2017-03

[日本] 第4回「なんで有期雇用なん!?」集会――阪大での先駆的な矢崎闘争と今日の阪大

さる2月2日に大阪大学でおこなわれた「【第4回「なんで有期雇用なん!?」集会】 つなげよう首を!~3年&5年の壁をぶち壊せ!~」に行ってきた。

この集会は、2010年から毎年おこなわれているもので、大学の非常勤教職員の不当な雇止めに反対する集会だ。仕事はずっとあるにもかかわらず、「3年」とか「5年」という期限を決めて人を雇うという「有期雇用」自体に対して闘っている。集会の実行委員会には、ツイッターアカウントもある。

大阪大学(阪大)には、約20年前、「矢崎闘争」という有期雇用に関する先駆的な闘いがあった。今回の集会で最初におこなわれたのは、その矢崎闘争のシンポジウムだった。

矢崎闘争というのは、阪大の付属図書館の定員外職員*だった矢崎邦子さんが、「3年で首切り」という新たに導入されたルール――その裏には文部省の方針があった――によって1984年に解雇されたこと対する闘いだ(*定員外職員:国の定員削減政策によって増加した、国家公務員法も労基法も適用されない無権利な職員)。

矢崎さんは、まず、教職員組合の支持の下に、就労闘争(出勤して働き続ける意思を示すこと)をおこなった。しかし、当局が「学外で再就職をあっせんする」と提案すると、教職員組合は、矛を収めてしまう。そこで、矢崎さんは、1985年、国を相手取って裁判を起こし、1994年に最高裁が矢崎さんの上告を棄却するまで闘い続けた。

配布された年表を見ると、裁判では通算して二十数回もの公判がおこなわれている。さらに、矢崎さんの裁判を支援する会は、10年間にわたって、数十回の学習討論集会や決起集会、各所への抗議・要請行動、デモを繰り広げており、そのいくつかは全国的な位置づけでおこなわれている。

こうした闘いの結果、それまで労働法の枠外に置かれてきた非常勤公務員に関して、最高裁は初めて、継続雇用の「期待権」について、国家賠償法にもとづく損害賠償請求を認めた判決を出した。最高裁は、矢崎さん本人のケースに関してはそれを適用しなかったので、結果的には敗訴になったが、この判例もとづいて、近年も中野区非常勤保育士解雇事件の判決などで損害賠償が勝ち取られてきたという(参考:「中野区非常勤保育士解雇事件控訴審で一審をさらに大きく上回る勝利判決」しいの木法律義務所・業務日誌2007年11月28日)。

当日配布されたレジュメには、矢崎闘争の意義について、「全国で闘われている臨職闘争の一翼を担い、日本の労働組合運動(非正規差別、企業内組合主義、女性差別など)が欠落されてきた諸問題と闘い抜く先進的な役割を担った」とある。

恥ずかしながら、私は矢崎闘争については、この日、初めて知った。それでつい長々と書いてしまったのだが、今日につながるような、こういう闘いについては、さまざまな場で、もっと歴史的事実として大きく取り上げていくべきではないかと思った。現状では、日本史という枠組みではおろか、女性史としても、労働(運動)史としても、こうした闘いがちゃんと記述されていない(ように思う)のは、おかしいと感じる。

この日の集会では、大阪大学が、非常勤講師に対して、この4月から、1年契約の更新上限を5年とすることを事前説明もなく、一方的に通告してきたことが問題にされた。職員についても、最長雇用年数をこれまでの6年から5年に縮めようとしているという。これらは、今年4月から施行される改正労働契約法が、有期雇用を更新して通算5年を超えた場合、労働者の申込みによって期限の定めのない雇用にすることを義務づけたのを逃れようとするための、悪質なやり方だ。また、阪大では、2004年に法人化される以前から働き続けてきた長期非常勤職員についても、これまでは「当分の間更新、可能年数に制限を設けない」として雇用を継続してきたのに、2009年に突然、2015年で辞めるように言ってきたという。

大阪大学は、全国の大学の中で、「規制緩和」の最先端を走っているという。今後、こうしたやり方は他の大学にも波及していく可能性も高い。

それと、今回驚いたのは、大阪大学のキャンパスには、まったく立看がなかったことだ。阪大には「大学の許可なしに立看や掲示板を立ててはならない」という非常識なルールがあるという。こんなやり方は、大学内の矛盾を見えなくさせて、陰で矛盾を拡大させるだけだろう。こうした場で学問や教育をおこなうことは、有為な人材を社会に送り出すうえでも、生きた学問を発展させるうえでも、有害無益でしかないと思う。大阪大学は「規制緩和」の最先端を走っていながら(走っているからこそ)、そうした面では、思いっ切り「規制強化」しているのだろうか? 聞くと、立看の問題は、阪大が一番ひどいが、他の大学にも同様の問題があるらしい。ほんとうに日本の未来が心配になった。

阪大以外に関しても、「名城大学・金城学院大学 非常勤講師裁判」についてなど、重要な報告がたくさんあったが、書ききれない。

集会は、最後に「アピール文」を採択した。

集会後におこなわれたデモは、阪大東門→阪急石橋駅のコースで40分ほどだった。デモでは、「阪大は長期非常勤の2015年解雇を撤回せよ」、「阪大は団交をおこなえ」、「仕事があるのに首にするな」、「3年、5年の壁をぶちこわせ」などのシュプレヒコールをあげた。昨年の京阪今出川駅→京大のコースよりも、多くの方が沿道におられて、阪大の近辺の人々にアピールできたと思う。

なお、大阪大学のこの問題は、2月21日、参議院で田村智子議員(共産党)も取り上げた(「論戦ハイライト 参院予算委 田村議員の質問」『赤旗』2013年2月22日)。

[日本]「私たちはジェンダー平等政策を求めます」政党アンケート

今回の総選挙で、「『ジェンダー平等』を求める会」(呼びかけ人・賛同人[団体]は24団体280人(1))が、「私たちはジェンダー平等政策を求めます」キャンペーンとして、各政党に男女平等政策に関するアンケート調査をおこなった。私も賛同人の1人だ。

その質問と回答、同会による分析は以下のとおりである(リンク元は、いずれも、「『ジェンダー平等政策』を求める会」に場所を提供している「P-WAN」である←このサイトには他にも今回の調査に関する記事があり、現在はここをクリックすれば、「私たちはジェンダー平等政策を求めます」キャンペーンを一覧できる)。

●質問
・「アンケートの質問(PDF)」

●回答
・「政策リスト回答書・政党別(PDF)」
・「政策リスト回答書・政策カテゴリー別(PDF)」

●「『ジェンダー平等政策』を求める会」による分析や解説
・「10政党からの回答がそろいました/政党別回答をチャート化
・「政策リスト(回答書) いくつかの質問の相関図を作成し比較したデータ(PDF)」
・「「アンケート集計結果 チャート&相関図解説(PDF)」
・「全政党公開アンケートの結果報告及びコメント(PDF)」

12月7日には、このアンケート結果について、「『ジェンダー平等政策』を求める会」の事務局から、以下のような報告が出ている(上記との重複個所などは省略)。 

「ジェンダー平等政策」全政党公開アンケートの政策リスト(全26項目)は2009年女性差別撤廃委員会(CEDAW)勧告をもとに作成したものです(憲法と脱原発、防災復興を除く)。したがって国連女性差別撤廃条約の遵守と遂行に対して各政党がどのくらい積極的かを測る指標となります。CEDEAW勧告については、2009年度、過去2期6年進捗が見られなかったことに対し強い勧告を受け、今年日本政府は進捗がなかったことの報告を国連に提出したばかりです。

さらに今回の政策リストにはトップに、憲法と脱原発、防災復興を加えました。不戦と非核はジェンダー平等政策の前提、と考えるからです。全政党公開アンケートは11月21日に14政党(2党に追加)に郵送(配達証明付)。

昨日までに事務局に届いた回答書は、到着順に「民主党」「国民の生活が第一」「社民党」「日本共産党」「公明党」「緑の党」「自由民主党」「日本維新の会」「国民新党」「日本未来の党」の10政党です。私たちのアンケートに答えてくれた政党に、まず感謝いたします。
 
回答書は4択で「賛成+2ポイント・どちらかといえば賛成+1ポイント・どちらかといえば反対-1ポイント・反対-2ポイント」として、「ジェンダー平等政策」指数を表しました。ポイントが低い順に、「国民新党」‐2、「日本維新の会」9、「自民党」11、「日本未来の党」36、「公明党」38、「民主党」44。「日本共産党」50、「国民の生活が第一」51、「社民党」と「緑の党」は52です。

 
このアンケート調査の意義

私は、このアンケートの意義は、何よりジェンダー平等政策を争点の一つに押し上げる力になっていることだと思う。実際、このアンケート結果を『毎日新聞』や時事通信のようなマスメディアも報道した(「衆院選:ジェンダー政策 各党の違い浮き彫り」『毎日新聞』2012年12月1日、「ジェンダー政策、政党間で大きな違い=女性グループがアンケート」時事通信12月7日)。

たとえば、『毎日新聞』は、このアンケートの結果について以下のように報じている。

専業主婦優遇とされる配偶者控除と第3号被保険者制度の廃止・見直しを巡る設問では、民主、社民、共産などは「賛成」、公明は「どちらかといえば反対」、自民は回答しなかった。また、「婚外子差別の廃止」と「性的マイノリティーへの差別・社会的排除をなくす」については、自民のみ「反対」「どちらかといえば反対」と答えた。一方で「男性の育児介護休業制度の取得促進」は全党が「賛成」と答えた。


時事通信は、以下の点に注目している。

回答した全政党が「賛成」「どちらかといえば賛成」としたのは、「防災復興に女性の参画」「被災地の女性雇用の創出」「ワークライフバランス」など。一方、専業主婦優遇とされる配偶者控除廃止と第三号被保険者制度見直しは、公明党と国民新党が「どちらかといえば反対」、自由民主党と日本維新の会、日本未来の党は答えなかった。民法改正については、民主党、社民党、日本共産党、公明党、緑の党が「賛成」「どちらかといえば賛成」とした。


もちろん、以上のように、このアンケートは、各政党のジェンダー平等政策を知るうえでも有用である。特筆すべきなのは、このアンケートが日本の主要政党10政党すべてから回答を得ていることである。それは、多く人(団体)が賛同人(団体)になったからであるとともに、事務局の方々が多くの政党に丁寧かつ粘り強く働きかけたからであろう。

事務局の方々は、アンケート結果を公表するだけでなく、それを整理し、分析しておられる。この点も、多大な努力を要したと思われる。感謝したい。

また、後述のように、このアンケート結果は、一種の「公約」とも言えるので、今後各政党に働きかける上でも役に立つであろう。

もう少し具体的に尋ねたほうがいい設問もあるのでは?

ただ、今後も選挙の際に同様のアンケートをするとしたら、もう少し具体的に尋ねたほうがいい設問もあるのではないか、とも思った。

たとえば、「実効性のある同一(価値)労働、同一賃金を実現する」「保育所・学童保育の待機児童の解消など子育て支援策を強化する」という政策については、ほとんどの政党が「賛成」と答え、唯一そう答えていない国民新党も「どちらかと言えば賛成」と答えている。また、「育児・介護休暇制度の普及・啓発を促進し、男性の取得を促進する」「家族介護者の負担軽減と介護職従事者の待遇改善を図る」という政策についても、ほとんどの政党が「賛成」と答え、日本維新の会と国民新党だけが「どちらかと言えば賛成」である(こうした回答をもとにして、さまざまな分析もなされている(2))。

こうした結果は、多くの政党から言質を取ったという点では意義がある。しかし、各政党の政策の違いを知る上ではあまり役に立たない。それは、これらの質問が一般的・抽象的なものであることと関係していよう。

上記の「ジェンダー平等政策」を求める会の声明は、「今回の政策リストは2009年女性差別撤廃委員会(CEDAW)勧告をもとに作成したものです(……)したがって国連女性差別撤廃条約の遵守と遂行に対して各政党がどれくらい積極的かを測る指標となりえます」と述べている。

しかし、2009年の女性差別撤廃委員会の最終見解は、上のような雇用の分野についても、さまざまな具体的な問題を指摘し、それらを改善するように勧告している。すなわち、女性差別撤廃委員会は、「2006年に改正された(……)男女雇用機会均等法に(……)間接差別の狭い定義が採用されたことは、遺憾である(……)[女性差別撤廃]委員会は、本条約及び本条約第1条に記載された女性に対する差別の定義を国内法に十分に取り入れるために早急な措置を講じ(……)ることを締約国[=日本]に要請する」とか、「委員会は、とりわけ、男女雇用機会均等法に基づく行政ガイドラインの『雇用管理区分』が、女性を差別するコース別制度を導入する余地を雇用主に与えているかもしれないと懸念している」とか、「委員会はまた、現行の労働法の不十分な保護及び制裁措置についても、懸念を表明する」とか、「委員会は特に、本条約及びILO100号条約に沿った同一労働および同一価値の労働に対する同一報酬の原則と認識できる条項が、労働基準法にないことを懸念する」とか、「暫定的特別措置を含め、具体的措置を講じるよう締約国に勧告する」かと述べている(「第6回報告に対する女子差別撤廃委員会最終見解(PDF)」男女共同参画局サイトより)(以上のアンダーラインは遠山による)。これらの文言が盛り込まれたのは、もちろん、ワーキング・ウィメンズネット・ワーク(WWN)などの女性運動がCEDAWに働きかけたことよる成果である。

とすれば、たとえば、「実効性のある同一(価値)労働、同一賃金を実現する」という質問には、「労働基準法を改正して~」といった具体的な文言が付けたほうがよかったのではないだろうか? 「育児・介護休暇制度の普及・啓発を促進し、男性の取得を促進する」という設問に対しても、「育児・介護休業法を改正して~」という文言を付けることも考えられる。

といっても、以上は、アンケートの回答がわかってから私が考えたことであり、結果論とも言える。

それに、「『ジェンダー平等政策』を求める会」は、ひょっとしたら、短い期間に多くの政党からアンケートをもらうために、より単純な質問になさったのかもしれない。P-WANとWAN(ウィメンズアクションネットワーク)とは別団体だが(協力関係はある)、3年前にWANでは、雇用問題を含めて詳細なアンケートをおこなっていること(【特設:衆院選/アーカイブ】衆院選は「女性」が争点!――緊急政党アンケート政党アンケート全文)を見ると、そうした可能性も感じる。

あるいは、上で挙げたような具体的政策は、選択的夫婦別姓や婚外子差別解消を実現する民法改正などと違って、まだ国会の審議日程にのぼっていないので、このアンケートの設問に取り入れられていないという面もあるのかもしれない。だとしたら、今後運動をもっと前進させなければならないと思う。

もう一点述べると、「憲法9条を厳守する(不戦)」という項目については、国民新党と日本維新の会が「どちらかと言えば反対」と答えているが、自民党を含めたほとんどの政党が「賛成」と答えている。

この点について、「ジェンダー平等政策」を求める会による「解説」では、「自民党は9条を改正しようとしているのではないかという質問をいくつかいだいたが、これは設問『不戦』の厳守であるとわせてみる必要がある。全ての政党には回答を党としての公式見解としていただいている。 自民党の改正案は集団的自衛権の行使に力点があり、不戦条項の削除ではないとうことなのだろう。それが現実的に不戦の原則を犯すことになるのではないかという議論とは別に、このアンケート結果からは、自民党が『不戦』それ自体に反対を唱える維新、国民新党とは異なる立場をとっていることがわかる」とある。

しかし、日本維新の会は、カッコ内の「不戦」ではなく、「憲法9条」そのものへの賛否を答えた可能性も大いにあるだろう。むしろ、明確に「改憲」「国防軍」を謳っている自民党がこのような回答をしてしまうような「不戦」というカッコ書きのほうに問題があったのではないだろうか?

また、「外国籍住民に対する排除や差別をなくす」という政策に対して、自民党は「賛成」しているが、高校無償化からの朝鮮学校排除に熱心なのも自民党である。こうした点も、質問が抽象的すぎるがゆえの弊害だろう。

ただし、その自民党は、「性的マイノリティ(LGBT)に対する差別や社会的排除をなくす」ことには、「どちらかといえば反対」と答えている。こうした建前さえかなぐりすてた自民党の姿を浮き彫りにしたのも、このアンケートなので、一概に今回のような設問が悪いとはいえない面もある。

今回は、建前さえかなぐり捨てるような右翼ないし極右政党の比率が増したので、建前を尋ねるようなアンケート項目にも存在感が出てきたのかもしれない。憂うべきことだ。

このアンケート結果だけでなく、各政党の行動自体を見ることも重要

アンケート事務局は、上記のように「全ての政党には回答を党の公式見解としていただいている」と述べている。しかし、その党で決定した「方針」や「政策集」や「公約(マニフェスト)」に含まれていない問題に対しては、各党はいったいどのようにして回答するのだろうか? まさかいちいち全党で議論して回答するわけではあるまい。

私は、党としての政策や決定がない場合は、多分に回答をおこなった担当者の理解に左右されざるをえないと思う。実際、2001年からTMGF[=東京メトロポリタンゲイフォーラム]でゲイに関する政策アンケートをおこなってきた赤杉康伸氏は、「こういうアンケート調査で回答をおこなうのは、各党の事務局か政調担当の党職員でした。なので、自党が回答している事実さえ知らない国会議員が多いです」と述べている(3)

だから、その党の実際の行動とは、大きく異なる回答が寄せられている場合もある。

たとえば、「国民の生活が第一」は、「河野談話、村山談話を引き継ぐ」という政策に対して、「賛成」と答えている。私はこの回答に驚いた。

今年8月27日の参議院予算委員会で、同党の外山斎議員は、「河野談話が歴史をゆがめ、そして更に言えば、今日の日韓の関係を間違った方向に導いたのではないか」という立場から野田内閣を追及し、談話作成にかかわった河野氏と石原信雄元官房副長官の参考人招致を求めている。さらに、外山議員は、以前から河野談話を否定していた松原仁・国家公安委員会委員長に対して、「大臣の方から内閣の方にこの河野談話を踏襲しないように、本当は否定すべきだというふうに言っていただきたい」と要請した(4)

そして、参院予算委終了後、「国民の生活が第一」の森裕子幹事長代行(参院担当)自身が、理事会で河野氏と石原元官房副長官の参考人招致を求めた(5)

続く9月3日の参議院決算委員会では、外山議員は、「松原大臣の方からはその後何か御提案はありましたでしょうか」と松原大臣がまだ閣議で提案していないかを質問し、まだ提案していないことがわかると、「松原大臣、いつ、どのような場で提案をされるおつもりでしょうか」「いち早く行動をしていただきたい」と求めるという念の入れようだ。この日は、外山議員は、藤村官房長官にも質問を重ねている(6)

質疑応答を数えてみると、8月27日に6回(往復)、9月3日は8回(往復)、問答しており、生半可な力の入れようではないことがわかる。

国会議事録検索システム」で調べてみると、「国民の生活が第一」の議員が国会審議の中で「慰安婦」という言葉を口にしたのは、外山議員のこの2回の質問だけである。

こんな状況で、「国民の生活が第一」が「河野談話、村山談話を引き継ぐ」ことに「賛成」していると、どうして言えるのだろうか??

時事通信社は、外山議員の質問について、「河野元官房長官の招致要求=生活」という見出しで報じている(7)。森幹事長代行が河野氏らの参考人招致を求めたことは、どう見ても党として河野談話を問題視しているとしか受け取れない。

外山議員や森議員だけではない。「国民の生活が第一」の牧義夫議員(政策担当・幹事長代行)は、2007年に『ワシントン・ポスト』に掲載された「慰安婦」問題に関する意見広告「THE FACTS」に賛同している。また、小宮山泰子議員(組織・団体委員長)は「慰安婦問題と南京事件の真実を検証する会」のメンバーであった。これらの議員も、日本軍「慰安婦」問題についての歴史修正主義者といって差支えないだろう。

たしかに「国民の生活第一」が「河野談話反対」の方針を公然と決定したという事実はないようだ(8)。だから、「国民の生活が第一」の中にも、河野談話に賛同している(否定していない)議員もいるだろう。しかし、彼(彼女)らが上記の議員を批判したという話は聞かない。また、同党には、日本軍「慰安婦」問題に対して熱心に取り組んでいる議員は見当たらない。

以上から見ると、「国民の生活が第一」の実態に即した答えは、河野談話に対して「反対」であり、どんなに甘く見ても「どちらかと言えば反対」であろう。「国民の生活が第一」は、今回のアンケートに対して、党の実態と異なる回答をしたと言える。ジェンダー平等に関する他の問題についても、この党は、今年7月結党したばかりだからであろうか、はっきりした政策は見つけられなかった(少なくとも同党のサイトには見当たらない)。だから、今回のアンケートについて、何にもとづいて党としての回答をしているのかがよくわからなかった。べつに同党がジェンダー平等に対して否定的だったというつもりはない。むしろ民主党よりも上かもしれないが、回答の根拠が不明なのである。

これは極端な例だが、その他の党に関しても、投票の際には、このアンケートを見るだけでなく、これまでのその党の行動(国会質問、運動への協力など)を確認する必要があろう。

ただし、このアンケートの回答は各政党の行動を変えさせるテコとしても利用できるだろう

ただし、このアンケートは、それに対する回答をテコにして、党や議員の態度を変えさせるという使い方もできるだろう。赤杉康伸氏は、このアンケートに対して、望ましくない回答をした政党の支持者に対しては、その政党の態度を変えるように働きかけることを提言し、望ましい回答をした政党の支持者に対しては、その回答に沿って具体的に行動するよう働きかけるように述べておられる(9)。こうした使い方をするならば、たとえ実態とは少々のズレがあった場合でも、このアンケートに意味があると言えるし、そうしたことは私も今後やりたいと思う。

共産党がクオータ制に賛成していないのはなぜだろう?

私は相対的には日本共産党を最も支持しているのだが、同党はクオータ制には賛成していない。なぜなのだろう?

マルクス主義から直接にその回答を引き出すのは難しそうだ(マルクス自身の時代は第一波フェミニズムの時代なので、「クオータ制」は課題としては浮上していない)。マルクス主義との関係はよくわからないが、北欧の左翼系政党は、クオータ制を取り入れている。

日本共産党のクオータ制に対する回答には「政党の取り組みとしては(……)政党の自主的努力が問われていると考える」という文が付記されている。厳密に言えば、クオータ制も、法律で制定されないかぎりは「自主的努力」なので、どうもこの点に対する同党の無理解(質問自体に対する誤解かもしれないが)があるような気がするが、私は、それと同時に、こうした回答は、同党が外部からの介入を嫌っていることとも関係しているように思う。

この点は同党が置かれてきた歴史的・今日的状況とも関係があろうが、同党がかなり固い組織論を取っていることとも関係がありそうだ(べつに他党が民主的だという意味ではない)。こうした固い組織のあり方は、ジェンダーのような新しい課題を導入する上で妨げになってきたように思う。同党が「同一価値労働同一賃金原則」を受け入れるのも遅かった。この点はもう少し詳しく調べてみなければならないが、今後改革される必要があるように感じる。

(1)「ジェンダー平等政策」を求めるキャンペーンのよびかけ人・賛同人は24団体280人になりました」P-WAN
(2)たとえば、民主党について「雇用・労働・ワークライフバランスに関連する項目は積極的だ」、自民党について「労働・経済に直接関連しないジェンダー項目にはあまり関心を払っていない。反面、子育て休業や男性の育児休業取得推進、貧困解消には積極的である」といった分析がなされている。ただし、自民党に関しては「総論賛成、各論反対の観があり、差別をなくすということには賛成するものの、そのための法整備や条約批准(……)については消極的か、積極反対の立場をとる」ということも指摘されてはいる(「「私たちはジェンダー平等政策を求めます アンケート集計結果 チャート& 相関図解説(PDF)」)。
(3)各々の立場で政治に対してできること」NOV'S BLOG2012年12月10日。
(4)『第百八十回国会参議院予算委員会会議録第九号』p.32-33
(5)河野元官房長官の招致要求=生活」時事ドットコム2012年8月27日、「思わぬ『李明博効果』 河野談話見直し論噴出」MSN産経ニュース2012年8月28日。
(6)『第百八十回国会参議院予算委員会会議録第二十五号』p.6-7
(7)以上で述べた「国民の生活が第一」の問題を早くから指摘しておられたのが古寺多見(kojitaken)さんである(「従軍慰安婦問題で河野洋平氏の参考人招致を求めた右翼政党『国民の生活が第一』が衆院選で社民党と連携か」kojitakenの日記2012年8月27日、「『河野談話見直し』で安倍・橋下・小沢(「生活」)が足並みを揃えたなw」同8月29日、「『国民の生活が第一』の花形議員・森ゆうこ(森裕子)も河野洋平氏の参考人招致を求めていた(呆)」同9月1日)。「たんぽぽ」さんは、「ジェンダー平等アンケート(2)」(たんぽぽの礼拝堂2012年12月9日)で、P-WANのアンケートを根拠に、「[河野・村山談話の]継承に反対であれば、すくなくとも『どちらともいえない』とお茶をにごすところであって、『賛成』なんて心にもない回答をすることは、ないと考えてよいでしょう」と述べておられる。しかし、私は、党の議員の実際の行動にあらわれない(むしろ反している)「賛成」の回答に現実に何の意味があるのか、疑問に思う。せいぜい「党としての方針ではないから、河野談話を肯定していても党員・党議員としては批判されない」という程度の意味しかないが、現実に河野談話を肯定・実践しなければ、その意味も現実のものにならないと思う。
(8)国民の生活が第一」のサイトには、日本軍「慰安婦」のことは特に書かれていない(比較的詳細な「第 2 次基本政策検討案」にも言及はない)。というより女性やジェンダーに関する政策そのものが見当たらない。
(9)以下は、上杉さんのブログの記事「各々の立場で政治に対してできること」(NOV'S BLOG2012-12-10)からの抜き書きである。

私なりの色々考えた上での提言を。とにかく左右両派とも、自分と考え方の違う人を叩くだけでなく、各々の立場でできることは何なのか、書いてみます。

(1)自由民主党・国民新党支持者のLGBTのみなさんへ

 自由民主党・国民新党が「LGBTへの差別・社会的排除」に「どちらかと言えば反対」を選んでも、他の政策面における積極的理由ないしは消極的理由で、あなたは自由民主党・国民新党を支持なさっているのだと思います。どの政策を重視するのかは、それこそ個人による選択の問題ですので、他人にとやかく言われる筋合いはないですよね。

 ただ、特に自由民主党は、設問によっては「どちらとも言えない」と回答していることもある中で、LGBT問題については明確に「どちらかと言えば反対」を選択しているのは正直言って寂しくないですか? これって、「差別解消に賛成しなくても、負の影響は出ない」と見なされているようなものではないでしょうか?

 もしあなたが、自由民主党・国民新党を支持し、なおかつLGBT政策について前進を望んでいるのであれば、自由民主党・国民新党の国会議員に「自由民主党・国民新党支持のLGBTもここにいるので、党としてLGBT問題に取り組んでほしい」という声を伝えませんか?

 直接国会議員に会うのがてっとり早いですが、国会議員のウェブサイトを通しても意見を伝えることができるし、それも心理的に抵抗があれば、Twitterで自由民主党・国民新党の国会議員にリプライを飛ばすことでもOKです。自党の支持者に対して、国会議員も無碍に接することはできないでしょう。自由民主党や国民新党のLGBT政策を変化させることができるのは、支持者であるLGBT、そう、あなたの声なのです。 

(2)LGBT政策について積極的な回答を寄せている政党支持のLGBTのみなさんへ

 その政党が具体的にLGBT政策に取り組むよう、その政党の国会議員に、自分の声を届けませんか。(1)で書いたのと同様に、国会議員のウェブサイトへ意見を寄せたり、Twitterでリプライを飛ばすことが可能です。議員さんは有権者の声は無視できないものですが、逆に有権者から声が上がらない政策については取り組みにくいものです。

 また、最近は地方分権の絡みで、例えば公営住宅の入居要件が地方自治体の条例で決められるようになりました。そこで、自分の住んでいる地方自治体の議会に、「公営住宅法に同性同士でも入居できるように、条例上の要件を修正して欲しい」との陳情や請願を上げてみてはいかがでしょうか?今や、地方自治体議員さんの中でもTwitterを使っている人が増えてきていますし、最初はTwitterで理解のありそうな議員さんにリプライを飛ばしてみるのも手だと思います。

 さらに、LGBTが物理的にはどうしても少数派である以上、多数派とも対話や交渉を続け、理解者や支援者を増やすことでしか、事態は動きません。しかもそれはネット上だけではなく、いわゆる「リアル」での動きも重要です。意見が同じどうしだけで固まらず、そしてネット弁慶にもならず、意見の違う人とこそ対話によって繋がっていくことが大切ではないでしょうか? それが、ロビイング活動や自治体議員の連れ合いをしてきた自分にとっての大いなる実感です。


[2012年12月15日追記]「時事通信社は、外山議員の質問について~」という文言で始まる段落は、最初に書いた際は新聞記事の内容を取り違えていましたので、最初に書いた文を少し書き直しました。

[日本]『女性学年報』の特集「『女性センター』という経験」を読む

昨年刊行された『女性学年報』第32号が「『女性センター』という経験」という特集をしている。現在、全国各地にある女性センター(男女共同参画推進センター)についての特集だが、非正規職員や利用者の視点から考察されていることが特色である。

この特集は、以下の4本の企画ないし文章から構成されている。
「座談会――女性センターで働いて――」
「女性センターで、働き続けるということ、闘い続けるということ――インタビュー 本多玲子さん」
「京都市女性協会裁判を振り返って――雇用身分による賃金格差の是正を求める――」(伊藤真理子)
「座談会――利用者の立場から語る女性センター――」

以下、それぞれについて、私がとくに関心を持った個所をご紹介しつつ、思ったことなども少し述べてみたい。

全文を表示 »

ウィングス京都裁判で元嘱託職員の控訴棄却

 京都市男女共同参画センター(ウィングス京都)の元嘱託職員の伊藤真理子さんが、一般職員との2倍もの賃金差別を訴えていた裁判(一審は原告敗訴)の控訴審の判決が、7月16日、大阪高裁でありましたので、傍聴に行ってきました。

 判決は、「本件控訴を棄却する。控訴費用は控訴人の負担とする」というものでした。この裁判は、正規職員と非正規職員との差別是正を求める裁判であっただけに、無念に思いました。

 今回の控訴棄却について、私は、今日、インターネット新聞JANJANに記事を書きましたので、よろしければ、ご覧ください(「ウィングス京都裁判、高裁で控訴棄却――非正規職員への賃金差別を『特化された業務』として容認」[タイトルはJANJANの編集部が付けたものです])。

 伊藤真理子さんは、最高裁に上告なさいました。伊藤さんのブログには、判決、それに対する伊藤さんご自身の抗議文、裁判での双方の書面などが掲載されていますので、これもぜひご覧ください。

フェミニズムとネット問題の公開研究会

中国とは関係ありませんが、以下のような公開の研究会をします。よろしければ、おいでください。

「フェミニズムとインターネット問題を考える」

フェミニズム運動はML、ブログ、ホームページなど、ネット媒体をどのように使ってきたのでしょうか。そして、ネットにおける人権侵害や「炎上」などの失敗例はなぜ、どのように引き起こされるのでしょうか。インターネットは市民運動の広がりに大きな役割を果たすことができますが、 日本のフェミニズム運動の場合、ネットの効果的利用自体がまだまだできておらず、失敗例も目立っています。

フェミニズムとネット問題研究会では、インターネット上で深刻な人権侵害問題を引き起こしてしまったフェミニズム運動体に関わった当事者としての視点から、その運動およびネット利用の分析、検証を行ってきました。フェミニズムや市民運動がネットを利用するために、どういった課題があるのか、どう対応したらいいのか、などについて考えるために、自らの検証結果を題材とした公開の研究会を開催します。

ネットと社会運動に関心ある方のご参加をお待ちします。

日時:6月21日(日)13:00―16:30

場所:弁天町市民学習センター 特別会議室

〒552-0007 大阪市港区弁天1-2-2-700(オーク2番街7階)

(地下鉄中央線「弁天町駅」西口2A出口より徒歩3分 JR環状線「弁天町駅」北口より徒歩3分)

http://www.osakademanabu.com/bentencho/

発言予定者:かとうちひろ、斉藤正美、田丸瑞穂、遠山日出也、宮下奈津子、山口智美 ほか

参加無料

問い合わせ先:斉藤正美 saitohあっとまーくp1.tcnet.ne.jp(あっとまーくを@でおきかえてください。)

主催:フェミニズムとネット問題研究会/グローカルフェミニズム研究会

(この研究会は、サントリー文化財団の「人文科学・社会科学に関する研究助成」プログラムによる助成を受けて開催されます。)

市川房枝記念会解雇事件不当判決への抗議声明

 先日、このプログで裁判長への要請署名をお願いしていた市川房枝記念会不当解雇撤回裁判で、先月22日、不当判決が出されました。原告の方々や弁護団が抗議声明を出しておられますので、以下、転載させていただきます。

 この判決は労働者の人権を踏みにじるものですが、裁判官自らが証人尋問の最後に原告に「結婚はされているのですね。」「ご主人の収入もあるということですか。」と質問したなんて、女性の労働に対するバイアスもあからさまですね。



市川房枝記念会解雇事件不当判決への抗議声明

声明文

1.私たちは、2008年4月22日、東京地裁民事第11部(裁判官 村越 啓悦)による市川房枝記念会解雇事件の判決について、これまでの整理解雇の判例法理を顧みず、労働者として、さらに女性としての人権を無視した不当判決として厳重に抗議します。

2.本判決は、原告らが解雇された年の2006年夏の賞与の支払いを一部認めただけで、その余の地位確認などを棄却しています。

 被告財団は職員8名中6名の仕事を奪うことを事業方針の転換に当初から織り込んでいながら、その発表まで、一度も職員の意見を聞かず、労働組合との協議をしないまま退職勧奨を発表し、退職を前提とした話し合いに応じないならクビだとして、ほぼ1ヶ月という短期間で解雇を強行したのです。こうした被告の対応について、「経営者の裁量権」として認めた判決は、労働者の雇用の継続・確保について使用者は何ら責任を負わなくてよいと言っているに等しく、これまでの判例法理に全く反したものであり、労働者の生活権、労働権、団結権を無視したものです。

3.本件のような整理解雇については、労働者に特段の責められるべき理由がないのに使用者の都合により一方的になされるものなので、業績悪化などの場合にその必要性を認めるなど、これまでの判例では慎重な判断が求められていました。

 しかし、本判決は、財団の財政状況について「負債はなく安定している」、「事業面では規模が小さく収益力は高くはない」とし、「賞与も支払うことができないほど財政が逼迫しているとは考えられない」として賞与の支払いを命じながらも、被告の事業方針の転換(事業の縮小特化)について、被告の経営者は「被告の運営に関する裁量権を有している」から「その判断が常識を逸脱するようなものでない限り、これに容喙(横から差し出ぐちをすること)すべきものではない」とし、「事業特化を行うとすれば解雇以外に途はない」などとして、解雇を有効としたものであり、労働者の立場を全く無視したものです。

 また、本判決は、「たとえ原告らの請求に全面的な理由があっても、事業者に既に廃止した事業を再開することを求めることはできない」から「労働契約上の地位を確認することはできない」としています。このような解雇無効でも労働契約上の地位を確認する判決は出せないという判断は,これまでの判例にもない異常なものです。実際には、記念会は、今年1月29日の口頭弁論終結後に、マスコミ上でも寄付金を募り、これから耐震補強工事と改修工事を行い、創立記念日の11月15日にリニューアルオープンすることを公表しています。その事業計画の中で、担当者をクビにして一旦は閉じた市川房枝政治参画センターを復活させるとしています。

4.原告らは1998年から女性ユニオン東京の組合員として、被告と団体交渉を積み重ね、働きやすい職場を実現させてきました。2006年の3月以降も賃金交渉を4回重ねていました。ところが被告は7月になって突然の事業方針の転換を発表し,そのわずか1ヵ月後に解雇を強行したのです。経済的に逼迫していたわけではなかったのに、被告は敢えて講座を中止し、職員をクビにしました。数多くの受講生の生きがいである講座を中止し、職員の生計の手段を突然絶つことに躊躇しなかった理由は、組合嫌悪、組合つぶしのほかには考えられませんが、本判決は、「(退職勧奨は)退職を前提とするものではあるが、解雇の回避に向けて一応の努力をした」,「退職勧奨を行っているから手続的に不相当とはいえない」としており,解雇回避努力や手続きの相当性についても,労働者の雇用の継続・確保について使用者は何ら責任を負わなくてよいとする誤った判決です。

5.本件は、女性の社会的・政治的地位向上を目指す市川房枝記念会でおきた整理解雇について「整理解雇の4要件」に欠け無効のものであることから地位の確認を求めました。市川房枝記念会の事業の縮小・特化は創設者市川房枝の意思にそむくものであり、数多くの女性たちの募金で建てられた婦選会館が本来の姿で再建されることを目指した訴訟でした。市川房枝記念会の財政状況は人員削減を必要とするものではなく、耐震診断結果についても、婦選会館の一時使用禁止は必要ありませんでした。そのことは、日本婦人有権者同盟が、この2年にわたって変わらず建物を使用していたことからも明らかです。講座は大きく儲かる事業でないとしても、健全に運営されており事業の特化の方針は誤りでした。しかし、原告の主張や原告の提出した証拠書類は厳正に検討されず、判決は「経営者の裁量権」のみ大きく認めました。このような手法がまかり通る社会になったら、労働者に人権は無いに等しいと言えるのではないでしょうか。

6.なぜ、現存の労働法やこれまでの判例法理でも守られているはずの原告の労働者としての権利を無視した被告の行為が裁かれなかったのでしょうか。それは、裁判官が証人尋問の最後に原告に発した次の質問、「結婚はされているのですね。」「ご主人の収入もあるということですか。」に現れています。女性の賃金は、「一家の生活を支える」とされる男性の賃金並には重視されず、その権利を侵害されても、夫の収入で生活できるだろうという扱いです。女性労働者の組合活動にたいする雇用者側の不当な行為についても男性労働者並には扱われないのではないかという疑問を持たざるを得ません。働く女性の人権より、「経営者の裁量権」を優先した本判決は、労働者の人権と並び女性の人権を軽視したものと言えます。

 社会的な貧困、格差社会が問題になっている中で、経営者の裁量権を拡大する本判決に対し厳重に抗議します。

以上

2008年5月1日

市川房枝記念会の不当解雇を撤回し、婦選会館を再生させる会(市川房枝ルネッサンス)(ホームページブログ)
弁護団 志村 新、井上幸夫、大竹寿幸

連絡先:〒151-0053 東京都渋谷区代々木1-19-7 横山ビル2階 女性ユニオン東京気付
FAX:03-3320-8093
e-mail: wtutokyo@f8.dion.ne.jp

朝日熱学男女差別裁判で中野布佐子さんが勝利和解

 中野布佐子さんが朝日熱学を相手取って東京地裁に提訴していた男女差別裁判において、先日、和解が成立しました(中野さんのブログの記事「ご支援の皆様へ」)。

 和解内容は
 「被告は、原告に対し、本件和解金として、1500万円の支払い義務があることを認める」
 「今後とも、労働基準法及び男女雇用機会均等法など関係法令を遵守し、雇用における男女平等な取り扱いを確保することを約束する」

 などだそうです
 (なお、和解条項の全文は、「JAM日本オートマチックマシン㈱男女差別賃金」のブログの「『チャコチャン』 = 中野さんおめでとう」という記事に掲載されています)。

 中野さんは、30年間働き続けた朝日熱学[旧社名:ラオックスエンジニアリング]を相手に、在職中の賃金・退職金などの男女差別について、男性との差額を請求する裁判を起していました。

 朝日熱学では、男性なら誰でも年功序列で順次昇格するのに女性はそうではないとか、中野さんが前任者の男性の総務の部長から引き継いだ仕事をしても、査定では評価しないとかの男女差別のほか、朝の掃除当番、お茶入れ、家族手当、住宅手当など、数限りない男女差別がありました。

 また、なんと1991年まで男女差別定年制がおこなわれ、朝礼での出欠点呼も、2002年5月まで女性は男性の後で呼ばれていました。その後も役職順に呼ばれていたたため、中野さんは仕事もできない若い人に先を越され、「毎日朝から気分が悪く、屈辱以外の何ものでもない」と言っておられました。

 1500万円という金額は、中野さんが男性であったならば当然支払われた金額との差額よりもずっと少ない金額であり、中野さんには残念なお気持ちもあると思います。今の裁判所の限界なのでしょうか? 

 しかし、会社が1500万円の支払い義務を認めたということは、会社が自らの非を認めたということにほかならないと思います。また、会社が今後の男女の雇用の平等を約束したことも、後進の方々のためになると思います。中野さんも、ブログで「これで30年の長きにわたり、ひたすら耐え忍びながら、しかし誇りを持って仕事をしてきたことが無駄ではなかったと思いました」とおっしゃっています。

 中野さんは、現在に比べても職場の男女平等が認められていない時代から長年働き続け、闘い続けていらしゃいました。その間のご努力、ご苦労は大変なものだったと思います。裁判になってからもさまざまなご苦労があったことでしょう。東京でおこなわれている裁判でしたので、私は傍聴には1回も行けなかった点は残念でしたが、私も今後少しでも男女平等のためにできることを頑張ってやっていきたいと思います。

市川房枝記念会不当解雇撤回裁判の要請書賛同署名のお願い

 私も応援している、市川房枝記念会不当解雇撤回裁判の判決がいよいよ出されることになりました。
 4月22日(火)午後1時30分~ 於:東京地裁 506号法廷です。

 裁判長に公正な判決を求める要請書を提出します。緊急なお願いですが、是非賛同の署名をお寄せください。

財団法人市川房枝記念会の不当解雇事件について公正な判決を求める要請書

 この裁判の被告である(財)市川房枝記念会は、故市川房枝が「女性の政治的教養の向上」「公明選挙、理想選挙の普及徹底」「民主主義政治の基礎を築くこと」「女性問題、女性運動の調査研究を行い、女性の地位を向上せしめること」を目的とし、その拠点として数多くの方々の募金で建設した婦選会館を基本財産として設立されました。

 ところが、被告財団の現理事者は、女性のための政治教育をはじめとする講座事業を廃止して婦選会館を貸ビルにすることなどの「事業の縮小・特化」方針を2006年2月22日の理事会で決定したうえ、これを7月7日の退職勧奨まで、職員および労組に一度も説明せずに隠し続け、同年8月10日に原告2名の解雇におよびました。現理事者らは、市川房枝の遺志とこれを支持する多くの方々からの批判や反対を封じるために、耐震診断結果を口実に講座を突然中止して、短期間の内に職員8名中6名を解雇ないし退職に追い込んだのです。 しかも、女性の地位向上を掲げる財団でありながら、40~50代の職員6名の生計を絶つことについて、何一つ配慮はありませんでした。

 婦選会館は数多の方々の協力と支援により過去3度の建築・改築を経て維持されてきました。しかし、被告財団の現理事者は、耐震診断結果の発表前に、総工費1億9100万円の耐震改修工事費用の目安額を出し、補強工事も実は1000万円でできるとした試算を持ちながら、裁判の終盤にいたるまでこれも隠し続けました。そして、未だに会館の耐震補強工事に着手せず、この間に代替教室を借りて講座を継続することもしませんでした。

 被告財団は婦選会館の土地建物を所有し、正味財産は平成17年度で2億1321万円、講座の収支差額は2143万円(平成17年度合計額)でした。

 健全に運営されてきた講座事業を廃止することは、創設者市川房枝の遺志に反するものであり、女性の地位向上と民主主義のために研鑽している女性たちの希望と信頼を打ち砕くものです。男女平等で人権が守られる社会にするために、市民が安心して集い、学ぶことができる拠点として、社会的評価を得てきた婦選会館を、貸しビル化する理事会の判断は糺されるべきです。

 裁判長が、財団の現理事者らによるこうした婦選会館と財団本来の使命を踏みにじる行為を厳しく断罪し、本件不当解雇を無効とする公正な判断を下されることを要請します。


 下の要請書をダウンロードのうえ、2枚目の要請書にご署名いだたき、郵送かFAXかEメールでお送りください。第一次集約は3月31日です。
 要請書(ワード文書)
 郵送:〒151-0053 東京都渋谷区代々木1-19-7 横山ビル2F 女性ユニオン東京気付 市川房枝ルネッサンス
 FAX:03-3320-8093
 Eメール:wtutokyo@f8.dion.ne.jp

 この裁判について詳しくは、サイト「市川房枝記念会くみあいニュース」をご覧ください。

ドーンセンター売却反対のマーチと署名

 大阪府の橋下府政は、財政改革の名の下、ドーンセンター(大阪府立女性センター)の売却を検討しています。それに反対して「好きやねんドーンセンターの会」が結成されました。
 「好きやねんド-ンセンターの会」では、次のようなアクションをやります。

「売らないで下さいドーンセンター」マーチ
 2月29日(金)11:50~12:20


●コース
 ドーンセンター⇒OMM⇒谷町筋南⇒谷町2東⇒府庁南

●参加者目標は、100名をめざします。
 ・ドーンセンター1F・11:20AMパフォーマンススペースへ集合
 ・お時間がゆるす方は、11時に集合してください。風船を膨らまします。
 ・11時50分、きっちり出発します。
 ・男性、子供さんの参加、大歓迎です。ただし、バギー参加は危険なので不可。

●マーチのコンセプト
 ・雨天決行
 ・トランペット、トロンボーン5名の演奏を先頭に、1.1Kmを約20分~30分で歩きます。
 ・元アナウンサーによる、府民へのアピール(シュプレヒコールはナシ)

●ドーンセンター前にてチラシ・PR活動にご参加ください。
26日(火)11:30-13:00
27日(水)11:30-13:00
28日(木)11:30-13:00

署名活動

 「ドーンセンター(大阪府立女性総合センター)の存続並びに男女共同参画政策の推進を求める要望書」に添付する書名です。
 下の「好きやねんド-ンセンターの会」のサイトにて、署名用紙がダウンロードできます。第一次締め切りは3月20日です。ご協力をお願い申し上げます。

http://www.sukiyanen-dc.com

「大阪府立女性総合センター(ドーンセンター)の存続を求める要望書」(提出済)

 すでに、橋本知事の発言の直後の2月15日、緊急に「大阪府立女性総合センター(ドーンセンター)の存続を求める要望書」も提出しています。
 2月11日から13日の4日間で、ご意見は計1065件(府内668、府外330、国外3、ドーンセンター前64)にもなったとのことです。

 私も以下のような意見を添付して署名しました。
 「ドーンセンターは、関西で女性やジェンダーの問題に関する催しが最も多くおこなわれる場所だと思います。滋賀県に住んでいる私のような者も、1年に何回も行きます。私もここで性差別のない社会を作るための展望や困難についていろいろ学んできました。ですから、けっして大阪だけの問題ではないことをご理解ください。だいたい、職場での差別にしろ、女性に対する暴力にしろ、性差別は全然なくなってません。むしろドーンセンターの機能をもっと強化しなければならないと思います。(滋賀県草津市)」

«  | HOME |  »

プロフィール

遠山日出也

Author:遠山日出也
 検索から来られた方へ:このブログの記事を分類した一覧である「『中国女性・ジェンダーニュース+』記事総覧」を見ていただくか、下の「カテゴリー」欄を使われると、関連情報がご覧いただきやすいと思います。最近の行動派フェミニストについては、「中国の行動派フェミニスト年表、リンク集」をご覧ください。
 また、「中国女性・ジェンダー関係主要HPリスト」(リンク集)も併せてご覧いただければ幸いです。日本の問題の一部は、「ウィメンズ・アクション・ネットワーク(WAN)の労働争議・まとめ」や「館長雇止め・バックラッシュ裁判」でまとめています。
 恐れ入りますが、スパム対策などのため、コメントは私が拝見した後で表示させていただきます。
 私への連絡はこちらまで

最近の記事

月別アーカイブ

カテゴリー

最近のトラックバック

最近のコメント

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

ブログ内検索

リンク

このブログをリンクに追加する

RSSフィード