2017-05

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ラビア・カーディルさん、京都で講演

 10月25日、京都自由大学で、ウイグル人の人権活動家、ラビア・カーディルさんの講演がありました。

 ラビア・カーディルさんは、改革開放後、起業に成功して大富豪になり、全国政治協商会議の委員なども務めました。しかし、ウイグル人の窮状を中国政府にありのままに、率直に訴えたところ、役職を解かれました。1999年には、新聞記事をアメリカに送ろうとしただけで、「国家機密漏洩」の罪で逮捕され、投獄されました。欧米の人権団体などの力で2005年に釈放されてアメリカに行き、今は世界ウイグル会議の議長を務めておられます(詳しくは、kokさんのサイト「ラビヤ・カーディル(レビヤ・カディール) ウイグルの『母』」をご覧ください。彼女のその時々の動向については「真silkroad?」に書かれています)。

 ラビアさんは2007年にも来日していますが(その時の私の記録など)、今回は、ラビア・カーディル著(熊河浩訳、水谷尚子監修)『ウイグルの母 ラビア・カーディル自伝』(ランダムハウス講談社 2009年)出版に合わせての来日となりました。

 以下、ラビアさんのお話の大まかな内容を、私のメモから起こしてみます。ただし、なにぶん通訳を介してのお話である上に、私もすべて正確にメモできたわけではありませんので、抜けている点もありますし、不正確な点、ラビアさんのご意思とはズレた書き方になっている箇所もあると思います。とくに会場からの質問については、質問自体も、通訳を介して受けておられますので、難しさがあったと思います。

 ラビアさんも意を尽くしたお話ができる時間的余裕はなかったでしょうから、以下のお話に関心を持たれた皆様は、ぜひ上のご著書をお読みいただきたいと思います。

 当日は、まず最初にラビアさん自身が概括的なお話をされた後に、会場からの質問を受ける形で講演が進められました。

 最初の概括的なお話は、だいたい以下のような内容でした。

 今、声を出しているのは、ラビア・カーディルひとりではなく、1000万と言われるウイグル人の苦しみを伝えるものだ。

 わがウイグルが中国共産党の支配されたのは1949年で、それから60年が経った。わが国が制圧されたときは「東トルキスタン」という名前だったが、その後は「新疆ウイグル自治区」という名前になった。この60年間、ウイグル人は、「民主」や「自由」を口に出すこともできない苦しみの中で生きてきた。たとえば私の家族は、夫は9年、私は6年、2人の子どもはそれぞれ9年と7年、投獄された。東トルキスタンでは、家族から2~4人投獄されるのは、とても普通である。

 私は刑務所を出た日から、ウイグル人の苦しみを伝えるために、平和的に講演活動をしてきた。

 今日のウイグル人は自由に本を出版できないし、自由に話をすることもできない。自分の好きな詩・歌を出しても、逮捕されることがある。経済的な点では、ウイグル人には石油などの資源があるにもかかわらず、その地域で最も貧しい生活を送っている。2~3%の人は高等教育を受けているが、その他の人はあまり教育を受けていない。宗教については、最も口に出せないことである。

 9.11事件以降、それ以前からウイグルに対して同化政策をとっていた中国政府は、この事件をチャンスと捉えて、中国政府に対してモノを言うウイグル人に「テロリスト」というレッテルを貼るようになった。2008年には、裁判所の人が「1万5千人をテロリストとして逮捕した」と自分の口で言っているが、彼が言ったのは最低の数で、実際はそれより多い。

 2003年以降、母語で教育を受ける権利も奪われた。

 2006年以降は、ウイグル人の若い女性を、「貧しい生活から救う」と称して、14-25歳の未婚の女性を全体で30万人近く移住させた。娘を出したくない家族は、罰金を課されて家を奪われたり、3─6カ月、収監されたりした。

 中国政府は、一方では「ウイグル人は生活が貧しいから援助する」と言いつつ、ウイグルから石油や天然ガスを奪っている。

 中国政府は東トルキスタンに何千万もの漢人の労働者を送り込んできた。その一方で、ウイグル人はなぜ仕事が見つからずに、外に送り出されるのか? こうした点を質問すると逮捕される。

 このようなことに対してウイグル人は反発して、7月5日、平和的なデモをおこなったが、弾圧された。

 私は政府の一員として中国の言うとおりにしていれば、幸福な生活を送れたが、[民族の]苦しみを伝えるために、お話しをしている。

 以下は、質疑応答です。

─逮捕されたのはいつか?

 1999年8月6日、逮捕された。それまで全国政治協商会議の委員として、ウイグル人の状況を会議に報告していたが、無視された。そこで、ウイグルの状況を伝える[中国の地元の]新聞記事を、アメリカにいる夫に送るために集めた。外国に送るために、その新聞記事を持っていたので、逮捕された。

 6年間投獄されて、最初の2年間は真っ暗な部屋に入れられた。アムネスティなど国際社会の努力で、明かりのある部屋に移ることができた。

─獄中での生活は?

 恐ろしいものだった。もう夜になっているので、そういう恐ろしい話は、皆様にしたくない。私の本に詳しく書いてあります。

─かつての政界での地位は?

 地方の人民代表大会の議員、全国の政治協商会議の委員など、多くの政治的役職を持っていた。

─なぜ、富や名誉を手に入れたのに、こうした活動を始めたか?

 私は、当時は、ウイグル人の状況について中国政府が知らないと思っていたので、実情を伝えるために仕事をしていた。けれど、そうしたら、中国政府は私から役職を奪った。

 私のウイグルについての話を中国政府は聞かなかったので、現在は、国際社会や他の政府に訴えている。今は、[この会場で]知識人や学生に訴えている。

─いつ釈放されたか?

 2005年3月17日です。

─東トルキスタンは、侵略に対して武力を使って闘ったことは歴史的になかったのか?

 闘ってきた。1933年、カシュガルに第一次東トルキスタン共和国を作った。1944年には、第二次東トルキスタン共和国を作った。とくに第二次のときは、6万人の軍隊を作って独立した。

─新疆ウイグル自治区での核実験について

 1964年から1995年まで、49回おこなわれた。中国政府は「タクラマカン砂漠の中心でおこなった」と言うが、ウイグル人の地域なので、とても恐ろしい影響があった。詳しくは高田純教授の本を読んでほしい。私は当時は中国にいたが、「70万人死んだ」という話を聞いた。生まれた子どもにも怪しい病気が発生したが、治療も受けられない。その地域では、50歳にならないうちに、亡くなる人が多い。

─ウイグルにいるお子さんはどうしているか?

 2006年、私が国際社会にウイグル人の声を伝えるために「在米ウイグル協会」の会長になったら、5人の子どもが逮捕された。今、2人の子どもが9年と7年の刑になっているが、どのような罪に問われたのかもわからない。

 7.5以降は、子どもに強制的に私に反対する発言をさせた。家を奪われ、追放されたと聞いたが、それが私が聞いた最後の話である。

─「千人の母親運動」(ウイグル女性の起業運動。詳しくは「ラビヤと娘、アクダ RFAインタビュー」参照)について

 私自身が商売に成功した後、ほかのウイグル女性にも、ということで始めた。

 もうけのうち、30%は子どもたちのために使い、10%は民族教育のため、10%は衛生のために使おうと思った。

 しかし、禁止された。ウイグル人が一緒にやる活動だったからだ。

─日本のウイグル人は自由に発言できない。これは日本だけか?

 どこでも同じだ。もし中国政府が「〇〇さんとラビアが会った」と聞いたら、中国に残っている〇〇さんの親戚は逮捕され、刑務所に送られる。世界のどこにいても、ウイグル人に自由はない。私の平和的な活動も、中国政府に「テロリスト」として非難されている。

─もし中国共産党の人と対話の機会があったら、何を訴えるか?

 民族自決権を渡すこと。ウイグル人の文化・歴史を守るためには、民族自決権が必要だ。

─日本のマスメディアに何を求めるか?

 7.5事件で、中国はウイグルに対して厳しい弾圧をおこなった。1万の人が姿を消した。中国政府は、国際社会に「ウイグルがテロをやった」と伝えたが、もともとは平和的なデモだったのを、中国が反乱分子を混ぜ[て暴動を起こさせ]た。

 中国は国際社会の調査などを拒否し、ウイグルのインターネットも閉鎖した。事実を調査するなど、日本のマスコミはしてほしい。それから日本の政府もそうしてほしい。

 一番つらいのは、中国政府が国際的な経済力を使って、そうしたことをさせないことだ。ウイグル人の問題は、中国の国内問題ではない。日本政府も介入すべきだ。外交問題に取り入れてほしい。

 日本は経済的にとても強い力を持っている。民主主義も持っている。アジアの民主主義を発展させるために、力を入れてほしい。

─今後、中国人と共生の道はあるか?

 7月5日のデモに対して、中国人は「ウイグル人のテロリスト」と言い、中国の民族主義派はウイグル人を殺した。家の中にまで入ってきて、3歳の子どもも、数十人の中国人の民族主義派に殺された。軍隊や役人も放置し、中国人は笑って見ていた。

 こうした残虐な行為は、実は、中国政府が作り出した結果だ。

 いろいろ努力はしていて、チャンスを作って、会談などやりたい。

─7月7日の漢族の報復的な行動は非難されるべきだ。しかし、世界ウイグル会議の出した動画にも、関係がない、間違ったものがあったのは、不信感を生んだ。

 それは事実である。多くの情報が入ったので、それをそのまま流したが、関係ないものがあったので、翌日の朝、自ら発表して誤りを正した。ミスもあった。

─釈放まで耐えられたのは?

 ウイグルの苦しみは続いてきた。私は、ウイグルの民衆の涙を見ながら生活してきた。私は国民を信じ、国民は私を信じた。そのように信じることが力なった。

 ラビアさんのお話はだいたい以上のような内容でしたが、これらの話の多くは、今回の著書にもっと詳しく書かれています。

 たとえば、ごく単純な例を挙げると、核実験についても、著書では、単に「聞いた話」ではなく(70万という数字は、べつに調査した数字ではないので、正確なものではないと思う)、以下のような実体験が書かれています。

 「核実験地域を訪れると……出会った住民の五人に四人は、身体に何からの障害を抱えていた。口の周りに真っ赤な腫瘍ができている人もいれば、腕の先が欠けている人もする。目と耳がないまま生まれてきた新生児も見た。多くの人は髪の毛が抜け落ちていた。なぜ自分たちが病気のなのか、彼らにはまったく見当もつかないようだった。
 私は視察から帰ると、会議の席で、核実験の被害者に対する補償を要求した。しかしほかの代表にとって、このような考えはまったく理解しがたいものでしかなかった」(323頁)。

 ただし、このご著書は、単純に「悲惨な話」ばかりが書かれているような本ではけっしてありません。私は、ラビアさんの不屈の生き方に胸を打たれました。ラビアさんの不屈で精力的な活動ぶりは、読んでいても、息をつかせず、一気に読んでしまいました(といっても、商売さえも、あれこれと中国の役人が邪魔をするような状況はいらだたしいのですが……)。

 また、この本は、全体しては民族の問題を軸にして記述されていますが、ラビアさんが、女性の地位が低いウイグル社会の中で、自立的な生き方を求めてきた軌跡についても、リアルに書かれています。

 「千人の母親運動」についても、それを始めたきっかけは、オフィスで出会った3人の女性が夫に逃げられたために「自分の人生はもう終わった」と信じ込んでいたのに対して、「夫がいなくなったら不幸なの? あなたたちの幸せって、そんなふうに夫につながれているものだったの?」と尋ねたことであり、「千人の母親運動」は、母親たちのために会社を設立して、経済的な知識を身につけさせるものだったことが述べらています。この運動の中で、住む家を失った女性のための相談所を作ったり、女性がはっきりしゃべたり、自信を持つための訓練施設も作ったことにも触れられています(374-381頁)。

 ぜひお読みいただきたいと思います。
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ウイグル女性に対する強制中絶

 ウイグル人の人権擁護を訴え続けておられるkokさんのブログ「真silkroad?」が、今月、ウイグル女性に対する強制堕胎の問題を、連続して取り上げられました。最近起きたアルズグリさんという人のケースと、ウイグルの人権活動家・ラビア・カーディルさんの三女、レイラさんのケースです。

妊娠6カ月のウイグル人女性が中国当局による強制堕胎に直面
妊娠6カ月、アルズグリさん解放される、強制堕胎回避
レイラ・カーディルさん[ラビアさん三女]ウイグルの計画生育を語る
レイラ・カーディルさん[ラビアさん三女]ウイグルの計画生育を語る(その2)

アルズグリ・トクソンさんの場合

 ウイグル人は、農民の場合は子ども3人、都市生活者の場合は子ども2人が許されているそうです。しかし、アルズグリさんの場合、ご自分は農民でしたが、夫が都市出身だったので、身分が不明瞭だったことがトラブルの原因になりました。中国当局は、彼女を中絶させるために、4万5千元もの罰金や土地・財産の没収で脅したり、多くの警察の車を出してアルズグリさんを病院まで連れて行ったり、その際に家族を逮捕したり……という非常に強制的な方法を使いました。

 アルズグリさんは、中絶のために病院に強制収容されたのですが、国外とのコネクションがあったのでしょうか、亡命ウイグル人の活動やアメリカの下院議員、北京のアメリカ大使から要請があったために、幸い、病院から解放されました。

レイラ・カーディルさんの場合

 レイラ・カーディルさんは、お母さんのラビアさんが末の妹を妊娠したときのことや、ご自分が出産したときのことを語っておられます。

 お母さんのラビアさんが末の妹を妊娠した当時は、ウイグル人は、中国の計画生育政策にはほとんど従っていなかったそうです。ただし、ラビアさんは、当時、新疆で成功者として影響力のある女性だったので、政府はラビアさんの影響力を恐れて強制的に中絶させようとしたのですが、ラビアさんは4万5千元もの罰金を払って、末娘を出産したそうです。

 レイラさんご自身のときは、1人目の子どもを妊娠すると、当局に「仕事を始めていて、ある年齢以下ならば、子どもはまだ産めない」と言われて中絶させられます。しかし、1年もたたずに、2人目の子どもを妊娠しました。その時は、医者に「今度も中絶したらもう子供を産めなくなるかもしれない」と言われたこともあって、レイラさんは、子どもを産みたかったのですが、やはり結局、中絶に追い込まれました。

 私は、ウイグル人の状況や中国におけるリプロダクティブ・ライツについては不勉強なので、こうした記事から読み取るべき情報が十分読み取れていないと思います。ですから、できれば原文を参照してください。しかし、私が読むのはどうしても中国国内の文献が中心になりがちですから、こうした記事は貴重なものだと感じます。中絶の問題に関してもアメリカでは亡命ウイグル人の活動があるらしきことも、はじめて知りました。

 なお、チベット女性に対する強制中絶などに関しては、ダライ・ラマ法王日本代表部事務所のHPに「産児制限と中絶・不妊手術の強制」というページがあります。また、英語ですが、チベット女性協会(Tibetan Women's Association)のHPに、同協会が国連の女性差別撤廃委員会に出したオルタナティブ・レポート(NGO Alternative Report on the status of Tibetan Women)が収録されており、その中に、VIOLENCE AGAINST TIBETAN WOMEN(女性に対する暴力)のB. Reproductive Rights Violations(リプロダクティブ・ライツの侵害)として、1. Forced or Coerced Sterilization(強制的な不妊手術)、2. Forced or Coerced Abortion(強制的な妊娠中絶)、3. Eugenics(優生学)、4. Monitoring of Reproductive Cycles(生殖周期の監視)について、それぞれ述べられています。

唯色さんのブログ、追記

 昨日、唯色さんのブログに掲載されていた、夫の王力雄さんら中国の知識人30人のチベット問題に対する意見を転載します(適宜、日本字に置き換えています)。転載は好ましくないことですし、中国語のままですが、その内容を簡単に日本語で付記したうえで、とりあえず掲載しておきました。

 かなり慎重に書かれていますが、今までの情報から確実に言えることを述べたものであり、練り上げられた意見だと思います。

中国部分知識分子関于処理西藏局勢的十二点意見
Submitted by woeser on 2008, March 22, 2:52 PM. 転載·王力雄

1. 当前中国官方媒体的単方面宣伝方式,具有煽動民族仇恨和加劇局勢緊張的効果,対維護国家統一的長遠目標非常有害,我們呼吁停止這種宣伝。(中国当局は一方的な宣伝をやめよ)

2. 我們支持达頼喇嘛的和平呼吁,希望遵循善意、和平与非暴力的原則妥善処理民族争端;我們譴責任何針対无辜平民的暴力行為,強烈敦促中国政府停止暴力行為,呼吁藏族民众也不進行暴力活動。(平和と非暴力の原則を主張するダライラマの呼びかけを支持する。無辜の平民に対するいかなる暴力的行為も譴責する。中国政府に暴力的行為を停止するよう強く促し、チベット族の民衆にも暴力的行為をしないように呼びかける)

3. 中国政府宣称“有足[句多]証据這是达頼集団有組織、有預謀、精心策划的”事件,我們希望政府出示証据,并建議政府邀請聯合国人権理事会対証据和事件過程、傷亡人数等進行独立調査,以改変国際社会的相反看法和不信任心態。(政府は「ダライ集団の策謀」と言っているが、その証拠を示してほしい。国連の人権理事会の独立した調査が必要)

4. 我們認為類似西藏地区中共領導人所説“达頼是一只披着袈裟的豺狼、人面獣心的悪魔”那類文革語言無助于事態的平息,也不利于中国政府的形象。我們認為致力于融入国際社会的中国政府,応該展示出符合現代文明的執政風貌。(中共の指導者が「ダライは袈裟をかぶった獣、人面獣心の悪魔」と言うのは、文革の時のようで、中国政府のイメージを悪くする)

5. 我們注意到,拉薩発生暴力行為的当天(3月14日),西藏自治区負責人就宣布“有足[句多]証据這是达頼集団有組織、有預謀、精心策划的”,這説明西藏当局早知道暴乱即将発生,然而却没有有效阻止事態発生和拡大,這其中是否存在瀆職,応該進行厳粛的調査処置。(ラサで暴動が起きた当日に、チベット自治区の責任者が「ダライ集団の陰謀の証拠がある」と述べたが、これはチベット当局が暴乱が起きることを知っていたにもかかわらず、事態の発生と拡大を阻止しなかったということになる。調査して処置せよ)

6. 如果最終不能証明此次事件是有組織、有預謀、精心策划的,而是一場被激起的“民変”,則応該追究激起民変并且捏造虚假情報蒙騙中央和国民的責任者,認真反省教訓,総結経験,避免今后重蹈覆轍。(もしも陰謀であることが証明できず、民変(民間の暴動・蜂起)であることがわかったならば、民変を引き起こし、中央と国民を騙した責任者を追及すべきだ)

7. 我們烈要求不対藏族民众搞人人過関和秋后算賬,対被逮捕者的審判必須遵循公開、公正、透明的司法程序,以达到各方面心服口服的效果。(チベット族の民衆の態度を審査したり後で責任を追及したりすることには反対。逮捕者にも公開の公正な司法手続きが必要)

8. 我們敦促中国政府允許有公信力的国内外媒体進入藏区進行独立的采訪報道。我們認為,目前的這種新聞封鎖,无法取信于国民和国際社会,也有損中国政府的誠信。如果政府掌握真相,就不怕百般挑剔。只有采取開放姿態,才能紐転目前国際社会対我国政府的不信任。(国内外のメディアがチベットの取材をすることを許可せよ)

9. 我們呼吁中国民众和海外華人保持冷静和寛容,進行深入的思考。激烈的民族主義姿態只能招致国際社会的反感,有損于中国的国際形象。(中国の民衆と国外の中国人には冷静と寛容さが必要。激烈な民族主義は国際的な反感を買う)

10. 1980年代的西藏動蕩局限于拉薩,這次却拡大到藏区各地,這種情况的悪化反応出西藏工作存在厳重失誤,有関部門必須痛加反省,从根本上改変失敗的民族政策。(1980年代はラサだけだったのが、今回は各地に広がった。チベット政策の失敗だ。根本的に民族政策を改める必要がある)

11. 為了避免今后発生類似事件,政府必須遵守中国憲法中明列的宗教信仰自由和言論自由的権利,譲藏族民众充分表达他們的不満和希望,譲各民族国民自由地表达対政府民族政策的批評和建議。(今後似たような事件が起きることを避けるために、政府は、宗教信仰と言論の自由を保障し、チベット族に不満や希望を十分に表明させ、各民族が自由に政府の民族政策に対する批判や提案を出すことができるようにすべき)

12. 我們認為,必須消除民族仇恨,実現民族和解,而不是継続拡大民族之間的分裂。一个国家避免領土分裂,首先在于避免民族之間的分裂。故而,我們呼吁国家領導人直接与达頼喇嘛対話。我們希望漢藏人民消除誤解,開展交流,実現,無論是政府部門,還是民間組織和宗教人士,都応該為此做出努力。(民族の和解を実現するために、国家の指導者とダライラマとの直接対話を呼びかける。政府だけでなく、民間組織や宗教者も努力が必要)

2008年3月22日

簽名人:
王力雄(北京 作家) 劉曉波(北京 自由撰稿人) 張祖樺(北京 憲政学者) 沙葉新(上海 作家 回族) 于浩成(北京 法学家) 丁子霖(北京 教授) 蒋培坤(北京 教授) 余杰(北京 作家) 孫文広(山東 教授) 冉雲飛(四川 編輯 土家族) 浦志強(北京 律師) 滕彪(北京 律師 学者) 廖亦武(四川 作家) 江棋生(北京 学者) 張先玲(北京 工程師) 徐珏(北京 研究員) 李駿(甘粛 撮影師) 高瑜(北京 記者) 王邦(北京 自由撰稿人) 趙達功(深圳 自由撰稿人) 蒋亶文(上海 作家) 劉毅(甘粛 画家) 許睴(北京 作家) 王天成(北京 学者) 温克堅(杭州 自由職業)  李海(北京 自由撰稿人) 田永(内蒙古 民間維権人士) 昝愛宗(杭州 記者) 劉逸明(湖北 自由撰稿人) 劉荻(北京 自由職業) (*律師=弁護士、自由撰稿人=フリーライター)

 なお、ブログ「美しい壷日記」さんの管理人の日記に、2分でできるチベットとダライ・ラマを支援するネット署名という記事が掲載されていました(もっと時間をかければ、丁寧に自分の意見を書くことも可能です)。中国政府宛と日本の外務省宛がそれぞれ一通ずつです。私もやりました。

チベット女性作家・唯色さんのブログ

 チベット人の女性作家唯色さんのブログが、このところ連日、今回のチベットの事態を取り上げています。昨日も、唯色さんのブログは、広東で働いているチベット族の人が中国共産党と政府に向けて出した、言論の封殺を批判し、チベット民族の信仰やその指導者を尊重するよう訴える公開の手紙を転載しています(一個蔵人給党中央・国務院的一封公開信)。

 これまでの記事も、転載が主ですが、いずれも党や政府に対して批判的なものです。たとえば――
呼喚民族間的理解与包容(3月19日)
蔵人為何要抗議?――也談西蔵問題(3月19日)
藏人大学生游行、静坐,呼吁当局停止殺戮(3月18日)
安多阿◇藏人被槍殺(3月18日)
通過強奸建立的親族関係(3月17日)
“政治花瓶”的聚会(3月14日)←全人代と全国政協のこと

 また、彼女がまとめた「西藏各地2008年3月10日之后大事記・最新動態(随時更新)」も、貴重です。

 このブログや唯色さんが今後も無事かどうか、少し心配です。実際、唯色さんのブログは今までに何度も当局に閉鎖されたことがあります(中国:チベット人作家、ブログが強制閉鎖される)。

 また、2003年に出版された唯色さんの著作『チベットノート(西蔵筆記)』は、「ダライラマを崇拝・宣揚している」などの理由で発売禁止になり、彼女は、仕事と住居を奪われ、チベットを追われました(現在は北京在住だと思う)。この事件については、彼女の夫である作家の王力雄さんが論評していますが、それを日本のブログ「思いつくまま」さんが翻訳してくださっています。
王力雄:チベットの直面する二つの帝国主義――唯色事件透視(1)
王力雄:チベットの直面する二つの帝国主義――唯色事件透視(2)
王力雄:チベットの直面する二つの帝国主義――唯色事件透視(3)
王力雄:チベットの直面する二つの帝国主義――唯色事件透視(4)

台湾女性研究4月論壇

台湾女性研究4月論壇(フォーラム)のお知らせ

 当日の開始時刻と報告者を変更しました(3月26日)

 今回は、下記のように「台湾原住民(先住民)」の研究者をお迎えし、原住民女性をとりまく現状についてご報告いただく予定です。時間の関係で、当日の報告には通訳はつきませんが、報告内容は日本語に翻訳して当日配布いたしますし、解説・コメンテーターの発言も日本語で行います(関西中国女性史研究会より)。

日時:2008年4月5日(土)14:00~17:30(受付13:30~)13:30~18:00
会場:関西学院大学梅田キャンパス「アプローズタワー14階 1408号教室(決定)」。(阪急梅田茶屋町口から北へすぐ、ホテル阪急インターナショナルや梅田芸術劇場が入っているビル)地図 TEL 06-6485-5611

(追加)報告Ⅰ講師:李玉珍(清華大学中文系副教授)
 テーマ:「出家入世―台灣佛教女性僧侶生涯之變遷」
 解説・コメンテーター:成田靜香(関西学院大学文学部教授)


報告Ⅱ「部落與都會之間――台灣原住民婦女二個世代經濟活動的轉化」
 講師:頼淑娟(東華大学民族文化系助理教授)
 解説・コメンテーター:野村鮎子(奈良女子大学文学部教授)


付記:最近、関西中国女性史研究会の森岡ゆかりさんが、次の論文を翻訳なさったそうです。
汪明輝著、森岡ゆかり訳「台湾原住民族運動の回顧と展望」『南方文化』第34輯(2007年12月)129-169頁

チベット女性の状況

 今回のチベットの事態に対して、チベット女性協会(Tibetan Women's Association)も、中国政府の武力弾圧に抗議する「緊急声明」を出しました(Urgent Statement from TWA)。

 チベット女性協会とは、1959年3月にチベット蜂起が起きた時に結成され、1984年に亡命チベット女性によって活動を再開した団体です。現在はインドやネパールに支部があるようです。

 上の緊急声明は女性問題にはとくに触れていませんが、2006年にチベット女性協会が出したレポートは、チベット女性に対する人権侵害について詳しく書いています(NGO Alternative Report on the Status of Tibetan Women)。このレポートは、国連の女性差別撤廃委員会が中国政府のレポートを2006年8月に審議した際に提出したオルタナティブレポートで、以下のような内容です。

 <構成>
序言
 A.本レポートの目的
 B.チベット女性協会──プロフィール
 C.チベット女性の政綱
レポートの概要
チベット女性に対する暴力
 A.拷問
 B.リプロダクティブ・ライツの侵害
  1.強制または強要された不妊手術
  2.強制された強要された妊娠中絶
  3.優生学
  4.生殖周期の監視
チベット女性と雇用
チベット女性と健康
チベット女児と教育
チベット女性と人権
 A.人口移動
 B.宗教迫害
 C.売春
国際社会への勧告

 内容をかいつまんで紹介すると(ざっと見ただけなので、あまり正確でないと思いますが)、「チベット女性に対する暴力」の節では、中国政府の抑圧に反対する活動では尼僧も活躍してきたこと、そのためチベットの女性政治犯には尼僧が多く、彼女たちに対してはしばしば拷問(とくに性的拷問)がおこなわれていることを告発しています。また、チベットの国土は広大で人口問題がないにもかかわらず、産児制限が強要されていること、不妊手術や妊娠中絶がしばしば危険な方法でおこなわれていることを批判しています。また、女性の生殖周期が監視されており、この点もプライバシー侵害で、女性に対する暴力であることを指摘しています。

 「チベット女性と雇用」の節では、チベットへの漢民族の移住を進めたためにチベット人の失業率が増大していることや、中国語を話せなければ仕事にありつけないことを述べています。また、雇用においてチベット女性は、漢民族男性、漢民族女性、チベット男性の下の最底辺に位置づけられていることやセクハラを受けていることも述べています。

 「チベット女性と健康」の節では、多くのチベット女性にとって医療は、手が届かないか、高価すぎるものであることを述べています。また、刑務所では月経を処置するための綿も与えられないことにも言及しています。チベットでは妊産婦死亡率(妊産婦10万人あたりの死亡者数)が20であり、中国の他地域は6であるのに比べてずっと高いことも指摘されています。

 「チベット女児と教育」の節では、チベットの女児の就学率は全国最低であること、33%の子どもはまったく教育を受けていないこと(全国では1.5%)。学校は親からさまざまな経費を徴収しており、農村部ではそれらを支払えないことが述べてあります。また、多くの子どもは家ではチベット語で育てられているにもかかわらず、ほとんどの学校(とくに中等学校以上)では中国語が使われており、そのこともチベットの子どもの教育の妨げになっていると指摘しています。子どもたちはチベットの文化遺産については教えられず、1996年の中国政府の「取り締まり強化(厳打)」キャンペーン以降は、修道院や尼寺での教育も禁止されたといいます。多くの親が、子どもをチベットからヒマラヤを越えて逃亡させようと試みているそうですが、それには多くの危険(寒さ、食物の不足、警官による強姦など)があることも述べています。

 「チベット女性と人権」の箇所では、チベットへの漢民族の移民が大規模に進行していること(世界銀行が漢民族の移住のためのプロジェクトに資金を提供しようとしたが、国際的な訴えによってその方針を変更したことにも触れている)、1996年の「取り締まり強化」キャンペーンによってチベット人が宗教儀式をするのを禁止され、多くの僧や尼僧が逮捕されたことを述べています。また、経済的な苦難や差別のために売春に追いやられるチベット女性(田舎、とくにチベット東部のカム地方出身の人が多い)が増加していること、それに対して中国政府はほとんど手を打っていないことも述べてあります。

 上のオルタナティブレポートを受けてのことだと思いますが、国連の女性差別撤廃委員会も、中国に対する最終コメントで以下のような点を指摘し、是正するように勧告しました([英語]Concluding comments of the Committee on the Elimination of Discrimination against Women│[中国語]消除対婦女歧視委員会結論意見:中国←開けないときはここからChinaのConcluding CommentsのChineseを開いてください)(いずれもPDFファイル)
 ・まず、女性に対する暴力について述べたパラグラフ21で、「[女性差別撤廃]委員会は、特にチベットでは、拘留所で女性が暴力的侵害を受けていると報じられていることを憂慮する」と述べています。
 ・また、農村の問題について述べたパラグラフ27では、「[女性差別撤廃]委員会は、農村の女性が教育・保健・就労・指導的業務への参与、土地財産などの面で不利な地位に置かれていることに注目する。委員会はまた、チベット女性を含めた、農村の少数民族の女性の情況を憂慮する。彼女たちはジェンダー的、民族的、文化的背景と社会経済的地位にもとづく複合的な差別に直面している」と述べています。
 ・人口抑制について述べたパラグラフ32では、中国政府が「地方の産児制限の官吏による少数民族に対する虐待と暴力(強制的な不妊手術と強制的な妊娠中絶を含む)の報告を調査し、起訴する」ように求めています。

 チベット女性の被抑圧的状況について日本語で読めるネット上の文章としては、以下の2つがあるようです。
 ○ダライラマ法王日本代表部事務所が作成したチベットの人権問題特集。とくにその中の女性の権利のページ産児制限と中絶・不妊手術の強制のページ
 ○2000年の女性国際戦犯法廷の一環として開かれた現代の紛争下の女性に対する犯罪国際公聴会でのチベット女性の証言。この証言も、チベット女性協会が提供したものです。女性政治犯の証言を中心に書かれています。

 以上で挙げたチベット側の文書は、全体としてチベット女性の問題を中国政府による民族的支配と結びつけて論じている傾向が強いと思います。この点は、文書を作成した団体の性格を反映している面もあると思いますが、それだけでなく、チベット女性にとっては何より民族的な抑圧が深刻であり、女性に対する抑圧もしばしば民族に対する抑圧と結びついている現実を反映している面もあるでしょう。

 また、オルタナティブレポートは、雇用差別の問題を述べた箇所などを読むと、必ずしもチベット女性の問題を単純に民族的抑圧に還元しているとも言い切れません。その点は、国連の女性差別撤廃委員会が「ジェンダー的、民族的、文化的背景と社会経済的地位にもとづく複合的な差別」という認識を示したことにも反映していると思います。

 今回のチベットの事態に関しては、チベット・サポート・ネットワーク・ジャパン(Free Tibetに向けて、チベットのサポート活動をおこなっている日本中のグループの相互連絡のための団体)のサイトで、いつくかのアクションが提起されています。ブログでは、ちべろぐ@うらるんたが逐次情報を伝えているようです。私も、なんらかの、より直接的な意思表示もしていきます。

ラビア・カーディルさんについての私の投書が『毎日新聞』に掲載

 1月17日付『毎日新聞』(大阪本社発行)に、以下の私の投書が掲載されました。


ウイグル族活動家の講演に思う
 非常勤講師 遠山日出也47(滋賀県草津市)

 アムネスティの招きで昨年来日した中国の少数民族ウイグル族の人権活動家、ラビア・カーディルさん(米国在住)の講演を聞いた。彼女は、ウイグル族に対する差別を批判する活動をしたため、中国当局に投獄されていた人である。
 講演で、独自の文化と宗教を持った民族が、当局の圧政によってそれらを奪われてきた歴史を語った。1万人以上による平和的デモも軍隊に鎮圧されたという。ウイグル地区では度々核実験が行われ、多くの死者が出たり、出生児の異常も多いそうだ。最近は、米国の「テロとの戦い」に便乗して、中国もウイグルの活動家に対して「テロリスト」というレッテルを貼って弾圧しているという。
 彼女は、6年間の獄中生活のうち2年間、真っ暗闇の部屋に入れられた。その時「この世に民主主義は存在しない」と思ったが、国際世論や欧米の政府の圧力で釈放され考えが変わったという。日本でも世論を高め、中国当局に政策を変えさせる必要があるだろう。


 新聞の投書は字数の制約がきつく、私の上の投書は、意を尽くせていない箇所、舌足らずになっている箇所もあります。この点は、短くまとめるためにはやむをえなかった面もありますが、この問題で文章を書くには、私はまだまだ勉強不足だという面もあります。的確に短くまとめるためにも、私ももっと勉強しなければならないと思いました。

 なお、先日も報告したように、当日の講演については、私はインターネット新聞JANJANに原稿を掲載しており、こちらの記事の方が詳しく、より正確ですので、まだお読みになっていない方は、よろしければ、こちらもお読みいただければ幸いです(この記事は、JANJANの12月の編集委員選賞もいただきました)。
「ウイグルの人権活動家 日本に訴え」

 また、ラビア・カーディルさんやウイグル問題についての詳細は、水谷尚子『中国を追われたウイグル人』(文春新書 2007年)のほか、以下の各サイトをご覧ください。
「ラビヤ・カーディル ウイグルの『母』」
「真silkroad?」
「東トルキスタンに平和と自由を」
世界ウイグル会議(ラビア・カーディル議長)(ウイグル・英・独・中・日の各国語版あり)

ウイグルの人権活動家・ラビア・カーディルさんの講演、インターネット新聞JanJanに掲載

 先日来このブログで2回にわたって取り上げた(ウイグルの人権活動家、ラビア・カーディルさんが来月、日本各地で講演」「ウイグルの人権活動家・ラビア・カーディルさん大阪で講演」)、ラビア・カーディルさんの講演について、インターネット新聞JanJanに投稿したところ、以下のような形で掲載されました。
 ウイグルの人権活動家・日本に訴え

 先日の報告とそれほど大きく変わっていませんが、より正確なものにしたうえで、私のコメントも若干書き加えました。もしよろしければ、記事の末尾の「この記事が気に入ったらクリック」を押してくださるとうれしいです。

 投稿が少し遅なったのは、新聞や雑誌にも投稿したので二重投稿にならないようにしたためですが、新聞や雑誌には掲載されませんでした。やはり新聞などは、世の中の話題になっているテーマ(≒その新聞が大きく取り上げたこと)か、身近な話題についての投書でないと、なかなか採用しないようです。

 また、これは今回の投書の採否には直接関係ないことかもしれませんが、ウイグル問題について初心者の私のような者が、ラビア・カーディルさんの講演だけをもとにして文章を書くと、どうしても「ラビアさんは~~と言っていた」「~~とのことだ」「~~だそうだ」という伝聞的な書き方になってしまうので、第三者に対しては若干、説得力が弱い文章になってしまう感じがしました。

 もちろん私自身は、ラビア・カーデイルさんの今回のお話は、すべてが正確ではないにせよ、さまざまな意味で信憑性が強いと思います。しかし、私はウイグル問題についてまだまだ不勉強ですし、それに対して日本が何ができるのかという点についても十分考えることができていません。今後、自分自身でさらに勉強し、少しは研究もしなければならないと思います。

 なお、先日、寺町みどりさんらが呼びかけておられた「国立女性教育会館の単独存続を求める申し入れ書」は、自治体議員59名/市民団体43団体/市民306名で提出なさったようです(呼びかけ人の寺町みどりさんのブログより)。

ウイグルの人権活動家・ラビア・カーディルさん大阪で講演

 先日私のブログで述べた、ウイグルの人権活動家のラビア・カーディルさんの大阪での講演会に、昨日、行ってきました。

 会場には、満員の50人以上の方が詰め掛けており、椅子が足りなくなるほどでした。
 ラビア・カーディルさんは、張りのある大きな声で話され、その講演はたいへん迫力のあるものでした。獄中ある子どもたちのことを語った際には、涙も流しておられました。
 以下、だいたいの内容を紹介しますが、メモに頼って書いたので、不正確な部分もあることをご了承ください。

 私の祖国の本来の名前は東トルキスタン。1949年にトルキスタンは、ソ連と中国に分割され、それ以来、私たちは50年以上、中国共産党の侵略の下で暮らしています。チベットとは地理的にも続いていますが、その運命も同じです。西トルキスタンはソ連が解体したときに独立しましたが、東トルキスタンは、まだ中国の一部です。
 私たちには、自分たちの歴史、言語、文化があります。中国とはつながりがありません。本来なら、自分たちの祖国や文化、言語を持てるはずです。

 中国が侵略してきたとき、現地の漢族は、軍人と軍人の家族だけで、人口全体の2%程度にすぎませんでしたが、「新疆ウイグル自治区」を立ち上げました。
 1954年に、まずウイグルの中の金持ちが、「西洋主義(?)」というレッテルを貼られて逮捕されました。1957年には、知識人や宗教家が「民族主義」というレッテルを貼られて逮捕されました。1966年と68年には、ウイグルで役職を持っている人が取り締まられました。

 自分の家庭に起こったことをお話しします。私はアルタイの商人の家庭で生まれ、幸せで平和な暮らしをしていました。しかし、だんだん平和な暮らしでなくなっていきました。
 まず、集中的に住んでいたウイグル人を分散させる政策が取られました。毎日のようにトラックが来て、近所の人をあちこちに連れて行くのです。私の家の前にもトラックが来ました。どこに行くのかや、何のために行くのかということも知らされませんでした。こうして私たちは、タクラマカン砂漠の中のアクスという町に移住させられました。
 当時私は13歳でしたが、教育の場も、近所の人も、故郷も失いました。

 その後いろいろありましたが、1978年以降、改革開放政策がはじまり、私は商売を始めました。中国共産党の侵略の結果、ウイグル人は、経済力も、教育も、独自の文化も、宗教的な価値観も奪われました。
 私の商売は成功し、中国の十大富豪の中の七番目にまでなりました。そこで、私はそのお金で学校を開き、奨学金も出して、ウイグル人の教育や文化のために努力しました。
 次に、私は政治の世界に入りました。自治区や全国の政治協商会議の委員になって、トウ小平や江沢民の前でも演説して、教育や経済、文化の面での民族の平等を訴えました。当時、私は、北京がウイグルの現地の状況を知らないことに問題があるのだと考えていたのです。

 しかし、ソ連が崩壊した時にウイグルの親戚の民族が次々に独立したことに危機感を抱いた中国は、そのころ、むしろ体制を厳しくしたのです。
 1997年にグルジャという町で、1万人を越す人がデモをしました。手に武器を持っていた人はおらず、平和的なデモでした。しかし、中国は軍隊で鎮圧しました。現場で407人の人が殺され、逮捕された人は6万人を越えました(デモに行った人の親戚や友人まで逮捕したのです)。行方不明の人は8000人を越えます。
 それからしばらく経って、トラックで引き回したうえでの、公開処刑がおこなわれました。
 当時、国際社会は何もしてくれませんでした。

 2003年には、ウイグル人が教育の場で、ウイグル語を使うことが禁止されました。
 2006(2000?)年からは、7-16歳の子どもたちが一年に数千人、内陸の方に連れて行かれて教育を受けさせられています。なぜ、自分たちが、自分の故郷で、自分たちの言語で教育をできないのでしょうか?
 1987年以降は、計画出産によって、人口が減らされました。その一方で、ウイグルには大量の漢人が移住しているのです。これは、民族を消滅させる政策です。

 2006年6月からは、ウイグル族の各家庭の娘を、内地に労働に行かせる政策が取られるようになりました。「就職させる」という名目なのですが、数百万人の漢人がこちらに来て就職しているのに、なぜなのでしょうか? はじめは「16歳から25歳までのきれいな娘」という条件でしたが、きれいな娘がいなくなったからでしょうか、最近は「きれいな」という条件を外しました。政府が発表した数字でも、1年間にカシュガルだけで24万人を行かせたそうです。娘を行かせないと取り締まられます。

 また、ウイグルでは核実験が45回以上おこなわれました。すぐ近くに人が住んでいる場所でするので、多くの人が死に、出生児の異常も多いです。政府の内部資料でも70万人の人が命を落としたということです。

 ウイグル自治区は、中国で唯一、政治犯を死刑に処している地区です。2004年9月14日に現地の政府のトップ・王楽泉が「2004年1-7月に、22の組織のメンバー55人を死刑にした」と言いました。
 最近は、私たちは「テロリスト」というレッテルを貼られるようになりました。

 私が逮捕されて6年間監獄にいました。2年間は真っ暗な部屋で過ごしました。当時は「民主はこの世の中に存在しない」と思ってきましたが、アムネスティをはじめとする国際組織の力で釈放されて、少し考えが変わりました。
 しかし、私が中国に残してきた5人の子どものうち、2人の子どもは9年の懲役、1人の子どもには7年の懲役に処せられました。他の子どもや孫も監視下に置かれています。
 オリンピックを控えて内情を知られるのを恐れるからか、今年5月から、ウイグル人のパスポートは強制的に回収され、国外に出さないようにされています。

 ウイグルは資源が豊富で、天然ガスや石油が出ます。しかし、わが祖国の資源は、剥奪されています。農民の土地も、内地から来た人に奪われています。

 私は訴え続けて、国際社会を動かします。
 日本になぜ来たか? 日本には親密感を抱いていますし、日本はアジアで唯一民主主義が進んだ国です。行政に圧力をかけてもらいたい。アジアにおける人権・民主のため、日本が先頭に立って何とかしてほしい。
 この21世紀は人権問題が重視される世紀です。アメリカ・ヨーロッパではかなり反対をおこなっている。皆さんを通じて、行政に圧力をかけてほしい。

 以上がラビア・カーディルさんの講演の大まかな内容ですが、グルジャでのデモと核実験については、水谷尚子『中国を追われたウイグル人』(文春新書 2007年)の第三章「イリ事件を語る」と第四章「シルクロードに散布された『死の灰』」に、それぞれ詳しく書かれています。

 また、若い女性が就労のために連れ出される問題については、世界ウイグル会議のサイト(日本語版が最近出来ました)に日本の各新聞の記事が紹介してあり、とくに朝日新聞と産経新聞に、以下のように詳しく書かれています。
 「カーディルさんの説明では、自治区政府は、06年から就職あっせんとして、ウイグル人の未婚女性を山東省などの都市に派遣し始めた。派遣先の縫製工場やナイトクラブなどでは外出が禁止され、月給は約束の4分の1しか払われない。今年7月には自治区内で、娘の返還を求める親らのデモがあったという。
 中国国内のウイグル人は約840万人。カーディルさんは、働きに出たウイグル女性と漢族男性の結婚が増える可能性も指摘し、『漢民族に同化させ、民族を消す手段。弾圧が一歩進んだ』と強く批判した。」(『朝日新聞』2007年11月9日)
 「昨年だけでも合計24万人の女性のウイグル女性が北京・天津・青島などの都市になかば強制的に移住させられ、苛酷で安価な工場労働などに就かされているという。ウイグル人口を減らし、漢民族の女性不足をおぎなう冷酷な政策の一環として、総計40万人のウイグル女性を移住させる計画だとされる。」(『産経新聞』2007年11月11日)。

 私は、日本は、欧米に比べて、こうした国内外の少数民族の人権のための運動も弱いように思います。
 上で簡単に紹介したラビアさんのお話からわかるように、これは、きわめて深刻な問題です。中国国内で少数民族の人権のための運動をすることは、今は不可能に近いのですから、国際世論などの力で圧力を掛けるしかないと思います。もちろん、日本の対外援助にも民衆の視点やジェンダーの視点だけでなく、こうした少数民族の視点も必要でしょう。

 昨日の講演会では、中国政府への抗議はがきなども配布され、さっそく私も書きましたが、今後ともこうした問題に関心を払うとともに、できることをやっていきたいと思います。

[追記]
 コメント欄でお知らせいただいた「東トルキスタンに平和と自由を…」のサイトに、東京講演の報告が掲載されています。大阪講演では話されなかったことや、私がきちんとメモできなかったことも書かれていますので、こちらもご覧ください。
 ウイグル女性の域外就労問題に関しても、このサイトが産経新聞の詳しい記事を紹介していらっしゃいます(「ウイグル女性の強制移住」)

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遠山日出也

Author:遠山日出也
 検索から来られた方へ:このブログの記事を分類した一覧である「『中国女性・ジェンダーニュース+』記事総覧」を見ていただくか、下の「カテゴリー」欄を使われると、関連情報がご覧いただきやすいと思います。最近の行動派フェミニストについては、「中国の行動派フェミニスト年表、リンク集」をご覧ください。
 また、「中国女性・ジェンダー関係主要HPリスト」(リンク集)も併せてご覧いただければ幸いです。日本の問題の一部は、「ウィメンズ・アクション・ネットワーク(WAN)の労働争議・まとめ」や「館長雇止め・バックラッシュ裁判」でまとめています。
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