滅系ポスター』調査プロジェクト」(ツイッター)は、それらにはさまざまな問題点があることを指摘している(具体例の分析)。

それらに比べて、F女権小組が作成したものは、効果のほどは不明だが、被害者非難を含まないのはもちろん、強姦神話も批判しており、口調やデザインからは、真剣に痴漢をなくそう意図がストレートに伝わっているように見える。

日本でも民間の女性団体・人権団体がこうした広告を出す試みがあってもいいように思える。ただし、日本では公共広告と言えば、ACジャパンなどが出すものであり、民間団体が出すものではないと思われている。この点がネックになるのだろうか? だとしたら、それでいいのだろうか?

「意見広告」として出す方法はあるかもしれない。しかし、公共交通機関は、意見広告を掲載することをあまり認めていないように思う。それ自身正当かどうか疑問だし、痴漢反対の広告は政治的な意見広告と同一に扱うべきではないとも思う。日本では、前回取り上げた「逼婚(父母などからの結婚催促・強要)」に反対するポスターを公共交通機関に掲示することも難しいのではないか。

もう少し調べてみる必要があるが、こんな疑問が出てくる。

といっても、日本ではすでに曲がりなりにも公的機関に痴漢撲滅ポスターを作らせる段階にいっており、実際、欧米では日本よりきちんとした痴漢反対のポスターなどもあるのだから、いま日本で最も大切なのは、痴漢取り締まりをしている警察などに正確な認識を持ってもらい、効果的なポスターなどを作らせることだ、とは言えるのだろうが‥‥。

(1)女乘客游说人大代表建立公共交通性骚扰防治机制」2015年1月16日 13:15:42 (来源:女权行动派很好吃微信公众账号)。
(2)防治公共交通性骚扰 从立法做起 数名人大代表阳光回复女乘客公共交通性骚扰建议信」女权行动派很好吃的微博2015年1月29日 16:32
(3)女权行动派很好吃「反对公交性骚扰,TA们给一千多名人大代表寄了信」女权之声的微博2016年2月4日 14:12
(4)八地青年致信千余名人大代表:我们要公交防治性骚扰机制」就业性别歧视监察大队 2016-02-03 20:05:30。
(5)女权行动派很好吃「反对公交性骚扰,TA们给一千多名人大代表寄了信」女权之声的微博2016年2月4日 14:12
(6)八地青年致信千余名人大代表:我们要公交防治性骚扰机制」就业性别歧视监察大队 2016-02-03 20:05:30。
(7)全国人大代表建议完善公共交通性骚扰立法」南方网2016年3月30日 20:22:43(来源:重庆时报)。
(8) 以上は、F女权小组「广州地铁反性骚扰广告众筹」女权之声的微博2016年3月16日 11:42。
(9)女权行动派很好吃的微博3月10日 20:38
(10)广州地铁反性骚扰广告众筹
(11)F女权小组「【广州反性骚扰愁款趴】4月24日晚体育西路, 购票即送醉熊!」2016年4月24日。
(12)广州公共交通工具应加强反性骚扰宣传」新快网2016年4月29日。
(13)女权行动派吃不完「90后青年约谈广州市交委,要求公交反性骚扰宣传」女权之声的微博4月28日 15:07
http://weibo.com/ttarticle/p/show?id=2309403969253463207504→(ほぼ同じだがタイトルなど変更) @小田切菜「90后女生约谈广州市交委,要求公交反性骚扰宣传」2016年4月28日 15:13:22
(14)广州公共交通工具应加强反性骚扰宣传」新快网2016年4月29日。
(15)以上は、女权行动派吃不完「90后青年约谈广州市交委,要求公交反性骚扰宣传」女权之声的微博4月28日 15:07 http://weibo.com/ttarticle/p/show?id=2309403969253463207504→(ほぼ同じだがタイトルなど変更) @小田切菜「90后女生约谈广州市交委,要求公交反性骚扰宣传」2016年4月28日 15:13:22
(16)广州公共交通工具应加强反性骚扰宣传」新快网2016年4月29日。
(17)女权之声的微博【“女权”二字不能提,新浪微博这是要封杀女权?!】3月31日 12:17
(18)趙思樂「思樂女談:當「女權」成為敏感詞」東網2016年2月4日。
(19)女权之声的微博【“女权”二字不能提,新浪微博这是要封杀女权?!】3月31日 12:17
(20)(消される言葉 天安門事件から27年)デモ参加後、消えた戸籍」朝日新聞デジタル2016年6月2日。
(21)趙思樂「思樂女談:當「女權」成為敏感詞」東網2016年2月4日。

広州で若い女性たちが公共交通の痴漢対策について交通管理委員会、地下鉄公司、警察、婦女連合会などと会談――各地で「赤ずきん」姿で痴漢・セクハラ反対活動

<目次>
 はじめに
 一、2014年11月27日 若い女性2人が、広州市交通管理委員会にバス・地下鉄での痴漢防止についての建議を手渡す。同委員会の前でも「赤ずきん」の扮装でアピール
 二、12月5日 5人が、広州市の交通管理委員会、地下鉄総公司、旅客輸送管理処、公安局(地下鉄分局・公共交通分局)と会談、前向きの回答を得る
 三、12月5日に会談した四者に加えて広東省の婦連と婦女児童工作委員会にも六者会談への招待状を送る。12月23日、招待状を持って婦連を訪問し、痴漢対策について権益部長と会談、前向きの回答を得る
 四、12月31日 公共交通の痴漢反対の活動をするボランティアを正式に募り、2015年の運動開始へ
 五、2015年1月10‐12日 広州市の人民代表大会の代表に公共交通の痴漢対策を義務づける法規の制定を訴える手紙とメール
 六、他の地方でも、「赤ずきん」の扮装でセクハラ・性暴力反対の活動
 おわりに――今回の運動の特徴

はじめに

地下鉄の痴漢問題に関しては、2012年6月、上海地下鉄の公式微博(中国版ツイッター)が痴漢を女性の服装のせいにする発信をしたことに対して若い女性たちが抗議したことをきっかけに運動が起こり、同年9月には広州でも運動が起きました。その中では、若い女性たちが「私はみだら(ふしだら)でもいいが、痴漢はいけない」と訴えるパフォーマンスアートをしたり、地下鉄会社に痴漢対策を求める署名運動をしたりしました。また、弁護士や大学教授も、地下鉄会社などに痴漢対策を求める建議などを送りました(本ブログの記事「痴漢を女性の服装のせいにする上海地下鉄ブログに対する、ネット内外での女性たちの抗議のうねり」「各地の弁護士・市民が地下鉄会社に対して痴漢防止策の建議・署名運動」参照)。

この問題について、昨年12月から広州で、若い女性たちが交通管理委員会や地下鉄会社、公安局(警察署)、婦女連合会と会談をおこなうなど、新しい動きが起きています。

一、2014年11月27日 若い女性2人が、広州市交通管理委員会にバス・地下鉄での痴漢防止についての建議を手渡す。交通管理委員会の前でも「赤ずきん」の扮装でアピール

2014年の11月25日~12月10日の「国際女性に対する暴力防止16日期間」の最中の11月27日、中山大学の女子学生の万欽さん(@羊驼青)と市民の于磊さん(@我形象好气质佳)が、広州市交通管理委員会に行って、「バス、地下鉄でのセクシュアルハラスメントの防止についての提案の手紙」を手渡しました(「バス」の原文は「公共交通」ですが、地下鉄も公共交通に含まれるので、ここでは市内の公共交通として地下鉄と並ぶ重要な役割を果たしている「バス」と訳してみました)。2人は、女性の権利保護グループ(妇女权益保护小组)のメンバーだとも報じられています。

2人は、まず、広州市交通管理委員会の入口で、「赤ずきん(中国語では「小紅帽」)」の扮装をして、右手に「公共交通の会社さん、地下鉄さん、こんにちは。4割の河南の女性が痴漢にあっています。60%近い女性が恐怖やばつの悪さなどの理由で、沈黙を選択しています。痴漢行為の処理に対して不満を持つ者の39%は若い女性です」と書いたボードを持ち、左手には「女が助けを求めたとき、“関係部門”は何と言っているのか?」と書いたボードを持って自らの主張をアピールしました。赤ずきんの扮装をしたのは、色狼(中国で痴漢の意味)に襲われる存在であることを示すためでしょう。

万欽さんは、記者の取材に対して、「インターネットで少し探しただけでも、公共交通の車上でセクハラに遭った話はいくらでもあるのに、多くの場合は、うやむやになったり、禁じても止まらなかったり、です。助けを求めても、バスや地下鉄の職員はきちんと対応しないと被害者は言っています」と述べました。

2人が書いた「バス・地下鉄でのセクシュアルハラスメントの防止に関する建議の手紙」(1)は、広州市交通管理委員会と広州地下鉄道総公司に宛てたもので、多くの女子大学生が公共交通でセクハラに遭っていることや、「都市のバス電車旅客運輸管理規則(城市公共汽电车客运管理办法)」第28条には「乗客は安全で速い旅客運輸サービスを得る権利を有する」とあり、「安全」には、セクハラや性暴力を受けないことも重要であることを述べたうえで、以下の6カ条の建議を記していました。

1.セクハラ防止工作制度を制定する。この制度は以下の点を含む。防止の原則、訴えへの対応、職責の分担、処置のプロセス、監督・審査など。また、この制度を、下級の会社の従業員の研修と審査に組み込むこと。

2.従業員のセクハラ防止研修をおこなう。研修の中では、次のことをおこなう。・会社にはセクハラを防止する法定の義務があり、従業員は会社を代表してこの義務を履行することが自分の仕事の責任であることを知らせる。・セクハラに関する認識の誤りを正す(「露出が多いとセクハラが増える」など、研究や証拠によって誤りが証明させているいわゆる「常識」を正すことを含む)。・従業員のセクハラ防止業務の分担とプロセスを明確にする。・セクハラ事件に応対する具体的な方法を訓練する。

3.セクハラの訴えのルートを設置・公表する。たとえば、ホットラインを設置する、処理の責任者を公表する、バス・地下鉄の目立つ場所に貼る。

4.セクハラ防止の宣伝を強める。バス・地下鉄の中に不法分子を震え上がらせるスローガンを貼ると同時に、市民に主体的に制止あるいは通報することを呼びかける、たとえば、「セクハラは違法行為です、制止と通報にご協力ください」などと。

5.セクハラの「首問責任制 (最初に対応した職員が最後まで責任を持って対応すること)」を実行する。職員はセクハラの訴えを受けたら、直ちに制止して、加害者を取り押さえ、証拠を固め、すぐに警察に通報して、被害者にその他の必要な援助を提供しなければならない。

6.微博(中国版ツイッター)のセクハラ防止の窓口としての機能を強化する。微博でセクハラ防止の訴えの方法を公表し、積極的に回答をし、微博上でのセクハラの訴えを処理する。被害者を責めたり、乗客の私的言論を暴露したりすることを杜絶し、公衆の監督を誠実に受け入れる。

2人は、「実はこの建議書は、2年前にある大学の教授が手渡したものですけれども、今日までずっと何も改善されていません」と述べています。2人は元の建議書(2)を修正・改善して、自ら手渡すことを決めたとのことです。

事前にアポイントメントを取っていたわけではなかったので、広州市交通管理委員会ではしばらく待たされましたが、万欽さんらは、交通管理委員会の職員と会うことができました。その職員は、「正規の手続きにのっとって、広州市の交通管理委員会の陳情室に行って渡すべきだ」などと言いつつも、万欽さんらが手渡した建議の手紙を受け取り、旅客輸送管理処に渡して処理することを承諾し、「陳情条例の規定にもとづいて60日以内、早ければ次週にも回答する」と述べました(3)

二、12月5日 5人が、広州市の交通管理委員会、地下鉄総公司、旅客輸送管理処、公安局(地下鉄分局・公共交通分局)と会談、前向きの回答を得る

12月4日、広州市交通管理委員会(以下、「市交委」と略す)から、于磊さん(@我形象好气质佳)に電話がかかって来て、翌日、市交委や公安局(警察署)、地下鉄公司が面談することが伝えられました。

かくして12月5日、中山大学の女子学生の万欽さん、小鐘さんと市民の于磊さん、小鄢さん、小胡さんが、市交委の陳情応対所で、地下鉄やバスでのセクハラ問題について、市交委、広州市地下鉄総公司、広州市旅客輸送管理処、広州市公安局地下鉄分局、広州市公安局公共交通分局の職員と会談しました(4)

万欽さんらは、6カ条の建議の内容について説明しました。さらに、各部門がセクハラ防止の研修をやりやすいよう、広州在住のセクハラについての専門家や学者の名簿を、建議の手紙とともに、それぞれの部門に手渡しました。

当日の会談では、万欽さんらの建議について、すぐに同意が得られたわけではありません。公安局地下鉄分局の代表は、「セクハラ事件は自分から通報する人が少ないので、重視されていない」と言いました。それに対して、万欽さんらは、「通報する人が少ないのは、この問題についての宣伝が不十分だからだ」と述べました。また、広州市地下鉄総公司の代表は、「さまざまな人が旅客輸送業務に要求を出しているので、その一つ一つには応えられない」と述べました。それに対して、于磊さんは、1年の12カ月でそれぞれ別のテーマを宣伝する、たとえば毎年特定の時期にセクハラ防止の宣伝をするなら、宣伝しないのに比べれば進歩であると言いました。

良い反応もありました。会談の中で、市交委など、部門・公司の何人かの代表は、公共交通でのセクハラはたしかに関心を寄せるべき社会問題なので、それぞれの部門・公司で、セクハラ防止のために何ができるかを検査すると表明しました。

なかでも、万欽さんらがおこなった、セクハラ防止研修の提案に対しては、多くの部門から回答が得られました。市交委と市の公安局公共交通分局の代表は、おのおの、今後、セクハラ防止について、職員に対する講座などの形で研修をおこなうことができると表明しました。さらに、市交委の代表は、もし出席している他の政府部門がセクハラ防止研修を必要とするなら、市交委が手助け・仲介できると表明しました。市の旅客輸送管理処の代表も、もし研修をやるなら、広州市の各公共交通公司に強く推薦したいと表明しました。

セクハラ防止の宣伝を強化するという提案については、市交委と市の旅客輸送管理処の代表は、もし婦女連合会(以下、婦連と略す)が宣伝活動を主導して、ポスターや標語、ビデオ広告などの宣伝材料も提供してくれるなら、市交委と市の旅客輸送管理処は、宣伝に協力して、宣伝スペースを提供したいと述べました。これに対して、万欽さんらは、省や市の婦連と話をして、婦連に公共交通系統やその関係部門と協力してもらって、セクハラ防止の面でもっと多くのことができるようにしたいと表明しました(5)

三、12月5日に会談した四者に加えて広東省の婦連と婦女児童工作委員会にも六者会談への招待状を送る。12月23日、招待状を持って婦連を訪問し、痴漢対策について権益部長と会談、前向きの回答を得る

12月5日の話し合いで、もし婦連がセクハラ防止活動をするなら市交委なども協力する、という話が出たことから、12月23日、于磊さん(@我形象好气质佳)と小魏さんが、広東省の婦連の主席で、同省の婦女児童工作委員会(女性・児童政策の調整・推進機関。以下「婦児工委」と略す)の副主席でもある閻静萍さんへの会談への招待状を持って、広東省婦女連合会を訪れました。

その招待状は、婦連、婦児工委、市交委、広州地下鉄、公安局、および民間で公共交通のセクハラ防止に関心を持つ広州の女性たちという六者が公共交通のセクハラ問題に対して、それぞれ、するべきこと、できることを話し合う会談に閻静萍さんを招待するものでした。

この招待状は、その会談について以下のように述べています。

一、このたびの会談は、けっして「上訪(上級機関に陳情に行くこと)」や「信訪(=来信来訪の略。投書・陳情)」ではなく、民間と政府側の機構との最初の公共の対話です。ですから、私たちは、省婦連の主席であり、婦児工委の副主任としてのあなたや、関係する業務部門の責任者と顔を合わせて交流と検討がしたいのであって、業務を管轄する職能がない陳情事務局に応対してもらいたいのではありません。

二、このたびの会談には、婦連、婦児工委、市交委、広州地下鉄総公司、公安局と私たちという六者が参加するように、私たちはそれぞれに招待状を出しています。もし婦連・婦児工委がイニシアチブをとって、交通管理委員会などの部門に連絡をとってもらい、六者面談の時間の場所を決めてもらえるならば、私たちは非常に感謝いたします。そうしてもらえれば、私たち普通の女性も、婦連・婦児工委がセクハラ防止問題に注目していると感じるでしょう。

三、私たちは会談の中で、省婦連、婦児工委および市交通管理委員会などの多くの部門・公司と、以下の問題で交流ができることを期待しています。
 1.公共交通のセクハラ防止について、法律・法規は、各部門に対して明確な職責を規定しているか?
 2.省婦連、婦児工委などの部門は、現在すでにどのような措置をとって、セクハラ防止のメカニズムを構築しているのか?
 3.現在とっている措置及び宣伝は、有効で十分なものか? それとも、問題がいささか存在しているのか? (実際の事例)
 4.他の国家・地区の公共交通のセクハラ防止の経験は、広東省で実施することができるか?
 5.公共交通のセクハラ防止システムを制定し、関係人員に研修をし、宣伝をし、警告や注意をする掲示を貼り、責任を明確にするなどの面で、出席した五部門は、長期的な協力メカニズムを構築することができるか?


その次に、「四」として、面談の時間は、遅くとも2日前には私たちに知らせてほしいということ、「五」として、面談の場所は、プロジェクターが使えるような、ゆったりとした場所にしてほしいということ、「六」として、公共の対話として、メディアの傍聴や取材もできるようにしてほしいことなどが書かれています。

上で、「一、このたびの会談は、けっして『上訪(上級機関に陳情に行くこと)』や『信訪(=来信来訪の略。投書・陳情)』ではなく~」と述べているのは、市民と政府との関係についての彼女たちの理念を示していると言えますが、後の―(2)で述べるように、「陳情」では、なかなかラチがあかないこととも関係しているのだろうとも思います。

この申し入れに対して、省婦連からは権益部の楊世強部長が出てきて、于磊さんらに応対しました。楊部長は、于磊さんらの招待状と建議について肯定し、「もし5つの部門・公司と女性の乗客の代表がこの問題について交流できるなら、公共交通のセクハラ防止を推進する上できわめて大きな進歩になる」と述べました。さらに、市婦連に対して、市婦連が市交委・市地下鉄総公司、公安局などの部門を仲介・連絡をして、この問題の措置について座談をするように指示することも承諾しました。省婦連も座談会に参加するとともに、この問題の進展に関心を持ち続けたいとも表明しました。

ただし、楊部長は、セクハラ防止のための宣伝を公共交通や地下鉄などでおこなうことは、宣伝経費の面で実際には困難であるとも述べました。それに対して、于磊さんは、「現在、鄭州・香港などの都市では、すでに公共交通の車両に『痴漢にあったら、職員に助けを求めてください』などの警告や援助の標語が貼ってあって、これらの標語は、コストがかからない宣伝方法だけれども、すでにある程度、普通の乗客をサポートし、犯罪者に警告を発するという働きができている。また、市交委はすでに12月5日の会談の中で、宣伝スペースを提供したいと言った」と述べました。

于磊さんと小魏さんは、婦連・婦児工委に招待状を手渡しただけでなく、上の招待状の文中にもあるように、市交委、市の地下鉄総公司、市の公安局の3部門にも郵送しました(6)

12月31日、公安局から電話があり、公安局が招待状を地下鉄分局に送ったところ、地下鉄分局は六者会談に参加したいと言ったと伝えてきました(7)

四、12月31日 公共交通の痴漢反対の活動をするボランティアを正式に募り、2015年の運動を開始

12月31日、「行動派フェミニスト(女権行動派)」の微博は、バスや地下鉄のセクハラを防止するための「小紅帽(赤ずきん)」ならぬ「大紅帽(大きな赤ずきん)」のボランティアを募集しました。「大紅帽」というのは、台湾のテレビドラマ「大紅帽與小野狼」(大きな赤ずきんと小さな狼。日本名「逆転! 赤ずきん」)という、SPという職業で背も高く強いヒロインと、彼女を狙うちょっと弱い御曹司とのラブコメディから取ったもののようです。あえて「大紅帽」を名乗るということは、女性が単に弱くて守られる存在ではないということを意味しているのだと思います。

その募集の文は、以下のようなものです。

今年12月から、広州では、童話と同じ身なりをした「小紅帽(赤ずきん)」が市交委、公安部門、公交公司、地下鉄公司、婦連などの機構に招待状を送って、バスや地下鉄のセクハラ問題について共に話をするように求めてきました。ボランティアたちは、自らを「大紅帽(大きな赤ずきん)」と称しています。さまざまな部門がさまざまな態度で大紅帽(大きな赤ずきん)に回答していますが、これらの機構の態度をまとめるならば、「セクハラは問題だから、なくさなければならない」ということです!! それらの機構は、それぞれが、セクハラをなくしてジェンダーフレンドリーな乗車環境を作り上げるために努力しなければならないことに同意し、もう一度セクハラ防止の方法について話し合いをすることを計画しています。

あなたも、その中の1人の赤ずきんになりませんか?
私たちは、あなたも赤ずきんになることを期待しています!!

公共交通のセクハラ反対のボランティアの募集を正式に開始します。

・計画1:バス・地下鉄のセクハラの状況および解決するための措置の調査研究をしよう!!
・計画2:大紅帽(大きな赤ずきん)の建議を両会(人民代表大会と政治協商会議)の代表や委員に提出してもらうよう説得しよう!!
・計画3:交委、バス・地下鉄公司、婦連、公安に行こう!!
・計画4:おもしろいパフォーマンスアートをして、厳重なセクハラ防止システムを提起しよう!!

大紅帽のボランティアたちは、不定期に集会をおこない、演劇や弁論、飲食などさまざまなやり方で、自分や身近な公共交通のセクハラの話をして、みんなで創意や才能を生かして、各部門に提案をおこないます。

活動期間:2015年の1年間、不定期に、ボランティアは興味を持った活動を選んで参加します。

活動地点:広州や杭州、北京など。詳しくはメールボックスに申し込んで、尋ねてください(8)

2015年1月8日にバス・地下鉄セクハラアフタヌーンティー討論会をおこなうことも鄭楚然さんが告知しました(9)
五、2015年1月10‐12日 広州市の人民代表大会の代表に公共交通の痴漢対策を義務づける法規の制定を訴える手紙とメール

2015年1月10‐12日、万欽さんたちは、もうすぐ開催される広州市の人民代表大会の代表(日本で言う議員)に、「公共交通のセクハラ防止メカニズムを構築する建議」を審議するように求めて、119通の書留と140通の電子メールを送りました。彼女たちの建議の内容は、以下のようなもので、要するに、彼女たちがこれまで主張してきた痴漢防止の具体策を法律で規定することを求めるものだと言えます。

1.当地の法規に、公共交通のセクハラ防止工作の制度を入れる。各部門の職責を明確にし、防止の原則、訴えへの応対、職責の分担、処理のプロセス、監督審査などを明確にする。この制度を各部門の下級の公司の従業員の研修と審査に組み入れる。

2.立法によって、各部門、とくに公共交通管理運営部門の従業員の研修にセクハラ防止の内容を加えることを規定する。

3.立法によって、セクハラ防止の宣伝を強化することを規定する。バス、地下鉄などの公共交通施設の中に標語を貼り、セクハラ防止とその法律的根拠のビデオを定期的に放送して、音声による注意を増やして、不法分子を震撼させ、通報・訴えのシステムを作ることを規定する。

4.セクハラ処理の「首問責任制 (最初に対応した職員が最後まで責任を持って対応すること)」を実施すること。公共交通の施設運営部門の職員がセクハラの訴えを受けたら、ただちに制止し、セクハラした者を確保し、証拠を固め、すぐに警察に通報し、被害者のために必要な援助を提供する。

(10)

六、他の地方でも、「赤ずきん」をかぶってセクハラ・性暴力反対の活動

なお、「赤ずきん」が登場したのは、広州市だけではありません。

 (1) 9月10日 10大学の門前で女子大学生が「赤ずきん」の扮装でキャンパスセクハラ防止を訴える

すでに2014年の9月10日の「教師の日」に、10の大学(厦門大学・天津大学、東北師範大学・北京外国語大学・西北大学・武漢大学・西北師範大学など)の門前で、女子大学生たちが「赤ずきん」の扮装をして、キャンパスセクハラ防止を訴えたことがありました。彼女たちは、全国116カ所の「211プロジェクト大学(1995年に教育部が、21世紀に向けて重点的に投資すると決めた約100大学)」の校長に、彼女たちが起草した大学でのセクハラ防止規範を提案する手紙も送りました(11)

この時の「赤ずきん」は、右手に剣を、左手に盾を持ち、その盾には「自由と夜を女子学生に返せ」と書かれていました。なぜそのようにしたのかというと、この活動に参加した「小五」さんは、「伝統的な理解では、赤ずきんが狼に食べられたのは、彼女が警戒していなかったからだとされており、この物語は、家にいなければならず、どこにも行ってはならないことを教えているとされてきました。セクハラや性暴力の事件がおきるたびに、それは女子学生が警戒していなかったからだと言われてきました」、「私たちが赤ずきんの扮装をして、手に剣と盾を持ったのは、私たちは、家にいてどこにも出かけない人になるつもりはない、と言いたいからです」と述べました(12)

上の説明は、2014年の年末に、「小紅帽」ではなく、「大紅帽」を名乗ってボランティア募集の呼びかけをしたことと相通じるものがあると思います。

 (2) 12月4日 北京の教育部に李麦子さんと肖美腻さんが陳情

12月4日には、李麦子さんと肖美腻(肖美麗)さん、王宇弁護士が、スクールセクシュアルハラスメントの問題の解決を求めて、教育部に行きました。その際、李麦子さんと肖美腻さんは、教育部の前で赤い頭巾をかぶった写真を撮影しています。

王宇弁護士が訴えたかったのは江西省瑞昌市の事件についてです。2013年、江西省瑞昌市で、小学校の教師が多くの女子児童に対して性暴力をおこなっていたことが発覚しました。この事件の犯人は投獄されましたが、保護者は、事件が起きた江源小学校とともに、瑞昌市政府と瑞昌市教育局を裁判所に訴えて、管理責任を問うとともに、今後の治療費と精神的損害賠償(慰謝料)を要求しました。ところが瑞昌市の蒋賢智副市長は、「もし私の子どもがそういう目にあったら、黙って治療を受けさせて、政府には一銭も要求しない」と述べるありさまでした(13)

彼女たちは、教育部に行こうとしたのですが、陳情事務局が教育部を代表していると言われて、陳情所に回されました。また、弁護士は入ることが許されず、担当者に、名前や職務を尋ねても答えてくれず、スクールセクシュアルハラスメントについての事件や対策について質問しても、まともな答えは返ってこず、具体的な議論はまったくできなかったようです(14)

 (3) 12月15日 北京で、石畳に水で字を書くパフォーマンスアートによって、家族内の性暴力は隠蔽される現状を批判

また、12月15日にも、北京の後海の銀錠橋のそばで、「赤ずきん」の扮装をした2人の若い女性(「女声網」には、「小猫」と「児玉」という仮名が書かれています)が「家族が円満ならば、何事もうまくいく」と書かれた大きな扁額を背中に背負って、石畳に水で字を書いていくパフォーマンスアートをしました。水で書いた字は、時間が経つにつれて消えていきます。2人は、このパフォーマンスアートによって、家族の中の子どもに対する性暴力が「家庭内の醜いことは外へは出してはいけない」といった観念によって隠蔽されている現状を批判したのです(15)

おわりに――今回の運動の特徴

先に述べたように、地下鉄の痴漢問題については、2012年にも運動がおこなわれましたが、今回の運動は、それと比べて、いくつかの点で新しい展開があると思います。

第一に、地下鉄だけでなく、バスなどを含めた公共交通全体を問題にしたことです。

第二に、2012年は、若い女性たちは主にパフォーマンスアートや署名運動をしており、地下鉄会社へ建議などを出したのは主に弁護士でした。今回は、2012年の建議を元にしているとはいえ、若い女性が中心になって建議を出しています。

第三に、今回は、行政機関(交通管理委員会、旅客輸送管理処、公安局)、地下鉄会社、婦女連合会と会談をおこない、しかも、それらの機関・企業や団体から、ある程度前向きの反応を得たことです。また、彼女たちは「陳情」ではなく、民間と政府側機構との「公共の対話」を主張しており、実際、12月5日の会談は、陳情所で行われたとはいえ、実質的には対話になっていると思います。

第四に、この件で、公にボランティアを募集したりしている点も新しいと思います。人民代表大会の代表への働きかけも、2015年の働きかけは、痴漢対策の要請としては、従来にない系統的なもののように思います(16)

また、「赤ずきん」について興味深いのは、彼女たちは、狼に襲われる存在としての「赤ずきん」の扮装をしていて、この点は一般にもわかりやすいのですが、それは必ずしも旧来の「赤ずきん」ではなく、旧来の男女像を逆転させた「大紅帽(大きな赤ずきん)」を称したり、剣や「自由と夜を女子学生に返せ」を書いた盾を持って、女性の権利をアピールしたりしていることです。

なお、2014年は、2013年に続いて、スクールセクシュアルハラスメントについても、さまざまな運動が繰り広げられた年でもありました。そのことについては、また別にまとめたいと思います。

(1)全文が羊驼青的微博2014年11月28日 11:41に掲載されています。
(2)2012年には、複数の弁護士や大学教員が地下鉄公司などに対して、痴漢対策に関する情報公開申請や建議を送りましたが、そのうち、8月に、10人の男性弁護士が上海申通地下鉄集団有限公司に出した建議を、本ブログの記事「各地の弁護士・市民が地下鉄会社に対して痴漢防止策の建議・署名運動」の「8月 10人の男性弁護士が上海地下鉄に痴漢防止策を建議」の箇所に書いています。この建議は、今回提出されたものとほとんど同じ内容の6項目です。ただ、今回の2人の発言には、「教授」とありますので、これは、同年9月、広州市の中山大学中文系副教授で、中山大学ジェンダー教育フォーラムの柯倩婷さんが、広州市交通管理委員会、広州地下鉄総公司に提出した情報公開申請にも同じような事項が書かれていたのかもれません。
 なお、上で「ほぼ同じ」と書きましたが、2012年のものは「地鉄」となっていた箇所が、今回は「公交、地鉄」となっていますので、バスなどを含めた公共交通全体を問題にするようになったという違いはあります。
(3)以上は、「妇女权益保护小组约谈广州市交委」南方快报2014年11月27日(来源:南方日报)、「中大女生化身 “小红帽” 吁请关注公交性骚扰交委 请设防堵截公交“大灰狼”!」『羊城晚报』2014年11月28日、「中大女生化身 小红帽求惩公交地铁“射狼”」『南方都市报』2014年11月28日。
(4)女权行动派很好吃的微博【进展:市交委再次来电】2014年12月5日 15:11
(5)以上は、女权之声的微博【广州女大学生“约谈”市交委,交委携公安局应约,共谈性骚扰防治机制】2014年12月6日 14:24
(6)我形象好气质佳的微博2014年12月23日 16:00、女权行动派很好吃的微博 2014年12月23日 17:32、女权行动派很好吃的微博「“反公交地铁性骚扰,约吗?” 女乘客约谈妇联妇儿工委 望积极推动公共交通性骚扰防治机制」微博文章2014年12月23日 17:30
(7)女权行动派很好吃的微博【小红帽作战公交咸猪手之公安回电】2014年12月31日 15:36
(8)以上は、女权行动派很好吃的微博2014年12月31日 21:56
(9)大兔纸啦啦啦的微博1月7日 11:15
(10)以上は、「女乘客游说人大代表建立公共交通性骚扰防治机制」2015年1月16日(来源:女权行动派很好吃微信公众账号)、「广州女乘客呼吁公共交通系统建性骚扰防范机制打击咸猪手」Radio Free Asia2015年1月16日。以下の建議の内容は、上記の「女乘客游说人大代表建立公共交通性骚扰防治机制」に書かれています。
(11)女权之声的微博【“小红帽”现身大学 十地女大学生要求校长反性骚扰】2014年9月10日 11:27 、「十地女大学生起草性骚扰防治规范 致信百所“211”高校校长呼吁禁止“师生恋”」法制日报——法制网2014年9月10日。
(12)Group Urges Action Against Sexual Harassment on University Campuses,The New York Times,September 10, 2014→「与中国校园性骚扰斗争的“小红帽”」2014年9月11日。
(13)女权行动派很好吃的微博【幼女遭受性侵害――小红帽在哭泣】2014年11月19日 17:09
(14)以上については、麦子家的微博【行动派+律师约谈教育部】2014年12月3日 16:02、肖美腻的微博2014年12月4日14:51
(15)小猫,儿玉「她们用清水写下受害者故事,呼吁重视家庭内性侵害」女声网2014年12月16日。
(16)ただし、すでに2013年の全人代にも、公共交通のセクハラ防止に関して、弁護士らや万欽さんらが提案した6項目とほほ同様の内容の提案を、全人代代表で阜陽師範学院外国語学院副院長の盧凌さんが提出していますので(「【直击两会】卢凌:公共交通系统建性骚扰防范机制打击咸猪手」今视网2013年3月15日)、昨年時点から人民代表大会の代表への働きかけ自体はおこなわれていた可能性もかなりあるように思います。

学校教師による性暴力と行動派フェミニスト――「強姦犯を閉じ込めろ、私を閉じ込めるな」

今年5月8日、海南省万寧市の小学校で、校長らによる女子児童への性暴力が明るみに出ました。同じ5月には、河南省桐柏県でも、小学校の教師が多数の女子児童に対して性暴力をおこなっていた事件が明らかになったほか(1)、安徽・山東・湖南・広東など、中国各地の小学校などで同様の問題が次々と明るみに出ました(2)

海南万寧の事件に対する女性運動の対応については、以前述べたことがありますが(本ブログの記事「海南万寧の女子小学生の性侵害事件と女性運動」)、今回は、昨年来さまざまな運動を続けてきた若い女子大学生たちと女性知識人たちの「フェミニスト行動派」(これまでの活動についての年表やブログのエントリは、「ジェンダー平等唱導・アクションネットワーク(中国)年表」)の、こうした問題に関する運動についてまとめてみました。

彼女たちの運動は、加害者を処罰するだけでなく、校内の性侵害防止システム構築(教師の研修など)、性教育の充実、被害者に対する心理的ケア・損害賠償、被害者に対する偏見・差別の是正、性暴力防止のための立法などを求めていることや、性被害防止のために女性の自由を奪う措置や女性の自由を奪われている現状にNoを言っていることに特徴があります。

その方法は、建議書、パフォマンスアート、署名などさまざまです。この運動には、NGOも重要な役割を果たしていますが、先頭に立って運動をしているのは若い女性だということは、いつものとおりです。

以下、できるだけ時系列順に見ていきたいと思います(「7」の「フェミニズムウォーク」は、学校での性暴力だけに焦点を当てたアクションではありませんが、このエントリに書いておきました)。

<目次>
 1.校内での性侵害防止システム構築を求めるNGOの意見書、女子大学生たちのパフォーマンスアート――広東省、武漢市
 2.性教育の必要性を訴えるパフォーマンスアート――河南省
 3.河南省桐柏県の事件について千人の母親から署名を集める運動(徹底的調査・処罰、子どもへの心理的ケア・損害賠償、性教育など)
 4.弁護士が女子児童の現状について報告――外出できない、学校に行けない
 5.被害者が学校に通えるための有効な措置などを求めるパフォーマンスアート――広東省
 6.女子学生寮の「閉鎖式管理」を打ち出した教育部・公安部に対して、「強姦犯を閉じ込めろ、私を閉じ込めるな」と訴えるパフォーマンスアート(石家荘市、鄭州市)と8省・市での情報公開申請
 7.肖美麗さんがフェミニズムウォーク(北京~広州)に出発――性侵害反対と女性の自由を主張

1.校内での性侵害防止システム構築を求めるNGOの意見書、女子大学生たちのパフォーマンスアート――広東省、武漢市

6月7日、広東省の25のNGOが共同で広東省の教育庁に、「全省の教育システムに校内の性侵害防止システムを構築することに関する広東省の女性・児童権益擁護団体の共同の建議書」を提出しました。

その建議書は、以下の4点を要求しています。
 1.教育管理部門は、学校・幼稚園(とくにその法人の代表)の校内の安全における責任および職責失当・不当の行為に対する懲戒と処罰を明確にすること。
 2.教育管理部門は、細則を制定して、各レベルの学校・幼稚園・託児所に未成年者人身安全防護教育と防止措置を責任を持って実施させること。
 3.教育管理部門は、学校のジェンダー平等教育の建設を推進すること。
 4.教育管理部門は、積極的に他の政府部門や社会団体と協力して、未成年者の性侵害の防止・探知メカニズムの建設を推進すること。

建議書では、以上の点を実現するために、短期(1年以内)・中期(1-3年)・長期(3-5年)の任務も提起しています。短期的任務としては、性侵害防止のためのカリキュラムの開発(身体の知識、人身の安全、暴力反対、ジェンダー平等など)、教職員に対する研修、「校内安全・未成年者保護委員会」の設置、学外の組織との協力、調査研究、未成年者保護のための電話相談開設などが挙げてあります。中期的任務としては、性侵害防止のための教材を作成して、子どもにそうした教育を受けさせることなどが挙げてあり、長期的任務としては、地方的法規の制定などが挙げてあります。

この建議書を提出した25団体の冒頭には、「中山大学ジェンダー教育フォーラム」と「広州越秀区思瑾文化研究センター」という、それぞれ、柯倩婷さん(中山大学副教授)、李思磐さん(ジャーナリスト)がリーダーをつとめる民間団体が書いてありますので、この意見書の提出には、フェミニスト行動派のこのお2人が大きな役割を果たしたのだと思います。といっても、その次からは、大学の女性(ジェンダー)研究センターや子ども関係の団体が名を連ねていますので、多くの人々の共同のたまものであることは間違いありません(3)

広東省教育庁の事務局の責任者は、この建議書を提出したNGOの代表に応対して、お互いに交流をしました。彼は、建議書の内容を賞賛し、関係部門の指導者にも送ったということです(4)

この建議書に刺激されて、武漢の女子大学生たちも行動を起こしました。

6月19日、武漢市武昌区の教育庁の前で、6人の女子大学生ら(猪西西さん、小棗さんら)が「怪傑ゾロ」の扮装をして、歌を歌い、校内での性侵害をなくすように訴えました(発起人は、鄭観尓さん)。彼女たちが歌ったのは、《上学歌》(小さな子どもが学校に行って勉強するのを励ます歌)の女の子バージョンとして自作した《小女孩上学歌》(5)です。この歌は、校長や教育部長に対して、責任を持って狼を追い出して、安心して学校に行けるようにしてくれ、といったことを訴えています。歌を歌っている女性たちの傍には、2人の人が、「女子児童が性侵害を受けた。教育部門には、逃れられない責任がある」「校内の性侵害を防止しよう」といったプラカードを掲げて立ちました。この女子大学生たちのアクションは、広東省の教育庁の積極的な回答に励まされて、武漢や湖北の教育庁も児童の性侵害に対して有効な行動をとってほしいと願ってのものでした(6)

歌を歌って要求するという、この方法は、昨年、「クレイジー・イングリッシュ」という英語学習法の創始者の李陽さんのDVに対して、クレイジー・イングリッシュ総本部(広州)に抗議をした際にも用いられました(このビデオ[初めに広告が出ます]の50秒ころから)。彼女たちは、このやり方を中国語で「投诉合唱团(訴える合唱団)」と呼んでいます。「投诉合唱团」は、英語では「Complaints Choir」と呼ばれているのですが、これはヘルシンキのテレルヴォ・カルレイネンとオリヴァー・コフタ=カルレイネンが始めた世界的なプロジェクトで(Complaints Choirs of the World)、日本でもおこなわれたことがありますが(7)、彼女たちの場合は、日本などとは違って、具体的な運動のために合唱をしている点が特徴だと思います。

2.性教育の必要性などを訴えるパフォーマンスアート――河南省

7月19日には、河南省の鄭州市にある、河南省教育庁の前で、数名の大学生が、学校の中での性教育の充実と性侵害の防止を訴えるパフォーマンスアートをしました。

このパフォーマンスアートの第一のシーンは、両目と両耳をふさがれた女の子(の役割を演じている大学生)が、空中を手探りしているというものです。その近くには、一人の女性が、「性教育」というタイトルの書物の模型を持って立っているのですが、女の子の手には届きません。女の子の後ろには、一人の男性が、「見ることを許さず、聞くことを許さず、話すことを許さない」というプラカードを持って立っています。

次のシーンでは、「性侵犯が来た」という紙を背中に貼った男性が、ある女性の手を引っ張っています。その女性の背中には「私はどうしたらいいの??」と書いた紙が貼ってあります。2人の左側には、「校内での性侵犯を防止しよう」と書かれたプラカードを持って立っている人がおり、右側には、「私たちには性教育が必要だ」と書かれたプラカードを持って立っている人がいます。

要するに、性教育が不十分であるために、性侵犯を受けてもどうしたらいいのかわからないという状況を批判しているわけです。

この活動の発起人の小羽さんは、教育部は、以下のようなことをすべきだと語りました。
 ・小中学校に性侵害を防止するための監督のメカニズムを作ること。
 ・学校に、性教育、とくに性侵犯防止教育を強化させることによって、教師や生徒、保護者の性侵害防止意識を高めること。
 ・学校の中の性侵害の被害者に対する差別に反対する宣伝をすること。(8)

3.河南省桐柏県の事件についての千人の母親から署名を集める運動(徹底的調査・処罰、子どもへの心理的ケア・損害賠償、性教育など)

7月31日、「フェミニスト行動派」の微博などが呼びかけて、河南省桐柏県の事件に関して、「子どもの権利に関心を持ち、桐柏の女児の性侵害事件に関心を持て――女の子がもう傷つき苦しまないための1000名の母親の連名の署名」という署名運動が開始されました。

その署名の具体的要求は、以下の5点です。
 1 警察はこの事件を徹底的に調査し、犯罪を処罰することによって、より多くの被害者の権益を保護すること。
 2 黄崗郷政府、桐柏県政府、桐柏県教育局は、心理学の専門家を招聘して、被害を受けた子どもに対して心理的なケアをし、また、そのためにかかる費用を支給すること。
 3 黄崗郷政府、桐柏県政府、桐柏県教育局の関係者の管理責任を追及し、被害を受けた児童に対して損害賠償をすること。
 4 南陽市桐柏県黄崗鎮斗称溝 希望小学校の教師を更迭し、良識ある、思想・人品・徳性が高尚な教師を招聘して、就任させること。
 5 政府が費用を出して、南陽市桐柏県黄崗鎮斗称溝 希望小学校の教師と生徒に、法律知識普及・性保護などの専門の講座を、期日を決めておこなうこと。(9)

署名はオンラインとオフラインの両方で集めましたが、署名サイト(关注儿童权利,关注桐柏性侵女童案——1000名妈妈联名签署,让女儿不再承受伤害之痛)を見ても、署名できるのは「母親」か「妊婦」に限られていますので、1000人から署名を集めるためには、ある程度の努力が必要だろうと思います。

しかし、彼女たちは1058名から署名を集めました。10月15日、保護者らが起こした民事訴訟について審理されたとき(10)、李麦子さんや小美さん[2人とも仮名]たちが南陽市中級人民法院前に駆けつけ、集まった署名を大きく広げて保護者たちに声援を送りました(11)。この日の審理では、小学校と黄崗郷政府、桐柏県政府、桐柏県教育局は、いずれも自らの賠償責任を否定しましたが……(12)

下が、彼女たちの裁判所前での行動についての報道のビデオです。
桐柏性侵案15日开庭 志愿者递交千名妈妈签名声援被害者(中国网河南频道)

4.弁護士が女子児童の現状について報告――外出できない、学校に行けない

海南省万寧市の事件については、6月20日、元小学校長に強姦の罪で13年6ヶ月の懲役などの判決が下り(13)、7月11日には、二審でもこの判決が確定しました。

しかし、その一か月後の8月11日、海南省万寧市の事件に関心を持ってきた北京の王宇弁護士(女性)らが、被害者に遭った女子生徒の保護者4人に会って、女子生徒と保護者のその後について尋ねたところ、以下のような状況が明らかになりました。

 ・ある女子生徒は、外に出て人に会うのが嫌で「一日中、家の中でぼーっとしている」。逆に、ある女子生徒は外で友だちと遊びたいのに、父母が心配して、それを止めている。
 ・彼女たちは卒業試験も終えて中学校にもうすぐ進学するはずなのに、校長にホテルに連れ込まれたことを同級生たちに口汚く言われたり、あざ笑われたりするのが怖くて、学校に行こうとしない。
 ・保護者たちは、万寧市の政府に、子どもたちを適当な中学に入学させてくれるように頼んだのに、ずっと返事がない。万寧市の政府の教育部門や婦女連合会は、女子生徒のその後の心理や勉強に関して、保護者と話をしたこともない。

王宇弁護士は、女児の進学のために集めた1万元を保護者に渡してきたのですが、彼女は、この事件について、「刑事事件としては一部の判決は確定したけれども、女の子たちは実質的な賠償はまったく得られていない。社会はもう彼女たちのことをもう忘れ始めているが、彼女たちの人生はこの事件によって大きく変わってしまうかもしれない」と語りました(14)

5.被害者が学校に通えるために有効な措置などを求めるパフォーマンスアート――広東省

上のような状況を受けて、授業開始の9月1日まであと10日に迫った8月21日、広州にある、広東省の教育庁の前で、数名の女子学生(小美さん[仮名]ら)が、「鑑湖女侠(=秋瑾[清末の女性革命家]の号)が教育庁の玄関前に姿を現した。性侵害を解決する6つの神剣を伝授する」と題するパフォーマンスアートをおこないました。

彼女たちは、鑑湖女侠の扮装をして、中国全体の地図を描いた大きなキャンバスを、自動車の側面に垂れさせる形で広げました。その地図には、各省ごとに、最近半年間にメディアが報じた性侵害事件の数が書き込んであります。たとえば、雲南省のところには「9件」と書いてあり、江蘇省のところには「8件」と書いてある、というふうにです。

そのキャンバスの上の方には、泣いている男の子と女の子の顔の絵が描いてあり、左側には、「今年9月、学校に行っていない」と書いてあり、右側には「入学するには、性侵害を防がなければならない」と書いてあります。つまり、このパフォーマンスアートは、性侵害の防止を訴えるとともに、被害者が学校に通えるように、教育部門に有効な措置を取ることを求めたものです。

キャンバスには、教育部が重視するべき措置として、以下の6点が書かかれていました。1.賠償、2.謝罪、3.立法、4.心理治療、5.プライバシーの保護、6.持続的教育(15)

6.女子学生寮の閉鎖式管理を打ち出した教育部・公安部に対して、「強姦犯を閉じ込めろ、私を閉じ込めるな」と訴えるパフォーマンスアート(石家荘市、鄭州市)と8省・市での情報公開申請

9月24日、今回の事態を受けて、教育部・公安部・共産主義青年団中央・全国婦連が「少年・児童の性被害防止工作を立派におこなうことに関する意見」(9月3日付)を出しました。

その「意見」には、「一」として「科学的な性侵犯予防教育をおこなう」とあるのですが、その中には、「学生、とくに女子学生に警戒心を高めさせ、外出時はできるだけ連れ立って出かけ、家を離れる時は、必ず父母に帰る時間や、誰と一緒であるかや、連絡方法などを言うように教育する」ということも書かれていました。

「四」として「女子学生寮を厳重に管理する」ともあります。この項目では、「各地の教育部門と寄宿生学校は、すべての女子学生寮に対して『閉鎖式』管理を実行しなければならない」として、「宿舎の管理者の許可なくして、あらゆる男性(教師と保護者を含む)は女子学生寮に入ってはならない」「学生の夜間の点呼活動をしっかりやり、理由なく寮に帰らない者を見つけたらすぐに報告しなければならない」などと書いてあります(16)

10月5日、この「意見」に対して、石家荘市の第十二中学の門前で、5人の若い女性(肖美麗さん、猪西西さんら)が、「強姦犯を閉じ込めろ、私を閉じ込めるな」と訴えるパフォーマンスアートをおこないました。

このパフォーマンスアートでは、1人の女子学生(猪西西さん)が、「夜間の点呼」「一人での外出は禁止(=斜線によって打ち消している)」「夜道を歩くことは禁止」と書いたラベルが貼ってある発泡スチロールの板で囲まれた狭い空間にしゃがんで、「強姦犯を閉じ込めろ! 私を閉じ込めるな!」と書いたプラカードを掲げました。他の4人の若い女性は、道行く生徒たちに、この件に関する宣伝資料を配りました。

肖美麗さんは、「データによると、強姦の過半数は、知人間で起きています。このことは、相対的に安全で閉鎖的な環境の中であっても、強姦の発生を避けることができないことを示しています。女子学生寮の閉鎖式管理は、女子学生の安全な空間をいっそう縮小するものであり、こうした『地面に円を描いて監獄にする』ようなやり方では、性侵犯の発生をきちんと抑制できないだけでなく、『性侵犯を防止するには、女子学生の接触と活動の範囲を制限しなければならない』という社会的な偏見を強化します。これは、女性の権利の保護に無益なだけでなく、むしろ女性解放のプロセスを後退させます。また、この措置は、身近に起きている幼女に対する性侵害を無視させる可能性もあります」と述べました(17)

10月14日には、鄭州市の河南省教育庁の玄関前で、数人の女子大学生が、同様の形式で、「性侵害を防ぐために女子学生の自由を制限してはならない」と訴えるパフォーマンスアートをおこない、性侵害を防止するには、被害者ではなく、強姦犯と外部環境の安全整備とに着目しなければならないと訴えました(18)

同じ10月14日には、8つの省・市(北京・湖北・浙江・四川・山東・河南・甘粛・広東)の女子大学生が、いっせいに、公安部と教育部と8つの省・市の公安庁と教育庁に、政府情報公開申請を提出して、「少年・児童の性被害防止工作を立派におこなうことに関する意見」の具体的な執行レベルについて質疑を出すとともに、公安部と教育部に対して、校内の性侵犯防止のために閉鎖式管理をする根拠を公開するよう要求しました(19)

7.肖美麗さんがフェミニズムウォーク(北京~広州)に出発――性侵害反対と女性の自由を主張

9月15日、肖美麗(肖美腻)さんは、北京から広州までを徒歩で行くフェミニズムウォークを開始しました(ブログ「美丽的女权徒步」、微博「美丽的女权徒步」)。このウォークの趣旨について、肖さんは以下のように述べています。

美麗のフェミニズムウォーク――性侵害に反対する、女子学生には自由が必要だ!

なぜウォークをしなればならないのか?

私は女子学生である。私は旅行が好きだ。

今年(2013年)、私は、「長期の徒歩旅行に行く」という狂気じみたことを思いついた。この素晴らしい考えによって、私はとても愉快になった。けれども、それを思いつくのとほとんど同時に、私は、自分が性的に侵害され、誘拐され、強姦されて殺されることを心配しはじめた。私は、ほとんど断念しようかと思った。

本当に断念しなければならないというのか?

私は最初、ネットで長期のウォークに関するニュースを検索した。探し出せた旅行者は、おじいさんから小学生まで、ほとんどみな男性だった。女性は本当にウォークができないのか? 女性がウォークをしたことがないのではない。しかし、男性よりも少ないし、彼女たちが直面したのは、男性よりも大きな困難だった。私は想像した。もし徐霞客(明代の地理学者・旅行家・探検家)が女だったら、彼女はおそらくウォークをする機会はなく、嫁に行って子どもを産んだだろう。もし玄奘とその弟子がみな女だったら、この「男児の国」で、彼女たちは行き詰って、一歩も進めなくなったのではないか?

昔から、この社会は、女性に対する監禁と暴力に満ちている。女性は室内にいれば「安心」だと言うが、それは、実際には、ウソである。学校の中にいる小さな女の子は、校長や教師に性的侵害を受け、オフィスの中にいる女は、上司や同僚にセクハラをされ、公共交通機関の中では、多くの女が痴漢にあい、家庭の中では、婚姻内の強姦は法律では罰せられない。女子学生には安全な「天蓋」はなく、女性に対する忠告があるだけだ。

私は、女性に対して自重を要求し、女性に対する傷害を女性のせいにするような言論には、本当にあきあきしている。セクハラのことを言えば、女性は行動力がまったくない弱者だと思われることにも、あきあきしている。女子学生には自由が必要だ! 性が侵害されない自由も、性の自由も必要であり、やりたいことをする自由はもっと必要だ。しかし、これらはすべて、私たち自身が勝ち取らなければならない。

だから、私がしなければならないことは、ウォークの計画を放棄することではなく、可能な限りそれを実現することである。また、そのウォークによって、たとえほんの少しであっても、この社会を変えることである。ウォークは、それによって、非常に興味深く、意義のあるものになる。これは、とても長いゲームである。性的侵害に遭うかもしれないと思われる行動によって、性的侵害に反対することは、その可能性を探り、広げることである。これは単なる苦行ではない。私たちがこの土地を歩くとき、その一歩ごとに、この残酷な社会の抑圧と女性の反抗との張力が働くのである。

どのようにして変えるのか

1.通った各市・各県で、私は必ず、その政府に情報公開を申請する。教育局と公安局には建議の手紙を出す。

 私は、教育局に対しては、以下のことをお願いしたい。・生徒に対して、セクシュアリティとジェンダーに平等な人身安全教育をおこなうように学校を指導すること。・学校に校内の安全な秩序を維持するよう促すこと。・性侵害を予防するのに役立つ教師の行為規範を作成し、教師に対する研修をおこなうこと。・教師の性侵害事件を、責任を持って処理すること。・学校が差別のない環境を作って、性侵害の被害者を思いやり、被害者が学校を中退したり、差別されたりすることがないよう指導すること。

2.北京から広州に行くまでに、私は多くの小さな町を通るだろう。それらの町は、一線の都市と比べて、フェミニズムの情報はずっと少ないだろう。私がそれらの町で、ジェンダー平等を宣伝し、性侵害に反対する活動をすることは、とても意義があると私は信じる。

3.ウォークをすること自体が変革である。私の一歩一歩によって、女子学生もウォークできるということを証明するし、私はちゃんと歩ける自信がある! 「女性は出張できないし、冒険できない」という迷信を打ち破る。(以下略)(20)


肖美麗さんは、一部でも一緒に歩いてくれる人(できれば女性またはトランスジェンダーの女性)も募集し、寝床の提供や寄付もお願いしています。

下が彼女が作成した動画です。
美丽的女权徒步

肖美麗さんは、1989年生まれで、2012年に中国メディア大学芸術デザイン学科を卒業したばかりです。ネットで古着店をしたり、絵を教えたりしつつ、フェミニズム運動をしているNGO(ジェンダー平等活動グループ)でパートタイムの勤務もしています。

肖さんは、これまで性差別反対を訴えるために、さまざまなパフォーマンスアートをしてきました。公共トイレの男女の便器数の不公平是正を訴えるために「男子トイレ占拠」をしたり、DVを批判するために「血染め(のように見える)のウェディングドレス」を着たり、大学入試の男女差別を正当化する教育部に抗議するために、坊主頭になったりしてきました。

肖さんは、北京から、河北、河南、湖北、湖南を通って、広州までの2000キロを半年ほどかけて歩く予定です。

9月15日(日曜)の午後、肖さんは、北京の「一元公社」という民間のNGOなどの活動センターを出発しました。この日、一元公社では、午前中、「中国フェミニズム学校」という民間の女性運動についての講座の終講式がおこなわれ、それとセットで、昼食をはさんで、「美麗のフェミニズムウォーク」の出発式がおこなわれています(21)。つまり、肖さんのウォークは、ある程度、広く女性運動が支える企画として捉えられているということでしょう。

上で述べたように、肖さんは一緒に歩く人を募りつつ歩いていますが、このウォークには多くの女性運動仲間が参加しているようです。肖さんは、出発時は女性10人で一緒に歩き始めました。その日は一元公社から14km離れた自宅に泊り、16日は、呂頻さんや張婷婷(@徒步于生活)さんといっしょに歩きました。その晩は、張紅萍さん(中国芸術研究院中国文化研究所研究員)の家に泊まっています(もちろん、その後は、旅館などにも泊まっています)。@二猫帰来さんも一緒に歩いたようですが、彼女も北京の自宅に帰り、その後しばらく、肖さんは、呂頻さんと2人で一緒に歩いたようです。28日からは、房小熊(房小熊Nancy)さん、艾可(布拉耳)さん、小電熊(轻松熊吉)さんと一緒に歩いています(22)

予定表から通過する市を抜き書きすると、9月15日 北京→18日 涿州市→20日 高碑店市→23日 保定市→27日 定州市→28日 新楽市→10月1日 石家荘市→10日 沙河市→11日 邯鄲市(以上は河北省)→18日 鶴壁市→22日 新郷市→26日 鄭州市(以上は河南省)となっています。だいたい1日に20~25㎞を歩いているようです(23)

その途上では、ひざが痛くなったり、自動車がまき散らす灰塵に悩まされたり、旅館でぼったくりにあいそうになって、そのあげくに殴られたりなど、さまざまな苦労をしています。

さて、肖さんたちは、上述のとおり、各地で政府と教育局、公安局に手紙を出しています(24)。直接届けに行った場合もあります。

もっとも、それらに対しては、たとえば、「わが機関は、あなたが公開を申請した情報の作成・保存機関ではない」(保定市政府)(25)といった回答しか返ってこないとかいう具合で、まだ、それほど良い反応はないようです。ただし、高碑店教育局の王局長からは肖さんに電話がかかってきて、「あなたの手紙は受け取った。指導部は重視しており、きちんと回答するつもりだ」と言いました(26)。といっても、具体的な回答がかえってきたわけではありませんが、肖さんは「回答をしたということは、重視しているあらわれ」として喜びました(27)

また、肖さんは、各地で、先述の河南省桐柏県の事件についての署名を集めることにも力を入れています。

10月1日には、全国各地から次の5人の友人がやって来て、一緒に歩きました。
 ・猪西西さん(武漢広埠屯フェミニズムレズビアングループ[广埠屯女权拉拉协会])
 ・子舒(@夏日的第十三章)さん(蘭州桜桃フェミニズムレズビアングループ[兰州樱桃女权拉拉小组] )
 ・@白小枫_先生さん(〃)
 ・小雨(@Makarina)さん(〃)
 ・李麦子(@麦子家)さん(ジェンダー平等活動グループ[性别平等工作组])(28)

先に述べた石家荘市の第十二中学の門前での「強姦犯を閉じ込めろ、私を閉じ込めるな」のパフォーマンスアートは、この5人でやったようです。

肖さんは、10月20日現在、河南省安陽市に到達し、安陽工学院で署名活動をしているところです(29)

昨年に比べて、パフォーマンスアートがマスコミに報道されることは減っているように思いますが、それでも、中国のフェミニストはパフォーマンスアートに工夫を凝らすとともに、他のさまざまな行動も通して、性差別社会の変革を目指していると言えるでしょう。

(1)56歳小学校教師、1~3年生のほぼ全員に性的暴行=小学校校長、6年生4人をホテルに連れ込む―中国」KINBRICKS NOW2013年5月26日、「56歳の小学校教師が10数名の女子児童に性的暴行、逮捕される―中国メディア」レコードチャイナ2013年5月26日、「河南桐柏一小学教师猥亵案」百度百科など。
(2)校長がホテルに生徒を連れ込む……教員による女子児童暴行事件が続々発覚―中国」レコードチャイナ2013年5月31日。
(3)以上は、「广东省妇女儿童权益机构关于在全省教育系统建立校园性侵害防治体系的联合建议书」樂施會網站。
(4)广东25家公益机构给省教育厅递建议书,建言校园性侵害防治 防治校园性侵 专业社会组织可进校园」『南方日报』2013年6月9日。
(5)歌詞は以下のとおりです。
小呀小女孩呀
背着书包上学堂
不怕太阳晒
不怕风雨狂
只怕校长找我开房
受到伤害无处话凄凉

小呀小女孩呀
哭着喊着叫爹娘
爹娘痛心无处伸冤枉
学校无辜教育无罪
教育部长真是太好当

小呀小女孩呀
你们可有小剪刀
学校教我们要做乖小孩
奈何没人保护我们
拿起武器自己打材狼

小呀小女孩呀
教育部有责任为你唱
敲锣打鼓轰走色狼
总有一天孩子不用拿刀上学
因为学校有担当

某吖某校长吖,
某某教育部长
保护学生不是登天堂
担起责任赶走豺狼
不用剪刀也敢上学堂
(6)呼吁建立校园性侵害防治体系 大学生教育厅前唱《小女孩上学歌》」社会性别与发展在中国2013年6月19日(来源:邮件)、「武汉大学生化身 “佐罗”,教育局前唱歌呼吁建立校园性侵害防治体系」女声网2013年6月19日、「广东大学生教育厅前上演“投诉合唱团” 呼吁建立校园性侵害防治体系」女声网(新浪微博@女权之声)2013年6月19日(以上の3点は、プレスリリースのようでの内容はだいたい同じでずか、写真が異なります)、「大学生改编《上学歌》呼吁建校园防性侵体系 志愿者在省教育厅门前上演行为艺术」『南方都市报』2013年6月19日。
(7)不平の合唱団-東京」として森美術館などでパフォーマンスがおこなわれたことがあります(「『MAMプロジェクト010』展は《不平の合唱団》」森美術館公式ブログ2009年10月30日、「不平不満を大合唱! The Complaints Choir」、「世の中の不平を歌に込めて不平合唱団 東京編『Complaints Choir of Tokyo』 」Designworks2010年1月15日)。
(8)呼吁建立防治性侵教育监督体系 大学生教育厅前上演行为艺术 “不许看不许听不许说”教育模式引质疑」2013年7月19日社会性别与发展在中国(来源:邮件)、「大学生上演行为艺术 吁建立防性侵教育监督体系」中国新闻网2013年7月19日、「大学生教育厅前上演行为艺术 呼吁建立防性侵教育监督体系」中国网-河南频道2013年7月19日。
(9)女权行动派很好吃的微博【关注儿童权利,关注桐柏性侵女童案——1000名妈妈联名签署,让女儿不再承受伤害之痛】7月31日11:01→「关注儿童权利,关注桐柏性侵女童案——1000名妈妈联名签署,让女儿不再承受伤害之痛」社会性别与发展在中国2013年7月31日。
(10)河南桐柏性侵案10月15日在南阳中院开庭 千名妈妈关注呼吁」社会性别与发展在中国2013年10月14日 (来源:肝胆相照邮件组)。
(11)桐柏性侵案开庭 志愿者交千名妈妈签名声援被害者」映象网2013年10月15日。
(12)河南小学教师性侵20女生案审结 民事被告均称无责」中国网2013年10月15日。
(13)女子児童をホテルに連れ込んだ元校長、強姦の罪で13年6カ月の懲役―海南省万寧市」レコードチャイナ2013年6月21日。
(14)以上は、妇女传媒监测网络「海南性侵案判决50天 受害女生:升学无着落 怕歧视不敢出门 家长不满判决 称政府“不管了” 」女声网2013年8月20日。
(15)广州教育厅门前“鉴湖女侠”呼吁教育厅治性侵」女声网2013年8月23日。
(16)四部门发关于做好预防少年儿童遭受性侵工作意见」人民网2013年9月24日、「四部门要求预防少年儿童遭性侵 女生宿舍封闭式管理 」中国新闻网2013年9月24日、「《关于做好预防少年儿童遭受性侵工作意见》答问」 2013年9月24日。
(17)“关强奸犯!别关我!”」社会性别与发展在中国2013年10月10日、「“关强奸犯!别关我!”」女声网2013年10月10日(この2つの記事の内容は同じですが、掲載されている写真が異なります)。美丽的女权徒步的微博美丽的女权徒步、肖美丽「“美丽的女权徒步”徒步日记(二)[9.25-10.5]」(女声网2013年10月11日)の一番下の図版も参照のこと。なお、この教育部・公安部などの「意見」に対しては、他にもさまざまな批判があり、たとえば、前溪「防性侵别只盯着“宿舍”」(南海网2013年9月26日)は、教師や保護者を含めて男性は寮には入れないというやり方は、現実的でないし、万一不法分子が寮内に侵入したら、男性がまったくいないのは、安全上不利であるといった点を指摘しています。
(18)郑州女大学生街头行为艺术表演,呼吁防性侵不应封闭校舍 8省市女大学生申请信息公开,质疑关于性侵害新规的合理性」社会性别与发展在中国2013年10月15日(来源:邮件)。
(19)同上。
(20)美丽的女权徒步——反对性侵害,女生要自由!」美丽的女权徒步2013年9月5日。
(21)欢迎参加女权学校结业典礼&女权徒步启程仪式」美丽的女权徒步2013年9月12日。
(22)女行故事合集(持续更新中……)」美丽的女权徒步2013年9月26日、肖美丽「“美丽的女权徒步”徒步日记(一)[9.15-9.25]」女声网2013年9月26日、肖美丽「“美丽的女权徒步”徒步日记(二)[9.25-10.5]」女声网2013年10月11日、「中国第一个徒步的女生——肖美丽」张红萍世界的BLOG2013年9月17日。
(23)美丽的女权徒步。北京——郑州行程表」美丽的女权徒步2013年9月6日。
(24)その原文は、「美丽致徒步沿路市/县政府、教育局和公安局的建议信」美丽的女权徒步2013年9月18日。
(25)肖美腻的微博10月9日 12:23
(26)肖美腻的微博9月23日 16:12
(27)24岁女孩徒步反性侵途经河北收到首份回复」『燕赵都市报』2013年10月8日。
(28)肖美丽「“美丽的女权徒步”徒步日记(二)[9.25-10.5]」女声网2013年10月11日。
(29)美丽的女权徒步的微博10月20日10:19

海南万寧の女子小学生の性侵害事件と女性運動

5月8日、海南省万寧市の小学校の陳在鵬校長と地方政府の職員が、女子小学生をホテルに連れ込んで、一夜を過ごすという事件が発生しました(1)

陳校長らは逮捕されましたが、警察は、彼らの犯行を「強姦」ではなく、「強制わいせつ」として扱いました。また、警察やマスコミは、被害者のほうにも問題があったかのような発表をしました。また、被害者の家族は、当局からメディアや弁護士に接触しないように言われて、家族の代理人になった7人の弁護士は、家族から解任されました。

こうした状況に対して、以下のような、さまざまな運動が起きました(以下、微博を典拠にしている記述については、注記としては不完全ですが、微博名と日付だけを付記してあります)。

<目次>
1.警察の捜査を批判する署名運動
2.メディアによる二次加害に抗議するパフォーマンスアート
3.婦女連合会の不作為に対する抗議活動
4.教育局や小学校に対する葉海燕さんらの抗議活動と葉さんに対する弾圧、行政拘留

1.警察の捜査を批判する署名運動

警察の捜査に対する批判

ジャーナリストの李思磐さんは、警察の捜査に対して、以下のような批判をしました(2)

一、「処女膜が破れていなかったから強姦ではない」という罪状決定の方向が誤っている

警察は、処女膜が破れていないことを根拠に、強姦ではなく「わいせつ」であるとしている。しかし、従来の司法解釈(最高人民法院が出す法律の公式の解釈)は、幼女の場合は、成人よりも強姦の定義を広く取って、「双方の生殖器の接触」があれば強姦と認めており、処女膜の状況だけを強姦の基準にしてはならないとしている。また、4つの鑑定書のうち、1つは処女膜に裂傷があるとしている。さらに、警察は処女膜の状況だけを問題にしていて、DNA鑑定の結果や証人の証言を取り上げていない。

二、幼い女の子に汚名を着せ、容疑者を罪から逃れさせている

警察は、被害に遭った女子生徒が自分から関係を持ったと発表している。しかし、従来の司法解釈は、一般に、幼女の場合、同意の有無を問題にしていない。警察は、被害者の道徳について主観的な論評をすべきではない。警察は幼女が主体的に売春をしたかのように言っているが、未成年者は性関係において民事的能力がないことを無視している。

三、万寧の警察は犯罪の容疑者をかばっている疑いがある

 ・警察は、6人の生徒のうち4人だけについて、DNAが検出されなかったとし、他の2人については検査をしていない。
 ・かりに挿入行為がなかったとしても、「わいせつ」よりも罪が重い「強姦未遂」である可能性がある。警察は、被害者が薬を飲まされて気分が悪くなったという証言や金銭による性関係を持ちかけられたという証言、脅迫されたという証言もあることも考慮すべきである。
 ・未成年者に対する性侵害事件は、通常、累犯・重犯であり、警察は容疑者が余罪がないか調査する必要がある。とくにこの事件では、陳は仕事をつうじて幼い女の子に接触しており、類似の行為をしていないか追及する必要がある。

公開書簡への署名運動

李思磐さんが代表をつとめる「広州ニューメディア女性ネットワーク」という団体と宋志標さん(メディアウオッチャー)・余丹丹さん(女性の権利活動家)は、以上のような認識の上に立って、以下の点を万寧市公安局に要求する公開書簡への署名運動を始めました(一部の抜き書きです)(3)

・無責任に幼い女の子に汚名を着せる情報を発表した行為に対して、女の子とその家族に謝罪すること。

・証拠を全面的に分析せずに出した「強姦は存在しなかった」という結論を撤回すること。

・一部の保護者に対して介入・説得する行為をストップすること、警察が事件の捜査の過程で政府内部の行政命令の影響を受けないことを保証すること、事態を粉飾するために、陰の取引によって事実を歪曲しないことを保証すること。

・最も重要なのは、このように全国が関心を持ち、注目している事件については、万寧市政府はその公式サイトでこの事件に関する情報を、すぐに、正確に、完全に発表して、疑問に堪えうる公開の文字の記録をとどめおくこと。本来きわめて厳粛な、公権力の機関を代表する信頼度の情報を、随意・選択的に発表するようなことがないようにすること。


この公開書簡に対しては、5月26日までに1400人近くから署名が集まりました(新媒体女性的微博5.26)。

2.メディアによる二次加害に抗議するパフォーマンスアート

5月15日付『瀟湘晨報』は、「6名の女子小学生の生活の規律の乱れを重視せよ」という社説を掲載して、女子小学生が成人男性と付き合ったり、贈り物を受け取ったり、ホテルに付いて行ったことを問題にしました(4)

この報道に対して、5月21日、長沙の瀟湘晨報ビルの前で、4人の若い女性が、股をべったり広げて地面に座り、その股の間に、細い切れ目を入れた、赤い果肉が見えているスイカを置いて、ヴァギナに見立て、『ヴァギナ・モノローグ』(イヴ・エンスラー)を改編した「私のヴァギナはお誘いではない」を朗読して、「性道徳は、性侵犯の理由ではない。海南の幼女に二次被害を与えることを止めてください」と訴ました(大兔纸啦啦啦的微博5.21)(5)。その傍らでは、一人の青年が「性道徳は、性侵犯の~」という文言を書いたプラカードを掲げて、道行く人にも訴えがわかるようにしました (以上の写真→「四女青年长沙街头上演“阴道独白”声援海南幼女」女声网2013年5月21日[新浪微博@女权之声])。

3.婦女連合会の不作為に対する抗議活動

海南省万寧市以外の地区でも、最近、相次いで幼い女の子に対する教師による性侵害事件が発覚しており、たとえば、広東省でも、雷州市で小学校の校長が女子生徒を強姦した事件が起きました(6)。しかし、各地の婦女連合会(婦連、中国共産党の指導の下にある女性団体)は、何の抗議や声明も出していません。

それに対して、5月27日、広東省の婦連の入口で、何人かの市民が、「沈黙している婦連よ、性が侵害された子どもの泣き声は聞こえているか?」、「婦連よ、耳が聞こえぬふり、口がきけないふりはやめてくれ!」「幼女買春罪(14歳以下に対する買春を、「強姦」ではなく、「幼女買春」とすることによって、強姦ほどには重く罰しない法律(7))を廃止して、子どもの性侵害という犯罪行為を厳罰にせよ!」というプラカードを掲げて、婦女連合会に抗議しました。

彼らは、婦連に対して以下の7項目の要求をまとめています。

1.婦連は「女性と少年・児童の権益を守る」という法律で定められた職責をきちんと履行して、児童に対する性侵害事件に対して、やるべきことをやり、「大衆団体」として発すべき声を発しなければならない。

2.婦連は、行政・司法機関の職責履行状況を法にもとづいて監督し、職務上の怠慢や法律違反の疑いがある行為(捜査・事件処理の手続き違反や倫理違反など)に対しては責任を追及しなければならない。

3.「社会の安定維持」の名の下に、被害に遭った子どもや家族に圧力をかけて口を封じたり、メディアの報道を阻止したりする行為に対しては、婦連は、断固として、被害当事者の権益を侵犯する行為として通報・問責するべきであり、悪行に対して声を上げないようではいけない。

4.性的侵害を受けた女性の「貞潔」に対する偏見・非難および官界での「処女を破れば官位が上がる」という悪い風俗迷信など、女性をモノ化する行為に対しては、婦連は敏感なジェンダー意識を持って対応し、譴責すべきである。

5.現行刑法の「幼女買春罪」は幼い少女に汚名を着せ、基本的法理に違反している疑いがあり、法学界や人民大衆の中では、この罪名の廃止を求める声がきわめて高い。婦連は全国的大衆組織としての立場から、学者・専門家や利害関係者と協力して、立法機関に対してこの罪名の存廃問題の研究を強化するように訴えるべきである。

6.婦連は、自らの組織の優位性を生かして、学校・地域コミュニティなどで、児童少年・教師・保護者などに対して性知識・性安全・自己保護教育をするべきである。

7.婦連は民間の公益組織と協力して、被害に遭った子どもに対する心理的危機管理と救済の方法を逐次構築するべきである。


実は、昨年4月24日の『広州日報』では、広東省女性児童工作委員会が検察院と共同で作成した『女児が性侵害に遭った情況の調査研究報告』について報道されています(「广东发布女童遭性侵报告:多为熟人作案」)。婦連に対する抗議行動に参加した陳生さんは、「婦連は子どもに対する性侵害事件に関心を持って、多くの時間を使って調査研究をしているのに、なぜ事件が起きたときに、各地の婦連はみな黙っているのか?」と言います。また、この研究報告はまだその一部が新聞で報道されただけなので、市民たちは、その全文を公開するように、広東省女性児童工作委員会に情報公開申請をおこないました(8)

それに対して、広東省婦連権益部は、翌日、公式微博で、「婦連はずっと、どのようにして性侵害事件の発生を防ぐかを宣伝し、被害者にさまざまな形の救助をすることに努力してきた。年内に児童の性侵害防止に関するパンフレットを出す予定だ」と述べました。もっとも、それに対しては、「ずっと努力してきた? そうは見えない。婦連は、パンフレットを編集する以外に、もし被害者が助けを求めたら、どんな役割ができるのか?」(手牽手工友活動室[女性農民工支援NGO]的微博5.28)という疑問が寄せられましたが……。

「婦連は解散せよ!」という声も

この件に対する婦連の対応に関しては、すでに5月19日、フェミニスト活動家の李麦子さんも「婦連は結局、何の役に立つのか?」と言っていますし(麦子家的微博5.19)、セックスワーカー支援活動家の葉海燕さんも、5月22日、「婦連は一言も言わない。本当におかしい」と述べました(叶海燕宝贝的微博5.22)。

さらに、広東省婦連前での抗議がおこなわれた翌日の5月28日、向莉さん(どういう方なのかよくわかりませんが、写真を見ると、わりあい若い女性のようです)は、砂浜に「妇联解散(婦連解散)」と大きく書いた写真をアップして、以下のように述べました。

婦連は本来女性の権益・少年・児童の権益を守る団体だ。。。しかし、婦連は合肥の安坭事件・万寧の校長の小学生への性的侵害などの事件の間、ずっと耳が聞こえぬふり、口がきけないふりをしていた。公権力と被害女性を前にして、婦連は何度も口を噤んできた。解散すべきだ!!!(@花儿在歌唱的微博5.28)


5月28日、作家の天佑さんも以下のように述べました。

中国には女性と子どもの権益を保護する組織があるという。それは――婦連である。けれども、多くの小学生が強姦され、わいせつなことをされても、何も言わない。こんな組織がなんの役に立つのか? この組織に解散するように強く意見を出す!(作家・天佑的微博5.28)


向莉さんは、さらに、「婦連解散、幼女買春罪廃止!」というタイトルで、「女性と子どもの権益を守ると称している婦連は、万寧の6人の女子生徒が校長にホテルに連れ込まれたというスキャンダルが発生しても、耳が聞こえぬふり、口がきけないふりをしている。婦連は解散してください! 幼女姦淫は、強姦と見なすべきだ。幼女買春罪は5年以上の有期懲役で、量刑がきわめて軽く、成人が未成年者に性的侵害をする罪を逃れさせる疑いがあるので、廃止すべきだ。幼女をこの罪の中で売春婦と見なすのは、彼女たちと家族の人権と名誉権を侵犯している」として、9人(組)がそれぞれ、婦連や幼女買春罪を批判しているメッセージを掲げている写真を掲載しました(@花儿在歌唱的微博5.28。向莉さん自身は「学校の子どもが性的侵害に遭ったのに、無用な婦連は解散しろ!!」というメッセージを持って立っている写真を掲載している)。

この発信は、5月30日現在、5881転載されており、人権派の女性弁護士である王宇さんも「婦連解散」とコメントし(律师王宇的微博5.28)、他にも、「長年、婦連がなにか役に立つことをしたということを知らない」、「婦連は表面的には民間団体だが、実際はお役所だ」、「婦連、赤十字、労働組合、政治協商会議。。。。みんな誰のために仕事をしているのか??」「婦連は解散しなくてもいいから、沈躍躍[現在の全国婦連主席]は辞任しろ! 葉海燕が就任しろ!」、「解散に同意する」などのコメントが寄せられています。

もちろん向莉さんは、婦連だけを問題にしているのではなく、「教育部部長・袁貴仁と全国婦連主席・沈躍躍にお尋ねするが、一ヶ月のうちに多くの女児に対する性侵害事件が起きているのに、あなたがたは相変わらず沈黙を守り、一言のお詫びもない。あなた方の良心はどこにあるのか?!」(@花儿在歌唱的微博5.28)というふうに、教育部の責任も問うています。また、コメントの中には、「解散すべきは某組織である」「全国の邪教団体とその支部団体を取り締まれ」といった中国共産党を指しているようにと思われるものもありますし、検閲によって削除された微博もあるので、もっと露骨な発信やコメントもあったのだろうと思います。

4.教育局や小学校に対する葉海燕さんらの抗議活動と葉さんに対する弾圧、行政拘留

万寧市の教育局や小学校前で数人で抗議活動

海南省万寧市では、セックスワーカー支援活動家として著名な葉海燕さんが、5月27日、万寧市教育局の前で「学校にはまだ何人陳在鵬がいるのか? 誰が女の子の安全を守るのか」と大きく書いた紙を持って立ちました(@花儿在歌唱的微博5.27)。また、4人が、「監督の職責失当の局長は辞めろ」と書いた紙を持って立って抗議のアピールをしました(@叶海燕宝贝的微博5.28)

また、同日午後2時からは、葉海燕、向莉、唐吉田(人権派弁護士・男)、王宇(人権派弁護士・女)、単麗華、王建芬、賈霊敏、南伏の各氏が、万寧小学校前で3時間あまり、「学校の環境を浄化せよ」「校長の陳在鵬を法によって処罰せよ」などと書いた紙を持って立って、抗議活動をしました。王宇弁護士は、女性や子どもの権利に関する法律を紹介したチラシを撒きました(@叶海燕宝贝的微博5.27、5.28、@花儿在歌唱的微博5.27)。

葉海燕さんは、「校長よ、私をホテルに連れ込め。小学生には手を出すな! 連絡先電話12338 葉海燕」と大きく書いた紙を持って、立ちました(@叶海燕宝贝的微博5.27、@花儿在歌唱的微博5.27)。「12338」というのは、婦女連合会の権利保護ホットラインの電話番号です。これは、加害者に対する皮肉であるとともに、婦女連合会への皮肉ないし注文を表現しているのかもしれません(9)

葉さんがおこなった「校長よ、私をホテルに連れ込め。小学生には手を出すな!」というメッセージに自分の写真を添えるやり方が流行

葉さんの「校長よ、私をホテルに連れ込め。小学生には手を出すな! 連絡先電話12338」という文言と自分とを写した写真を自らの微博で発信するというやり方は、その後、他のフェミニストにも広がり、5月28日には、鄭楚然さんや李麦子さんがやり(大兔纸啦啦啦的微博5.28、麦子家的微博5.28)、29日には、@夏日的第13章さんがやっています(5.29)。

さらに、女性だけでなく、雷闖さん(5.28)のような男性、阿強さん(5.29)のようなゲイにも広がりました。動物の写真とともに、上のメッセージを掲載した人もいます。連絡先の電話番号に「110」番を書き込んだ人もいます。その他、さまざまな人がやっています(10)

葉さんに対するデマ、非難

一方、葉さんに対して、「葉海燕は男の子に性的侵害をしている」とか「葉海燕はどこそこの政治グループに隷属している」というデマも振りまかれました(叶海燕宝贝的微博5.30)。

葉さんのパフォーマンスについて、「風俗を害する」ものであり、「大衆をあっと言わせて歓心を買おうとする『自己宣伝』」だとして非難する記事も出現し(11)、この記事が、新華網のような代表的ニュースサイトもに転載されるという事態も起きました。

民間女権工作室にまた調査が入る

葉海燕さんに対して、政府当局からの弾圧と思われるものも始まります。

5月29日、葉海燕さんが自宅に電話すると、広西の博白[の民間女権工作室]にまた調査が入ったと言われ、「家には子どもが一人でいる。もし子どもに何か事故があったら、きっと政府部門が関係している。私は、恥知らずな関係部門が、私に対する嫌がらせをストップするよう希望する。もし私が何か違法なことをしたのなら、直接に法律の手続きでやってほしい。私はあなたがたが文明的で合法的なやり方で問題を処理できることを望んでいる」と述べました(叶海燕宝贝的微博5.29)。

婦連の人が家主に葉さんを追い出すように圧力をかける

5月30日には、葉さんは次のように微博で述べます。

9時45分:ついさっき、家主のおばあさんが来た。彼女は、街道居民委員会にも婦連の人がいて、2、3人が一緒に来て、私がいま借りている家を私に貸すなと言ったという。私の女児は近くの学校に通っている。子どもの教育のために、近くの学校に通わせているのだ。いま私が追い出されたら、子どもの勉強は途中で終わってしまう。私は博白[県]の婦連に電話をしたら、彼女たちは、このことに関わっていないと言った。これは、私という市民が立場を表明した代償なのか?


葉さんの家に10人あまりの女たちが来て、葉さんを殴る

10月30日、葉さんは、微博で以下のような発信をします。

11時41分:いま、4、5人の女が私の家に来て、私を殴っている。

11時42分:お手数だが皆さん、警察に通報を。家には私と娘しかいない。

11時58分:みんなで11人ほどいる。男が1人いて、ほかに10人ほど女性がいる。

11時59分:彼らはまだわが家の入口の階段をふさいでいる。皆さん、警察に通報するのを手伝ってください。役に立たなくても、記録をしなければならない。法律という手段で解決する。


Voice of Americaの記者への電話では、葉さんは、彼女(彼)ら11人は、「自分たちの写真を撮って、その写真をネットに掲載した」と言っているが、葉さんは「私は、あなた方の写真を撮っていないし、あなた方の写真を人に撮らせたこともない」と述べたのに、彼女たちが暴力をふるったと言っています。電話からは、騒がしい声が漏れてきて、葉さんが「私は撮っていない、もう一度言うが、私は撮っていない」「あなたが家に来て、私を殴ることがすでに違法だ」と言う声も聞こえて、電話が切れたということです。

その後、6、7分後に電話がつながった時は、警官がドアを開けるように言っている声や葉さんが「110番が通じない」と言って、その警官を怪しんでいる言葉や「私は違法行為はしていない」と言っている声が聞こえてきました(12)

午後1時前、王宇弁護士が、葉さんの家に電話したところ、葉さんの子どもが「お母さんは派出所に連れて行かれた」と話し(律師王宇的微博5.30)、その後、葉さんの行方はわからなくなりました。

警察が、葉さんは「刃物で3人の女性を傷つけた」ので行政拘留にしたと発表

5月31日、広西玉林市警察は、玉林市博白県警察が5月30日に「刃物で3人の女性を故意に傷つけた葉海燕を行政拘留にした」と発表しました。

警察の発表によると、博白県の女性の張某と梁某と覃某という3人の女性が、2012年に葉海燕がインターネット上で彼女たちの旅館を「十元店」(出稼ぎ労働者用の安い売春宿)だとして中傷して、彼女たちの家族の写真をネットに掲載したため、名誉が毀損されたとして、葉海燕に抗議して損害賠償を要求したところ、葉海燕は包丁で4人にけがを負わせたということです(13)

しかし、この発表は、とても人々を納得させるものではないでしょう。ある弁護士も、すぐに、自分のブログで、警察の通告は「いささかうさんくさい」と言っています。すなわち、1)葉海燕のパフォーマンスアートの後、その11人がすぐに家に来たというのは、タイミングがよすぎる。葉海燕とその11人との紛争は去年起きたのに、今になって交渉している、2)当時多くの人が家に来て挑発して、住宅に侵入し、人身に危害を加え、葉海燕はそれにかなわなかった。つまり、刃物を持ったのは防衛のためだったのに、警察が葉だけを罰して他の人を追及しないのは、公平とは言い難い、と指摘しています(14)

実際、同日、王宇弁護士と王全平弁護士が、葉さんの娘さんに事情を聴いたところ、娘さんが学校から帰ってカギをかけずにいたところ、不法に家の中に侵入されて、母親を殴ったり罵ったりしたので、これ以上ひどい怪我をさせられないように、母親が武器を取って正当防衛をしたということでした(律师王宇的微博5.31)。

葉さんの釈放を求める運動

さまざまな人が葉さんの釈放を訴え、フェミニストのグループは、そのための葉書を博白市の派出所や婦女連合会に送る運動もおこなっています(15)。艾暁明・元中山大学教授は、上半身裸の身体に、「私をホテルに連れ込め」「葉海燕を自由にしろ」と書いて、twitterで発信しました(16)

[付記(2013/06/03)]
Togetter「『校長先生、小学生をホテルに連れ込む』事件と女性活動家の逮捕―中国」もKinbricksnowさんによって作成されています。

(1)海南万宁一小校长带4幼女开房 政府职员带2幼女开房」法制网2013年5月13日(来源:法制日报)、「小学校校長と市職員、小学6年生の女児6人に性的暴行―中国海南省」XINHUA.JP 5月14日など。
(2)李思磐「校长开房案:万宁警方是否涉嫌渎职」华商报网络版2013年5月17日。
(3)致海南省公安厅关于万宁市公安局办理“小学校长带女生开房案”涉嫌渎职的公开信
(4)重视6名小学女生生活方式的失范」『潇湘晨报』2013年5月15日。
(5)すでに5月1日に、香港の1908社が、切れ目を入れたスイカを股の間に挟んでヴァギナに見立てるパフォーマンスアートをしているので(叶海燕的微博2013年5月1日)、彼女たちがオリジナルなパフォーマンスアートではないと思います。
(6)广东雷州小学校长涉嫌强奸两女生 被举报后自首」中国新闻网2013年5月23日。
(7)中華人民共和国刑法の第236条(強姦罪)は、「相手が14歳未満の幼女と姦淫する者は、強姦と見なし、重く罰する」としている。強姦は「3年以上10年以下の懲役」で、「情状が劣悪」な場合は「10年以上の懲役・無期懲役・死刑」である。その一方、刑法は、第360条2項(幼女買春罪)では、「14歳未満の幼女を買春する者は、5年以上の有期懲役に処し、あわせて罰金を課す」としている。「有期懲役」は期限が「15年以下」に決まっていますから(刑法第45条)、「幼女買春罪」は、最低刑は強姦よりも重いけれども、「情状が劣悪」な場合でも、「強姦罪」ほどは重く罰せられない。また、中華人民共和国刑法では、「強姦罪」は「公民の人身の権利、民主的権利を侵犯する罪」に属するのに対して、「幼女買春罪」は、「社会の管理と秩序を妨害する罪」に属している。これは、幼女が自分で売春したので、幼女にも問題があったとされているからである。
(8)以上については、「“拿什么保护你?我的孩子!” 广州市民妇联目前举牌表心声 申请政府消息公开 呼吁妇联维护妇女及少年儿童权益」女权之声的微博5月27日 15:44→「广州市民妇联前面举牌表心声 广州市民妇联前面举牌表心声 并申请妇儿工委会政府信息公开」社会性别与发展在中国2013年5月28日。
(9)以上の写真は、「叶海燕抗议性侵女童:开房找我,放过小学生!」(21CN微频道2013年5月28日)でも見られる。
(10)こうした写真は、「叶海燕举牌抗议万宁性侵案 遭殴打被扣押」(社会性别与发展在中国2013年5月31日)にも掲載されている。
(11)郑亚琳「“校长开房找我”哗众取宠式的“自我秀”」紅網2013年5月30日。この件についてはRedio Free Asia(自由亚洲电台)も取り上げています(「女权活动人士举牌抗议校园性侵 官媒批评行动伤风败俗」2013年5月13日)。
(12)叶海燕抗议万宁校长性侵被报复家中遭群殴」Voice of America (美国之音)2013年5月30日。
(13)广西玉林警方:叶海燕故意伤害他人被依法拘留」中国新闻网2013年5月31日。
(14)叶海燕事件」丁金坤法律博客2013年5月31日。
(15)声援叶海燕,寄出明信片 围观即是力量,表态亦能声援」女声网2013年5月31日。
(16)艾晓明「这是我生过养过的身体,为了叶海燕,我豁出去了――救救小学生,反抗性暴力!」艾晓明(xiaocao07)twitter2013年5月31日。

[追記](2013/06/03)
・葉海燕さんが掲げたスローガンの翻訳が、「小学生を解放しろ」となっていましたが、「小学生には手を出すな」に改めました。
・KinbricksnowさんによるTogetterへのリンクを付け加えました。

各地の弁護士・市民が地下鉄会社に対して痴漢防止策の建議・署名運動

6月20日、上海地下鉄第二運営有限公司の公式微博(中国版ツイッター)が、服の下の下着やストッキングが透けて見えている女性の乗客の背中を写した写真を掲載して、「地下鉄に乗るのに、こんな恰好をしたら、痴漢に遭わないほうがおかしい。娘さん、自重してください」と言ったことに対して、女性たちからインターネット上で抗議の声が高まりました。6月24日には、地下鉄の車両の中で、2人の若い女性が、そのうち1人は、全身を黒いベールで覆って、「涼しさは欲しいけれど、痴漢はいらない」と書いたパネルを持ち、もう1人は、乳房の形をした器を胸に付けて、「私はみだら(ふしだら)でもいいが、ハラスメントはしてはならない」と書いたパネルを持つパフォーマンスがおこなわれたりもしました(本ブログの記事「痴漢を女性の服装のせいにする上海地下鉄ブログに対する、ネット内外での女性たちの抗議のうねり」参照)(1)

この動きは、その後、地下鉄運営会社に対して痴漢対策を求める運動となって続いています。

6月 黄溢智弁護士が上海地下鉄に対して痴漢対策について情報公開申請

まず、6月26日、差別反対の活動をしている益仁平センター(北京)の黄溢智弁護士が、上海地下鉄を管理している上海市運輸・港湾管理局と上海申通地下鉄集団有限公司と上海地下鉄二運有限公司の3つの機関に対して、以下の点について情報公開するように申請しました(2)
 ・上海の軌道交通運営には、乗客がセクハラに遭うことを防止する規定や措置はあるか? もしあるならば、それらはどのようなものか?
 ・セクハラの被害に遭った乗客に対して、上海の軌道交通を運営する側とそれを管理する側はどのような救済措置を取るのか?

それに対して、地下鉄側は、以下のような回答をしました(3)
 ・セクハラ防止の面では、マナーを守った乗車を宣伝しており、乗客の自己保護と安全防備意識を喚起している。
 ・セクハラの被害に遭った乗客に対して上海地下鉄が取っている救済措置はある。それは、「首問責任制(最初に対応した職員が最後まで責任を持って対応する)」原則にもとづいて、職員が乗客を連れて警察に通報し、警察に映像資料の証拠を提供すること、また、警察の処理の結果にもとづいて、あとでフォローアップの報道をして、広範な乗客にマナーを守った乗車をいっそう宣伝することである。

8月 10人の男性弁護士が上海地下鉄に痴漢防止策を建議

8月22日には、上のような回答を踏まえて、全国各地の10人の男性弁護士(*)が、上海申通地下鉄集団有限公司に対して、「上海の軌道交通の運営においてセクハラ防止メカニズムを打ち立てることに関する建議」を提出しました(4)

(*)蒋振偉(上海新華弁護事務所)、朱学毅(上海盛聯弁護事務所)、呂孝権(北京衆沢女性法律相談サービスセンター)、李方平(北京瑞風弁護事務所)、劉徳起(天津安尊弁護事務所)、龐琨(広東徳納弁護事務所)、呉良濤(北京盈科[武漢]弁護事務所)、封頂(江蘇志仁弁護事務所)、蒋韜(北京市君沢君[成都]弁護事務所)、劉書慶(山東東城弁護事務所)

この建議は、まず、「セクハラを防止することは、軌道交通を運営する側の法定の責任である」として、「上海市軌道交通管理条例」第21条が「軌道交通の路線運営機関は、乗客のために、安全で、速い旅客運送業務を提供し、乗客の合法的権利を保障しなければならない」と規定していることや婦女権益保障法がセクハラを禁止しおり、「関係部門は女性に対するセクハラを予防・制止する措置を取らなければならない」と規定していることを紹介しています。

次に、「セクハラと女性の服装との間には必然的な関係はなく、被害者を責めるべきではない」こと、「地下鉄の公式微博は、来歴不明でプライバシーと名誉を侵犯している疑いがある乗客の写真を引用するべきではないし、女性の自重を求めるのは性差別の疑いがある」ことを押さえた後で、以下のような具体的提案をします。

1.セクハラ防止業務制度を制定する。その制度は少なくとも、セクハラ防止の原則、訴えへの対応、職責の分担、処置のプロセス、監督・審査などの内容を含むこと。また、その制度を、下級の会社の従業員の研修と審査に組み込むこと。

2.従業員のセクハラ防止研修をおこなう。研修の中では、次のことをおこなう。・会社にはセクハラを防止する法定の義務があり、従業員は会社を代表してこの義務を履行することが自分の仕事の責任であることを知らせる。・セクハラに関する認識の誤りを正す(「露出が多いとセクハラが増える」など、研究や証拠によって誤りが証明させているいわゆる「常識」を正すことを含む)。・従業員のセクハラ防止業務の分担とプロセスを明確にする。・セクハラ事件に応対する具体的なやり方を訓練する。

3.セクハラの訴えの窓口を設置し、それを公表する。たとえば、ホットラインを設置する、処理の責任者を公表する、地下鉄の目立つ場所に貼る。

4.セクハラ防止の宣伝を強める。地下鉄の中に不法分子を震え上がらせるスローガンを貼る。それと同時に市民に主体的に制止あるいは通報を呼びかける、たとえば、「セクハラは違法行為です、制止と通報にご協力ください」などと。

5.セクハラの「首問責任制(最初に対応した職員が最後まで責任を持って対応する)」を実行する。職員はセクハラの訴えを受けたら、直ちに制止して、加害者を取り押さえ、証拠を固め、すぐに警察に通報して、被害者にその他の必要な援助を提供しなければならない。

6.微博のセクハラ防止の窓口としての機能を強化する。微博でセクハラ防止の訴えの方法を公表し、積極的に返答をし、微博上でのセクハラの訴えを処理する。被害者を責めたり、乗客の私的言論を暴露したりすることを杜絶し、公衆の監督を誠実に受け入れる。


8~9月 他市の地下鉄運営会社にもセクハラ防止策を問い合わせ、痴漢防止策を建議

10人の弁護士のうち、5人は、北京・天津・深圳・成都・南京の地下鉄運営会社に、それぞれの都市の会社にセクハラ防止策についての情報公開を求めました。

たとえば、北京衆沢女性法律相談サービスセンターの呂孝権弁護士は、北京地下鉄公司に情報公開を求めました。しかし、北京地下鉄公司からは、以下のような回答しか返ってきませんでした(5)

北京軌道交通における、セクハラを防止する措置についての返答

呂孝権先生

(中略)

北京地下鉄公司は、地下鉄運営業者として、われわれは一貫して乗客に安全・迅速・快適な乗車環境を提供するよう努力してきた。

あなたが手紙で提出された、軌道交通の運営において乗客が受けるセクハラを予防することに関しては、わが社が問い合わせたところ、わが国のセクハラについて適用される法規は付属文書[遠山注:婦女権益保障法などの規定が書かれている]のとおりであるが、北京の軌道交通の運営の中のセクハラ防止に関する規定はない。

北京市地下鉄運営有限公司企業発展部
2012年9月7日


そこで、呂弁護士は、北京の地下鉄会社に対しても、上海地下鉄に対してと同様に、「北京の軌道交通の運営においてセクハラ防止メカニズムを打ち立てることに関する建議」を送りました(6)

9~10月 広州での運動――学者による情報公開請求とともに、若い女性が先頭に立って署名を集める運動

広州市では、9月、地下鉄で女性のスカートに精液のようなものをかける「射狼」と呼ばれる痴漢が話題になりました(7)。ある被害者はここ3ヶ月の間に4回痴漢に遭ったと話していました(8)

9月21日、梁海媚さんが、genderequalityadvocacyメーリングリストで、広州の地下鉄に公開状を送って、セクハラ防止措置を制定させること、そのために今日中に広州の地下鉄利用者100人の署名を集めることを呼びかけました(9)

9月27日には署名のホームページもできました。その際には、目標は、広州の地下鉄の利用者1000人から署名集めることにされ、署名が1000人集まり次第、地下鉄会社に送信することになりました(10)。9月27日には、『羊城晩報』(「羊城」は広州の別称)でも、この署名運動は報道されました。その記事では、「男子トイレ占拠」や女性の雇用差別反対などパフォーマンスアートをしてきた鄭楚然さんも、自らが痴漢に遭った経験を語っています(11)

その署名の文面は以下のとおりです(12)

広州地下鉄総公司へのセクハラ防止問題についての公開状

広州地下鉄総公司:

私たちは地下鉄に乗る際の安全の問題に関心を持っている広州の地下鉄の乗客である。9月初め、多くの主流メディアが、ある女性が退勤する途中の五羊邨の地下鉄でセクハラに遭ったこと、今回のセクハラは、彼女が最近3ヶ月のうちに遭遇した4回目のセクハラだったことを伝えた。私たちは、地下鉄に乗ったときに不愉快なセクハラにあったことがあるか、または親類や友人がその種の不愉快な経験を話すのを聞いたことがある。これらの事実は、軌道交通の運営に比較的重大なセクハラの現象が存在しており、乗客に安全上の隠れた危険をもたらしていることを示している。私たちは、貴社が軌道交通の運営側として、セクハラを防止する法的責任を負っていると考える。私たちは特にここに連名で、貴社が当地の軌道交通の運営におけるセクハラの予防と救済の関連措置を公開し、同時に、私たちが貴社に提出する建議を採用することを望む。

まず、乗客がセクハラにあうことは、乗車の安全問題の中の、軽視すべきでない一部である。「広州市都市軌道交通管理条例」第21条第2款は、「都市の軌道交通の経営単位は、公共の安全を脅かしたり、軌道交通の治安秩序を乱したりする行為を予防する。都市の軌道交通の中の治安違法犯罪に対して制止し、すぐに公安部門に報告する」と規定している。その本質において、セクハラは他の不慮の事故と同じく、地下鉄運営における重大な安全上の隠れた危険である。さらに、「婦女権益保障法」は、言語・文字・映像・電子情報・肢体の行為などの形態の女性に対するセクハラを禁止しており、関係部門は必要な措置を取って女性に対するセクハラを防止しなければならないとしている。それゆえ、貴公司には乗客の乗車の安全を保障する義務があり、その中にはセクハラを予防・制止する義務が含まれなければならない。

次に、世界各地のセクハラ防止の実践を見渡すと、地下鉄の運営側が必ずかなり重要な役割を果たしている。台湾の捷運(遠山注:台湾主要都市部とその周辺都市を走る地下鉄を主とした高速鉄道網、wikipediaの説明)では、いたるところで「もしあなたがセクハラにあったら、地下鉄のホットラインに電話してください」というセクハラ防止広告を見ることができる。カナダのヨーク地区では、当地の公共交通運営業者や警察と共同で広告を出して「公共交通上で、いかなる言葉でのハラスメント、粗暴な行為、セクハラにあった場合でも、直ちに運転手に助けを求めるか、911に電話してください」と言っている。

各地の地下鉄のセクハラ防止メカニズムが絶えず整備されている今日、私たちは知りたい:当地の軌道交通の運営では、乗客がセクハラに遭うことを予防することに関する規定や措置があるのかどうか? もしあるならば、それらはどのようなものか? セクハラに遭った乗客に対して、軌道交通の運営側はどのような救済措置をとるのか?

私たちは地下鉄の乗客であるだけでなく、公民でもあるので、貴社といっしょに努力して、フレンドリーな乗車環境を作り上げ、十全なセクハラ防止メカニズムを構築できることを望んでいる。それゆえ、私たちは貴社がセクハラ防止の大衆的宣伝を強化し、地下鉄の中に不法分子を震え上がらせるスローガンを貼り、地下鉄テレビ放映を利用してセクハラ防止の公益広告を放送することを希望する。同時に、市民に対して、主体的に制止あるいは通報するよう呼びかける――たとえば「セクハラは違法行為です。制止と通報にご協力ください」というふうに呼びかけることを希望する。乗客がセクハラに遭ったときには、ただちに乗客がハラスメント環境を離脱し、加害者を処罰することを助ける措置(たとえば、通報ボタン、通報ホットライン、警備員の協力など)を取ることができるようにする。公民としては、私たちは、よろこんで地下鉄のセクハラ防止メカニズムのプロセスに参与し、私たちも創意工夫して、良好な乗車環境を作って、私たちの合法的権益をまもる。

以上のとおり申し上げる。

乗車の安全に関心を持つ広州地下鉄の乗客一同


10月10日までに集まった署名は300筆だそうです(13)。署名する人は、広州の地下鉄を利用したことがある人でなければならないので(実際、署名サイトにも、利用している路線を記入する欄があります)、必ずしも簡単には署名が集まらないのだと思いますが、梁海媚さんたちは頑張って集めておられるようです。

なお、9月26日には、中山大学中文系副教授で、中山大学ジェンダー教育フォーラムの柯倩婷さんが、広州市交通委員会、広州地下鉄総公司に対して、以下の2点の情報公開を申請しています(14)
1.広州の地下鉄運営の中で、乗客がセクハラに遭うことを予防することに関する規定や措置はあるか?
2.セクハラにあった乗客に対して、広州地下鉄の主管サイドとして、広州市交通委員会は、どのような救済あるいは協力の措置を取るのか?

各地で地下鉄での痴漢を社会問題に――弁護士や学者だけでなく、一般市民も運動

今から30年近く以前のことになりますが、私も、たまたま全日本学生自治会総連合『未来みつめるヒロインたち――女子大生白書』(汐文社 1983年)に掲載されていた、痴漢の被害を訴える女子大学生の文を読んで、なぜこういう深刻な問題が大きな社会問題として扱われないのだろうかと思って、当時の国鉄に対して、痴漢に警告し、被害者が声を上げやすいような雰囲気を作るように思ったスローガン(「痴漢やめろ」とか「性は人権です」とかいったものを提案したと思う)を書いたポスターなどを作成してほしいと投書したことがあります。もちろんその種のことを考えたのは私1人ではなかったようで、同様の要望はあったようですが、国鉄側は「お客を痴漢扱いするのはどうも」というようなコメントをしていた新聞記事を読んだ記憶があります。

しかし、その後、私のような一時の憤りでない、女性の方々の地道な運動――大阪で言えば、地下鉄御堂筋事件(市営地下鉄車内での痴漢行為を注意した女性が、犯人の2人組に脅されて連れ回された末、強姦された事件)をきっかけにして結成された「性暴力を許さない女の会」(同会による「コラム 地下鉄御堂筋事件[PDF]」(15)がネットで読めます)の運動などが実って、今回中国で提案されているような措置のうちの幾分かは、日本ではすでに実施されていると言えると思います。けれど、いまの日本でも、今回中国で提起されたさまざまな原則がきちんと実現しているとは、とても言えません。

今回、中国で、これまで同国では社会問題として扱われなかった公共交通の中のセクハラ問題について、社会的に対処すべき問題だという認識を広げたことには大きな意義があると思います。

しかも、上海だけにとどまらず、北京・広州などの各地で問題を提起したこと、弁護士や学者の提案だけではなく、一般市民による署名集めとしても運動がおこなれていることも重要だと思います。また、鄭楚然さんが登場しているところからもわかるように、この運動も、今年になってからの女子大学生らの直接行動の流れを汲んでいる部分もあります。

「私はみだらでもいいが、ハラスメントはしてはならない」から、地下鉄会社の対策要求への変化について

ただし、少しだけ気になる点もあります。

6月25日、武嵘嵘さんは、「私はみだら(ふしだら)でいいが、ハラスメントはしてはならない(我可以骚你不能扰)」というスローガンについて、「このスローガンは、女性の服装の自主権を唱えており、セクハラの中に男性の責任がないのかどうかを言っている点が良い」、けれど「大衆のセクハラについての定義はあいまいで、非常に多くの争いがあって、それらの争いによって男性はたやすく私たちの対立者になってしまう」と言い、自分の夫も、「このスローガンは、すべての男性の私たちを支持する声を弱めるかもしれない」と言ったと述べています(16)

男性弁護士10人による上海地下鉄への建議も、上海地下鉄の公式微博を批判する際に、「私たちは、その微博(女性の服装を責めるブログ)は地下鉄会社のセクハラ問題の本質・危険性・地下鉄会社の法定責任についての認識の曖昧さを暴露し、間接的にセクハラ問題における男性と女性との対立を引き起こした。」「男性も女性も同様に、被害者になりうる」などと述べています。述べていること自体は誤りではないものの、男性の出している建議でありながら、男性の加害者的側面についての言及がとくにないということも事実です。

つまり、上のような点から見ると、「男と女の対立」を嫌う立場から、「私はみだら(ふしだら)でいいが、ハラスメントはしてはならない(我可以骚你不能扰)」というスローガンが後景に退いたかのようにも思われるのです。

もちろん地下鉄会社に対する痴漢対策要求運動の中では、そうしたスローガン自体は後景に退いてもいいと思いますし、なにより私には運動の詳しい状況はよくわかりません。ですから、冷静な判断の上での変化なのかもしれませんが、私は、「私はみだら(ふしだら)でいいが~」というスラットウォーク的発想の今後の行方にも注目したいと思います。

(1)この件については、その後、『毎日新聞』2012年7月2日付東京夕刊に隅俊之「上海交差点:薄着をめぐる熱い論戦」という記事が出ました。それほど長い記事ではありませんが、隅記者は、女子大学生の男子トイレ占拠の際も、隅俊之「上海交差点:広州トイレ占拠事件」(2012年3月5日東京夕刊)という、かなりきちんとした記事を書いておられ、見識のある記者のように思います。
(2)北京律师申请公开上海地铁防治性骚扰措施」新網新聞2012年6月26日(来源:法制日報)。
(3)男人也要防性骚扰? 十位男律师联名致信上海地铁」法制網2012年8月23日(来源:羊城晩報)。
(4)10名律师建议地铁出招防性骚扰」北京众泽妇女法律咨询服务中心サイト2012年8月23日、「ミニブログで地下鉄での痴漢防止強化 中国」新華網2012年8月24日(来源:人民網日本語版)。
(5)北京市地铁公司关于北京轨道交通性骚扰防治信息公开申请的答复」北京众泽妇女法律咨询服务中心ブログ2012年9月13日。
(6)吕孝权「关于在北京轨道交通运营中建立性骚扰防治机制的建议」北京众泽妇女法律咨询服务中心サイト2012年9月11日。
(7)广州地铁“射狼”被拘留10日 作案过程曝光」新華網2012年09月17日(来源:広州日報)など。
(8)广州地铁被骚扰女子称3个月遇到4个“色狼”」新華網2012年9月5日(来源:広州日報)。
(9)miriam「【地铁防性骚扰 征集100人签名】」google groups性别平等倡导计划2012年9月21日。
(10)“征集千人签名,建议广州地铁防治性骚扰 ”签名网页和《致广州地铁总公司关于防治性骚扰问题的公开信》现正式公开发布!!!!」google groups性别平等倡导计划2012年9月27日、「征集千人签名,建议广州地铁防治性骚扰」社会性別与発展在中国サイト2012年9月28日(来源:郵件組)。
(11)广州网友征集签名防地铁“射狼” 发起人:收集1000人签名后梳理有效建议送交地铁公司」『羊城晩報』2012年9月27日。
(12)征集千人签名,建议广州地铁防治性骚扰」社会性別与発展在中国サイト2012年9月28日(来源:郵件組)。
(13)嵘嵘「回复: 【性别平等倡导计划】 一个人力量太渺小,全部人力量很巨大(海味求救!) 」google groups性别平等倡导计划2012年10月10日。
(14)近期频见地铁上性骚扰,相关运营方和管理方有无作为? 地铁有没有防“狼”措施 副教授提信息公开申请」『羊城晩報』2012年9月27日。
(15)大阪府の「人権学習シリーズ」vol.6『同じをこえて 差別と平等』 ■その「ちがい」は何のため? 女性専用車両で考える特別な措置‐3.その「ちがい」は何のため? 女性専用車両で考える特別な措置 より。
(16)嵘嵘「【上海地铁二运事件】上海首站行动讨论和下一步计划注意」性别平等倡导计划2012年6月25日。

痴漢を女性の服装のせいにする上海地下鉄の公式微博に対する、ネット内外での女性たちの抗議のうねり

「地下鉄に乗るのにこんな恰好をしたら、痴漢にあわないほうがおかしい」発言に対するネット上の抗議

6月20日、上海地下鉄第二運営有限公司の公式微博(中国版ツイッター)が、「地下鉄に乗るのに、こんな恰好をしたら、痴漢に遭わないほうがおかしい。娘さん、自重してください」という発言とともに、地下鉄のある女性の乗客を後ろから撮影した写真を掲載しました。その女性は、深い青色のワンピースを着ていたのですが、その絹の生地からは、下着とストッキングが透けて見えていました。

翌日以降、「フェミニズムの声(女权之声)」(女性メディアウォッチネットワーク[妇女传媒监测网络]の微博。同ネットワークは、インターネット誌『女声』も刊行している)をはじめとして、多くのネットユーザーが上記の記事に対して抗議の声を上げました。その主な観点は、以下の3点でした。
 1.服装は個人の自由であって、セクハラは権利を侵害する違法行為であり、被害者自身に理由を求めてはならない。
 2.地下鉄の会社は、法にもとづいて乗客の安全を保障すべきであり、被害者のせいにすることは運営機構の法律的責任を回避するものである。
 3.公式の微博は、出所不明で、乗客のプライバシーと名誉を侵犯している疑いがある写真を引用すべきではない(1)

ところが、上海地下鉄第二運営有限公司の公式微博は、上の記事を反省も撤回もしませんでした。むしろ、「善意の忠告であって、謝る必要はない」とか、肌を露出した服装をするのは「恥知らずである」といったことを主張した、他の地下鉄の公式アカウントや地下鉄の従業員の発言を転載しました。

多くの女性は、自らの経験から、「肌を露出した服装が、セクハラを招く」という「常識」に対して反論しました。彼女たちは、未成年者がセクハラの重要な被害者であること、男性もセクハラに遭うことを指摘しました。また、「肌を露出した気の強そうな娘は、地下鉄では痴漢にあまり遭わない。痴漢の多くは、控えめで弱々しく、おとなしそうな娘を狙う」という声も上がりました(2)

また、「もし『女が薄着をすることが男性の犯罪を誘発する』という言論をほおっておくなら、最終的には、女性はみんな、分厚い衣服を着なければ、外出を許されないということになる。正常な社会では、ある人がたとえ裸で大通りを歩いたとしても、警察に通報されることはあっても、彼女を侵犯することは許されない。これは基本的常識だ」という指摘もありました(3)

地下鉄内で抗議のパフォーマンス――理念は「スラットウォーク」と同じ

6月24日には、上海の地下鉄2号線で、2人の女性が抗議のパフォーマンスをおこないました。そのうちの1人は、全身を黒いベールで覆って、「涼しさは欲しいけれど、痴漢はいらない(要清凉不要色狼)」と書いたパネルを持ちました。もう1人は、黒い頭巾をかぶりつつ、乳房の形をした金属の器を2つ胸に付けて、「私はみだら(ふしだら)でもいいが、ハラスメントはしてはならない(我可以骚你不能扰)」と書いたパネルを持ちました。

[アクションのビデオ(初めはコマーシャルが出ます)]
视频: 我可以骚你不能扰

パフォーマンスをおこなった女性に対して、ネットメディア「網易」の記者がインタビューしているのですが(4)、その女性によると、前日に友人が数人集まった時に、今回の問題に対して何かできるのではないかという話になって、抗議活動をしたということで、それほど計画的なものではなかったようです。また、このアクションは「パフォーマンスアート」と呼ばれているのですが、その点に関しては、「それは重要ではなく、ポイントは、私たちが何を伝えるかだと思います」と語っています。また、2人が顔を隠した大きな理由は、「焦点を、2人が誰かということよりも、私たちのスローガンに当てたかった」ということにあるそうです。

また、「私はみだらでもいいが、ハラスメントはしてはならない(我可以骚你不能扰)」というスローガンについて、記者が、「騒(みだら、ふしだら)」という言葉には貶す意味があることをどう思うか尋ねたところ、その女性は、「この言葉は、極端ではあるが、私たちが伝えたい考え方に非常にぴったりで、実は『スラットウォーク(slutwalk 荡妇游行)(*)』の核心とも一致しています。もちろん多くの人は『なぜ非常に極端な言葉を使うのか?』と言うでしょうが、私は、『騒』という語が私たちの理念をまぎれなく伝えていると思います。『騒』は、身体の権利です」と答えています。

(*) スラットウォーク――カナダのトロントで警官が「性被害を避けるために、女性はふしだらな格好をするべきではない」言ったことをきっかけに始まった運動で、性暴力の被害者の落ち度を責める風潮を批判して、被害者の人権を訴えるために、女性たちが露出度の高い服で行進するもの。2011年4月3日にカナダで始まり、イギリス、オーストラリア、韓国などに広がった(5)。今回の事件をめぐっても、彼女たちの行動以前にも、『南方都市報』の微博が、スラットウォークについて紹介していた。

また、彼女は、「とくに我慢できない」意見として、「男性は下半身で思考する動物だから、それに挑戦するべきでない」という意見を挙げ、「これは、非常にごろつきのロジックだ」と言っています。彼女によると、「私たちが子どもの頃からの性の教育の中には、非常にアンバランスがあり、女性に対しては、抑圧することが主であるのに、男性は、ずっと励まされてきた」とのことで、「文化全体」がそうであって、「私たちの教育は、男性にどのように自分の性の衝動をコントロールするかを教えていない」と語っています。

新聞やテレビでも報道、フェミニズムの論説も

2人のパフォーマンス以後、この事件は、新聞やテレビでも報道されるようになり(6)、この事件を論じた各種の論説も登場しました。

論説はけっして女性(被害者)の立場に立ったものばかりではありませんでしたけれど、「最も責任を負うべき加害者をほおっておいて、とくとくと女性の服装について些末な揚げ足を取るのは、被害に遭った女性に対する二次加害にほかならない」(ジャーナリスト・姚景、『新京報』掲載)といったことを説く論説もありました(7)

また、方剛さん(北京林業大学副教授、同大学セクシュアリティとジェンダー研究所所長)は、自分のブログに「上海の地下鉄の抗議は、すばらしい!」というエントリを書きました(8)

方さんは、「中国の以前の社会的唱道には、パフォーマンスアートの方式はあまり見られなかった。けれど、今年は、良い始まりであり、『男性トイレ占拠』、『李陽[=「クレージーイングリッシュ」という英語の学習法の創始者。妻に対するDVが明るみに出た]に抗議する』、今回の『地下鉄のみだらとハラスメント』を含めて、みな非常に良い」と賞賛します。

方さんは、上海地下鉄の微博について、「結果的にはセクハラを励ますものになるかもしれず、少なくとも女性の身体の自主権、服装権を侵犯している」と批判します。方さんは、アメリカでの裁判を紹介しつつ、「もしある人がベンツを運転していたら、あなたは『この車はすごくいいので、私の占有欲を刺激したから、奪った』と言えるのか? もしある人が大きなダイヤモンドの指輪をしていたら、あなたは『これは値打ちがあって、きれいだから、自分を誘惑したので、私はそれを盗んでもいい』と言えるのか?」と問いかけ、「これら問題に対する回答は議論の余地がないことは明らかなのに、なぜ女性が涼しげな服装をしていたら、『誘惑する』かどうかが議論になるのか?」と問うています。

といっても、上のような点は、方さんを待つまでもなく、すでにネットでは指摘されている点です。しかし、下の発言は、方剛さんならではの言い方でしょう。

女が何を着ようと、女自身のことであり、これは、彼女の、身体の美や服装の美に対する理解である。『男の自然な生理的反応』は、あなた自身のことであり、あなたが自分で反応すればよく、自慰をしようが、性的な幻想をしようが、関係がない。けれど、手で触れることは、他人の権益を侵犯することである。


また、李思磐さん(マカオ大学社会学系博士課程院生)は、『東方早報』で、「服装の審査は、女性の空間を攻撃し抑圧する」という論評を発表しました(9)。李さんは、宋山木強姦事件や女性トイレ不足問題の際にもフェミニズムの立場から論陣を張ったジャーナリストですが(本ブログの記事「山木教育グループ総裁・宋山木の強姦事件をめぐる議論」「女子大学生の『男子トイレを占拠する』アクション」参照)、今回も、この問題が広く女性のあり方全体への攻撃・抑圧であることを詳しく論じました。

この[=上海地下鉄]微博の言下の意味は、「自重しない」女の乗客は、セクハラをされてもあたりまえだ、というものである。これはけっして新しい論調ではない(……)これは、男の性欲は、いったん刺激されたら、制約を受けずに、他の人を侵犯するのは合理的結果であり、被害を受けた人は、操行を審査されなければならず、もし彼女が「ふしだらな女」ならば、被害は合理的だ、というものである。

女性に対する服装の審査は、「(その場に)ふさわしい」という名目の下に、少なからぬ支持を得ている。これは、女性の身体のすがた、話し方、立ち居振る舞いに対して、従来、男性の視点から、人々が慣れっこになっていて気づかない審査メカニズムがあったからである。一方では、女性は、「女らしく」なければならず、服装や化粧によって女性としての身体的特徴をできるだけ際立たせて、男たちの目や心を楽しませなければならない。もう一方では、「女らしい」ことは女の原罪であり、男性に常軌を逸した行為をさせる原因になるものであり、女たちは、できるだけ手や足を揃えて、空間を収縮させて、「人を惑わせる」・「放蕩である」ことの境界で、もじもじし、絶えず自己審査をし、さまざまな不便に耐えなければならない。

「放蕩な女」に対する審査と称するものは、実際は女性全体に対するものである。なぜなら、このような審査は、すべての女性を「定義される」状態に置くものだからである。(……)

それゆえ、公共空間の管理者が女たちに対して審査のシグナルを発したときには、女性のネットユーザーは、このような保護を名目にした汚辱を拒絶して、資格審査のない公共空間と女たちの身体に対する主権の尊重を要求したのである。


地下鉄側の痴漢対策についての議論も

具体的な痴漢対策を求める意見も出ました。

たとえば、北京の黄溢智弁護士は、上海の地下鉄を管理している上海市交通運輸局と地下鉄を運営している会社に対して、地下鉄のセクハラ対策についての情報公開を求める申請をしました(10)

また、メディアでも国外の地下鉄の痴漢対策が話題になり、女性専用車両を求める意見なども掲載されています(11)

「インターネット上の最初の大規模な性差別反対のアクション」

『女声』誌は、今回の事件について、「これは、インターネット上の最初の大規模な性差別反対のアクションかもしれず、民間で、自発的に団結し、呼応している。これは、現在起きている、新しいバージョンの女性の権利闘争史である」と述べています。

これまでも、鄧玉嬌事件(本ブログの記事「鄧玉嬌事件をめぐって」参照)のときのように、女性の人権に関する事件をめぐって、インターネット上のうねりが起きたことはありました。しかし、鄧玉嬌事件は、女性の人権という文脈よりも、官僚批判や格差社会に対する批判という文脈で議論した人のほうが、はるかに多かったと思います。女性の権利を正面から訴えるネット上のうねりが起きたのは、たしかに今回が最初だろうと思います。

『女声』誌によると、従来は、インターネット上でも「女性の権利の主張はまだ非常に周縁化されており、微博での活発な公共の話題の中には基本的に女性とジェンダーの影はなかった」が、「初歩的変化は2012年初めに出現した。『男性トイレ占拠』が、女性の権利のアクションが新浪微博の話題になった最初かもしれない。わずか一週間後に新浪はこのキーワードでの検索を阻止したけれども、@女権の声は、唯一の民間の女性の権利のプラットフォームのアカウントとして、しだいに同志を集めた」。そして今回、「ずっと弱くて分散していたネット上のフェミニズムの声は、すでに空前の高さに達し、多くの目覚めた人々がすでに出会った」と評価しています。また、「同時に、オフラインの公の行動も継続しておこなわれた」ことや「マスメディア」の役割も指摘しています。

整理すると、『女声』誌の記述からは、今回の運動は、以下のようなものが結びついて展開したことがわかります。
○ネット上の行動
・@女権の声アカウント
・個人アカウント
・友好的メディアのアカウント(@網易女人など)
○オフラインの行動
・パフォーマンスアート
・マスメディア

ネットの匿名投票では上海地下鉄ブログ支持が約7割だが……

上海地下鉄公式ブログの記事については、すでに6月25日の時点で、微博上で3863件の評論が出され、それらは11923回転載されたとのことです(12)。その中には、上のようにフェミニズムのうねりがありました。

ただし、フェミニズムに無理解な意見も多かったですし、ネット上の匿名投票においては、以下の[1][2]で示すように、上海地下鉄公式ブログを支持する意見の方が多く、約7割だったというのも現実です。

[1]新浪サイトが、上海の地下鉄の微博の記事に対する「削除・謝罪要求」について、次の二者択一の形でアンケートをしたところ、以下のような結果でした(6月30日19時24分現在)(13)
 ・「支持する:削除して謝るべきである。服装は個人の私事であり、地下鉄側が無断で公開することは不適切である」――28.3%。
 ・「反対である:削除や謝罪の必要はない。結局は公共の場であり、地下鉄側が善意で忠告することは間違っていない」――71.7%。

[2]新浪微博が、「地下鉄の公式ブログが夏の服装は露出的にしないように呼びかけたこと」について、次の二者択一の形でアンケートをしたところ、以下の結果でした(6月30日現在)(14)
 ・「服装の露出は個人の自由であり、他人が干渉すべきではない」――16273人(31.2%)
 ・「女性の夏の服装は自分を保護する意識を持つべきであり、差別とは無関係である」――35920人(68.8%)

上のアンケートについては、設問のし方に批判が出ていて、ある女性は、[2]のアンケートに対して、「自分の主張は『女性には服装の自由があるべきであり、女性が何を着ていても、セクハラをされるべきではない』というものである」(15)と述べて、自分たちの主張を的確に伝えていないことを批判しています。

こうした設問のし方の問題を含めて、ネット社会はやはり男性社会であるということも露呈したわけです。

ただ、ネットが男社会であることはもちろん日本も同じことで、日本のyahooの匿名の投票あたりだと、もっとアンチフェミニズム的な結果になりそうです。こうした壁を乗り越えることは、日中共通の課題だろうと思います。

(1)以上は、「专题 拒绝“自重”——微博引爆反骚扰辩论(word)」『女声』第116期(2012.6.18—6.25)より。今回の事件については、『女声』の微博が先導的な役割を果たしているだけに、同誌のこの特集が最もまとまっています。本ブログのこの記事も、とくに注記のない部分をはじめとして、この特集に頼っている面が大きいです。
(2)この論点に関しては、Fz「我可以骚,你就能扰?」(東西網)が、これまでの研究をまとめて、以下のように結論付けています。「セクシーであることとセクハラとはあまり関係がない。人々の認識とは逆に、セクシーな服装をすればするほど、セクハラには遭いにくい。なぜなら、セクシーな服装は、女性意識が目覚めた後の自信の体現である面が大きいのに対して、痴漢が探す対象は、往々にして従順で軟弱な女性だからである。セクハラの成因は権力のアンバランスであり、両性の社会的地位が不平等であれば、セクハラを根絶することはできない」
(3)上海地铁请女性自重遭抗议:我可以骚你不能扰」中国新聞網2012年6月25日(来源:CCTV)。
(4)当時人NO.35对话“要骚不骚扰”抗议者」網易新聞。
(5)スラット・ウォーク(SlutWalk):フェミニズムの新しい形」壺齋閑話2011年6月 7日、「スラットウォークロンドン~女性に対する暴力に反対し、性犯罪の被害者の人権擁護を訴えるデモ」2011年6月11日、「英で下着姿の女性らデモ行進 『性犯罪服装のせい』に抗議」共同通信2011年6月13日、「スラット・ウォーク(あばずれの行進)の様子画像集」(NAVERまとめ)など参照。
(6)上海地铁微博称"女生穿太少不被骚扰才怪"引热议」中国新聞網2012年6月26日(来源:法制日報)など。網易女人サイトは、スラットウォークの写真の特集もしました(「荡妇游行:以欢乐反抗污名」網易女人2012年6月26日)。CNNやTHE CHINA PRESS(侨报)も報道しました(「外媒:地铁提醒女性着装防色狼引争议背后」中国新聞網2012年6月27日、「『不適切な服装が痴漢を招く』 地下鉄会社の投稿に非難集中 上海 」CNN2012年6月27日)。日本でも、「『露出多い服だと痴漢に遭いますよ』、地下鉄側の忠告に女性側『何を着ようと勝手』と猛反発―上海市」レコードチャイナ2012年6月25日、「中国、『痴漢防止』呼びかけ写真で騒動」TBSニュース2012年6月27日などの報道がありました。
(7)姚景「地铁公司能指责女乘客着装?」『新京報』2012年6月26日。
(8)方剛「上海地铁抗议,好!」方剛的博客2012年6月25日。
(9)李思磐「着装审查打压女性空间」『東方早報』2012年6月25日。
(10)北京律师申请公开上海地铁防治性骚扰措施」法制網2012年6月26日。
(11)看看国外地铁如何防止性骚扰」東方網2012年6月27日、「多国出狠招治理地铁性骚扰 东京地铁推女性专列」中国新聞網2012年6月27日(来源:広州日報)、「应对地铁性骚扰只有设立女性专用车厢」騰訊新聞2012年6月26日(来源:法制晩報)。
(12)专家称地铁呼吁女性着装自重不应止于提醒」央视《新闻1+1》2012年6月26日。
(13)(新浪調査)「上海地铁请女性“自重” 你怎么看?」新浪網。ただ、6月27日時点では、26.9%:73.1%だったので、ここ3日間で、「支持」の比率が1.4%伸びているなどの微妙な変化はあります。もっとも、下の[2]の「服装の露出は個人の自由であり~」の比率は0.04%しか伸びておらず、ほとんど同じです。
(14)官博呼吁着装自重引抗议―你怎么看着地铁官博呼吁夏日着装勿暴露?」新浪微博。
(15)专题 拒绝“自重”——微博引爆反骚扰辩论(word)」『女声』第116期(2012.6.18—6.25)。

[2012年10月24日追記]文中の脱字を修正し、語句の微細な修正(標語→スローガン)をおこないました。
[2012年12月25日追記]ビデオがリンク切れになったので、別のものに変更しました。

台湾刑法の「性自主妨害罪」の改正草案をめぐって

 台湾では、昨年夏以降、子どもに対する性犯罪の量刑の問題をきっかけに、刑法の「性自主妨害罪」の章の改正や裁判官のあり方が問題になっています。

1.1999年に「強姦罪」から「強制性交罪」へ:男性も対象にするとともに、被害者の「意思に反する」ことを要件に

 まず、「中華民国刑法」の第16章「性自主妨害罪[妨害性自主罪]」について紹介しておきます。この章には、以下のような条文があります(抜粋)。

第221条(強制性交罪)
 男女に対して暴力・脅迫・恐迫・催眠術またはその他のその意思に反する方法によって性交をした者は、3年以上10年以下の有期懲役に処する。
 前項の未遂犯はこれを罰する。

第222条(加重強制性交罪)
 前条の罪を犯し、以下の状況の一つがある者は、7年以上の有期懲役に処する。
 一、2人以上が共同でこれを犯す者
 二、14歳未満の男女に対してこれを犯す者
 (以下略)

第224条(強制わいせつ罪)
 男女に対して暴力・脅迫・恐迫・催眠術またはその他のその意思に反する方法でわいせつ行為をした者は、6ヵ月以上5年以下の有期懲役に処す。

第224-1条(加重強制わいせつ罪)
 前条の罪を犯し、第222条第1項の各款の状況がある者は、3年以上10年以下の有期懲役に処する。 

第227条(14歳未満・16歳未満との性交罪・わいせつ罪)
 14歳未満の男女と性交した者は、3年以上10年以下の有期懲役に処す。
 14歳未満の男女とわいせつ行為をした者は、6ヵ月以上5年以下の有期懲役に処す。
 14歳以上16歳未満の男女と性交した者は、7年以下の有期懲役に処す。
 14歳以上16歳未満の男女とわいせつ行為をした者は、3年以下の有期懲役に処す。

 「性自主妨害罪」という章は、1999年4月に中華民国刑法が改正された際に設けられた章です。それまでは、第16章は「良俗妨害罪[妨害風化罪]」でした。第221条の「強制性交罪」も、以前は「強姦罪」という名称で、その条文も「女性に対して暴力・脅迫・薬剤・催眠術またはその他方法によって、抵抗できなくして姦淫した者は、強姦罪として、5年以上の懲役に処す。14歳未満の女子と姦淫した者は、強姦罪と見なす。前2項の未遂犯はこれを罰する。」というものでした。

 すなわち、1999年の改正によって、以下の点が変わったということです(1)
 ・保護される法益が、「良俗[風化]」から「性の自主性」になった。
 ・性交やわいせつの強制が、「女性」に対する犯罪ではなく、「男女」に対する犯罪になった。
 ・処罰される行為が、「姦淫」から、「性交」に変わり、口による性交、肛門による性交、異物の挿入なども含まれるようになった。
 ・罪の構成要件が、「抵抗できないようにする[至致使不能抗拒]」から「その意思に反する[違反其意願]」に変わった(この点は、第224条の強制わいせつ罪も同じ)。

 この改正の背景には、女性団体の運動があったことは言うまでもありません。

2.子どもに対する性犯罪の量刑に抗議する「白バラ運動」→最高法院、「7歳未満の児童と性交した者は懲役7年以上」という決議

 昨年2月、6歳の女の子に性暴力をふるったある男を検察は第222条の強制性交罪として起訴しました。しかし、8月15日、高雄地方法院(裁判所)は「女の子が抵抗しなかった」として第227条の、14歳未満の男女との性交罪に改め、3年2ヶ月という軽い刑に処しました。

 また、9月1日には、3歳の女の子に対する性犯罪で起訴された男が、一審、二審では女の子が「やめて」と泣き叫んだとして7年2ヶ月の重刑が下されたにも関わらず、最高裁では証拠不十分で無罪となりました。

 この2つの事件が報道されると、ネット上での非難が爆発、facebookで裁判官の解任を求める署名活動がおこなわれ、わずか3週間で28万人の賛同が寄せられました(最終的には30万人以上になった)。また、ネット上で結成された「正義連盟(正義聯盟)」が「白バラ運動(白玫塊運動、白バラは子どもの純潔を示す)」という抗議活動を開始しました(2)

 正義連盟の趣旨は、以下のようなものでした(3)
1.政府当局に、でたらめな判決が被害者とその家族にもたらす二次被害を重視するように呼びかける。
2.裁判官の任用・評価・退場のメカニズムを推進する。
3.司法の案件審理のメカニズムを改め、陪審団方式で審理することを提案する。
(以下略。)

 こうした動きに押されて、9月3日、中華民国司法院(wikipediaによる説明)は、法務部に7歳未満の児童に対する罰則を強化するよう提案したことを表明しました(4)。9月7日には、最高法院(裁判所)が刑事法廷会議を開き、7歳未満の児童と性交した者は、一律に7年以上の懲役の判決を下すという決議をしました(7歳から14歳までは、現行どおり、児童の同意があれば、3年以上10年以下)。この決議は、実質的には下級審にも拘束力を持ちます(5)

 9月25日には、「正義連盟」が呼びかけ、性暴力の問題に取り組んできた勵馨社会福利基金会現代婦女基金会なども賛同して、「9.25白バラ運動集会」が開催されました。この集会は、下のような要求を掲げて、1万5千人余りが総統府前のケタガラン大道でデモと集会をしました。
 1.性侵害の保護の対象を、7歳以下から14歳以下に拡大する。また、心身の障害者も対象に含める。
 2.子どもの性侵害事件についての専門家証人制度を設立する。性的侵害を受けた児童には、捜査および裁判の段階で、児童の心理の専門家が被害者に付き添う(*)。
 3.「裁判官・検察官評価法」を制定し、適任でない者には憲法による終身職の保障を受けさせないようにする。

 (*)勵馨社会福利基金会は、以下の理由で専門家証人制度が必要だと述べています。
 ・性侵害の被害者は、必ずしもはっきりした生理的な傷を負っているとは限らないし、目に見える証拠があるとは限らない。だから、公平に訴訟をおこなうには、被害者が受けた心理的な傷を評価することが必要である。
 ・性侵害の被害者は、必ずしも明らかな暴力的な脅迫を受けたとは限らず、しばしば加害者に権力や地位があるために、抵抗できなかったり、協力させられたりする。そのため、専門家の証人の協力によって、被害者が被害を受けた時の心理状態を明らかにすることが必要である(6)
 現在は、そういう制度がないため、1、2人の裁判官が専門家の証人を求めたことがあるだけで、大多数の裁判官は、不必要だとするそうです(7)

 この集会に参加した大人は「司法の死」を示す黒い服を着、子どもは「純潔」を示す白い上着を着て、手に手に白いバラを持ってアピールしました(8)

 この集会のテレビ報道は、以下のようでした。
・[公視中晝新聞(要求撤換恐龍法官 白玫瑰上凱道) 2010-09-26]

・[中天新聞 925白玫瑰運動]


 同じ9月25日、総統府の公共事務室も声明を発表し、馬英九総統はこの問題を重視しており、性侵害の保護の対象を広げること、「裁判官法」の早期成立をめざすことなどを表明しました(9)

女性団体の訴え――被害者保護や裁判官の研修を重視

 従来から性的侵害の問題に取り組んできた「現代婦女基金会」は、9月25日の集会に参加した際、以下の「6つの訴え」を発表しました。
 1.性侵害の法規を速やかに改定する。
 2.性侵害専門の法廷を設立する。
 3.訴訟での被害者の地位を向上させる。
 4.司法官の研修を強化する。
 5.性犯罪者の診療の専門家を育成する。
 6.性犯罪者の監視とコントロールを実現する(10)

 現代婦女基金会は、以下のように述べています(11)

 「現代婦女基金会は、長年、暴力の被害に遭った女性を助けてきた過程で、司法関係者に性侵害についての専門的知識が欠けているために、あまりにも多くの誤った判決や軽い判決が下されてきたことに気づいた。それゆえ(……)性侵害の犯罪の法律改正作業をしなければならないだけでなく、裁判官の専門的資質も同時に向上させることが求められている。」

 「刑法の『性自主妨害罪』の章はとっくに民国88年[1999年]に改正され、『抵抗できないようにする』という要件は『その意思に反する』に改められたのに、われわれの司法官は、まだ被害者を『抵抗できないようにする』ことを判決の主な根拠にしている。(……)統計資料では、性侵害事件の6割以上はよく知っている者の犯罪であり、子どもに対する性侵害事件はさらにそうである。子どもを主に性的侵害の対象にする多くの加害者は、児童が常に身辺に接触できる対象であり、彼らは、子どもが幼くて抵抗できないか、抵抗することを知らないために、脅すか利益で誘いさえすれば、身体的暴力をあまり必要とせずに、たやすく子どもを傷つけることができる。子どもが拒絶の声を上げないのは、子どもがわかっていないからであり、『いやだ』と言うのは、子どもにとっては拒絶を示す最大の反抗であり、手足で必死に反抗して傷を負うことがないのは、幼くて反抗する力がないからである!」

 「このほか、一般の成人の性的侵害の案件でも、裁判官はジェンダー意識が欠乏しており、女性が性的侵害に直面したときの恐怖を理解していない。司法の関心はまだ、被害者が強力に反抗したかどうかや、身体にひどい傷を負ったか否かにある。被害者は常に『あなたはその時何をしていたのか?』『あなたはなぜすぐに離れなかったのか?』『なぜ大声で叫ばなかったのか?』『なぜ加害者を攻撃しなかったのか?』『なぜすぐに警察に届けなかったのか?』などの一連の質問をされる。ジェンダーの観点から見れば、女性は小さい時から伝統的な性別役割の教育をされ、すぐに攻撃性や能動性を持てるように訓練されていない。性的侵害が女性に与える恐怖や汚名化も、女性が司法に告訴したり声を上げたりしない主な原因である。」

 「10年前すでに、現代婦女基金会は、性侵害事件の司法の二次被害についての調査をおこなったが、多くの性侵害の被害者の弁護士はみな次のように考えている:司法システムには、被害者を保護するソフト・ハードの設備が欠けているだけでなく、司法業務従事者には性侵害というテーマについての専門知識がないために、被害者は法廷で立証の仕事に責任を負わなければならず、性的被害に遭ったという事実を裁判官に説得しなければならない。そのため、被害者は性侵害事件の細かな内容を絶えず繰り返して述べなければならず、心身に二次被害を受ける。そのことが多くの性侵害の被害者に司法の正義の前に歩みを進めることを間接的に妨げている。勇敢に司法に訴えた被害者も、裁判官が性的侵害の専門的認識がなく、訓練されていないので、間違った判決や軽い判決が下される。」

 「私たちは、司法院が『性侵害専門法廷』を設立しなければならないと訴えている。本会は現在『犯罪被害者保護法』の修正草案を完成させることに着手しており、これによって、性侵害の被害者の訴訟での地位を高めることを望んでいる。」(10)

 「白バラ運動」は、裁判官批判が軸で、その名称などから見ると、「子どもの純潔を守る」運動という色彩もあるようですが、女性団体は、「性暴力の被害者の保護」という視点を重視しているようで、具体的には、上のように性被害についての裁判官の研修などを求めています。9月25日の集会で掲げられた、専門家証人制度の要求も、女性団体の要求を反映している面があるのかもしれません。

3.法務部、性自主妨害罪の罰則を強化するとともに、強制性交罪の要件から被害者の「意思に反する」を削除する草案を作成→女性団体は「意思に反する」の削除などに反対

 2011年1月10日、法務部は、以下の(1)(2)の「性自主妨害罪」の改正草案を完成させ、それを審査するために行政院に送ったと報じられました(12)

(1)罰則を強化する
第221条(強制性交罪)
 「3年以上、10年以下」の有期懲役→「5年以上」の有期懲役
第224条(強制わいせつ罪)
 「6カ月以上、5年以下」の有期懲役→「1年以上、7年以下」の有期懲役
第227条(14歳未満・16歳未満との性交罪・わいせつ罪)
 「14歳以上、16歳未満の男女と性交した者は、7年以下の有期懲役に処する」→「12歳以上16歳以下の男女と性交した者は、1年以上、7年以下の有期懲役に処する」

(2)性自主妨害罪から「その[=被害者の]意思に反する」という要件を削除する 
 その意図は、法改正のための会議に参与した人によると、「裁判官が量刑をするとき、被告の犯罪の手段の軽重だけを考慮すればよくして、証明しようがない被害者の意思への違反の有無によって、被告に軽い判決を出す状況を減らす」ということだと報じられました。

 女性団体は、上の(1)の点についても必ずしも評価していません。勵馨社会福利事業基金会の紀惠容執行長は、刑罰を強化すると、裁判官が有罪判決を下しにくくなるので、審理の際により多くの証拠が求められ、被害者が立証することが困難になるのではないかという危惧を述べています(13)。また、現代婦女基金会の頼芳玉弁護士は、被害者の年齢が1ヵ月でも高ければ適用しないのはおかしいし、2人の子どもが無邪気に性行為をした場合はどうなるのかという問題もあると言っています(14)。尤美女弁護士も、「性侵害犯に対する判決が軽いのは、裁判官が比較的軽い条文を採用することに問題があるのであって、『年齢で一律に扱う』ことには反対である」と述べています(15)

 また、婦女新知基金会現代婦女基金会勵馨社会福利事業基金会台北市晩晴婦女協会台灣少年權益與福利促進聯盟台北市女性権益促進会は、共同で記者会見をし、法改正の手続きが民主的原則に違反していることを批判しました。これらの団体によると、法務部は2010年9月に1回、特定の民間団体と専門家を招いて公聴会をしただけであり、その後は、この問題に関心を持つ民間団体や民衆には、意見を述べるパイプが何もなかったそうです。今年1月になって、やっとニュースを通じて法務部の一部の修正意見を知ることができただけで、改正案の本文や改正理由はまだ知ることができていない状況だそうです(16)

 2月には、それらの女性団体が連名でおおむね下のような声明を発表して、署名を募り、同月22日には立法院前で抗議行動をおこないました(17)

法務部が性急に法改正することに反対であり、民主的審議の精神を実行すべきである
 (略…上述)

「意思に反する」という要件の削除に強く反対する
 1999年、刑法に「性自主妨害罪」の章を増訂して、性の自主権を保護する精神を確立したと同時に、刑法221条の強制性交罪の構成要件を、「抵抗できないようにさせる[致使不能抗拒]」ことから「意思に反する[違反意願]」ことに改めた。その目的は、家父長制的な思考を除去し、個々人の自主的な意思を正視することにあった。しかるに、法務部は、民衆の不満を早くなだめるために、軽率に「意思に反する」という要件を削除して、性自主妨害罪の章を、再び被害者の自主的権益を無視するものにし、「性の自主権を擁護する」という重要な精神もすっかり失わせた。
 このほか、私たちがさらに憂慮するのは、そのことによって、全国の性侵害の通報量の7割を占める知り合いによる性暴力が、暴力・脅迫などの強制の要件に符合しないために、性自主妨害罪から、いっそう除外されやすくなることである。たとえば昨年2月、かつてのボーイフレンドがかつてのガールフレンドに性的侵害をした事件について、台中法院は、女性側が強力に拒絶しなかったという理由で、無罪の判決を下したが、これは、被害者の自主的意思がまったく重視されなかった結果である。類似の判例は日増しに増えており、私たちは、このような法改正は、保護を拡大する効果がないだけでなく、むしろ性の自主権の保障の範囲を大きく縮小すると考える。

法務部は民意をもてあそんでおり、法改正は、民衆の不満が向けられた点を根本的には解決できない
 去年の女児の性侵害事件が引き起こした社会の反発は、その原因の一部は、裁判官が具体的なケースについて適切な処罰ができなかったことにある。しかし、現行法の規定によれば、裁判官が裁量する際に、重く処罰することができるのであって、裁判官の量刑の不当さに対しては、刑の重さを引き上げて、裁量の範囲を縮小することだけを解決方法にしてはならない。刑の重さの取り決めは犯罪の情状の軽重と符合しており、軽率に一部の条文の刑の重さを引き上げたり、引き下げたりすることは、刑法の刑罰全体の軽重のバランスを崩し、刑法の体系を混乱させる。

 私たちは、以下の主張を提出する。

 1.立法院は審議をしばらく猶予するべきであり、けっして性自主妨害罪の章の修正草案を軽率に通過させてはならない。
 2.私たちは「家に閉じこもって車を造る」法改正をただちに停止して、社会的な参与を拡大してコンセンサスを形成し、民主的審議の精神を実現することを要求する。
 3.性侵害罪の法改正は、見知らぬ人の性暴力にだけ着目して、性侵害犯罪の多数を占める顔見知りの暴力の被害者を犠牲にしてはならない。


発起団体
婦女新知基金会現代婦女基金会勵馨社会福利事業基金会台北市晩晴婦女協会台灣少年權益與福利促進聯盟白玫瑰社會關懷協會

連署団体
上記6団体のほか、婦女救援社会福利事業基金会台湾女人連線主婦聯盟環境保護基金会台湾性別平等教育協会高雄市婦女新知協会台湾女性学学会台湾大学婦女研究室

 こうした声にもかかわらず、3月10日、修正草案は行政院会(閣議)を通過しました。

 法務部は、「現行の刑法の強制性交罪の成立要件は、行為者が客観的に『被害者に抵抗できないようにする』ことのほか、『被害者の主観的意思に反する』ことを必要としているが、反していない場合や被害者の意思が証明しようがない時は、強制性交罪によって制裁しようがない」などと言って、「意思に反する」という要件の削除を正当化しています(18)

4.その他の要求は、積み残されたまま

 その一方で、、白バラ運動や女性団体が訴えてきた、以下のようなさまざまな問題が残されたままです。

裁判官教育

 正義聯盟が2010年11月~12月の「性自主妨害罪」の判決652件を分析したところ、性侵害事件において刑が軽いことは変わっていませんでした。正義連盟によると、この問題は裁判所全体の現象であり、最低刑期+6ヵ月以下の判決が62%で、判決の35%は法定の刑期よりも低かったということです。また、減刑の理由として、「被告の公務員としての生涯に影響しないようにする」とか、「完全な家庭を保持するため」とかいった不合理なものが見られました。裁判官は、司法院の「控訴率」「維持率」に関する要求に縛られ、自分の業績の上げるために、独立した裁判をしていないとも指摘されています(19)

 現代婦女基金会の頼芳玉弁護士は、「民間団体は、裁判官の専門教育を強化して、性侵害事件に対する正しい認識を持たせることを訴えてきたのに、法務部は民間団体の訴えの重点を理解していない」と述べており(20)、同基金会の姚淑文執行長も、「法改正の前提として、裁判官の専門の研修を強化しなければならない」と言っています(21)

裁判官の審査

 白バラ運動をきっかけに、「裁判官法」の草案も出されたようですが、民間団体の「裁判官検察官評価推進連盟(法官檢察官評鑑法推動聯盟)」によると、その草案の評価は「ブラックボックス」的な評価(公表されないなど)にすぎず、現状よりも後退している面もあるとのことです(22)

専門家証人制度、専門法廷

 以前から女性団体が言ってきた、専門家証人制度や専門法廷の必要性は訴えられていますが(23)、まだ形になっていないようです。

ミーガン法

 白バラ運動は、昨年から、台湾版「ミーガン法」(ウィキペディアの説明)の制定も目指し、署名運動を展開しています。2010年11月20日、「白バラ運動」は、2回目の集会をケタガラン大道でおこないました。この集会には、200人足らずしか集まりませんでしたが、台湾版「ミーガン法」の制定を訴えました(24)

2010-11-20公視晚間新聞(白玫瑰返凱道 催生台版梅根法案)


 内政部も、2011年1月、「性侵害犯罪防止法(性侵害犯罪防治法)」の改正草案を作成して、犯罪者に対する「地域コミュニティの監視・コントロールを強化する」として、性侵害事件を起こし、かつ高い再犯の危険があると評価され、かつ刑の後に強制治療の適用の対象になっていない者*については、姓名や写真、判決の要旨を公告すると表明しました(*2006年7月以降に犯罪を犯した者は、現行刑法91条の1の規定により、刑期が終わった後、強制治療の対象になるので、対象は、2006年6月以前に犯罪を犯した者)(25)

 白バラ運動も、この点に関する要求を強めているようです(26)。現代婦女基金会も「性犯罪者の監視とコントロール」を言っていましたし、勵馨社会福利事業基金会は、台湾版ミーガン法を制定することに積極的です(27)

 しかし、台湾人権促進会台灣人權促進會は、公告制度は人権侵害である上、再犯率を低下させる証明もなく、他にも方法はあるとして、反対意見を提出しています(28)

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

 全体としてみると、昨年来、子どもに対する性暴力の問題をめぐって「白バラ」運動が盛り上がったけれども、政府の対応は、重罰化が中心で、女性団体が以前から訴えていた裁判官の研修の強化とか、被害者保護といった点は軽視されたままであり、むしろ被害者の「意思」を軽視する法改正がなされようとしています。台湾人権促進会が憂慮しているミーガン法(29)の件を含めて、「人権」という観点からは好ましくない事態が生じかねない状況のようです。

 台湾は、10年以上前に「強姦罪」から「強制性交罪」への転換を実現したことは日本に比べて先進的だと思うのですが、その転換の意義が政府や裁判官には充分浸透していなかったのでしょうか? 「白バラ」運動も、大きな集会を成功させたことは注目されるのですが、「子どもの純潔」を掲げる運動であることの限界もあるのかもしれません。

(1)刑法『妨害性自主罪』修訂的評估與展望」網氏女性電子報第29期。
(2)以上については、「【アジア発!Breaking News】子どもが『NO』と言わなければ無罪? 子どもへの性犯罪を裁けない法律に、国民の怒り爆発。(台湾)」techinsight2010年9月10日。「99年兒童性侵司法輕判事件」(勵馨社会福利事業基金会サイト9月13日)も参照。
(3)關於正義聯盟」正義聯盟サイト。
(4)司法院建議修法 性侵幼童罪加重」『自由時報』2010年9月4日、「性侵7歲以下幼童 司法院建議修法重刑」今日新聞網2010年9月4日。
(5)最高法院刑庭決議 性侵7歲以下幼童最低判7年」『自由時報』2010年9月7日、youtube「最高院決議 性侵7歲以下幼童 重判7年以上 2010.09.08」、「最高裁『7歳未満の子供への性犯罪は刑罰を加重』と決議」国民党ニュースネットワーク2010年9月8日。
(6)不容許恐龍法官再胡搞--受性侵兒需要你的協助」勵馨社会福利事業基金会サイト2010年9月3日。
(7)紀惠容「【勵馨觀點】我們需要人性的司法審理系統」勵馨2010年9月23日。
(8)以上のこの集会についての記述は、「925白玫瑰運動集會」維基百科、「促司改 白玫瑰凱道怒放」『自由時報』2010年9月26日、「性犯罪の被害児童を守ろうと訴える 白バラ運動デモ集会」国民党ニュースネットワーク2010年9月27日より。
(9)性侵輕判 白玫瑰籲司改總統高度重視」今日新聞網2010年9月25日、「總統府正面回應 曾香蕉回嗆」『自由時報』2010年9月26日。
(10)白玫瑰運動-現代婦女基金會六大訴求」現代婦女基金会サイト
(11)法官漠視被害人與家屬的痛,法官的專業與性別意識在哪裡?」現代婦女基金会サイト
(12)法部草案送出/嚴懲性侵犯 刑期5年起跳」『自由時報』2011年1月10日。
(13)加重性侵刑 婦幼團體看法不一」中央社2011年1月9日。
(14)婦團痛批性侵修法開倒車」『台湾立報』2011年2月22日。
(15)性侵未滿12歲兒童 至少判5年」『自由時報』2010年10月13日。
(16)婦團砲轟 性侵修法閉門造車」『立報』2011年1月12日、「性侵修法霧煞煞,被害權益嘸底看 行政院會暫緩審議,儘速擴大召開公聽會」婦女新知基金会サイト2011年1月28日。
(17)【我要連署】堅決反對立法院通過妨害性自主的恐龍法條」婦女新知基金会サイト2011年2月21日、「【記者會】堅決反對立法院通過妨害性自主的恐龍法條」婦女新知基金会サイト2011年2月22日(写真あり)、「性侵修法 竟擬刪『違反意願』」『台湾立報』2011年2月21日、「婦團痛批性侵修法開倒車」『台湾立報』2011年2月22日(写真あり)。
(18)強制性交需違意願 將刪除」『台湾立報』2011年3月10日。
(19)性侵輕判嚴重 民團怒批司法院是恐龍院」『自由時報』2011年2月14日、「刑法妨害性自主章法院輕判之研究分析報告[word]」(正義聯盟志工分析整理、中華民国100年[2011年]2月14日発表)。
(20)婦團痛批性侵修法開倒車」『台湾立報』2011年2月22日。
(21)性侵未滿12歲兒童 至少判5年」『自由時報』2010年10月13日。
(22)司改團體痛批法官法初審 更保障恐龍法官」『自由時報』2011年1月12日。
(23)婦團痛批性侵修法開倒車」『台湾立報』2011年2月22日。
(24)白玫瑰連署 推『台版梅根法』」『蘋果日報』2010年10月31日、「推台版梅根法案 白玫瑰再上凱道」『自由時報』2010年11月21日。
(25)內政部部務會報通過『性侵害犯罪防治法』部分條文修正草案,強化性罪犯社區監控機制,近日將函報行政院審查」内政部サイト2011年1月28日。
(26)白玫瑰:政府需落實性侵矯治」『台湾立報』2011年3月23日。
(27)白玫瑰運動 11/20 重返凱道,不容許性侵加害人再犯! 」勵馨社会福利事業基金会サイト2010年11月19日。
(28)公布性侵前科個資 無助維護安全」、「針對內政部『性侵害犯罪防治法』部分 修正案説帖」台湾人権促進会サイト。
(29)台湾とは直接関係ありませんが、アメリカ在住のmacskaさんは、多くの資料をもとにしてミーガン法についてのまとめサイトを作成し、同法は「有害無益」であることを主張しておられます(ミーガン法のまとめ @macska dot org)。

男性に対する強姦事件の判決をめぐって

男性に対する強姦が刑事責任を追及されたのは初めて。しかし、強姦罪では処罰されなかった

 2010年5月、42歳の男性の警備員が、宿舎で18歳の男性の同僚を「強姦」しました。そのとき、被害者は軽傷を負いました。この事件について、北京市朝陽区法院は、加害者に、故意傷害罪で懲役1年の判決を下しました(裁判中に加害者が被害者に2万元の賠償をしたので、比較的軽い刑になったそうです)。1月4日付の『法制晩報』などがこのことを伝えました(1)

 男性を強姦した人が刑事責任を追及されたは今回が初めてだそうですが、強姦罪で処罰されたわけではありませんでした。中国の刑法の強姦罪は「暴力・脅迫もしくはその他の手段を用いて、女性を強姦する」(2)ことを指しており、男性に対する強姦には適用されません。

 男性が強姦された場合、「大多数の処理の結果は『処罰できずに、金の賠償ですまされ、賠償すらされないこともある』」という状況だそうです。治安管理処罰法によって行政拘留に処せられることはありますが、刑法が適用されたことはありませんでした(3)。今回、刑法が適用されたので、北京中広維天法律サービスセンターの蘆争さんは、「これは、わが国の法律上一定の進歩を意味している」と述べつつも、「まだはるかに不十分だ」と言っています(4)

 今回、加害者が刑法で処罰されたのは、被害者に傷を負わせていて、かつその傷の程度が傷害罪が適用できるほどのものだったからです。ネット上での意見の多くも、「もし被害者が強姦された後に軽傷を負っていなかったなら、どうだったのか?」と疑問を呈しています(5)

 また、故意傷害罪の刑期は、「3年以下」と規定されています(もし重傷を負わせたら、3年以上になりますが)(6)。かりに女性に対する強姦だったら、刑法の規定により、強姦罪だけで3年以上の懲役に処せられ、それに故意傷害罪も加わるために、さらに重い刑罰になるのですから、軽傷を負わせている場合でも、女性に対する強姦に比べて、男性に対する強姦の刑罰は軽いのです。

1997年に「流氓罪」が廃止されたことの功罪

 1979年に中華人民共和国建国後、初めて制定された中国の刑法には「流氓[ごろつき、無頼漢といった意味]罪」があり(7)、これがしばしば男性間の性行為を処罰する口実にもされてきました。ただし、1984年に最高人民法院が出した司法解釈では、男性間の性行為で「流氓罪」に当たるのは、「幼い児童を鶏姦するもの、少年を無理やり鶏姦するもの、暴力・脅迫などの手段によって、たびたび鶏姦し、情状が悪いもの」だとされました。つまり、男性間の性行為のうち、児童に対する性行為と性行為の強要だけを処罰すると決められたのです。もっとも、合意のうえでの男性間の性行為についても、刑法上の犯罪とはされなくとも、政治や行政レベルでの弾圧、たとえば公職からの追放や行政拘留などに処せられてきたのですが、とにかく、この刑法が適用されていた時代は、男性に対する強姦も、いちおう刑法上の処罰の対象になっていたわけです。

 しかし、1997年に刑法が改正された際、「流氓罪」は削除されました。それによって、同性間の性行為が処罰される危険は減ったのですが、その一方で、1984年の司法解釈のもとになった条文がなくなったために、男性間の強姦についても刑法上の犯罪とはされなくなったのです。

 このように同性間の強姦の被害者が法律的な保護を受けられない一方、国家は、被害者がいない同性間の売買春については、異性間の売買春同様に厳重に取り締まっています(8)

中国でも、男性の性被害に関する法的問題は指摘されているが……

 今回の事件に関して、新聞紙上で、王威さんという人は、「性が侵犯されない権利は、明らかに性別の差異によって区別されるべきではない。権利があれば、救済がなければならず、男性の正当で合法的な権利が『意思に反して』侵害されたときには、法によって、法律的な保護と救済が得られる必要がある。
 人間の心理と精神に対する『強姦』の傷は、人間の身体に対する傷よりもはるかに大きく、『強姦』された男性の心の傷は、強姦された女性に比べてまさるとも劣らないかもしれず、その人格の尊厳が受けた侮辱は、常人が想像しうるところではない。だから、男性が『強姦』されることも、同様に重大な社会的危険性を有している」と指摘しています。

 王威さんは、また、「国外では、多くの国家の刑法あるいは司法実践は、とっくに強姦における加害者と被害者の性別を強調しなくなっている。たとえば、ドイツの1975年刑法の強姦罪は、まだ『女性に強要する』ことを指していたが、1998年の新しい刑法は『他人に強要する』とだけ規定した。フランスの1994年に改正された刑法は、強姦罪の被害者を『他人』と明文で規定しており、それはすなわち男も女も含むという意味である。イタリアの現行刑法も、強姦罪の被害者を『他人』とだけ規定しており、もう性別役割を強調していない。わが国の台湾地区の『性の自主を妨害する罪の章』(9)も強姦罪の対象を『女性』から『男女』に拡充した。わが国の内地でも、現実の生活で男子が強姦される事件は、けっしてごくまれではない。それゆえ、筆者は、男性に対して強姦をする行為を犯罪と規定して取り締まり、法律的手段で男性の性の権利を保護することは、非常に必要だと考える」と述べています(10)

 今回にかぎらず、男性間の強姦事件を報じた新聞記事では、必ずさまざまな専門家が、男性間の強姦が法律的に空白になっている問題を指摘してきました(11)

 以前このブログでも触れたように、男性学研究者の方剛さんも、男性に対するセクハラの問題を取り上げています。

 広東大同弁護士事務所主任の朱永平さんによると、中国の人民代表大会や政治協商会議にも、毎年、刑法のこの点を改正する提案はポツポツ出ているそうですが、一定の勢力を形成するまでには至っていないということです。朱さんは、「これは、このような事件が結局少数であるからであり、まだ社会的な危険性が上層部と法律制定者を動かす状況にまで到達していないからだ」「中国では、法律の改正や立法は、もっと多くの有力な判例が必要だ」と述べています(12)

 ご存じのとおり、日本でも、強姦罪が適用される被害者は「女子」と規定されており(刑法177条)、その点では中国と同じです。

 1年ほど以前、日本で性暴力の問題に取り組んでいるブログ「『あなたは悪くない』別館」に、「男性サバイバーからのメッセージ」(2009年12月17日)が掲載されました。この男性サバイバーは、学校で男性教師に性暴力を受けたのに、警察には「男がそんな被害にあうわけがない」と信じてもらえず、司法関係者や援助職の人からは「男なのに情けない」「男なら平気だろう」と言われたこと、教師を訴えたら、周囲にひどい迫害をされて「オカマ、オカマ」と罵られたという経験を語っています。その後、彼は「性虐待を受けた自分は負け犬だ。強い人間になるには自分も加害するしかない」と考えて下級生に暴行しようと思ったり※、女性サバイバーを中傷したりしたとのことで、彼は、「男らしさ」の呪縛が男性被害者をも苦しめていること、自分は男性被害者にも強かん罪を適用させる運動をしているが、当の男性自身が無関心であること(分かりやすい男性差別なのに、ネットで「男性差別」と騒ぐわりに無関心)を指摘しています。

 私は上の文章を読んで、男性の性被害の問題の深刻さをはじめて知りました。男性の性被害の問題もジェンダーと深くかかわっていることも、わかりました。調べてみると、玄野武人さんのサイト「If He Is Raped」にも、「強姦罪の改正にかんする提言 ~男性性被害者の立場から~[PDF]」(2009.1.8)をはじめ、さまざまな文が掲載されています。たとえば、このサイトは、「男性の性的虐待についての『事実と偏見(神話)』」も取り上げており、その1つとして、「性虐待を受けた少年は、犠牲者がさらなる犠牲者を生みだすように、他人に対し性虐待を繰り返す」という偏見を取り上げて、「加害者のなかには過去に性虐待された体験を持つものが多いということは事実だが、男性性被害者の大半は加害をしていない。ギルガンとベッカー、ハンターの調査によると、被害に遭ったことを誰かに話していて、信じてもらえ、サポートを受けることができている場合は、加害はしないことが明らかになっている」ということを述べています(上の※に関係する問題なので、書いておきました)。玄野さんは、2001年から始まった男性サバイバーの自助グループもやっておられるようです。

 中国では、私の知る限り、男性の性被害者自身の動きはまだ見当たりませんが、日中共通の課題だと思います。

(1)“强奸”男性致人伤首追刑责」『法制晩報』2011年1月4日、「42歳男が18歳男性をレイプ『中国初の刑事責任』強姦罪は不適」サーチナ2011年1月5日。
(2)中華人民共和国刑法(中华人民共和国刑法)第236条は以下のように定めています。
 「暴力・脅迫もしくはその他の手段を用いて、女性を強姦した者は、3年以上10年以下の有期懲役に処する。
 14歳未満の幼女を姦淫した者は、強姦罪とみなし、重く処罰する。
 女性を強姦、または幼女を姦淫し、以下の情状の1つを有する者は、10年以上の有期懲役、無期懲役または死刑に処する。
 (1)女性を強姦、または幼女を姦淫し、情状が悪質である者。
 (2)多数の女性を強姦、または多数の幼女を姦淫した者。
 (3)公共の場所において公衆の面前で女性を強姦し、幼女を姦淫した者。
 (4)2人以上で輪姦した者。
 (5)被害者に重傷を負わせる、死亡させる、またはその他の重大な結果を引き起こした者。」
(3)以上は、「男性被同性强奸无法治罪 呼吁扩大强奸罪内涵」『南方日報』2011年1月6日。
(4)(1)に同じ。
(5)(3)に同じ。
(6)中華人民共和国刑法(中华人民共和国刑法)第234条は以下のように定めています。
 「故意に人の身体に傷害を負わせた者は、3年以下の有期懲役、拘留、または管制に処する。
 前項の罪を犯し、人に重傷を負わせた者は、3年以上10年以下の有期懲役に処する。人を死亡させ、または特に残忍に手段を用いて人に重傷を負わせ、または著しい身体障害を生じさせた者は、10年以上の有期懲役、無期懲役または死刑に処する。本法に別に規定されている場合は、その規定により処罰する。」
(7)中華人民共和国刑法(1979年制定、1980年施行のもの)第160条は、以下のように規定していました。
 「大勢の人を集めて殴り合い、難癖をつけて喧嘩を仕掛け騒動を起こし、女性を侮辱し、或いはその他の無頼活動をして、公共の秩序を破壊し、情状の悪い者は、7年以下の有期懲役、拘留、あるいは管制に処す。
 無頼集団の首謀者は、7年以上の有期懲役に処す。」
(8)この節は、郭曉飛「中国“同志”人群的法律环境――以案例为中心」『性別与健康[PDF]』第10期(2008年12月)9-11頁による。
(9)中華民国刑法第16章「妨害性自主罪」参照。最初の方だけ試みに訳すと――
 「第221条 男女に対して暴力・脅迫・脅し・催眠術またはその他の意志に反する方法で性交をした者は、3年以上10年以下の有期懲役に処す。
 前項の未遂犯はこれを罰す。
 第222条 前条の罪を犯し、以下の状況の1つを有する者は、7年以上の有期懲役に処す。
 一、2人以上の共同犯の者。
 二、14歳未満の男女に対してこれを犯した者。
 三、(以下略)」
(10)王威「“强奸男性被判刑”原是“标题党”」捜狐新聞2011年1月5日(来源:検察日報)、『中国婦女報」にもほぼ同文が掲載されています(王威「性权利不应因性别不同而有所差别」『中国婦女報』2011年1月6日)。
(11)(8)に同じ。
(12)(3)に同じ。

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遠山日出也

Author:遠山日出也
 検索から来られた方へ:このブログの記事を分類した一覧である「『中国女性・ジェンダーニュース+』記事総覧」を見ていただくか、下の「カテゴリー」欄を使われると、関連情報がご覧いただきやすいと思います。最近の行動派フェミニストについては、「中国の行動派フェミニスト年表、リンク集」をご覧ください。
 また、「中国女性・ジェンダー関係主要HPリスト」(リンク集)も併せてご覧いただければ幸いです。日本の問題の一部は、「ウィメンズ・アクション・ネットワーク(WAN)の労働争議・まとめ」や「館長雇止め・バックラッシュ裁判」でまとめています。
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