2017-10

東莞のセックスワーカーに対するメディアなどの人権侵害についてのフェミニストらの抗議

はじめに――中国中央テレビがセックスワーカーの顔がわかる映像を放映

今年2月9日、中国中央テレビ(CCTV)が広東省東莞市の娯楽施設やホテルで売買春行為が蔓延していることを報道しましたが(1)、その映像の中には、多くの女性のセックスワーカーの顔つきがはっきりわかるものがありました(その一方、男性の顧客の姿は放映しませんでした)。この報道をきっかけに、広東省では売買春の一斉取り締りがおこなわれて、セックスワーカーや顧客が捕まりました(2)

この事件について、微博(中国版ツイッター)などでさまざまな議論がなされましたが、フェミニストたちは、CCTVの報道やその後の取締りについて、以下のような対応をしました。

1.セックスワーカーにはモザイクをかけなかったことを批判するパフォーマンスアート――「セックスワークも仕事である。セックスワーカーにも尊厳がある」

2月14日、北京・武漢・広州の各市の街頭で、若い女性たちが、報道の際にはセックスワーカーにはモザイクをかけるよう訴えるパフォーマンスアートをおこないました。

彼女たちはモザイクをかけた顔写真のお面をかぶって、「セックスワークも仕事である。セックスワーカーにも尊厳がある」、「CCTVには大きなパンツが必要だ。セックスワーカーにはモザイクが必要だ」と書かれたプラカードを掲げつつ、手には「大きなパンツ」を持ちました。彼女たちによると、「パンツというのは、恥ずかしいところを隠すという意味で、プライバシーの保護を意味している。セックスワーカーにも尊厳と人権がある。彼女たちにはプライバシーを保護するモザイクが必要なことは、誰もがパンツをはいて自分のプライバシーを守ることが必要なのと同じだ」という趣旨のパフォーマンスアートでした。

このパフォーマンスアートに参加した韋婷婷さんは、「春節の期間はちょうどテレビの前で一家が団欒をしている時期です。中央テレビは数十人のセックスワーカーのはっきりした正面からの顔、さらには裸体の画像を億万の視聴者の前にさらしました。ひょっとしたらテレビの前には、これらの女性の親戚や友人がいたかもしれません。これは、彼女たちを非常に大きく傷つけることです」と語りました。

セックスワーカーの権利を象徴する赤い傘を差してパフォーマンスアートに参加した中国民間女権工作室(中国民间女权工作室)の猪西西さんと酸小辣さんは、次のように述べました。「セックスワーカーがメディアに登場するのは、仕事中の、裸で人を誘っているエロチックな姿か、捕まった犯罪者としての恥ずかしそうな姿だけです。ですから、人々は、セックスワーカーに対しては、セクシーな物体か、汚名を着た羞恥というイメージしか持てなくて、基本的な権利と基本的な尊厳を持った普通の人、普通の女性として見ることができません。同じ女性として、私たちも、セックスワーカーのために立ち上がって、彼女たちの後ろに立って、こう言わなければなりません:私たちはみんなセックスワーカーです! と。さきごろ北京外国語大学の女子学生が『陰道独白(ヴァギナ・モノローグ)』の騒動を起こしたとき、多くの人がインターネットで支持して、『処女と妓女は姉妹である』というスローガンをとくに強調しました(後述)。もしニュースのレンズが女性に対して、セックスワーカーに対して、すべての人に対して、基本的プライバシーを尊重しないのならば、すべての姉妹は一緒に立ち上がらなければなりません。なぜならプライバシーが尊重されなければ、私たちはみな、いつでも乱暴に『セックスワーカー』としてさらされるからです」と述べました(3)

このパフォーマンスアートに参加した女性は、みな大学在学中か、大学を卒業して間もない女性でした。各都市とも参加したのは3~5人でしたが、通行中の人々の大多数は賛成していたということです(4)

実際、微博での世論調査によると、「メディアはセックスワーカーの姿を放映する際にモザイクをかけるべきか?」という質問に対しては、「かけるべきだ。セックスワーカーにもプライバシーと尊厳はある」という回答が74%で、「モザイクをかけるべきではない。尊厳があればセックスワーカーにはならない」という回答が26%でした(5)。ネットの世論調査はあてにならないとはいえ、この回答から見ると、彼女たちのパフォーマンスアートは世論からとくに離れたものではなく、ある意味穏健なものだったのだと思います。ただし、「モザイクをかけるべきではない」という回答も1/4強あることを見れば、このパフォーマンスアートは、当局に対してだけでなく、世論の喚起という点でも意義のあるものだったと言えそうです。

2.「年間セクシュアリティとジェンダー事件批評委員会」のコメント

同じ2月14日、毎年セクシュアリティとジェンダーに関する10大事件を発表している人々が、「東莞事件に関する集団的コメント」を発表しました(6)。以下は、その抜粋です。

(……)
セックスワーク権は基本的人権であり、尊重され、保護されなければならない。セックスワークに対して、もし「良風美俗の妨げになる」という角度から取締るだけで、セックスワーカーの基本的権利を軽視するならば、問題を解決する役に立たない。セックスワーカーとセックスのサービスの購買者は、人としての尊厳を持っており、彼らの人格は尊重されなければならず、彼らの人身・健康・安全などの基本的権利は、同様に保障されなければならない。私たちは、メディアが性の取引の活動を報道する際に、人格を侮辱したり、プライバシーを侵犯したりする方法をとることや、上から「道徳」で教化する姿勢をとることに反対であり、法律執行機関の粗暴な法律執行にも反対である。
(……)
予見できる未来社会の中では、性産業は長期にわたって存在する。性産業の中で現れている問題やマイナスになる可能性がある影響とは、制度化によって保障することで解決することが適切であり、単純な「取締り」は、社会の「純化」をもたらすことができないだけでなく、さらに多くの社会問題を引き起こす可能性がある。
(……)
私たちは以下のことを訴える。
 1.メディアは、公正に、全面的に、客観的にセックスワークというテーマを議論すること。
 2.「売買春一掃」をストップし、セックスワーカーの基本的権益が侵犯されないよう保障すること。
 3.セックスワークとセックスワーカーに対して立法による保護を推進すること。

批評者
方剛(北京林業大学セクシュアリティとジェンダー研究所)
陳亜亜(上海社会科学院)
張玉霞(新疆大学ジェンダー研究センター)
張静(中華女子学院セクシュアリティとジェンダー研究所)
郭暁飛(中国政法大学)
彭濤(ハルピン医科大学セクシュアルヘルス研究センター)
魏建剛(北京紀安徳[ジェンダー]相談センター)


このコメントは、はっきりとセックスワーク合法化の立場に立ったものだと言えます。

3.女性メディアウォッチネットワークによる「フェミニズムから見たセックスワーク」時事討論会

翌2月15日には、女性メディアウォッチネットワーク(妇女传媒监测网络。呂頻さんら)が、北京で「フェミニズムから見たセックスワーク(女权视角看性工作)」という時事討論会をおこないました(7)。この討論会では、フェミニズムのセックスワークに対する観点や論争、中国のセックスワーカーが直面している現実の問題について簡単な紹介があったのち、参加者がセックスワークや東莞事件について討論をしました(8)

この討論会で紹介された、フェミニズムのセックスワークに対する肯定・否定の論争については、日本でおこなわれている論争とそれほど違いがないように思いますが、その論争と関連して、「では、あなた方が組織(女性メディアウォッチネットワーク)として、この活動に取り組むときの、あなた方の統一的な見解はどのようなものか?」という質問が出ました。

その質問に対しては、「私たちの組織は、この問題について、系統的な見解は持っていません。女性団体の中では、すべての人が一つのテーマについて同じ認識を持つことはけっして必要ではありません。とくにセックスワークのような、それ自身がフェミニズム内部で多くの論争があるテーマについては、そうです。けれども、私は、フェミニストは、セックスワーカーの問題においても、やはり共同できる点が多くあると信じています。セックスワークについてのフェミニズムの論争は、その基本的性質と将来についての論争だと言えますが、現在のセックスワーカーの現状については、フェミニズムには最低ラインの合意があります。最低ラインというのは、セックスワーカーの女性のとしての基本的権益を侵害してはならないということです。フェミニズムの基本的な考え方は、セックスワーカーの基本的な公民権と人権(人身の自由とプライバシー権とを含む)は少なくとも保障しなければならないということです」という回答がなされています。

次に、セックスワーカーの中国における現状については、以下の3つの問題があることが紹介されました(要旨)。

1.売買春一掃の過程における警察のセックスワーカーに対する対応および逮捕

2013年の2つの国際組織の報告、すなわち「ヒューマンライツウォッチ」と「アジア・カタリスト」の中国のセックスワーカーの状況についての調査によれば(9)、警察は売買春一掃の過程でおとり捜査をおこなっている。

売買春一掃のときに、売春・買春それ自体の証拠を集めることは難しいので、警察が強制的な写真撮影という行為をしていると少なくないセックスワーカーが言っている。フットマッサージの店で働いている林さんが客にサービスしていたとき、警察がドアを壊して入ってきた。林さんが言うには、「4人がどっと押し入って来て、私のスカートをはぎ取って、写真を撮ろうとした。私は必死で抵抗したが、最後にはすべてはぎ取られて、一糸まとわぬ裸を写真に撮られた」という。

また、金銭的な取引があったことを証明するためには、セックスワーカーの供述が必要だが、供述を得る過程で、警察が殴ったり、拷問したりする場合があると、少なくないセックスワーカーが言っている。

2.セックスワーカーとその顧客を処罰する一つの措置――収容教育制度

セックスワーカーは逮捕された後、拘留されたり、収容教育されたりする場合がある。労働矯正制度は2013年12月に廃止されたが、収容教育制度は労働矯正制度と非常に似ているにもかかわらず、現在もまだおこなわれている。収容教育には、裁判は必要ではなく、県クラスの公安(≒警察)系統の内部で批准されれば、セックスワーカーと顧客に対してもこの制度が適用される。この制度によって、セックスワーカーは、半年~2年間人身の自由を剥奪されるという処罰を受ける。

収容教育制度は、行政法規によって規定されているけれども、行政法規が人身の自由を制限できる処罰を規定すること自体が法律に違反している。わが国の立法法、行政法処罰法などの法律によると、行政法規は人身の自由を制限する処罰の措置を規定してはならない。

収容教育の過程では、セックスワーカーは強制労働をさせられる。収容教育をされた者は、きつい手作業の仕事を毎日8時間以上、無報酬でしなければならない。その収益は、公安系統の規定外の収入になる。

収容教育では、強制的に性病検査と治療を受けさせられ、トイレに行ったり、家族と手紙をやり取りしたり会見したりすることも、厳しく監視される。

収容教育所は、高額な生活費を取るという問題もある。たとえば、セックスワーカーが半年、収容教育所にいたら、だいたい5千~1万元支払わなければならず、中での物価は外の約3倍である。

収容教育制度は完全に公安系統内部で決定・執行されるものなので、基本的に控訴できない。

3.売買春一掃と取締り措置の、中国におけるエイズ伝染に対する影響

中国では、たびたび売買春一掃活動がおこなわれるが、セックスワークはそのたびに地下にもぐっている。こうした状況の下では、セックスワーカーに接触して、エイズ検査・防止サービスを提供することは非常に困難である。

さらに、警察がコンドームを持っていることを売買春の証拠として扱うために、セックスワーカーはコンドームを使いにくくなっている。


参加者の討論では、さまざまな意見が出されました。この討論は、セックスワークについての論争とも関係する複雑な議論がなされているので、簡単にはまとめられませんが、いちおう、「1.自由な選択について:本当の選択にもとづく空間が必要である」「2.セックスワーカーの自我の覚醒について:構造を変える責任は、第一に社会と政府にある」「3.東莞の売買春一掃について:公権を利用することの反感は理解できるが、性取引の不平等も重視するべきである」「4.セックスワークの異化について:個人の感受性の差違が大きい。圧力と差別を減らすことが異化を減らす助けになる」というふうに整理されています。

おわりに――若いフェミニストグループやNGOとセックスワーカーとの連帯

新たな連帯

これまでジェンダー平等活動グループ(性别平等工作组、性别平等倡导行动网络)(年表、本ブログ記事へのリンク)に結集した中国の若いフェミニストたちは、さまざまなパフォーマンスアートなどをしてきました。しかし、セックスワーカーに関しては、微博などで彼女たちの人権に関心を示すことはあっても、彼女たちと連帯するような具体的アクションは起こしてきませんでした。しかし、今回、彼女たちは、セックスワーカーの人権問題を取り上げたパフォーマンスアートをしました。これは、おそらく女性グループとしても初めてのことだったと思います(10)。今回メディアに個人名が出ている人のうち、韋婷婷さん、猪西西さんは、これまでジェンダー平等活動グループにおいてパフォーマンスアートをしてきた人ですし、猪西西さんは、ジェンダー平等活動グループの職員でもあります。

このパフォーマンスアートは、ジェンダー平等活動グループのgoogle groupで話し合われているのですが、それによると、武漢で、韋婷婷・小辣・ley・猪西西・小五三三の5人が集まったときに、「セックスワーカーの話題に、フェミニスト行動派としての気持ちが動かされて」計画したとのことです。ただし、この時点では「北京・武漢・東莞」の3カ所でするというプランでしたが、当日は「東莞」ではなく、「広州」でおこなわれました。東莞は「撮影がおこなわれた現場か警察署の周辺」でする予定だったのですが、やはり、そうした場所でするのは難しかったのでしょうか(11)

上で猪西西さんと酸小辣さんが述べていた、「さきごろ北京外国語大学の女子学生が《陰道独白(ヴァギナ・モノローグ)》の騒動を起こしたとき~」という件ですが、これは、2013年11月、北京外国語大学の女子学生17人が、学内で《陰道独白(ヴァギナ・モノローグ)》を上演する前に、各自が「私のヴァギナは言う」というタイトルの下に、自分の(ヴァギナの)主張を書いた写真をインターネット上に掲載したら、多くの人に非難や攻撃をされたという事件です(12)

そうした非難・攻撃の中に、「人と動物には区別がある! もしどうしても主張しなければならないのならば、妓女がやらなければならない。なぜなら本当に差別されているのは彼女たちだからだ! あなたがた学生ではない!」というものがありました。

それに対して、「小五三三」さんは、微博で、以下のように答えました。

小さいころ、紅楼夢を読んでもわからなかったけれども、探春[=その中の登場人物]の「物傷其類[=動物が、同類が不幸にあったら悲しむこと。転じて、人が、仲間が打撃を受けたために悲しむこと]」という言葉はとくに印象に残った。「男に傷つけられ」なければフェミニズムを主張できないのではなく、まして妓女でなければヴァギナの物語がないのではない。「物傷其類」という、道理を同じくし運命を共にするという同情の心、「処女と妓女は姉妹である」という女性の情誼、「女に祖国はない」という豪壮な気持ちが、度量が狭い人にどうしてわかろうか。(13)


この発信は、かなりの人に転載され、知られるようになりました。このように、セックスワーカーとの連帯という視点は、《陰道独白(ヴァギナ・モノローグ)》から来ている部分もあるようです。

また、上述のように、今回の東莞事件に対しては、1週間後に、「年間セクシュアリティとジェンダー事件批評委員会」がコメントをし、女性メディアウォッチネットワークが「フェミニズムから見たセックスワーク」時事討論会をしました。セックスワーカーに関する人権問題が起きた際、すぐにこうした民間団体が組織的対応をするということは、従来ほとんどなかったように思います。

セックスワーカー支援団体の従来からの活動と比較して

もちろん、セックスワーカーの支援組織やセックスワーカー自身の団体は、従来から、セックスワーカーの人権問題について取り組んできました。たとえば、葉海燕さんらは2005年に中国民間女権工作室を設立したときから、電話相談、アウトリーチ活動など、さまざまな活動をおこなってきました。また、2009年2月には、12の民間組織によって「中国セックスワーカー組織ネットワークフォーラム」も設立されています(本ブログの記事「中国セックスワーカー組織ネットワークフォーラムの活動」参照)。

また、セックスワーカーの人権に関する調査研究についても、中国国内のセックスワーク関係の運動団体は以前から発表しているのでして、2009年には、北京愛知行研究所・中国民間女権工作組・女性権利連盟の3団体が共同で「中国セックスワーク・セックスワーカー健康・法律人権報告(2008-2009)」を発表し、2011年には、中国セックスワーカー組織ネットワークフォーラムが「2010年の売買春取締りがセックスワークとエイズ予防に与えた影響の研究」を発表しています(その内容については、それぞれ、本ブログの記事「民間3団体がセックスワーカーの人権問題に関する報告を発表」、「中国セックスワーカー組織ネットワークフォーラムの活動」の4参照)。

また、葉海燕さんらの活動は、しばしば当局の弾圧にあってきました。葉さんが、2010年7月に街頭でセックスワーク合法化の宣伝・署名活動をおこなったときは、同月29日の宣伝は無事におこなわれたのですが、31日の宣伝は警察によって中断を余儀なくされ、横断幕と署名を没収されました。葉さんは、翌8月3日に予定していた「中国第2回セックスワーカーデー」の中止も要請され、それを拒むと警察に拘束されました(本ブログ記事「葉海燕らによるセックスワーク合法化の街頭宣伝と葉の拘束、第2回セックスワーカーデー中止をめぐって」「中国民間女権工作室(葉海燕ら)に対する当局の弾圧と同工作室の活動停止」)。

上の2010年7月の葉海燕さんらの活動と比べると、今回の若いフェミニストのパフォーマンスアートは、警察の介入もなく平穏におこなわれ、ネットメディアでもある程度取り上げられました。それは、彼女たちの主張の中心は「セックスワーカーの姿を放映する際にはモザイクをかけるべきだ」という穏健なものだったことと関係があるだろうと思います。

ただし、「穏健」といっても、単に「保守的」という意味でなく、女性メディアウォッチネットワーク(その代表の呂頻さんは、若いフェミニストに対する影響力が大きい)の時事討論会で語られた「フェミニズムには最低ラインの合意」を示していると考えられます。また、プラカードには、「セックスワークも仕事である」という、セックスワーク合法化につながる文言も書かれていたということに見られるように、ラディカルな主張にもつながる部分もあったと思います。

今回のエントリでは、セックスワークについてのフェミニズム内部の議論や論争には触れられませんでしたが、もちろん、今回の事態に際しても、この点に関してさまざまな論説が発表されました(14)。こうした論説について考察することも、フェミニストとセックスワーカーとの連帯のありようについて探求する上で大切ですので、またの機会にそれもおこないたいと思います。

(1)央视大曝中国色情之都东莞地下色情服务惊人内幕」西陆网2014年2月9日など。
(2)央视曝光后东莞扫黄已抓捕67人 查封12家涉黄娱乐场所,中堂镇公安分局局长和涉黄酒店所在地派出所所长,全部先停职再调查」『新京报』2014年2月10日、「广东两市扫黄一夜抓获108人 中铁大桥局五公司称5人乘公车去东莞KTV只唱歌」京华时报2014年2月12日。
(3)情人节北广武多地女青年上街呼吁:请给性工作者打上马赛克」女声网2014年2月14日(来源: 邮件)、新媒体女性的微博【情人节北广武女青年上街呼吁:请给性工作者打上马赛克】2014年2月14日 16:05、「大学生街头呼吁:请性工作者打马赛克」网易新闻2014年2月15日、「请给性工作者打上马赛克」网易女人2014年2月17日。
(4)情人节女大学生上街呼吁:请给性工作者以马赛克」Radio Free Asia 2014年2月14日。
(5)媒体曝光性工作者该打马赛克?」人民微博
(6)“年度性与性别事件评点委员会”关于东莞事件的集体点评」方刚的博客2014年2月14日。
(7)[2.15/北京]女权主义时事讨论会:女权视角看“性工作”」女声网2014年2月13日。
(8)その内容の報告は、「女权视角看性工作:自由选择?压迫?反对歧视与侵害!」女声网2014年3月12日、女权之声的微博【女权视角看性工作:自由选择?压迫?反对歧视与侵害!】2014年3月12日 11:51
(9)ヒューマン・ライツ・ウォッチ(Human Rights Watch)の報告は、英語版は“‘Swept Away’: Abuses Against Sex Workers in China[PDF]”、中国語版は「“扫除” 中国性工作者遭受侵害[PDF]」です。アジア・カタリスト(Asia Catalyst、亚洲促进会)の報告は、英語版は、“"Custody and Education": Arbitrary Detention for Female Sex Workers in China[PDF]”で、中国語版は、「“収用教育”:中国女性性工作者面临任意拘禁[PDF]」です。それらについての報道には、「权益团体促中国取消对性工作者的收容制度」BBC中文网2013年12月11日、「中国政府は性労働者の収容所も閉鎖を―人権団体が要求」ウォール・ストリート・ジャーナル2013年12月11日、“For Prostitutes Jailed in China, Forced Labor With No Recourse” New York Times JAN. 1, 2014(中国語訳:「收容教育制度下,中国性工作者权利失去保障」纽约时报中文网2014年1月4日)などがあります。
(10)ただし、セックスワーカーとはやや異なりますが、2009年5月に鄧玉嬌さんという、浴場で足の手入れをする出稼ぎ労働者が、「特殊なサービス」を要求されて強姦されそうになって、加害者を殺してしまった事件の際には、北京愛知行研究所の武嶸嶸さんと中国民間女権工作室の葉海燕さんらが、それぞれ「誰もが鄧玉嬌になるかもしれない」「誰が次の鄧玉嬌なのか」というスローガンのもとに、体に白い布に何重にも巻き付けて、束縛された女性の情況を示すパフォーマンスアートをおこなっていますし、海淀女性セックスワーカー活動センター(北京愛知行研究所のプロジェクト)や中国民間女権工作室が声明を発表しています(本ブログの記事「鄧玉嬌事件をめぐって」、「中国セックスワーカー組織ネットワークフォーラムの活動」の5参照)。
(11)李麦子「情人节行动创意1,其他地区干点儿什么? 」工作组内部邮件组2014年2月12日。
(12)北京外国語大学の女子学生のメッセージと、それに呼応した女性たちのメッセージは、「我的阴道说」(网易女人2013年11月10日)参照。この事件全体については、「“我的阴道说错了什么”——女大学生宣言风波 [word]」『女声』140期(2013.11.19)という記事が参考になります。
(13)小五三三的微博2013年11月10日 18:30
(14)李辉「东莞事件真假题——一种女权主义的角度」社会性别与发展在中国2014年2月11日(来源:邮件)、李思磐「东莞为谁挺住?」2014年2月13日、「我的中国性梦——浅谈东莞扫黄」社会性别与发展在中国2014年2月21日(来源:邮件)、吕频「性工作是压迫还是自由?不要二选一」社会性别与发展在中国2014年2月21日(来源:妇女传媒监测网络)など。

中国セックスワーカー組織ネットワークフォーラムの活動

2009年2月に雲南省昆明で開催されたセックスワーカー職業安全会議で、中国本土でセックスワーカーに対するサポートをおこなっている12の民間組織が「中国セックスワーカー組織ネットワークフォーラム(中国語名:中国性工作者机构网络平台、英語名:China Sex Worker Organization Network Forum[CSWONF]) 」を設立しました。

このフォーラムのウェブサイトは、「中国性工作者机构网络平台」で、微博(ミニブログ、中国版ツイッター)は、「中国性工作者机构网络平台」です。その活動が詳しくわかるのは、Google Groupの「中国性工作者」です。今回は、それらをもとにして、ごく大ざっぱに、このフォーラムの活動を見てみました。

<目次>
1. フォーラムの目的、メンバー、最高意思決定機関など
2. フォーラムの活動の概略――活動計画より
3. 国際組織との関わり――国連のエイズ防止活動との関係が密接だが、セックスワーカー組織とのつながりも
4. 警察の売買春取締りキャンペーンに対する批判
5.鄧玉嬌事件に対する傘下の組織のセックスワーカー視点での主張
6.中国民間女権工作室(葉海燕ら)の主張と行動の特色
付 会議と議題一覧メモ
追記

1.フォーラムの目的、メンバー、最高意思決定機関など

目的

このフォーラムが作成したリーフレットには、その目的について、「中国のセックスワーカーがより良い職業上の安全な環境を獲得することを目的としており、とくにエイズ予防、法律相談、差別反対に重点を置いている」(1)と書かれています。

メンバー

このフォーラムは、現在、17の民間組織によって構成されていますが、それらは以下の【1】【2】【3】に大きく分けられるようです(以下に書いてある各組織についての簡単な説明は、フォーラムのサイトの中の「我们的成员机构」のページや個別組織のブログでの自己紹介など(2)をもとにしたもので、活動内容をきちんと分析したものではありません)。

【1】女性セックスワーカーをサポートする組織

・北京陽光之旅ボランティアグループ[北京阳光之旅志愿小组]――女性セックスワーカーのエイズ防止と職業安全教育活動をおこなう。
・北京愛知行(折翼天使)[北京爱知行(折翼天使)] ――2008年、女性セックスワーカーによって設立。エイズ防止など。
・天津信愛女性家園[天津信爱女性家园(天津信爱文化传播中心)] ――2008年5月、女性セックスワーカー4人が自発的に設立。女性セックスワーカーに関与。
・天津深藍工作組[天津深蓝工作组] ――2004年設立。「エンパワメント」を理念として、エイズ防止活動をおこなう。
・山東膠州愛心健康相談センター[山东胶州爱心健康咨询中心] ――低い階層の女性のセックスワーカーに対してエイズ防止活動をおこなう。
・青島你我青少年健康サービスセンター[青岛你我青少年健康服务中心] ――2003年設立。未婚の青少年のリプロダクティブヘルス教育をおこなう中から、セックスワーカーの健康問題に気づき、主な対象の一つにした。
・瀋陽愛之援助[沈阳爱之援助] ――エイズのハイリスクグループに関して健康教育や政策建議をする。
・[武漢]中国民間女権工作室[中国民间女权工作室]――女性セックスワーカーに対してエイズや権利の面で関与する活動。
・広州晋光センター[广州晋光中心] ――社会に周縁の人々の生存状況を知らせ、職業上の健康・安全などを改善させる。
・雲南個旧苦草工作室[云南个旧苦草工作室] ――主にセックスワーカーの中のエイズ感染者に服務。
・[雲南省]瑞麗市女性児童発展センター[瑞丽市妇女儿童发展中心]――瑞麗市にいる中国籍とミャンマー籍のセックスワーカーに対して健康教育。
・[四川省]江油市温馨家園[江油市温馨家园] ――江油市中英エイズプロジェクトの支持の下、2007年、売春の場所が密集している地区に設立。

【2】男性セックスワーカーをサポートする組織

・北京同行工作組[北京同行工作组]――2004年に設立された同性愛者のためのグループ。男性セックスワーカーの中でエイズ防止活動をおこなっている。
・雲南平行[云南平行]――男性セックスワーカーの中でエイズ防止活動。
・上海楽宜[上海乐宜]→のち上海心生(Shanghai CSM&MSM Center)――男性セックスワーカーとMSM(男どうしで性行為をする人々)のために活動。上海疾病予防・制圧センターやさまざまな大学と協力して、男性セックスワーカーの中でエイズ防止活動。

【3】香港・台湾の組織

[香港] 青鳥――セックスワーカー支援団体
[台湾] 日日春関懐互助協会(日日春)(Collective Of Sex Workers And Supporters[COSWAS])――セックスワーカー支援団体

中国大陸の組織は、「エイズ防止のための活動をしている」と言っている場合が多いようです。実際にはセックスワーカーどうしの交流などもおこなっている場合も多いわけですが(3)、表立った看板としては、「エイズ防止」前面に掲げていることは、セックスワーカーの人権を正面から言いにくい状況を示しているように思います。また、「セックスワーカー自身が設立した」と説明されている組織もありますが、そうでない組織の場合、セックスワーカー自身がどれほど主体的に関与できているのかは、あまりよくわかりません。

最高意思決定機関

このフォーラムの正式の「理事会」が選出されるまでの間は、2009年5月14日に設立された「臨時執事委員会」が最高決定機構であり、そのメンバーは、以下の人々でした(リーフレットより)。
・譚潔瑩(北京陽光之旅ボランティアグループ)
・方雪妃(北京愛知行折翼天使)
・郭子陽(北京同行)
・藍藍(天津信愛女性家園)
・張寧(山東膠州愛心健康相談センター)
・葉海燕(中国民間女権工作室)
・李曼(雲南個旧苦草工作室)
・陳桂蘭(瑞麗市女性児童発展センター)
・瀟恒(雲南関愛之家)
・楽言(雲南平行)
・葉挙林(広州晋光センター)
・鄭煌(上海楽宜)

その後は、2年ごとに大会を開催して、「理事会」のメンバーを選出すると決められています。2012年の時点では「理事会」に9名のメンバーがいるそうで、メンバーのお名前はわかりませんが、そのうち2名が女性セックスワーカーだとのことです(4)

会議や合宿

ふだんの会議は、上に挙げたようなメンバー10人程度で(もちろん人の入れ替わりはありますが)、インターネット会議という形式でおこなわれることが多いようです。その他に、合宿形式で、会議や研修がおこなわれることもあります(会議については、末尾の「付 会議と議題一覧メモ」をご覧ください)。

2.フォーラムの活動の概略――活動計画より

フォーラムの活動全体を俯瞰できるような文書はあまり見つけられませんでしたが、2010年度と2012年度に関しては、活動計画がありましたので(5)、それらを見てみます。以下の活動計画は、そのすべてが実現されたわけではないと思いますが、目指す方向性はわかります(原文のままではなく、概略です)。

2010年度活動計画

目標1:フォーラムのメンバーの多様性という特徴を利用して、エイズに関与する有効なモデルを探索・整理し、広める
 ・メンバーの組織の資料を収集し、とりまとめてハンドブック・書籍を制作する。
 ・経験の交流をし、優秀なモデルを推進する。
 ・調査研究:セックスワーカーの職業上の安全の問題を調査する。

目標2:ニーズを結び付け、弾力的で多様な方法でメンバーの組織が共同して発展することを支える
 ・メンバーの組織のニーズを調査する、メンバーの組織にフォーラムの活動に対して評価してもらう。
 ・フォーラム内部で経験を分かち合い、交流する会をする。
 ・メンバーの組織に対して技術的サポートするグループを設立する。
 ・特定のテーマについての専門的研修をする。
 ・国内・国際機関との相互訪問学習
 ・資源の共有、情報の分かち合い

目標3:フォーラムの制度を整備し、フォーラムの凝集力を増し、信頼性を高める
 ・制度(活動規約、財務制度、会議制度)を制定し、執行する。活動・財務の公開・公示をする
 ・スローガンとロゴを確定する

目標4:多様な方法で宣伝と唱導をおこない、政府の関係部門にフォーラムの価値を理解させ、支持を勝ち取る
 ・関係部門と交流することを通じて、フォーラムついて認識・理解してもらう
 ・ウェブサイトを設立する。

目標5:エイズ防止と健康を切り口にして、多くのルートで資金を集め、フォーラムの持続可能な運営を維持する
 ・資金調達団体モデルを探索し、打ち立てる。
 ・政府や基金会の関連するエイズ防止活動に参加して関係を作り、資金調達情報を得る。
 ・年間計画を完成できる金額を集める。


2012年度活動計画

目標1:フォーラムの組織の医療と法律と関連する管理能力の援助と研修
 ・新しい理事会の選挙――最初に市民社会の民主的選挙に関する研修をしてから、選挙をする。
 ・フォーラム内部で一対一の研修――フォーラムの中の経験と資質を持った組織の責任者が、フォーラムの中の経験が不足していて、発展が十分でない組織に対して、一対一で研修をする。
 ・法律援助センターを作る――弁護士が援助ホットラインをすることによって、セックスワーカーが直面している問題を解決するとともに、個別のケースを収集する。
・医療援助――性病・エイズの定期検査をおこない、その分析もおこなう。

目標2:セックスワーカーが自分の権利・義務と関連する医療・法律知識を理解する
 ・セックスワーカーの医療と法律の知識の小冊子――図版や具体的な事例を主とした、わかりやすい医療と法律の知識の小冊子をそれぞれ3000冊ずつ作成する。

目標3:セックスワーカーの現状の唱導
 ・セックスワーカーに対する厳しい取締りがエイズ防止に与えた影響についての会議――国連と協力して、衛生部・公安部が厳しい取締りがエイズ防止に与えた影響についての会議をする。
 ・国際エイズ大会――この会議で、中国においてセックスワーカー取締りがエイズ防止に与えた影響を宣伝する。2人が会議に参加する。
 ・国内外の関連する活動の会議で唱導をおこなう――関係がある人々と交流・宣伝
 ・フォーラムの唱導の宣伝品を制作する――ポスター、冊子など。



以上の年次計画から、フォーラムとしての活動を簡単にまとめると、以下のようになるかと思います。
 ・内部の組織の交流、経験のとりまとめ
 ・内部の組織の研修――外部から講師を呼んだり、より経験豊かな組織が、そうでない組織に対して1対1の研修をしたりする。
 ・外部の機関との交流
 ・セックスワーカーのために、法律や医療についてのパンフを作成・普及、法律・医療相談
 ・調査研究、社会に対する訴え(警察の取締りのあり方に対する批判など)

ただし、2010年度活動計画と2012年度活動計画とを比較すると、以下のような変化が生じているように思います。
 ・2010年度は、「エイズ防止」を前面に掲げていたが(目標1、5)、2012年度は、とくに「エイズ防止」を前面に掲げていない。
 ・2010年度は、内部のシステムについての計画に重点が置かれていたのに対して、2012年度は、外部に対する働きかけについて、より具体的に語られている(目標2、3)。

3.国際組織との関わり――国連のエイズ防止活動との関係が密接だが、セックスワーカー組織とのつながりも

この中国セックスワーカー組織ネットワークフォーラムは、資金面などで、主に国連エイズ合同計画(the Joint United Nations Programme on HIV/AIDS[UNAIS]日本語による説明)や国連人口基金(United Nations Population Fund[UNFPA])のサポートを受けています。

すでに2007年4月に、国連エイズ合同計画や国連人口基金は、北京で中国の衛生部と国家計画生育協会の協力を得て、性産業におけるHIV感染予防のためのプロジェクトを実施するための会議をおこなっています。中国政府自身のHIV/エイズ行動計画も、性産業の現場を含めて、HIV感染を引き起こす行為に対処することを求めています(6)(そのことと、性産業を取り締まる公安部[警察]の姿勢との間には不整合性があるわけですが……) 。

雲南省昆明で2009年2月20日に開催された「セックスワーカー健康関与組織研究討論会」(この会議は、フォーラムが結成されたという「セックスワーカー職業安全会議」と同じもののように思う)では、国連エイズ合同計画のNana Taona Kuo(过涛娜)さんが冒頭で発言し、「現在HIVがセックスワーカーを経由して伝染していることが肝心な問題であるのに、セックスワーカーと買春客に対して関与している率は比較的低い。 (……)各国の経験から、コミュニティを中心にして活動をおこなうが比較的有効であり、基層の組織が重要であることがわかっている。(……)けれども、現在、中国ではセックスワーカーからの声は聞こえないので、NGOを通じてセックスワークの現在の状況を反映させて、情報収集をしてこの工作を展開し、もっと多くの資金を募って、セックスワーカーをサポートする関与工作をおこなう。この会議を通じて皆さんのニーズを理解し、的確な援助によって、現在存在している困難を解決するのををできるだけ援助する」と語っています(7)

Google Group「中国性工作者」で見るかぎり、中国セックスワーカー組織ネットワークフォーラムが開催した、2日以上に及ぶ会議・研修(合宿形式であると思われる)は、そのほとんどが国連エイズ合同計画や国連人口基金の財政的援助を得ており、それらの機関の職員の挨拶から始まっています。

なお、ここで述べておくと、「世界エイズ・結核・マラリア対策基金(世界基金)」(サイト日本語による説明)のプロジェクトに関しては、少なくとも2010年時点では、「セックスワーカー主導のプロジェクトやセックスワーカーが参与しているプロジェクトはきわめて少ない」と指摘されています(8))。

ただし、その一方で、中国セックスワーカー組織ネットワークフォーラムは、以下のような、セックスワーカーの人権を軸に据えた国際組織との交流や援助もあります。

たとえば、2011年9月24-25日におこなわれた研修会議では、アジア太平洋地区セックスワーカーネットワーク(Asia Pacific Network of Sex Worker$(APNSW)、亚太性工作者网络)の責任者(Andrew Hunter)との経験の分かち合いと交流がおこなわれています。また、セックスワークプロジェクト国際ネットワーク(Global Network of Sex Work Projects(GNSP)、全球性工作项目网络)との交流もあります。また、2012年に設立された「レッドアンブレラ財団(Red Umbrella Fund、红伞基金会)」(セックスワーカーの健康・人権・労働権・自主権のために奮闘する行動と組織をサポートする)の資金援助の申請方法をメンバーの組織に紹介する、といったこともおこなわれています。

もちろん、国連人口基金なども、HIV感染予防のためにはセックスワーカーの人権や健康のニーズにも取り組むべきことを強調してきていますので、国連関係機関と上のようなセックスワーカーの人権組織とが相対立しているわけではなく、共同で研究をしている場合もあります(9)。けれども、セックスワーカーの人権組織が国連人口基金などを批判している場合もある(10)ことに見られるように、力点の置き方の違いはあるだろうと思います。

また、中国セックスワーカー組織ネットワークフォーラムは、Asia Catalyst(亚洲促进会)という、東アジアと東南アジアの周縁的なグループ(セックスワーカー、LGBT、エイズ感染者など)の健康の問題に取り組む草の根グループに対して研修などの援助をしている団体からの支援も受けているようです。

4.警察の売買春取締りキャンペーンにおける人権侵害に対する批判

このフォーラムの各構成組織はさまざまな活動をおこなっていますが、「中国セックスワーカー組織ネットワークフォーラム」として表に出て社会的活動をしたことは、それほど多くありません。その中では、2010年の売買春の取締り強化するキャンペーン(いわゆる「掃黄」「厳打」)に対する批判が目立っています。

売買春取締りキャンペーンの中での人身の権利の侵害を批判する声明

まず、2010年7月20日に、「中国セックスワーカー組織ネットワークフォーラム」は、「最近の関係部門の売買春一掃が人身の権利を深刻に侵害している問題に関する声明」を出しました(11)

この声明は、まず、「最近の警察の売買春取締りの事件」として、(1)武漢の警察が買春や売春で捕まった人の実名と年齢を街頭に掲示したこと、(2)広東省東莞の警察が、売春した女性を、はだしのまま、手錠・縄付きで引き回しているかのように見える写真(この記事に掲載されている写真です)が見つかって問題になったこと、の2つの事件を取り上げて、(1)の事件については、プライバシー権の侵害であること、(2)の事件については、引き回しはとっくに禁止されており、人格権の侵害であることを批判しています。

そのうえで、この声明は、以下の点を要求しています。
 1.関連する法律執行部門は、以上の不当な法律執行行為について、被害者に対して公にお詫びをする声明を出し、かつ、精神上の賠償をするべきである。
 2.上述の不当な法律執行行為について、関係する上級部門は、その個人責任を追究し、相応の行政処罰をするべきである。
 3.上級部門は、今後類似した不当な法律執行行為が起きないようにする政策を出すべきである。すなわち、いかなる法律執行者も、セックスワーカーの尊厳を踏みにじったり、セックスワーカーのプライバシー権を侵犯してはならず、セックスワーカー自身の人身の権利と人身の安全を確保しなければならない。

「2010年の売買春取締りがセックスワークとエイズ防止に与えた影響の研究」

2011年には、中国セックスワーカー組織ネットワークフォーラムは、「2010年の売買春取締りがセックスワークとエイズ予防に与えた影響の研究」を発表しました(12)

この調査は、「エイズ防止とセックスワークについての専門家を招いてアンケートとインタビューの大綱を設計し、さらに国連人口基金と国連エイズ合同計画、『フォーラム』のメンバーに対して、意見を求め」て、計画したものだとのことです。また、この調査の特徴は、「すべてのインタビューとアンケート調査を同フォーラムのメンバーの14の組織がおこなった」ことで、そのためか、「これは、国内初の、研究者でもなく、衛生業務従事者でもない人々がおこなった比較的大規模なセックスワーカー調査である」と称しています。

また、この被調査者の中に、女性セックスワーカー(194人)だけでなく、男性セックスワーカー(105人)、異性装や性転換をしているセックスワーカー(人数としては、上記の「男性」と「女性」の中に含まれているが、独自に集計している)、業者、ケア・エデュケーションをするボランティアなども含まれていることなども特徴です。

この調査の結果、2010年の売買春取締りによって、以下のような影響があったことが明らかになりました。

・売買春取締りによって、閉鎖された場所が多く、客が減ったセックスワーカーが63%にのぼる(とくに女性の場合は、80%)。当然、そのために収入も減った。

・中国政府は売買春取締りをエイズ防止のための重要な措置の一つにしてきたが、大部分のセックスワーカーは、取り締まられても、売春を止めてしまうわけにはいかず、「しばらくセックスサービスに従事しなくなった」人が53.2%いただけだった。

・むしろ、「さらに隠蔽された場所または隠蔽された方法でするようにした」セックスワーカーが36.8%いた。そのため、エイズ性病防止活動をすることが難しくなった。たとえば、街頭に立つセックスワーカーは、警察のパトロールを避けるために仕事をする時間を遅くしたので、人身上の危険が増したうえに、エイズ性病防止活動もより困難になった。

・また、取締りを逃れるために、「コンドームを携帯しないようにした」セックスワーカーが16.1%、「コンドームを使わないようにした」セックスワーカーも4.7%がおり、性病やエイズに感染する危険が高まった。

・2010年、公安部は、売買春取締りの際に殴ったり罵ったりすることを禁止する文書を出したけれども(13)、今回の調査では、売買春取締りの際に、警官に「殴られた」セックスワーカーが10% (女性の場合は14%)、「金銭をゆすり取られた」セックスワーカーが7%(女性の場合は10%)おり、強姦されたセックスワーカーも4人いた。

・セックスワーカーからは、「取締り強化キャンペーンをやめるべきだ」「社会的差別をなくすべきだ」といった意見が出ている。また、フォーラムのメンバーからは、以下のような提案が出ている。
 1.メディアに携わる人々に対して、セックスワーカーに汚名を着せたる報道をしたりしないよう、研修をおこなうべきである。
 2.(性病やエイズ防止に携わる)衛生管理部門は、警察との調整に力を入れるべきである。「コンドームを売買春の証拠にするか否か」という点も、まだ明確な政策や文書が出ていない。
 3.法律サービスに携わる組織や社会団体は、セッスクワーカーの役に立つサービスを提供する必要がある。
 4. 中国セックスワーカー組織ネットワークフォーラムや国際組織が、政府レベルに対する唱導や研修を強化する必要がある。

「セックスワーカーに対する暴力をやめさせる」連名のアピール

さらに、2012年12月17日には、「セックスワーカーに対する暴力をやめさせる連名の手紙(终止暴力性工作者联署信)」(14)というアピールが出されました。このアピールは、中国セックスワーカー組織ネットワークフォーラムが出したものではありせんが、同フォーラムも名を連ねています。

ただし、このアピールの12月17日時点での連署団体は、北京佐佑情報相談センター(北京佐佑信息咨询中心)、(深圳夕颜)、姐姐仔会[香港]、上海心生(上海心生)、午夜藍(午夜蓝 [香港])、愛白文化教育センター(爱白文化教育中心)、全国エイズ情報リソースネットワーク(全国艾滋病信息资源网络)、天津信愛文化伝播センター(天津信爱文化传播中心)、雲南平行同志特区(云南平行同志特区[权益小組] ) 、飛賛ネット(飞赞网)、Ladyboy 互助ネットワーク(Ladyboy互助网络)、同志の声(同志之声)です。以上のうち、北京佐佑情報相談センター、上海心生、天津信愛は、中国セックスワーカー組織ネットワークフォーラムのメンバーですが、同フォーラム自体は、この時点の連署団体ではなく、その後に署名しています。

このアピールは、今年1月1日までに76団体が名を連ねており(セクシュアル・マイノリティ系やエイズウィルス感染者の諸団体も多い)、かなり幅が広いものです、また、セックスワーカー84名も個人として名を連ねているという特徴もあることですし(セックスワーカー以外にも29人が個人として名を連ねている)(15)、以下で原文を翻訳したものをご紹介します。

毎年12月17日、セックスワーカーに対する暴力をなくすことを旨とした「セックスワーカーに対する暴力をやめさせる国際デー」(*)である。

残念ながら、私たちは、現在、わが国のセックスワーカーは誰もが暴力に直面しているという事実あるいは心配があると認識している。たとえば、

一、人身の安全の保障が欠乏している

一部の女性・男性・トランスジェンダーのセックスワーカー団体の不完全な統計によると、2012年の1月から11月までに全国の7都市で調べたところ、セックスワーカーに対する暴力事件が218件起きており、そのうち8名のセックスワーカーが殺害されている。

注意しなければならないのは、セックスワーカーは、社会の言語による暴力や差別、汚名のほかに、常に顧客や暴力団の強盗、恐喝、ゆすり、強姦、窃盗などの攻撃的な暴力行為に直面しているということであり、人身の安全の保障が欠乏している。

二、暴力を振るわれても、助けを求められない

暴力事件に遭っても、セックスワーカーは警察に通報して助けを求めることができず、法律によって個人の利益を守ることができない。一つには、セックスワークに従事しているために、逮捕されたり処罰されたりすることが心配だからである。もう一つには、少なからぬセックスワーカーは、おとり捜査や暴力を使った法律執行を経験したことがあるので、助けを求めることを怖がる。悪い者が法によって捕まることがなく、欲しいままにふるまうのだから、被害者の抱える潜在的危険は日増しに高まり、別のセックスワーカーもいっそう暴力に遭いやすくなる。

以上に鑑みて、私たちは呼びかける:セックスワーカーの人身の安全に関心を持ち、いかなる形態の暴力もなくそう。

(中略)

最後に、私たちは、以下のように呼びかける。
 (1)セックスワーカーの権益を尊重し、セックスワーカーに対するいかなる言語上および身体的な暴力もなくそう。
 (2)法律を執行する際には、おとり捜査やセックスワーカーに対する暴力的な法律執行をしてはならない。
 (3)セックスワーカーが犯罪行為にあって助けを求めたときは、犯罪の被害者としてのセックスワーカーとセックスワーカー現在まだ合法ではないという身分とを区別して、セックスワーカーのために法律的支援を与えることによって、セックスワークに対する暴力的犯罪をなくすべきである。


(*)アメリカで48名以上のセックスワーカーを殺したゲイリー・リッジウェイ(Gary Ridgway)に対して、2003年12月17日、判決が下された。アメリカのセックスワーカー団体WSOP-USA(Sex Workers Outreach Project-USA)は、その日をセックスワーカーに対する暴力をなくすための記念日にした。

5.鄧玉嬌事件に対する傘下の組織のセックスワーカー視点での主張

2009年5月10日に起きた鄧玉嬌事件(浴場で足の手入れをする仕事をしていた鄧玉嬌が地方政府の役人に暴力を振るわれ、強姦されそうになったため、小刀で役人たちを死傷させた事件)については、すでに本ブログの記事(「鄧玉嬌事件をめぐって」、「鄧玉嬌事件の判決をめぐって」)で、いくつかのNGOの声明や女子大学生のアピールとパフォーマンスアートについてご紹介しました。

今回、「中国セックスワーカー組織ネットワークフォーラム」の活動について調べた際、私は、この事件について、セックスワーカーやその支援団体も声明を出したり、パフォーマンスアートをしていたことを知りました。鄧玉嬌さん自身は直接性的サービスをする仕事をしていたわけではないのですが、異性を相手にした浴場での仕事についていたことや、役人たちに「特殊なサービス」に要求されて、それを拒否したことから暴力を振るわれたことなどが、セックスワーカーの状況と共通していたのだと思います。以下、ご紹介します。

まず、5月26日、北京愛知研究所の海淀女性セックスワーカー活動センター(16)が、女性セックスワーカーが主体になった討論会を開催して、以下のように、みんなで意見を出し合い、宣言をした記録を発表しています(17)

1.警察に問いたい。なぜ警察はすぐに証拠を集めなかったのか? 中国では、権勢がないと困難だ。

2. 鄧玉嬌の「刃物」について言えば、鄧玉嬌は仕事の場でいつも脅かされていて、危機感を覚えていたに違いないと思う。ある女性セックスワーカーは、数年前に[北京市]懐柔[区]で仕事をしたとき、いつもハラスメントにあっていた。だから、多くの女性セックスワーカーはポケットの中に刃物を入れていた。鄧玉嬌の仕事の場でも、きっと以前に他の女性が侵犯されたことがあったのだろう。

3. 鄧玉嬌は一人の弱い女性であり、きっと極度におじけ恐れていたのだろうし、精神が極度に刺激された状況の下では、やむを得ない選択だったのだろう。その時は本能的にしたことで、自らをコントロールする力も失った状況だったのだと思う。

4.たとえ鄧玉嬌がセックスワーカーだったとしても、彼女にも「売る」か「売らない」かを決める権利がある! 拒絶することを選択する権利がある!

5. 鄧玉嬌が強姦されたかどうかも、重要ではない。重要なのは「侵犯を受けた」ことであり、人身が脅かされ、人権が踏みにじられたことだ!

だから私たちは訴える、人身の安全と尊厳は私たちの共通のニーズだ!


5月20日には、中国セックスワーカー組織ネットワークフォーラムのメンバーの一つである中国民間女権工作室が、鄧玉嬌事件に関して以下のような声明を発表しています(18)

1.巴東政府が弱い女性の権益を守ることを期待する。尊厳が傷を受けた下で、さらに不合理な刑に処してはならない。

2.政府のそれぞれの末端の指導者は、自らの修養を強め、真に人民の公僕の位置に立ち返るべきであり、「公僕」の皮をかぶって人民の子女を蹂躙しないように訴える。「黄玉嬌」「李玉嬌」事件が発生することは絶対に防がなければならない。

3. 婦女連合会は女性の権利を守る役割を発揮して、「鄧玉嬌事件」に対して一定の関心を表明せよ!


さらに、5月29日、中国民間女権工作室は、華中師範大学の北門で、何満子武漢大学生コミュニティネットワーク(ネット上のフォーラムの名称のようです)のネットユーザーらと共に、鄧玉嬌についてのパフォーマンスアートを上演しました(写真を見るかぎりでは、4人の若い女性と2人の若い男性が参加したようです)。このパフォーマンスアートの発想は、5月24日に北京で女子大学生がおこなった「鄧玉嬌事件」パフォーマンスアート(これは、本ブログの記事「鄧玉嬌件をめぐって」で紹介しました)から得たとのことです。武漢でパフォーマンスをした紫妍さんも、90後(1990年代生まれの世代)の大学生です。

武漢でのパフォーマンスアートでは、まずメンバーたちが、「誰が次の鄧玉嬌なのか」というスローガンを掲げて、多くの通行人の注目を集めました。紫妍さんは、赤い×印を書いたマスクを身につけ、体を白いガーゼによって包み込むようにして縛られました。これは、発言権と自衛能力を失った民間の弱い女性を示しているのだといいます。さらに、葉海燕さんがこのパフォーマンスアートのテーマについて現場で説明をしたので、少なくない民衆が鄧玉嬌事件についての討論をしたとのことです(19)

ただし、鄧玉嬌事件について、中国セックスワーカー組織ネットワークフォーラム自体が何らかの行動をしたということはないようです。

6.葉海燕と中国民間女権工作室の主張と行動の特色

「中国民間女権工作室」と同工作室を創設した葉海燕さんの主張と行動については、本ブログでもたびたび紹介してきました(「本年の動向10―売買春に関する議論と行動」、「『第1回セックスワーカーデー』、中国民間女権工作室、セックスワーカーの互助団体の萌芽」、「世界基金のプロジェクト中止で、中国民間女権工作室に打撃――中国のNGOの困難」、「葉海燕らによるセックスワーク合法化の街頭宣伝と葉の拘束、第2回セックスワーカーデー中止をめぐって」、「中国民間女権工作室(葉海燕ら)に対する当局の弾圧と同工作室の活動停止」、「葉海燕さんが広西を拠点に中国民間女権工作室の活動を再開」、「葉海燕さんの婦連批判と『民間婦連』、底辺の女性への視点」、「『第5回(2012年)中国10大セクシュアリティ/ジェンダー事件批評』」の2「葉海燕が『十元店』で無料のセックスサービスをした」)。

中国セックスワーカー組織ネットワークフォーラムの中でも、葉さんらの主張と行動は、以下のような特色を持っていると言えるように思います。
(1) 売買春取締り批判にとどまらず、セックスワーク合法化を積極的に主張していること
(2) 2005年12月という早い時期から「妓女維権熱線(のち紅塵熱線)」という電話相談を開始したのみならず、2009年からは街頭宣伝を含めた行動をしばしばおこなっていること。すなわち、8月3日を「セックスワーカーデ―」と定めて、その前後に、街頭宣伝や署名集めを含めたイベントをおこない、12月17日には、「レッドアンブレラ(红雨伞)」アクションとして、セックスワーカーに対する暴力や差別に反対する街頭宣伝などをおこなってきたこと。
(3) エイズ防止を軸に考えず、セックスワーカーの権利を軸にして考えていること。
(4) 政府批判はもちろん、中華全国婦女連合会批判を繰り返しおこない、「中国民間婦連」の創設まで宣言したこと。

(1)の点については、既にいろいろご紹介してきましたが、葉さんがフォーラムの中で発表した「私はなぜセックスワークの合法化を提唱しなければならないのか」(20)という以下の文からは、葉さんがセックスワーク合法化を主張しているのは、社会的な貧富の差に注目し、同じセックスワーカーの中でも貧困な人々に特に関心を寄せているからであることがわかります。

1.最初に明確にしなければならない点がある。私の関心は、主に貧困なセックスワーカーにある。貧困者とは、社会環境全体の中での弱者層だけである。けっしてすべてのセックスワーカーが貧困なのではない。若干の高級な場所のセックスワーカーは、セックスワーカーの中のホワイトカラーであり、ゴールドカラーでさえあり、私の生活と比べてもずっと良い生活をしている。彼女たちの前では、私は弱者にすぎない。だから、彼女たちを助けるなどというバカなことは語らない。私が関心を持っているのは、貧困なセックスワーカーである。なぜなら、私も貧困者だからだ。私たちは同じ世界に属しており、同一の階層の中の人である。私たちは運命を共有している。

2.私がセックスワークの合法化を提唱する理由は、けっして性を売ることを提唱するからではない。性の取引が違法であり、売買春が違法だと規定している法律は、何千何万もの人の生存に影響するからだ! 彼女たちは、都市の片隅で生活している貧民である。あなた方が子細に観察すれば、小さなヘアサロン、小さな休閑店[注:いずれも売買春の場になっている]にいるのは、実際はみな貧乏人であることがわかるだろう。店主であれ、セックスワーカーであれ、買春客であれ、みな貧乏人である。おかみさんがヘアサロンを経営するのは、家族を養うためであり、セックスワーカーが出勤してくるのも、家族を養うためであるか、自分の将来のために少しばかりの蓄えを稼ぐためである。買春客も、性に苦悶する庶民である。本当に金を持っている人は、みなお妾さんを持ったり、愛人を養ったりしている。庶民、低収入の人だけが、それらの休憩所に行って、自分の性の問題を解決するのである。売買春一掃の厳しい取締りが始まると、この3種類の人の生存はみな影響を受ける。とくに高額な罰金は、この3種類の人々を苦境に追いやる。

3.性は、すでに普通の人にとって圧力になっている。都市の生活では、婚姻はもう簡単なことではない。婚姻の背後には、住宅や仕事が関係してくる。私たち一人一人が長期的なパートナーを見つけようとすれば、それは決して容易なことではないことをよく理解しなければならない。(……)とくに低収入の人々はそうである。性は庶民の圧力になった後に、人口のバランスが崩れるにつれて、ますます明確な社会問題になる。社会の安定は、セックスワーカーと不可分である!

4.セックスワークは危険性が高い仕事であり、セックスワーカーが暴力に遭ったり死亡したりする比率はとくに高い。第三者の監督がある環境にいてこそ、セックスワーカーは比較的安全である。たとえば、ヘアサロンでの性の売買の行為のようにである。入口の外にはおかみさんがいるか、その他の姉妹がいるので、犯罪者もむやみに入って来られない。けれども、非合法であるために、売買春取締りを恐れて、セックスワーカーが隠蔽された場所に身を隠すために、人々がいるところから離れて、客と性の売買をすると、暴力を振るわれる危険がきわめて大きくなる。もし合法ならば、セックスワーカーは、固定された場所で落ち着いて仕事ができるので、比較的安全であり、一日中びくびくしながら過ごす必要はない。

5.実際は中国の性産業は、すでに半ば合法の状態である。私がセックスワークの合法化を提唱するのは、実際は低い階層のセックスワークの合法化である。なぜなら、高級な場所ではとっくに合法化されているからである。あなた方は、高級なクラブやホテルで誰かが捕まったのを見たことがあるだろうか? 捕まるのは、低い階層のセックスワーカーである。それゆえ、合法化を提唱するのは、低い階層の人に平等な生存環境を与えたいからでもある。これらの理由は、性を開放して、女性の売春を奨励することと、なんら関係がない。ご理解いただけるだろうか?


この葉さんのセックスワーク合法化論に関しては、フォーラムの中でも議論になりました。ただし、他のメンバーもセックスワークの非犯罪化は肯定しており、葉さんと他のメンバーとは対立しているわけでもないという指摘も出されました(21)。また、2010年8月、武嶸嶸さんらが属している北京愛知行研究所も「セックスワーカーの権益に関心を寄せ、セックスワーク合法化を訴える公開書簡」(22)を発表しているように、他にも「合法化」を社会的に主張しているメンバーはいることも述べておきます。

(2)の点に関しては、葉さんは、「中国セックスワーカー組織ネットワークフォーラム」は、もっとフォーラムとして社会的に主張すべきだと考えています。すなわち、葉さんは、「多くのセックスワーカー組織は、非常に控え目だ。いくらかの草の根の組織が言うところでは、世の中に知られなくても具体的なことをするという。それは一つの戦略であり、一つの方法だが、では、誰が唱導をするのか?」「フォーラムは、学習と研修の機会は多いが、残念ながら声、とくに集団の声が少ない。私たちは多くの事柄について、私たちの立場を表明してこなかった」(23)と述べています。

(3)の点に関して、葉さんは、ずばり、「私はエイズ防止のためにセックスワーカーに関心を持つのではない、私はセックスワーカーのためにこそエイズ防止活動をするのだ」(24)と表明しています。

(4)の点に関して、葉さんの中華全国婦女連合会批判については、「葉海燕さんの婦連批判と『民間婦連』、底辺の女性への視点」でご紹介したところですが、葉さんは、世界基金に対しても、両工委(非政府組織工作委員会と感染者工作委員会)の委員の選出などにおいて女性セックスワーカーを重視していないことを批判したりしています(25)。さらに、世界基金が中国から撤退する(完全な撤退ではないようですが)に際して、以下のような公開書簡を発表しています(26)

 あなた方[世界基金]は、中国に巨大な貢献をした、そうだ、巨大な貢献だ!
 なぜなら、あなた方はNGOの理念を輸入し、エイズの民間サービスを輸入した。中国の数千万のエイズ感染者にとって、私たちは、あなた方に恩がある。あなた方は、私たちの多くのグループに非常に巨大な援助を与えた。

 しかし、私は中国の公民、中国の底辺の公民としては、あなた方が中国を離れることに感謝する!
 あなた方が存在したことによって、私たちの政府は自分の責任を忘れた!
 あなた方が存在したことによって、私たちの政府は傍観者に、しかも面倒がない傍観者になった!
 あなた方の存在によって、私たちのグループは、追求するものを変えた!
 あなた方が行ってしまうと聞いて、私は非常につらい。けれども、うれしさの方が上だ!


この公開書簡は、世界基金とともに中国政府を批判しています。

以上のような主張と行動ゆえに、これまでご紹介したように、葉さんは、当局によって、第2回セックスワーカーデーのイベントを中止させられたり、武漢では入居している建物から中国民間女権工作室を追い出されました。

さらには、2012年5月には、葉さんが広西省に設立した浮萍健康服務工作室が正体不明の男性8人によって襲撃され、葉さんが刃物で負傷させられるという事件が起きました。葉さんは、この事件を当局によるものと見なしており、「8人の人を使って私たちのこの10㎡の公益グループに対処させるとは、私たちを本当に持ち上げてくれたものだ。私は党に感謝し、政府に感謝する、このように私を重視したことを!」と述べています(27)

付 会議と議題一覧メモ

以下の会議と議題の一覧は、Google Groupの「中国性工作者」でわかるかぎりのものであり、断片的な情報でしかありません。会議の名称なども、統一して表記していません。

2009年

●2月20日 セックスワーカー健康関与組織研究討論会(雲南省昆明祥瑞酒店401号会議室)

議題
一、各参加組織が、それぞれの地区でのセックスワーカーの医療環境を紹介する。
二、事例を分かち合って経験交流をする。
三、各組織が各地のセックスワーカーの法律の問題を交流する。
四、セックスワーカー組織交流フォーラムの計画の討論

●7月30日 セックスワーカーフォーラムネットワーク会議

一、インドでの研修の参加者について
二、事務局の職責に関する審査について、若干の文言を修正して採択
三、今後2ヶ月の活動の割り振りを一致して採択、実施を開始
四、UNFPAの研修計画の申請について

●11月24日 セックスワーカーフォーラムネットワーク会議(インターネット会議)

一、第2回フォーラム組織人員の実習
二、第2回研修会議(青島1.10―12)
三、国連人口基金[UNFPA]経費サポートフォーラム研修会議(青島1.13―16)
四、その他の提案と討論

●12月21日 セックスワーカーフォーラムネットワーク会議(インターネット会議)

一、フォーラムの交流会とフォーラムの組織の能力建設にについて討論
二、交流会議の議事日程について(1月11日―1月12日、青島)
三、研修会議の議事日程について(1月13日―1月15日、青島)

2010年

●1月10日―12日 交流会議(青島)

1月11日
 午前
UNAIDSの職員のあいさつ
男性セックスワーカー工作と分かち合い
 午後
女性セックスワーカー工作と分かち合い
総括
 晩
アウトリーチ活動

1月12日
 午前
フォーラム前期活動総括報告
フォーラムの将来の工作計画、工作規約
 午後
フォーラムの規約制度とフォーラムのその他の事項の討論と表決

●1月13日―17日 中国セックスワーカー組織ネットワークフォーラム組織能力建設研修会(青島)

1月13日
 午前
UNFPAの職員のあいさつ
国際セックスワーカーとNGOの現況
国内セックスワーカーとNGOの現況と発展計画
 午後
プロジェクトの管理モデル
プロジェクトの観測と自己評価

1月14日
 午前
セックスワーカープロジェクトサポート組織と基金会の理解と申請
プロジェクト[申請?]書を書く
 午後
プロジェクト書の難しくてわからない点の解答
国内のセックスワーカーに関する法律

1月15日
 午前
セックスワーカーの職業上の技巧
セックスワーカーがどのように自分を保護するかと安全の問題
 午後
会議の総括

研修専門家:
・張菊芳(倍能组织能力建设与评价中心)研修専門家(14日、15日午前)
・郭暁飛(中国政法大学講師)、中国の法律と同性愛との関係についての専著。潘汝銘教授の下で、中国のセックスワーカーと関係NGOに対する研究プロジェクトに参加したことがある(15日午後)。
・張寧(山東膠州病院皮膚科主任)(16日午前)

●1月15日―23日 中国セックスワーカー組織ネットワークフォーラムの組織の間の学習(UNFPAがサポート)

●2月1日 中国セックスワーカー組織ネットワークフォーラムインターネット会議

一、北京愛知行折翼天使組織の責任者の方雪妃が離れる。
二、フォーラム交流会の議事日程について(3月18日-3月21日、武漢)
三、フォーラムの宣伝の小冊子と性病の知識の小冊子について……修正したうえで印刷する。

●3月18-21日 中国セックスワーカーネットワークフォーラム組織交流会


 19日
UNAIDSの職員のあいさつ
会議紹介
フォーラムの活動報告と活動計画
 フォーラムの前期活動総括報告
 2010年度の活動計画の制定
フォーラムの発展計画を制定

 20日
フォーラムの規約を制定
会議の総括

●5月6日 中国セックスワーカー組織ネットワークフォーラム5月フォーラム理事インターネット会議

一、投票で理事長を選出→鄭煌に
二、UNFPAプロジェクトの残金使用状況
三、フォーラムへの加入申請プロセスの緻密化
四、青島你我青少年健康サービスセンターのフォーラム加入申請に関すること
五、フォーラムの技術グループ設立を討論

●10月25日午後7―9時 中国セッスクワーカー組織ネットワークフォーラム第5回インターネット会議

一、新しい組織のメンバー
 天津深藍女性家園、江油市温馨家園
二、フォーラムの最近の活動の報告
 1.RCCプロジェクト
 2.法律知識の小冊子
 3.フォーラムのウェブサイト
三、フォーラムの今後の活動計画
 1.UNFPAがサポートする全国の厳打(売買春に対する厳しい取締り)調査プロジェクト
 2.アジア促進会がサポートする年末のフォーラムのメンバーの組織の能力建設研修会
四、フォーラムに対するみんなの意見と建議

2011年

●3月20―23日 中国セックスワーカー組織ネットワークフォーラム2011年3月研修クラス

●4月28日午後7―9時 中国セックスワーカー組織ネットワークフォーラムインターネット会議

一、2010年フォーラムプロジェクト工作完成状況と財務報告
 1.UNAIDSのプロジェクトの報告と財務報告
 2.UNFPAの組織能力建設プロジェクトの報告と財務報告
 3.UNFPAの厳打調査報告プロジェクトの報告と財務
 4. フォーラムの組織の実習の報告のとりまとめ
二、フォーラムの最近のプロジェクトの活動報告
 1. フォーラムの組織の能力建設研修会
 2.4つのフォーラムのメンバーの組織の研修クラス
 3.地図法プロジェクト
三、その他の議題の討論

●8月3日19:15―20:50 中国セックスワーカー組織ネットワークフォーラムインターネット会議

一、フォーラムの第2四半期の財務報告
二、フォーラムの第2四半期の活動の展開状況の報告
三、フォーラムの9月の研修会議の討論
四、ICAAPのポスターの討論
五、フォーラムのメンバーの最近の活動の分かち合い

●9月24―25日 中国セックスワーカー組織ネットワークフォーラムの能力訓練会議(上海)

・アジア太平洋地区セックスワーカーネットワーク(APNSW)の責任者(Andrew Hunter)との経験の分かち合いと交流
・中国セックスワーカーの厳打の法律知識の研修とケーススタディ
・中国セックスワーカー組織ネットワークフォーラムの2010年度および2011年度の活動の総括および今後2年間の発展の討論
・中国セックスワーカー組織ネットワークフォーラムのメンバーの組織のプロジェクトおよび活動の経験の分かち合いと交流

追記

・このフォーラムについては、Tiantian Zhengさんの論文が触れているようです。私はその論文自体は未見ですが、Tiantian Zhengさんが、2009年と昨年に、それぞれ、Red Lights: The Lives of Sex Workers in Postsocialist Chinaと、Ethnographies of Prostitution in Contemporary China: Gender Relations, HIV/AIDS, and Nationalismという著作を出されているようですので、いま、注文しているところです。

・セックスワーカー(支援)が中心になった中国の総合サイトとしては、「我的生活」も、かなり豊富な情報を発信しています。また、日本におけるセックスワーカーのHIV感染予防の問題に関しては、水島希「セックスワーカーの労働条件としてのHIV感染予防」『季刊ピープルズ・プラン』No.31(2005年夏)で述べられています。水島氏は、売春と性風俗産業が警察の管轄下に置かれていることと、セックスワーカー/顧客/経営者の間に経済的利害関係があって、セックスワーカーが最も弱い立場に置かれていることを問題として指摘しておられます。前者は中国と共通する面が大きい問題であり、後者は中国ではまだあまり追究されていない問題のように思います(この点は、もう少し調べてみなければいけませんが)。

(1)性工作者平台宣传册子电子版」中国性工作者2010年2月2日。
(2)フォーラムのサイトにも掲載されておらず、組織自体のブログなどもない組織(フォーラムのサイトの我们的成员机构のページは更新が少し遅れており、新しく加入した組織はまだ掲載されていません)に関しては、以下のような個別のページの説明に拠りました。たとえば、北京愛知行(折翼天使)については、「【China AIDS:6623】 介绍新的性工作者干预小组——北京折翼天使 (受方雪妃本人委托)」China Youth HIV/AIDS Assembly2011年6月26日といったぐあいにです。
(3)本ブログの記事「『第1回セックスワーカーデー』、中国民間女権工作室、セックスワーカーの互助団体の萌芽」でも、雲南省昆明市の「健康亭」のそうした交流の機能について紹介しています。
(4)China Sex Worker Organisation Network Forum“Anti-Pornography Crackdowns: Sex Work and HIV in China”《Research for Sex Work 13: HIV and Sex Work – The view from 2012 (English/Chinese) (性工作研究)》2012年刊[PDF]p.3-4.
(5)关于中国性工作者机构网络平台」2010年4月12日の「中国性工作者机构网络平台二年战略规划」の中の「2010年度运作计划」と「平台2012年度工作计划」2012年3月8日。
(6)HIV専門家会議、性産業現場でのコンドーム利用促進を求める」国連人口基金東京事務所プレスリリース2007年4月。
(7)2009年工作计划」中国性工作者2009年3月24日の添付ファイル郑煌「性工作者健康干预机构研讨会会议报告」。
(8)叶海燕「转发:性工作者健康组织参加全球基金的情况」中国性工作者2010年3月25日。
(9)UNDPとUNFPAとUNAIDSとAPNSWが協力して、アジア太平洋地区のセックスワーカーの法律的環境がセックスワーカーの中でのHIV予防に対する影響についての研究をおこなっています(「亚太地区性工作者有关法律环境、人权及应对HIV工作国家草案(中国部分)」中国性工作者2011年12月15日)。
(10)たとえば、「セックスワーカーたちの、 UNAIDS(国連エイズ合同計画)による『HIVとセックスワークについてのガイダンス・ノート』への意見書 」(すぺーすアライズ)では、「国連エイズ合同計画」に対する「セックスワークプロジェクト国際ネットワーク」の批判が述べられています。
(11)关于近期有关部门扫黄打非所带来不正当执法问题声明」中国性工作者2010年7月21日、「性工作者平台机构针对"扫黄打非"中问题发表声明」China AIDS Group中国艾滋病网络2010年7月21日(来源:红尘网http://www.hongchen2006.com/?viewnews-22294)。
(12)2010年严打对性工作与艾滋病防治影响研究[PDF])」女声網2011年11月12日。
(13)公安部:游街示众反应基层公安轻视人权」人民網2010年7月26日[来源は大河網]、「公安部:坚决制止将卖淫嫖娼者游街示众」『南方日報』2010年7月27日、「売春女性の『市中引き回し』、今後はNG=公安部が禁止令―中国」レコードチャイナ2010年7月26日、「四部门发文要求教育挽救卖淫女 禁止游街示众公开曝光」法制网2010年12月12日、原文は、「公安部、人力资源社会保障部、卫生部、全国妇联联合下发关于在查禁卖淫嫖娼等违法犯罪活动中加强对卖淫妇女教育挽救工作的通知」(泉州市公安局公众服务网より)。
(14)2012年12月17日“国际终止暴力对待性工作者日” 联署信鸣谢与声明」北京同志中心ブログ2013年1月9日。
(15)以下で、連署した団体名を挙げておきます(中国語のままで済みません)。
 北京佐佑中心、深圳夕颜、姐姐仔会(香港)、上海心生、午夜蓝(香港)、爱白文化教育中心、、全国艾滋病信息资源网络、天津信爱文化传播中心、云南平行同志特区(权益小組) 、飞赞网、Ladyboy互助网络、同志之声[以上は、12月17日時点での連署団体]、胶州爱心健康咨询中心、郑州市和而不同艾博公益、福建城堡工作组、中国彩虹健康中心、福建省福桐联合会、上海女权公益小组、北京同志中心、北京纪安德、同志亦凡人、河北沧州爱无界关爱工作组、上海爱的家园互助小组、北京女同志中心(北京拉拉沙龙)、中国人民大学性社会学研究所、北京爱知行研究所、天津海河之星艾滋病感染者、广西碧云湖社区、重庆爱助之家感染者互助小组、陕西同康工作组、河北青鸟公益、成都同乐健康咨询服务中心、中国艾滋病病毒携带者联盟、跨越中国、东珍人权教育中心、鞍山市立山区艾滋病防治工作组、浙江爱心工作组、河南公益先锋、天津友爱家园、天津深蓝工作组、山西蓝典工作组、辽宁省本溪爱蓝健康服务中心、同城青少年资源中心、河南三禾工作组、淡蓝网、沈阳爱之援助、在一起-南昌LGBT工作室、性工作者机构网络平台 、浮萍健康工作室、女同学社(香港)、深圳艾滋病关注小组、基纷Gayfunhk.com、GaySpot点杂志、BNUZ-性别文化协会、天津艾馨家园HIV工作室、中国les广播电台、沈阳阳光工作组、中国男同健康论坛、Please add on 亚洲促进会、贵州黔缘工作组、“半边天”河北永清感染者互助组、吉林省常春藤工作組 、绵阳同志关爱小组、亚太性工作者网络(APNSW)、YouthLEAD(青年领袖)、Different Avenues(美国)、深圳智同、花样年华重庆同心工作组、Asia Pacific Transgender Network (APTN)、向阳花开•杭州LGBT、缅甸性工作者网络、公共卫生治理项目、Scarlet Alliance, Australian Sex Workers Association、天津滨海工作组、鞍山彩虹工作组
 連署した個人は、以下のとおりです。
 潘绥铭、童戈、荣维毅、黄盈盈、郭晓飞、程青松、陶涛、郭子阳、王明荣、二言、王超、Damien、江晖、叶海燕、海斌、朱羽、晓轩、朱历男、洪哲欣、张震、洛羽成非、真真-S-mile、小夕、勵君、小姐说、小娜、小彬、Macy、池诚
 連署したセックスワーカーは、以下のとおりです。
 小夕(深圳)、伪娘瑞琪、宇豪、谢飞、晨晨、骨精权、小李、李永生、钱井、吴名、阿力、Andy、子龙、小轩、赵云、小刘、人妖菲菲、阿西、张朋、李伟、希望、Ladyboy Rachel、刘三九、TS Mimi、忠兴、平安、胡、田一凡、张全、陈刚、李健、魏哥、兽兽、胡子壮男、亞鴻、阿凯、大山、田皓、李發、阿聯、大彬、阿全、呂詞軍、馬利、阿正、小強、安東尼、飞哥、阿強、阿超、晓杰、小凯、阿信、小宝、阿枫、阿彪、小亮、Jacky Wu、Matthias Lehmann、米露、肖强、鑫宝、小辉、遥小蝶、小黑、小东北、宇阳、李欣、牡丹、小洋、小少、乔丹、李哲、阿伟、小轩(北京)、海洋、
(16)北京愛知行研究所は、2006年に女性セックスワークプロジェクトを開始して、彼女たちの健康や権利についての研修をしてきており、2007年末には、女性セックスワーカーが比較的集中している地区に、「女性セックスワーカー活動センター」を設置して、彼女たちが相談に来たり、研究所が各種の活動を組織しやすくしたとのことです(「联合国艾滋病规划署官员来访北京爱知行研究所女性性工作者社群」NGO発展交流網2010年7月2日)。
(17)武嵘嵘「女性性工作者看待邓玉娇事件与宣言——尊严与人身安全是我们共同的需求!」(中国性工作者2009年5月31日)の中の「就邓玉娇事件女性性工作者讨论会纪录及宣言」
(18)叶海燕「针对“邓玉娇事件”发出的声明」荼蘼花尽2009年5月20日。「针对“邓玉娇事件”发出的声明」中国性工作者2009年5月21日。
(19)民间女权组织上演邓玉娇事件行为艺术」中国性工作者2009年5月29日、中国民间女权工作室「民间女权组织上演邓玉娇事件行为艺术」中国発展簡報2009年5月31日。
(20)我为什么要倡导性工作合法化?」中国性工作者2011年6月28日。
(21)葉海燕さんのほか、郭子陽さん(北京同行工作組)、藍藍さん(天津信愛文化伝播中心)、鄭煌さん(上海心生)、蔡明宏さん(フォーラム書記局)、嗄嗄さん(天津深藍工作組)がこの議論に参加しています(同上)。
(22)关注性工作者权益、呼吁性工作合法化的公开信(联名签署)」愛知行動2010年8月7日。
(23)分享一个关于性工作者平台的讨论(还有我的个人看法)」中国性工作者2011年6月30日。
(24)【China AIDS:4048】 回复:叶海燕的竞选 性工作者部类」China AIDS转载BLOG2009年5月8日。
(25)同上
(26)【China AIDS:6517】 欢送全球基金离开中国!感谢你们对中国做出的贡献」China AIDS GROUP中国艾滋病网络2011年5月13日。
(27)叶海燕遭遇当地数名男子伤害事件」2012年5月25日、「【China AIDS:7307】 Fwd: ] 叶海燕遭遇当地数名男子伤害事件」2012年5月25日。

葉海燕さんが広西を拠点に中国民間女権工作室の活動を再開

 今回は、昨年セックスワークの合法化を街頭で宣伝したために、当局に弾圧された中国民間女権工作室の葉海燕(流氓燕)さんのその後について、まとめてみました(これまでの経過については、本ブログの記事「『第1回セックスワーカーデー』、中国民間女権工作室、セックスワーカーの互助団体の萌芽」、「葉海燕らによるセックスワーク合法化の街頭宣伝と葉の拘束、第2回セックスワーカーデー中止をめぐって」、「中国民間女権工作室(葉海燕ら)に対する当局の弾圧と同工作室の活動停止」など参照)。

葉海燕さんが「セックスワークも仕事である」と宣言するに至るまで

 その前に、先日、『南方都市報』の記者が、葉海燕さんのセックスワーク問題についての今までの活動についてご本人に取材していましたので(1)、まず、その記事の大体の内容を以下にご紹介します。

 葉さんはセックスワーカーの権利について訴えるために、2005年、武漢で中国民間女権工作室を創設し、ネット上でも「紅塵網」というサイトを開設しました。2006年1月には、自宅の電話を使って、「紅塵熱線(ホットライン)」というセックスワーカー向けの電話相談も開始しました。

 電話相談の過程で、葉さんは、深圳のセックスワーカーの瑶瑶さんという人と知り合い、彼女にもサイトを管理してもらうようになりました。瑶瑶さんは、自分自身がセックスワーカーなので、セックスワーカーの情況をよく理解していたうえに、葉さんと価値観の衝突もなく、聡明でよい人だったとのことで、葉さんも厚く信頼していたそうです。

 ところが、瑶瑶さんは、2006年末、接客をしていたときに殺されてしまいます。葉さんは大きなショックを受けました。

 瑶瑶さんの事件が起きる前は、中国民間女権工作室と紅塵網は、他の中国の大多数の機構と同様、セックスワーカーの健康保護とエイズ防止のための活動を中心におこなってきました。けれど、瑶瑶さんの死後、葉さんは、「なぜ彼女たちの生存環境はこのように劣悪なのか?」「彼女たちに対する社会の差別と暴力は、まさか当然だと言うのではあるまい?」「法律は彼女たちに対して公平なのか?」といったことを深く考えるようになりました。

 葉さんは仕事を辞め、すべての力を女権工作室に注ぐようになりました。

 2009年ごろには、葉さんは「セックスワーカー問題の根源は、社会の彼女たちに対する差別と暴力にある。この問題を解決しなければ、コンドームの使用率を向上させることもできない」と考えるようになりました。

 葉さんは言います。「ある人は『売春婦になる原因は、善良な者が娼婦になることを強いられるか、安逸をむさぼって働くのを嫌っているかの2つしかない』と考えている。けれど、あなたがセックスワーカーと接触したら、彼女たちは普通の人でしかないことがわかるだろう。セックスワーカーになるのも、生きるためであり、家族を養うためである。なぜ他の仕事を選ばなかったのかと問えば、学歴がなくて、技術を必要としない仕事にしか就けないからかもしれないし、もう少し良い物質的生活を求めたいということも当然ある。」

 しばらくの間、葉さんは、セックスワーカーの人々の信頼を得るために、何度か実際に売春をしてみました。葉さんは、それまでは「売春と一夜限りの恋との違いは、金を貰うか貰わないかだけだ」と考えていたそうですが、実際やってみると、その大変さに震えあがりました。「客の要求が多くて、自分自身の思いや尊厳を顧みることはまったくできない」。

 葉さんは言います。「誰が『セックスワーカーは、安逸をむさぼって働くのを嫌っている』と言うのか? 仕事はきついし、たくさん接客するのに、収入は少ない。警察はしょっちゅう拘留したり、罰金を取ったりするから、仕事はいつもできないし、金も罰金でみんな取られてしまう。客に対する選択権はあるのか? 今日は飯を食う金がなく、明日は子どもの学費が必要なのに、客が『コンドームを使うな、使うならやめる』と言ったら、どうするか?」

 こうした考えから、2009年、葉さんは「セックスワークも仕事である。セックスワーカーも公民として各種の基本的権利を保障されるべきだ」と宣言しました。「けれど、実際は、現在、社会のセックスワーカーに対する差別は、彼女たちが強盗・強姦・殺害されても同情されず、警察も気にかけないまでになっている」と葉さんは言います。

 本ブログで前回までにお伝えしてきたような警察の介入によって、中国民間女権工作室に資金を援助してくれるプロジェクトはなくなってしまいました。また、武漢の警察が絶えず葉さんの家主に圧力をかけたために、葉さんは次々に引っ越さざるをえなくなります。最後には、葉さんは、武漢を離れて、広西チワン族自治区の友人のもとに身を寄せざるをえなくなりました。

第2回エイズ防止とセックスワーク国際研究討論会での発言

 葉さんは、今年6月、国連人口基金が北京で開催した「第2回エイズ防止とセックスワーク研究討論会(2nd Internationl Workshop on HIV Prevention in Sex Work)」に出席して、以下のような発言をしました(2) (要約・抜粋です。翻訳にも不正確なところがあると思います)。

 私はかつて小学校の教師でしたが、家庭が貧困だったので、20歳を少し過ぎたとき、南方でカラオケの相手をする女性(陪唱小姐)をしたことがあります。当時、私の身の回りには多くのセックスワーカーがいましたけれど、私の思想はまだ主流の思想の影響を受けており、女性の性の自由と社会的名誉を金銭のために失いたくありませんでした。

 しかし、2010年、私は非常に貧困な日々を経験しました。私には仕事がないのに、家賃を払う金が必要であり、子どもを養う金も必要でした。私は男性と性の取引をしました。

 現在は、私は賃金をもらうようになり、どうにか自分の子どもを養うことができるようになりましたので、セックスワークはやめました。

 しかし、大多数のセックスワーカーは、このような選択はできません。セックスワークは、大多数の貧困な女性にとっては、仕事であり、生きるための手段であり、生存の苦境を解決する唯一のやり方なのです。

 去年、中国の公安部が、セックスワーカーを「売春婦(売淫女)」でなく「過ちを犯した女性(失足婦女)」と呼ぶようにするという情報を聞いて(遠山注:2010年12月11日の公安部治安管理局局長の劉紹武の発言)、私は希望を感じました(遠山注:といっても、葉さんは、他の場では、「失足婦女」も「差別的な言葉」だと指摘しています(3)。その点をここでは言っていないのは、この会議には、政府関係者も出席しているので、政府の変化をひとまず肯定したうえで議論しようとしたからだと思います)。

 しかし、残念ながら、その後も、セックスワーカーのエイズ防止関与の領域では何の良い変化もありません。

 現在、以下のような問題が普遍的に存在しています。

 1.コンドームが依然として、犯罪の証拠になっています。そのため、多くの場所では、コンドームを置いておくことはできず、セックスワーカー自身もコンドームを持つことができないため、コンドームなしの性の取引も普通のことになっています。

 2.掃黄(売買春取締り)のために、セックスワーカーの生存空間は以前よりもさらに狭くなり、自己を保護する力も弱くなりました。彼女たちの一部はすでに固定的なレジャー施設から他の「隠匿された」職業に入りました。たとえば、ホテル、スーパーマーケット、さらには自動車による野外での取引さえしています。

 3.掃黄によって、客が少なくなり、収入も少なくなったために、コンドームのコストが相対的に高くなって、買いにくくなったり、そもそも使わなくなったりしています。

 4.商売がやりにくくなったため、客の「コンドームなしでセックスしろ」という要求に対しても、黙って受け入れます。

 私は、掃黄はエイズ対策にとってけっして良い影響はなく、貧困なセックスワーカーと彼女たちの家庭を傷つけるものだと考えます。

 ここで、私は、NGOの活動を6年間おこなった草の根の願望を述べたいと思います。

 第一に、セックスワーク問題においては、エイズ防止とセックスワーカーの生存を最も重要なこととして扱い、[売買春を禁止している]法律をセックスワーク集団のエイズ防止の上での突破できない障害にはしないことです。

 なぜ国家がエイズ防止のために社会全体を動かし、全人民に参与するよう提唱しているかと言えば、私の理解では、エイズ防止の大きな堤防のどこかに裂け目があれば、私たちの予防活動全体が意義を失ってしまうからです。しかるに、セックスワーク集団は、法律的原因によって、みんなに回避される大きな裂け目になっています!

 私は、若干の異性愛の男性感染者も性的に活発であり、その一部は、性の売買の経験があることを皆さんに知ってほしいと思います。私には、すべての男性にコンドームをつけさせる自信はありません。しかし、私たちには、少なくともすべてのセックスワーカーが、自分を保護する力を持ち、彼女が数十元の収入を放棄しても、コンドームを付けることを選択したいと思うようにすることはできます。

 セックスワーカーはエイズの第一の被害者です。こんなに多くの感染者が普通の人々の中に潜在しているとき、誰がセックスワーカーの健康と生命に関心を持つのでしょうか。社会に普遍的に差別が存在するときに、誰がセックスワーカーの健康と生命を気に掛けるのでしょうか。

 第二に、国家が、セックスワーカーのケアをするグループの発展を重視することです。

 過去五年間に同性愛者のためのエイズ防止グループは急速に発展し、全国に少なくとも300はあります。けれども、セックスワーカーと直接橋渡しをし、交流をする組織は、まだ20を超えていません。これは、人口が非常に多い中国では、明らかに微小な数字です。

 私は、セックスワーカーが、人に感染させやすい危険なグループとしてみなされるのではなく、普通の女性として、基金や政府、民間組織から健康サービスを提供されることを希望いたします。


広西の玉林市博白県の自宅を拠点にして活動を再開

 今年8月1日、葉さんは、中国民間女権工作室が主管する団体として、「浮萍健康服務工作室」(「浮萍」とは浮草の意)を商工登記(企業として登記)しました。詳しい事情はわかりませんが、商工登記をするというやり方は、中国では非営利団体が法定NGOとして登記をすることが難しいために、便宜的におこなわれている方法のようです。ですから、浮萍健康服務工作室の活動の内容としては、中国民間女権工作室がやってきた、電話相談とか、セックスワーカーのもとに出向くアウトリーチ活動などが書かれています(4)

 また、葉さんは、中国民間女権工作室のサイト(中国民间女权工作室)を再建し、12月3日に公開しました(5)

 さらに、葉さんは、広西の玉林市博白県の自宅の客間を、活動のためのセンターとして提供しました(6)。12月4日には、そこで浮萍健康服務工作室の会議を開き、9人のボランティアなどが参加して、今後の活動として、上映サロンを毎週1回おこなう[映画やドキュメンタリーを上映するようです]、ポスターを発行する、アウトリーチ活動で宣伝資料を配布する、などのことを決めました(7)。 

 葉さんは、武漢市での活動にも引き続きタッチしています。すでに中国民間女権工作室の旗下に、「武漢市姉妹花健康サービスセンター(武汉市姐妹花健康服务中心)」という団体が設立されています。「センター」といっても、経費がないため、専用の部屋はなく、資料などは個人の家に置いているそうですが、それでも、責任者が2人、ボランティアが7人いて、電話相談のほか、毎月のアウトリーチ活動(写真:武汉姐妹花外展图片)によって、リプロダクティブヘルスやエイズ防止のための活動をしていることが公表されています(8)

 さらに、葉さんは、武漢でまた事務所を開設できないか、資金などの提供を求めているところです(9)

 当面は葉さんは以前のようなセックスワーク合法化のための公然とした街頭宣伝はできないのではないかと思いますが、武漢を追われた後も、不屈に活動を続けておられることがわかります。

(1)“流氓燕”, 挑战者的落寞离场」南都網2011年9月6日。
(2)第二届艾滋病防治与性工作研讨会叶海燕新浪微博直播内容及发言稿(北京)」China AIDS Group 中国艾滋病网络【China AIDS:6622】2011年6月30日、「第二届艾滋病防治与性工作研讨会叶海燕发言稿(北京)」中国発展簡報2011年7月1日。「発言稿」とあるように、これは事前の原稿であり、実際には、発言の途中でセックスワーカーの状況が頭をよぎって涙を流したり、時間の関係もあったりして、葉さんは、この通りには発言できなかったそうです。なお、この研究討論会(ワークショップ)については、国連のサイトにも記事があります(UN-led Workshop Engages Sex Workers to Reduce HIV Transmission in China)。
(3)呼吁中国媒体停止一切歧视女性性工作者的报道」流氓燕的博客2011年8月29日。「失足婦女」への改称については、他の論者もその限界や問題点を厳しく指摘しています(楊光志「改叫失足妇女 徒具姿态的悲悯」『生活新報』2010年12月13日、羽戈「捍卫权利比改名“失足妇女”更重要」2010年12月13日、張楠之「取消“卖淫女”称呼 更要取消标签式歧视」華声在線2010年12月13日、堂吉偉徳「改称“失足妇女”更需防范“强拆思维”」『南方都市報』2010年12月14日、「公安部改称“失足女” “尊重”背后的软暴力」『女声』62期、凝眸「软暴力之下何来“尊重”?」網易女人2010年12月14日)。
(4)浮萍健康服务工作室今天正式成立,拿到营业执照了」流氓燕的博客2011年8月1日、「关于浮萍健康服务工作室的运转」流氓燕的博客2011年10月12日。
(5)叶海燕「中国民间女权工作室网站再一次开通!」中国民間女権工作室サイト2011年12月3日。
(6)中国民间女权工作室网站开通了,武汉需要一间办公室」流氓燕的博客2011年12月6日、光永「一元放映沙龙」中国民間女権工作室サイト2011年12月6日。
(7)光永「博白县浮萍健康工作室会议结果」中国民間女権工作室サイト2011年12月6日。
(8)叶海燕「武汉市姐妹花健康服务中心简介」中国民間女権工作室サイト2011年12月3日。
(9)中国民间女权工作室网站开通了,武汉需要一间办公室」流氓燕的博客2011年12月6日。

台湾:売春・買春とも処罰するが、売買春を許可する専区の設置を認めた法改正と民間団体

従来は「売春は罰して、買春は罰しない」だったが……

 11月4日、台湾の立法院は「社会秩序維護法」の中の売買春に関する規定(第80条第1項第1款)を、「売春・買春とも処罰する」ように改正する案を採択しました。従来は「売春は罰して、買春は罰しない」という規定だったのですが、2009年11月6日、台湾の司法院の大法官会議(憲法に関する判断をおこなう)が、この規定は憲法の平等権原則に違反しており、違憲だと判断したので(釈字666号)、この規定は2年後の今月6日には失効することに対応したものです。その一方、今回の法改正は、地方政府が売買春を許可する専区(特区)を設置することを認めました(1)

 ただし、新聞記者が取材したところ、いずれの市や県も(少なくと今のところ)「専区を設置するつもりはない」と回答しています(2)。もし専区を設置したら、商業活動や不動産価格(住宅地が比較的近い場合)に影響するという懸念もあるようです(3)

翌日のニュースです(公視中晝新聞-社維法修正三讀 大法官維權美意難落實)


以前からの方針を変更?

 今回の改正は、行政院が今年4月に方向性を決め、7月に立法院に提出した草案(4)に若干の修正を加えたものですが、昨年までは必ずしも今回のような改正の方針は明確ではありませんでした。

 2009年には行政院長の劉玄兆さんが「セックスワークは非犯罪化・非処罰化の方向である」と表明し、昨年10月には、内政部長の江宜樺さんが「専区は作らない」、「自営業と小型の協同組合の方式を採用する」と述べていました(5)。しかし、その後、呉育昇立法委員(国民党)が、「専区を設置しないと、全国に飛び散る」とその方針を批判し、勵馨基金会などの女性団体も「性産業は縮小すべき」と言って反対したことから、政府は「セックスワーク非犯罪化」という方針を変更したとも言います(6)

 方針が変化した要因については別の見方もありうるかもしれませんが、今回の法改正の内容である「売春・買春とも処罰するが、売買春を許可する専区を設置する」という方針は、以前からの既定のものではなかったことは確かです。それは、以下述べるように、女性団体が望んだ方針でも、セックスワーカー団体などが望んだ方針でもありませんでした。

2つの対案

 すなわち、立法院には、「1.売春も買春も罰する。ただし、専区を設置する」という今回採択された案だけでなく、「2.売春も買春も罰しない」「3.買春は罰して、売春は罰しない」という案も提出されていました。

 2は、鄭麗文・立法委員(国民党籍)が提出したもので、3は、黄淑英・立法委員(民進党籍)が提出したものです(7)。民進党は、党としても3の案を支持しましたが、国民党は、与党だからでしょうか、党としては行政院の案を支持しました(8)

 民間の団体では、2の「売春も買春も罰しない」という立場に立つのが、セックスワーク労働権保障連盟(日日春関懐互助協会、ジェンダー人権協会、台湾LGBT相談ホットライン協会、労働災害被害者協会、基層教師協会、エイズ感染者権益促進会、中央大学性/別研究室、風信子精神障碍者権益促進協会、基隆市失業労工保護協会、柳春春劇社劇団、角落関懐協会、慈芳関懐センター、人民火大行動連盟、人民民主陣線)です。

 3の「3買春は罰して、売春は罰しない」という立場に立つのが、反性搾取連盟(勵馨基金会、婦女救援基金会、台湾展翅協会、台湾女人連線、台北市女性権益促進会、キリスト教門諾会花蓮善牧中心、中華民国YWCA、社団法人台北市晚晴婦女協会、彭婉如基金会、中華エンジェル国際善工協会、エイズ基金会、社団法人台湾少年権益・福利促進聯盟、財団法人キリスト教台湾信義会、キリスト教愛盟家庭文教基金会)です。

 もちろん、このどちらにも与しない女性団体もありますが(9)、以下、上の両者の訴えをご紹介します。いずれも今回の法案が可決される前に出された文書ですが、それぞれの基本的立場がよく表れていると思います。

セックスワーク労働権保障連盟の訴え

 長いものですので、一部を省略しています。

一、「売春も買春も罰する」ことは、底辺のセックスワーカーの境遇に、雪の上に霜を加える[=災いの上にさらに災いを加える]ものである

 そもそも釈字666号は、大法官が底辺のセックスワーカーの境遇を改善するためにおこなった解釈である(「とくに一部の、社会的経済的弱者であるために性の売買に追い込まれた女性は、しばしば、係争中の規定[=売春を罰して、買春を罰しない規定]によって処罰されるために、困窮している境遇がさらに不利になる」)。もし行政院の、売春も買春も罰する案が採択されるならば、おそらく新法が取り締まるのは、底辺のセックスワーカーの客になるであろう。多くの底辺のセックスワーカーの最初の反応は、政府はセックスワーカーの尊厳を傷つけるだけでなく、セックスワーカーの生計も損なおうとしている! というものだった。

 私たちが世界でもごく少ない「買春は罰して、売春は罰しない」スウェーデンの経験から知ったところでは、底辺の街頭セックスワーカー (流鶯)の客が、警察が客を検挙する主なターゲットになっている。すなわち、街頭セックスワーカーは人数では5%しかいないのに、50%の客の検挙はこのルートからおこなわれている。だから、買春を処罰する法令が成立したら、底辺のセックスワーカーの境遇はさらに苦しくなることは間違いない! なぜなら、買春客が捕まるのを恐れて、性の売買を室内型の、もっと隠密で、高級なセックスワーカーとおこなうようになれば、街頭のセックスワーカーは値下げ競争をするしかなくなり、生活はさらに苦しくなるであろうし、彼女らは労働条件を下げて客を取らなければ(いやな客を取ることを含めて)、生きていけなくなるであろう!

二、「売春も買春も罰する」は、性/労働権の弱者階級に対する差別である

 台北市を例にとると、これまで、社会秩序維護法80条は、ほとんど「街頭セックスワーカー取締り条項」となっている。街頭セックスワーカーの人数は市場の5%(約200人)でしかないのに、バックがない自営業であるために、取締りの8割以上を受けている。それとは逆に、バー・サウナなど、密かに売春をしている八大業種は、性産業全体の市場の70%(約4000人)を占めているのに、バックに権力があるために、ほとんど取り締まられない。非合法の下での街頭セックスワーカーは、たとえ客が金を払わなかったり、強盗にあったりしても、警察に訴えて正義を取り戻すこともできない。

 また、底辺の街頭セックスワーカーの客の大半は、シングルファーザーや労働者、低収入家庭、心身の障害者、未婚の貧しい若者などであり、もし「買春を罰する」ことになれば、これらの経済的弱者の男性は、正常なルートで慰めやいたわりを求めることができなくなる。逆に、新聞紙面では道徳家気取りの政商・名士たちの不倫や性的トラブル、妓楼での宴会などがよく報じられている。なぜ国家は、常に性と権力の場にいる高官や要人が納税者の血税を濫用していないかどうかは追及しないのに、自分で働いて生活している弱者の男性が寂しさのはけ口を求めるときは、法令をはばかって、こそこそ戦々恐々とし、処罰されることさえ恐れなければならないのか?

三、立法院は密室での協議を委員会の審査のメカニズムに取って代えており、社会の民主主義を破壊するおそれがある

 14年来、公娼の闘いが社会的討論を巻き起こし、女性団体は「売春は罰しない」という共通認識を達成し、政府は千万に達する調査研究を委託し(結論は合法化を多く指向していた)(……)ついに2009年6月、劉玄兆が「セックスワークは非犯罪化・非処罰化の方向」という政策を発表し、その後大法官が666号解釈をした。すなわち、「売春を罰しない」ことはすでに台湾社会の共通認識になっているのである。

 行政院の案は、社会の共通認識に反しているだけでなく、政治的承諾に対して公然と不渡り手形を出している。行政院の案は、発表したとたん、各地方の首長が次々に専区を拒絶しことによって、実質的にはすでに「ニセの開放、本当は非合法」という後退した案に転落した! また、現在、違いが非常に大きな3つの案があるが、違いが大きい以上は、内政委員会に引き渡して、仔細に公開で討論するべきではないか? それなのに、なぜ委員たちは、行政院の案を密室で協議して、少数で決定することを選択したのか? 私たちは、密室で協議して民主を後退させるのではなく、それぞれの案の草案が代表している声をじっくり聴くことを希望する。

 (略)

【私たちの要求と立場】
1.麗文委員の案を支持する。違憲の社会秩序維持法80条第1項第1款を失効させて、売春も買春も罰しないようにするべきである。
2.11月6日以後の管理のメカニズムについては、政府が現存の性産業のモデルについて地域コミュニティと積極的に意思疎通を図り、セックスワークの従事者と地域コミュニティの住民の意見とを調整するべきである。
(10)


 日日春関懐互助協会は、行政院の案が採択されそうになると、せめて「改正案は限付きのものにして、もし地方政府が専区を設置しないならば、その地区では売春も買春も罰しないようにすべきだ」、「専区を設置する以前は、売春も買春も罰しないようにすべきだ」とも訴えましたが(11)、その要求は容れられませんでした。

 行政院の案が採択された日、日日春関懐互助協会は「地方政府が専区を設置しないと言っている以上、『専区で管理する』というのは、『売春も買春も罰する』のと同じだ!」と言って、コンドームで作った水球を立法院に投げつけて抗議しました。また、地方政府が「専区を設置しない」と言っていることに対しても、現在も多くのバーなどで性の売買がおこなわれているのは黙認しているだから、改正された法を施行するのは、実際には底辺のセックスワーカーを苦しめるだけになると訴えました(12)

 セックスワーク労働権保障連盟は、「セックスワーカーと客は団結して、横暴な青(藍)[=国民党]と狡猾な緑[=民進党]をやつけよう」という声明を発表し、今後のセックスワーカー運動の方向として、だいたい以下の3点のようなことを挙げました(13)
 1.参政運動が必要である。国民党と民進党が弱者である底辺のセックスワーカーなどを抑圧するのは、政治体制が2党によって牛耳られている情況の反映でもある。
 2.セックスワーカ―の客(若い金のない客、心身の障害者を含む)も新法の被害者である。不満を感じている客が私たちとつながることを歓迎する。
 3.いかにしてセックスワーカーと地域コミュニティとが意思疎通する場を作るかが課題である。地域コミュニティの支持を得ることは、セックスワーカーが安心して仕事ができる重要な基礎であり、地方で合法化しうる基礎にもなる。

反性搾取連盟の訴え

 反性搾取連盟のほうは、法案が審議されているときに、以下のような声明を発表しました。

 社会秩序維護法第80条第1項第1款は11月6日に失効する。この款が失効した後は、管理する法がなく、売春も買春も処罰されない状況になる。それによって、社会の治安は悪化し、人々が不安になるだけでなく、人身売買防止にも大きな抜け穴ができるのであり、各国の人身売買グループは台湾にその日が来るのを刀を研いで待っている。

 過去2年間、社会各界は不断に性の売買に関するテーマを探究しており、反性搾取連盟も何度も記者会見を開き、各党の議員団や立法委員に面会して、「買春は罰して、売春は罰しない」ように訴えてきた。内政部が最後の会期になってやっと慌てて法案を立法院に送ったことは、重大な職務上の怠慢であり、もし期限までに法改正が成し遂げられなければ、内政部の江宜樺部長は、重大な責任を負わなければならない。(……)反性搾取連盟は表明する:各党が責任逃れをして、空白期を出現させて、管理する法がなく、売春も買春も処罰されない状況を招いて人身売買問題をさらに深刻にすることがあってはならない!

 内政部が提出した、性の売買の専区を作る案について言えば、反性搾取連盟が繰り返し述べているように、もう公娼時代の古い道は歩むべきではない。そうすることは、合法によって非合法を覆い隠し、さらに多くの社会問題を引き起こすだけである。反搾取連盟は、スウェーデンの「買春を罰して売春は罰しない」というやり方に学んで、ニーズを減らし、さらには供給を減らすことを主張しており、現在スウェーデンはそれによって性産業をすでに有効に縮小させている。反性搾取連盟は、各政党に、「買春を罰して売春は罰せず、利益を得る第三者を厳罰に処す」法改正の案を支持し、女性の人格の尊厳を守り、女性の身体が売買に供せられる商品になることを防ぐように呼びかける。

 私たちの政策的提案は、性産業を縮小し、ジェンダー平等を推進するものである。
1.弱者である性を売る者は処罰しない。けれども、買春者は社会的コストを支払うべきである。
2.性の売買の中で利益を得る第三者は厳罰に処す。
3.政府は女性のための福祉・就労政策を提出して、すでに売春に従事している者に対しては、多元的な援助をするべきである。
(14)

 法案成立後、反性搾取連盟は、「性の売買の政策が30年前の古い道に戻った」と題した声明を発表して、「性の売買の専区の開設を解禁したこと」は「人身売買グループのために正門を開いたものであり、『人は生まれながらにして平等である』という憲法の立場を踏みにじり、女性の『性の尊厳』を税収の額と交換して、選挙の利益を獲得するものだ! 長い間人身売買の防止と実務的な救援活動に従事してきた反性搾取連盟のメンバーは、このように性の平等の観念を後退させ、国際的な趨勢に背く政策と決議の結果に対して、深い悲しみと無念を感じる」と述べました(15)

 勵馨基金会の紀惠容さんは、「世界の趨勢に逆行している。オランダも来年から性の売買を認める地区を縮小する計画であり、ロッテルダムでは性の売買を認める地区を完全になくした」と言っています(16)

 さて、セックスワーク労働権保障連盟の主張と反性搾取連盟の主張との対立について言えば、両者ともスウェーデンの状態を自らの主張の一つの根拠にしていますから、スウェーデンの状態をどう見るかが一つのポイントなのだろうと思います。この点について、ネットで検索すると、イギリスのガーディアン紙のRachel Williams“How making the customers the criminals cut street prostitution  Sweden's law against buying sex views women involved as victims of male violence”(2008.1.5)(日本語訳「買春を犯罪とすることが、路上売春を減少することに」『ポラリスプロジェクト』ブログ2008/02/13)という記事が見つかります。この記事は、両者の主張と関連する事項を多く取り上げていますが、まだ不明な点が多く、両者の主張のどちらが正しいのかを決定できるほどのことは書かれていません(17)。スウェーデンの情況については、どこかで本格的な調査がおこなわているのでしょうか?

 それはともかく、今回の法改正は、いずれの側の団体の要求とも大きく異なったもので、「売春は罰しない」という女性団体の一致点にも反しています。今後、専区(特区)がどれほど設置されるかで状況が変わるとはいえ、法改正としては、文字通り「古い道」に戻っただけの改正であるという感が免れません。


(1)社維法修法// 專區外性交易 娼嫖都罰」『自由時報』2011年11月5日。 日本でも、「赤線復活? 台湾性産業界に激震の法改正」(MSN産経ニュース2011年11月5日)「台湾で大騒ぎ 売春が合法化」(『日刊スポーツ』2011年11月6日)「台湾、6日から売春の条件付き合法化へ」(IBTimes 2011年11月6日)と報道されました(ただし、日本の報道は、女性団体の異なった潮流を区別せずに報じているという問題があります)。
 具体的には、第80条、第81条、第91条は、以下のように改正されました。
 第80条
 下の各款の行為の一がある者は、ニュー台湾ドル3万元以下の罰金に処す。
 1.性の売買をおこなう者。ただし、第91条の第1項から第3項の自治条例の規定に合致する場合は、これを適用しない。
 2.公共の場所または公衆の出入りできる場所で、性の売買のために客を引く者。
 第81条
 下の各款の行為の一がある者は、3日以下の拘留に処し、あわせてニュー台湾ドル1万元以上5万元以下の罰金に処す。その情状が重い者は、拘留を5日まで加重できる。
 1.性の売買を取り持つ者。ただし、前条第1款の但し書きの規定の性売買者は、これを適用しない。
 2.公共の場所または公衆の出入りできる場所で、性の売買を取り持つために客を引く者。
 第91条の1
 直轄市・県(市)の政府は、その土地の事情に合わせて、自治条例を制定して、性の売買に従事することができる区域とその管理の計画を立てることができる。(以下略)
 (詳しくは、100/11/04第8次會議「修正社會秩序維護法第五十三條、第八十條、第八十一條及第九十三條條文;訂第九十一條之一條文;並刪除第四十七條條文」立法院サイト)
(2)全台避設專區 未來嫖娼皆罰」『中国時報』2011年11月5日、「設性專區?多數縣市 都說不想設」『聯合報』2011年11月5日。この点については、以前から、「性産業特区の開設解禁、自治体の拒否で政策は無効に」(『台湾通信』2011年4月8日)ということが予想されていました。
(3)商業區設性交易專區 『衝擊房價』」『経済日報』2011年11月5日。
(4)行政院院會通過『社會秩序維護法』部分條文修正草案」中華民国行政院新聞局サイト2011年7月14日。この際にも、日本のネットで報道がありました(「台湾で『売春』解禁の可能性 大陸観光客に配慮し一部都市のみ?」J-CASTニュース2011年7月29日)。
(5)この時点では、日本でも、「セックスワークを非処罰化へ=個人または小組織の営業のみを容認―台湾」(レコードチャイナ2010年10月15日)と報じられていました。
(6)娼嫖皆罰 性交易政策退縮 性勞盟籲兩黨勿密室協商」苦勞網2011年10月8日、「性交易不設專區 民怨:嫖妓比串門子容易」台北市女性権益促進会サイト(来源は『中国時報』2010年10月16日)。
(7)黄淑英・立法委員が提出したものは、「社會秩序維護法第八十條條文修正草案」(立法院サイト)。
(8)修社維法 明若協商不成擬表決」『自由時報』2011年11月3日、「社維法明再闖關 推罰嫖不罰娼」『聯合報』2011年11月3日。
(9)たとえば、婦女新知基金会は、両者に対して批判的な意見を述べています(「性交易修法 除罰+管理」『中国時報』2011年10月26日)。
(10)以上は、「『保障性工作勞動權聯盟』拜會各黨團 行動說明與訴求」日日春關懷互助協會サイト2011年10月7日。彼女たちの主張を報道とした記事としては、「社維法協商 日日春盼不罰娼嫖」『台湾立報』2011年10月6日、「娼嫖皆罰 只罰到鰥寡孤獨(鍾君竺)」『蘋果日報』2011年7月19日、「性交易檢驗政客的guts(鍾君竺)」『蘋果日報』2011年11月2日。
(11)社維法明闖關 婦團籲納入限期設性交易專區」中央廣播電台2011年11月3日(蕃薯藤新聞)、「性工作者盼半年內設專區 設立前皆免罰」中時電子報2011年11月3日、「明朝野協商 性交易除罪化恐落空 性勞盟籲:專區未設 娼嫖不該罰」苦勞網2011年11月3日。日日春関懐互助協会の執行長の鍾君竺さんは、「専区の内外を問わず、売春も買春も罰しないのが理想だが、社会の気風がそれを受け入れられないのならば、専区内だけで合法化するという選択肢もありうる」と言っています(「勵馨:開倒車 日日春:可接受」『中国時報』2011年11月5日)。
(12)日日春抗議:藍偽善 懲罰娼妓!」『聯合晩報』2011年11月4日、「性專區等同娼嫖都罰 日日春丟水球抗議」新頭殼newtalk 2011年11月4日、「不設性專區 日日春抗議」『自由時報』2011年11月6日、「性專區設不設?! 中央地方踼皮球」公視新聞網2011年11月6日。
(13)小姐、客人要團結,作廢鴨霸藍、狡猾!」日日春関懐互助協会サイト2011年11月4日。
(14)以上は、「【聯盟行動】人口販運猖獗,誰負責? 儘速修改社維法,勿使法律出現空窗期!」勵馨電子報第610期。彼女たちの主張を報道した記事としては、「性交易恐無法可管 民團:速修法」『台湾立報』2011年9月20日、「社維法修法不及 婦團憂人口販賣」公視新聞網2011年10月28日、「反性剝削 婦團28日赴立院抗議」『聯合報』2011年10月27日、「人口販運猖獗,誰負責? 儘速修改社維法,勿使法律出現空窗期!」蕃薯藤新聞2011年10月28日、「修社維法防空窗 設性專區 立院下周拍板 婦團:不要投給鼓勵嫖妓立委」『蘋果日報』2011年10月29日、「反性剝削聯盟 籲罰嫖不罰娼」『聯合報』2011年10月30日。
(15)性交易政策走回30年前老路 行政院版社維法強行通過 反性剝削聯盟:遺憾!」婦女救援基金会ブログ2011年11月7日、「性專區法制化 反剝削聯盟遺憾」中央通信社2011年11月4日。
(16)勵馨:開倒車 日日春:可接受」『中国時報』2011年11月5日。その他、両者の主張を紹介した記事には、「社維新法生效 性產業難見光」(『台湾立報』2011年11月6日)があります。
(17)また、要友紀子・武田明恵「セックスワークを不安全にする越境組織犯罪防止政策」(『女たちの21世紀』48号28-31頁)にはスウェーデンの状況に対する批判が書かれています。

中国民間女権工作室(葉海燕ら)に対する当局の弾圧と同工作室の活動停止

 葉海燕(流氓燕)さんらの中国民間女権工作室が今年7月、セックスワーク合法化の街頭宣伝を初めて(おそらく中国大陸でも初めて)おこなったところ、同工作室が8月3日に計画していた第2回セックスワーカーデーが警察によって中止させられたことは、先日、本ブログで報告しました(「葉海燕らによるセックスワーク合法化の街頭宣伝と葉の拘束、第2回セックスワーカーデー中止をめぐって」)。

 その後、中国当局は、8月中に、以下の13の弾圧を、葉海燕さんと中国民間女権工作室に対して加えました。

1.葉さんの本を淘宝網[中国最大のネット商店]で売らせないようにした。

 葉さんは、自らの本を淘宝網で売ることを中国民間女権工作室の資金源の一つにしようとしていました。しかし、8月、淘宝網から葉さんに、「淘宝網は、政治的性質の商品情報を公表することを許可していない」、「関係部門が、この商品はデリケートな政治情報に触れていることを確認した」という通知があったそうです。

 葉さんは、この通知について、「私は、これまで政治的色彩とは何であるかを知らず、何が政治かも知らなかった。私の文集の目録は、すべて愛情・婚姻に関係する内容である」と述べています。

 葉さんは、淘宝網に対して、通知の中の「関係部門」とはどういう部門かを尋ねましたが、「教えられない」という答えでした。葉さんは「彼らは物事をおこなうのに、なぜ公明正大にできないのか? たとえ私が間違っているとしても、なぜ上級部門は顔を見せないのか?」と批判しています(1)

2.セックスワーカーのためのサイトである「紅塵網(红尘网)」をスクリーニングして、見られないようにした(2)

 葉さんは、この件について、以下のように怒りを表明しています(3)

 「これ[紅塵網]は、私が5年間運営してきたサイトである。
 私たちは、このインターネットという場をつうじて、社会に、底辺のセックスワーカーに関心を持つよう呼びかけ、理解と尊重を呼びかけ、人間性と愛の力を喚起してしてきた。
 このサイトのために、私は青春を5年間、費やした。
 金のためではなく、名誉のためでもなく、セックスワーカーの姉妹のためにインターネットの小さな空間を与えることを望んだだけである。
 セックスワーカーも、人である!
 セックスワーカーも、社会の一分子である!
 セックスワーカーの問題も、社会の問題である!
 なぜ最後のこの空間さえ、あなたがたは自由にさせないのか!
 私たちは、あなたがたを恨む!!!
 第一に、私たちを生存させず、私たちを活動できなくした!
 第二に、私たちの人権を無視し、私たちの発言権を無視し、私たちのサイトを封鎖した!
 紅塵網を返せ!
 あなたがたという、人民に奉仕するという看板を掲げて、世を欺き名誉を盗む強盗よ、私のサイトを返せ!」

 この件については、葉さんは、次のようにも言っています(4)

 「私には流すべき涙はなく、お笑いだとだけ思った。堂々たる大国が、私という農村の娘、私という民間の妓女、私という初級中学卒業の中年の女性よりも、『大切な道理を知り、気概がある』という点で劣っているとは!
 紅塵網が封殺されたことは、私たちの不幸であり、セックスワーカーの不幸であるが、よりいっそう中国の笑い話である!
 私たちは忘れてはならない。貧しいインドには、一つの州に500あまりのセックスワーカー支援組織があるのに、人口が十数億である大国の中国には、なんら人を傷つけない、反動的な言論もないセックスワーカーのサイト一つが許されないことを!」

3.警察が家主に圧力をかけて、中国民間女権工作室に引っ越すよう要求させた。

 家賃の支払いは10月20日が期限だったにもかかわらず、葉さんは、大家から、できるだけ早く出て行くように言われました(5)。警察が家主を強制して、引っ越すよう要求させたのです(6)

 葉さんは、「これら[=上の1.~3.の]の攻撃を受けるのは、私たちが[セックスワークの]合法化を提唱し、セックスワーカーデーを開催したからであり、私たちがたえず厳しい声で私たちの観点を表現したからである」と言っています(7)

 8月末、葉さんは、「民間組織を攻撃するために、関係部門は少なからぬ恥知らずな手段を使う」というエントリーを書き、「民間組織がこのように恥知らずな政治環境の中で成長することには、本当に悲しみを感じる」、「政府よ、もう少し公明正大であってくれ」と述べています(8)

 葉さんは、中国共産党傘下の婦女連合会に関しても、「中国の女性は、必ずもう一度革命を起こさなければならない。そうでなければ、永遠に男権の陰影の下で生きるであろう。(……)中国の女性の現状を変えるために最初にやるべきことは、婦連を打倒することである。婦連を打倒しなければ、中国の女性には永遠に未来はない」(9)と激烈に批判しました。

中国民間女権工作室の組織としての活動の停止を表明

 8月、中国民間女権工作室に対しては、当局の弾圧の一方で、艾未未さん(ウィキメディアによる説明)からノートパソコンを送られる(10)などの支援もあり、8月末、葉さんは、中国民間女権工作室の今後の計画(セックスワーカーに対するアンケート調査やアウトリーチ活動など)やボランティアの役割分担を発表するなどしています(11)

 しかし、9月には、中国民間女権工作室は、資金不足のため、城中村(都市の中の村。都市化の過程で農村の村落が都市に組み込まれて、農地が徴用されたために、農民が市民になったけれど、もとのまま村落に住んでいる地区(12))にある家賃の安い場所に引っ越さざるをえませんでした。このことを報告したブログの記事の中で、葉さんは、経費の問題でアウトリーチ活動も以前ほどできなくなることや、家賃や自分の子どもの養育費のために、新しく清掃の仕事を始めたことを述べています。また、葉さんは、「インターネットの言論は、年々不自由になっている。デリケート(敏感:検閲に引っ掛かるという意味でしょうか)な言葉は、数万に達したと言われる。」「セックスワーカーの生活環境は、年々悪くなり、掃黄[売買春一掃]は、公安が政治的業績をひらかす主な方式になっている。」「以前、私は、私たちの国家には希望があって、だんだん民主的になり、だんだん明るくなり、人々の生活はだんだん良くなるだろうと思っていた。私は、誰が私にこのような大きな信念を与えたのか分からない」と、悲観的な見方を綴っています(13)。この月には、中国民間女権工作室のサイトの更新もストップします。

 それでも、10月1日には、葉さんは、やや抽象的ながら、「私たちの戦略目標」として、「自己承認」「社会的承認」「セックスワーク合法化の推進」「労働組合の設立」「職業規範」「職業の安全保障と福利」といった事項を提示しています(14)。また、10月12日~16日にタイのパタヤでおこなわれたエイズとセックスワーカーについての会議(Consultation on HIV/AIDS and Sex Work in Asia)にも参加しています(15)

 しかし、やはり中国民間女権工作室としての活動は困難だったのでしょうか、10月19日、葉さんは、「組織の中の人と相談したところ、中国民間女権工作室は、現在、経済的能力から見ても、社会的環境の各面から見ても、もう現在の状況に適応して一つの組織あるいは機構の名称で生存することはできないと考える」と述べるに至ります。

 葉さんは、「私たちの目標は、けっして、生きていくために、何の役にも立たない、魂のない組織を養うことではない」、「私はエイズプロジェクトの作業者、請負商になりたいのではない。私は自分の最後の青春をかけて、私が関心を寄せている人々のために、公平な生存環境を勝ち取りたいのである」、「私は(……)反差別と暴力の問題、生存環境に対する関心を放棄したくない。私は、健康な環境がなければ、たとえ健康な身体があっても、役に立たないと堅く信じる」と述べています(16)

 上は、要するに、中国民間女権工作室が体制に順応する形で、セックスワーカーに対して単なるエイズ防止活動だけをするのであれば、活動を続けることもできるけれど、セックスワーカーをめぐる社会問題に取り組めない以上、組織として存続する意味はない、というような意味ではないかと思います。

 10月23日には、葉さんは、「私たちに未来はない」という、絶望を表明したエントリー(17)をブログに掲載しています。

 もっとも、葉さんは、現在もブログ(荼蘼花尽)やツイッター(流氓燕 (liumangyan) on Twitter)を、活発に更新しているので――ツイッターではもちろん劉暁波のノーベル平和賞受賞なども取り上げています――まったく意気消沈しておられるようなことはない思いますが……。

(1)以上は、「神秘的有关部门是什么部门? 政治色彩是什么色彩?」荼蘼花尽2010年8月17日。
(2)現在もサイト自体は存在しているようですし、少なくとも日本からは閲覧できます。しかし、サイトの更新は9月2日を最後にストップしています。これは、中国国内からは閲覧できないからではないかと思います。
(3)红尘网被关闭, 我们要求归还红尘网」红尘网2010年9月1日。
(4)这不是红尘网的悲剧,也不单是我的悲剧,是中国性工作者的悲剧!」荼蘼花尽2010年8月18日。
(5)有人支持,有人打击――我们是对还是错?」荼蘼花尽2010年8月23日。
(6)为了打击民间组织,有关部门动用了不少无耻手段」荼蘼花尽2010年8月27日。
(7)(5)に同じ。
(8)(6)に同じ。
(9)中国女性在此时,是不俗地活着」荼蘼花尽2010年8月14日。
(10)感谢艾未未赞助女权工作室笔记本一台」荼蘼花尽2010年8月18日。
(11)中国民间女权工作室下段时间工作安排」中国民间女权工作室サイト2010年8月31日、「工作室2010年核心志愿者/分工/公开帐号」荼蘼花尽2010年8月30日(ボランティアの集合写真も掲載されています)。
(12)中国語ですが、百度百科に詳しい解説があります(城中村)。
(13)中国民间女权工作室搬家公告」荼蘼花尽2010年9月27日。
(14)我们的奋斗目标」荼蘼花尽2010年10月1日、「战略目标中英对照」荼蘼花尽2010年10月3日。
(15)今天参加了性工作者的盛宴」荼蘼花尽2010年10月14日など。このほか、ブログでは、エイズウイルス感染者で、エイズ問題の人権活動家である田喜さんの拘束(「エイズ感染の活動家、北京で拘束 補償や権利擁護訴える」asahi.com2010年8月25日参照)について多く取り上げています。
(16)以上は、「关于中国民间女权工作室退出邮件组与一些民间组织联盟的声明」荼蘼花尽2010年10月19日。
(17)我们没有未来」荼蘼花尽2010年10月23日。

葉海燕らによるセックスワーク合法化の街頭宣伝と葉の拘束、第2回セックスワーカーデー中止をめぐって

 葉海燕(流氓燕)さんらが2005年に武漢市に設立した「中国民間女権工作室」(以下、「民間女権工作室」と略す)は、セックスワーカーに対する電話相談やエイズ防止活動(宣伝、コンドーム配布など)をおこなってきました(1)

 昨年、「民間女権工作室」は、8月3日を「セックスワーカーデー」と定め、「第1回セックスワーカーデー」の行事をしました。8月3日をセックスワーカーデーにしたのは、国際女性デーである3月8日と対称になる日付だからです(本ブログの記事「『第1回セックスワーカーデー』、中国民間女権工作室、セックスワーカーの互助団体の萌芽」参照)。

世界基金のプロジェクト中止に対する中国民間女権工作室の対応

 「民間女権工作室」は、「世界基金(世界エイズ・結核・マラリア対策基金)」(HP日本語による説明)のプロジェクトによる資金援助を受けていました。ところが、先にお伝えしたように、2009年末、突然それが中止されたたため、「民間女権工作室」は窮地に陥りました(本ブログの記事「世界基金のプロジェクト中止で、中国民間女権工作室に打撃――中国のNGOの困難」参照)。

 この事態について、今年4月26日、葉海燕さんは、「中国民間女権工作室の未来に関する思考と決定」(2)という文を発表しました。

 この文で、葉さんは、民間女権工作室は外部の経費のサポートを失ったため、昨年立てていた目標は放棄せざるをえなくなったこと、活動室をより小さな、家賃の安い部屋に移さなければならなくなること、その家賃も借りるか稼ぐかしなければならないことを述べています。葉さん自身も「すでに借金の山」であり、このままいけば、自分は、借金を返さない「恥知らずな人」になってしまうとも述べています。

 しかし、葉さんは「中国民間女権工作室は絶対に倒れない!」と宣言します。今後は、「活動の費用は、私のネットショップ(流氓燕网店)の収入と社会的寄付」によると言います。

 ただし、葉さんは「私は、あまり経費のかからない活動を選択するかもしれない」と述べて、「今後は、アウトリーチ活動(セックスワーカーのいる場所に出かけて働きかけること)は減らすかもしれない」と言い、「主な活動方向は、社会的主張(たとえば、差別反対、スティグマを取り除く、職業を認めるなど)に置くかもしれない」と述べています。

 もっとも、その後もアウトリーチ活動をやめてしまったわけではなく、コンドームを配布したり、健康のためのハンドブックを配布したり、さまざまな調査をしたりしています(3)

警察の売買春取り締まりキャンペーンに対する葉さんらの批判

 中国では、今年は上海国際博覧会(5月~10月)とアジア競技大会(広州、11月)が開催されるため、それに合わせて、警察が全国で7ヵ月間の犯罪取り締まり強化(厳打)をおこなっています(4)。その一環として売買春(とくに売春女性)に対する取り締まりも強化されているのですが、このキャンペーンに関して、葉さんや民間女権工作室は、以下のような批判をしています。

 ○5月29日、葉さんは、公安部と温家宝首相、胡錦濤総書記あてに、次のような訴えを書きました。
 ・他の経済的収入がなく、教育を受けている子どもがいる売春女性に対しては、経済的処罰を免除してください。
 ・仕事がなく、配偶者がおらず、年齢が40歳以上の売春女性に対しては、経済的処罰を免除してください(5)

 ○6月22日付の自らのブログで、葉さんは、次のように述べています。葉さんは、ある18歳未満の売春女性を釈放させるために、警察に6000元を払うように求められました。しかし、治安管理処罰法によると、売春の罰金は最高でも5000元であり、18歳未満の場合は処罰を軽くすることもできるとされています。実際、武漢に来たばかりの彼女にはそんなに多額の罰金を払うことはできません。葉さんは、このように取り締まりが法律さえ無視したものになっていることについて、「中国の法律は空論に過ぎない、中国は赤裸々な『人治社会』である」、「なぜ凶悪な握りこぶしを、弱い一般民衆にぶつけなければならないのか?」、「これ(売買春取り締まりキャンペーン)は社会の進歩を推進する政治的戦略なのか、それとも弱者に対する強権の示威なのか?」と言って強く批判しました(6)

 ○7月5日、民間女権工作室は、北京愛知行研究所と共同で、警察が、コンドームを所持していることを売買春の証拠にしているのをやめるように訴える声明を出しました(7)。そうした警察のやり方の結果、セックスワーカーがコンドームなしで売春をして、自らの身を危険にさらしているからです。

7月26日:売春女性の引き回しを禁止する公安部の通知をめぐって

 売買春取り締まりキャンペーンの中で、広東省東莞市では、売春女性が手枷をはめられ、腰繩を付けられ、裸足で連行されている姿がネットで流されました。また、湖北省武漢市では、派出所が、売買春をした者の姓名・年齢などを掲示する事件が起きました(8)。以前から、警察が売春女性を引き回して、さらし者にする事件が何度も発生していたこともあって、警察のやり方に対する世論の批判が高まりました。

 そのため、中国の公安部は、各地の警察に、売買春の取り締まりの際、引き回して見せしめにするなど、人格の尊厳を損なうやり方を断固制止するよう求める通知を出しました(7月26日~27日の広東省のメディアの報道(9))。広東省の公安庁は、全省にこの通知を転送するとともに、同様の問題が発生したら、現地の公安機関の指導責任を追及すると規定しました。

 葉さんは、7月26日、この通知について、「民間の声に対して対応した」ことについては、「感謝」の意を表明しました。ただし、公安部が売春の取り締まりの効果自体については肯定していることに対しては、「大通りでの売春を、暗い片隅での売春に変えた」だけだと批判しました。葉さんは、警察の取り締まりは、「強制的な売春、未成年者の売春など」に対してのみおこなうべきであり、「生存能力がない女性の生活の道を壊したり、容赦なく罰金を取り立てたり」してはならないと主張しています(10)

 北京愛知行研究所も、公安部の通知自体は「賞賛」しつつも、公安部の売買春取り締まりキャンペーン、とくに捕まえる目標の人数を要求するやり方がさまざまな弊害を生んでいることを批判しました(11)

 また、メディアでも、ある人が、公安部が今回出したのと似たような通知は、すでに再三出されていること(たとえば、1992年の「最高人民法院、最高人民检察院、公安部关于依法文明管理看守所在押人犯的通知」は、既決・未決を問わず、犯罪者などを引き回して見せしめにすることを禁止している)を指摘して、「遺憾なのは、数十年間、たえず繰り返し『禁止』や『断固制止』を強調してきたにもかわらず、このような現象が何度も発生することを本当には禁止できていないことである」、「当面の急務は、また繰り返して『断固制止』の通知を出すことではなく、関係する法律にもとづいて、このような行為を厳罰にし、『関係する指導者の責任を追及する』ことである。その責任は、一般的な規律、行政責任でありうるだけでなく、刑事責任でさえありうる」と指摘しています(12)

7月29日:民間女権工作室、初めて街頭でセックスワーク合法化を訴える

 7月29日、武漢市の繁華街の江漢路歩行街で、民間女権工作室の6~7人が、赤い雨傘(赤い雨傘は、セックスワーカーに対する差別や虐待に対する反対を意味する(13))を出して、セックスワークの合法化を訴えました(以下の2件の記事に、写真・動画あり→「第一天在街头倡议合法化」红尘网2010年7月29日、「中国大陆性工作者机薯G武汉街头倡议合法化(组图)」红尘网2010年8月2日)。この活動は、同工作室にとって初めての、街頭でのセックスワーク合法化の訴えでした。今回のこの訴えは、葉さんが以下の文で述べているように、上述の売買春取締りキャンペーンにおいて売春女性の人権が侵害されていることを目の当たりにしたことがきっかけでした。

 「私には、これが中国のNGO最初の街頭でのセックスワーカー合法化の呼びかけなのかどうかわからないが、私たちの工作室にとっては、非常に厳粛な決定であった。

 以前は、私はけっして合法化を要求するつもりはなく、姉妹の権益が、現在の環境の下で最大限に保護されることだけを望んでいた。

 しかし、今年の狂気じみた厳しい取り締まりは、私を絶望させた。毎日、新聞を開くと、天地を覆い尽くすような全国の売買春取り締まりの行動が目に入り、画面では、姉妹たちがうつむいて、顔を覆い、引き回され、さらしものにされ、残虐に大ぜいの前に引き出されて辱められるのが目に入った。このとき、私は決めた。私はもう躊躇できない。もう弱腰ではいられない。必ずはっきりとした声で、彼らがこのようにするのに反対しなければならないと。

 そのとおり。私が合法化を提唱したのは、売買春に対する厳しい取り締まりの時である。」(14)



 葉さんは、セックスワークの合法化自体は、すでに2006年には唱えているのですが(15)、街頭で合法化を訴えたのは、この時が初めてだったのです。

 当日出したパネルには、以下のように書かれていました(16)

セックスワークは一つの労働である。
私たちはセックスワークの合法化を要求する。売春も買春も無罪である


[訴えの背景]

 1.セックスワークは古い職業であり、数千年の歴史を有する。中国の数千年の歴史において、セックスワークはずっと合法であった。現在も、他の一部の国家では合法である。
 2.法律は性取引をなくすことはできず、セックスワーカーは世界のどの国にも存在する。これは、回避することができない現実である。

[訴えの原因]

 1.非合法な状態は、警察の腐敗を引き起こす
 2.非合法な状態は、性病・エイズの伝染を引き起こす。
 3.非合法な状態は、売春の強制、女性の人身売買、未成年の売春の強制などの重大な社会的事件を引き起こし、民間の女性の権益が法律的保障を得ることができない。

[私たちの要求]

 1.セックスワークを合法的な職業にし、労働法の保護を受けさせる。定期的に国家に納税し、財務監督に組み込んで、腐敗を避ける。
 2.セックスワーカーに良好な健康診断の制度を設け、エイズ・性病を普通の人々に伝染させる可能性を減らす。
 3.経営者は従業員の実名管理をして、未成年者の売春を根絶し、セックスワーカーの人身の自由と安全を保障する。



7月31日:警察の介入

 7月31日も、民間女権工作室のボランティアは、引き続き横断幕を広げ、街頭でセックスワーク合法化の署名を集めました。しかし、この日の活動に対しては、武漢市の公安局が介入して、署名と横断幕を没収しました(17)

 葉さんによると、署名は100人余りから集まったそうで、「男性や教師、視野が比較的広くて、いつもネットを見ている人には、支持者が多いけれども、女性は通常反対である。なぜなら、彼女たちはセックスワーカーを彼女の家庭に対する脅威と見なすからである」と述べています(18)。もっとも、葉さんは、『蘋果日報』の取材に対しては、100人余りの署名の過半数はセックスワーカーからのものだったと述べています(19)。これは、おそらく、街頭では男性の署名が多かったけれど、街頭以外でも署名を集めていて、街頭以外での署名を含めれば、セックスワーカーからのものが過半数だったということではないかと思います。

「第2回セックスワーカーデー」(8月3日)の活動計画

 「中国第2回セックスワーカーデー」の一週間ほど前の予定では、8月3日には、以下のことをおこなう予定でした。

 ・風船を浮かべて、祝日らしい雰囲気を作ったうえで、セックスワーカーに対する暴力反対やセックスワーカーの健康問題を訴えるパネルを設置する。
 ・セックスワーカーデーのポスターを展示する。
 ・署名ボードを設置する。
 ・姉妹(セックスワーカー)が合法化を訴える声を流す。
 ・姉妹を招待する(20)

 また、客には、セックスワーカーにカーネーションを送ることを呼びかけ、セックスワーカーには、8月3日は「祝日」だから仕事を休むことを呼びかけて、民間女権工作室が主催して懇親会をする計画も立てていました(21)

8月1日:警察のセックスワーカーデー中止要請。8月2~4日:葉、警察に拘束される

 葉さんは、8月1日、警察に連れて行かれて「お茶を飲み」ました。その席で、武漢市公安局洪山分局と薯z刀泉派出所は、彼女に「第2回セックスワーカーデー」を中止するように要求しました(22)

 この出来事に対して、翌8月2日、北京愛知行研究所は、警察に抗議する声明を発表し、「私たちは、中国民間女権工作室がセックスワーク合法化を要求する主張をすることを支持する。私たちは、セックスワーカーデーを挙行することは、公民とその組織の、言うまでもない正当な権利であると考える。私たちは、武漢市の警察に、セックスワーカーの健康・権益組織の活動に介入してはならず、その活動家の自由を制限してはならないと要求する」と述べました(23)

 けれど、8月2日の10時46分、葉さんは、ツイッター(liumangyan)で「私は旅行に行く」とつぶやき、4時間後に「憂鬱だ、ネットができない。ツイッターしかできない」とつぶやきました。翌3日には、ツイッターで、「鄂州の梁子島にいる」と述べ、何度も「つらい。家に帰りたい」と言いました(24)

 葉さんは、私服警官に女権工作室から連れ去られていたのでした(25)。BCC中文網の記者の取材に対して、葉さんは、「エイズ防止の研修クラスに参加する」という理由で連れて行かれたと言い、「五、六人が付き添っていた、食事と住まいは良く、周囲の観光もできた」と述べています(26)

 AP通信によると、「中国の反体制派は、しばしば『学習に行く』『休暇を取る』という説明で当局に拘留される。たいてい、彼らは、デリケートな期間に自由に動き回れなくするようにゲストハウスに閉じ込められる」ということです(27)

8月4日:葉、3点の声明を出す

 葉さんは、8月4日に解放されると、すぐに以下のような声明を出しました(28)

1.なぜセックスワーカーデーを提唱しなければならないのか

 (……)この社会でのセックスワーカーの境遇は、苦難に満ちている。法律的制裁は終わっても、道徳的制裁は、一生彼女に付いて回る。私がセックスワーカーデーを提唱する第一の目的は、社会が道徳的制裁をやめ、差別を減らし、セックスワーカーに自分を認める自信を与えることである。(太字は原文、以下同じ)
 多くの発展した国は、みなセックスワーカーに対する差別に反対することを提唱している。12月17日は、世界セックスワーカー暴力・差別反対記念日であり、多くの国(カナダ、アメリカ、イタリア、フランス)の公益組織は、みな差別反対をテーマにしたレッドアンブレラ行動をしてきた。

 第二の理由は、私はこの祝日によって、平等を示すことができるからだ。多くの集団・職業は、みな自分の記念日・祝日を持っている。たとえば、看護師・軍人・盲人・障害者の日があり、黒人や女性の日などもあるのに、なぜ中国のどこにでもある職業に自分の祝日がないのか? 人はみな平等ではないのか? (……)セックスワーカーには、自分の祝日がなければならない。(……)

 第三の理由は、三八女性デーは女性の権利の祝日だが、中国の婦連は、最大の女性の権利団体であるのに、セックスワーカーの生存と境遇に関心を寄せず、セックスワーカーの権益を保護しえていないので、三八女性デーはこれまでセックスワーカーと関係なかった。だから、私たちは別に祝日を作って、三八の別の面の八三によって、自分たちの関心を表明する。この日、より多くの人が売春婦の権利に注目するように私たちは希望する。

2.なぜ今年の八三セックスワークデーは、平常どおりおこなわれなかったのか?

 関係方面が、私を訪ねてきて話をし、私に八三セックスワーカーデーの活動をやめるように言った。私は、「工作室が計画していた活動はやめて、食事をしたり、歌を歌ったりすることに変える」と返事をしたが、のちに、食事をしたり歌を歌ったりすることも許されなくなった。

 そのほか、彼らは、私たちが公然とセックスワークの合法化を提唱する活動をすることにも反対した。

 8月2日、私は関係方面によって武漢市の付近の一都市で学習させられ、その過程では六、七人に付き添われた。関係方面は、最初だけは私に対して、少しきつい言葉を使い、少し高いところから見下ろす態度だったが、後の過程においては、教育が主で、いかなる暴力行為もなかった。

 8月4日の早朝、関係方面は私を武漢の工作室に送り返したが、セックスワーカーデーはもう終わっていた。だから、いかなる活動もできなかった。

3.今後についての私の考え

 私が学習させられた後、社会の各界の友人が私に対して関心といたわりを寄せてくれたことに非常に感謝している。それは、あなたがたが、私の身に、あなたがたが見たい内容を見たからだと私は考える。

 だから、私も、多くの人の期待にそむかないよう、頑張って歩み続けたいと思う。

 私は簡単に「一つの中心」「一つの保持」「一つの堅持」を述べることによって、私の今後についての考えを言う。

 「セックスワーカーの健康・生存の尊重を中心にし、強靭で、独立した、自己の妓女精神を保持し、『本当のことを話し、具体的なことをやる』という原則を堅持し、楽しく生き生きと、歩んでいく」



 同じ8月4日、北京愛知行研究所は、「セックスワーカーの権益に注目し、セックスワークの合法化を呼びかける公開状」を発表し、署名を呼びかけました。同研究所は、この公開状を、全国人民代表大会宛てに出すとともに、全国人民代表大会と全国政治協商会議の代表にも提案として送るそうです(29)

 国外でも、ニュージーランドのNew Zealand Prostitutes Collectiveの何人かが、ウェリントンの中国大使館の前で、葉さんを支持する立場から抗議をおこないました(写真あり→「新西兰性工作者支持中国性工作者」红尘网2010年8月8日)。

フェミニスト・知識人の反応

 今回のセックスワーク合法化の街頭宣伝と警察の介入については、フェミニズムの立場からも、さまざまな人が議論をしました。

李銀河

 8月7日、李銀河さんは、自分のブログで、売春女性の引き回しや葉海燕さんらの運動に触れたのち、「もし私たちが売春現象を徹底的に消滅させたいと思うのなら、絶対に一挙にやることはできず、決心を固めて長い時間をかけ、困難できめ細かな活動をしなければならない」として、以下のようなことを挙げました。
 1.女性の経済的地位を向上させ、貧困な女性の生計の問題を解決する。
 2.これ以上、売春女性を捕まえて労働矯正[違法行為をした者を施設に収容して、強制的労働をさせる行政処罰]にすることはやめて、女性学校を設立して、生計の道をはかるための他の技能を学ばせる。
 3.これ以上、伝統的な売春取り締まりの方法によって、セックスワーカーを地下に追いやって、非合法の暴力組織に搾取させることはやめて、警察力を、彼女たちを搾取している暴力組織の取り締まりに使うべきである。すなわち、セックスワーカーを搾取している人だけを取り締まり、セックスワーカーに対しては、取り締まりというやり方を放棄して、彼女たちが他の生活手段を獲得したり、病気の予防や治療を助けたりするようにするべきである。
 4.売春女性に対する社会の態度を改めて、彼女たちを取り締まるのはでなく、彼女たちが仕事をやめることを助け、彼女たちを辱めるのではなく、彼女たちを救い、彼女たちを敵視するのではなく、思いやるようにする。
 私の売春対策の主張は、わが国が現在売春を刑事犯罪とは扱っていないという基礎の上に、いっそう売春の非犯罪化を実現するものである。」(30)

 葉海燕さんも、李さんの上の主張について、「学者の民間に対する仁愛の心を体現しており、政府が一貫して売買春の現象に対して厳しい取り締まりをし、メディアの報道は、売春現象に対して、ひどく憎み、激しい口調でセックスワーカーを地獄に投げ込む態度であるのとまったく異なっている」と述べています。ただし、葉さんは、売買春そのものをなくすことについては、否定的なようですが……(31)

[フェミニズム研究者らのメーリングリストにおける討論]

 一方、「中国におけるジェンダーと発展ネットワーク(“社会性别与发展在中国”网络)」の女行(Feminism-in-Action)メーリングリストでは、8月1日、王金玲さん(浙江省社会科学院)が、「セックスワーク合法化、売春も買春も無罪」という葉さんのスローガンは、セックスサービスに従事しているのは貧困な女性である現状から見て、階級的盲点やジェンダー的盲点があるのではないか、という趣旨のことを述べたことがきっかけになって、フェミニストの研究者の間で議論がおこなわれました。その一部が掲示板に紹介されているので、以下に大体の内容を示します(32)

李青

 私は、人権を尊重・保護する角度から言えば、セックスワークは合法化すべきだと思う。

王金玲(浙江省社会科学院、教授)

 セックスサービスをする者について言えば、私たちは、「セックスサービスをする者としての人権」だけでなく、「人として有するべき人権」にもっと関心を持つべきである。また、セックスサービスをする者の多くが女性であることを考えれば、「女性の人権」も持つべきである。さもなければ、私たちは、この集団がセックスサービスに入る前に既に失ったか、侵害された権利を無視することになるだろう。なぜなら、大多数のセックスサービスをする者について言えば、セックスサービスに入る前に、資源の配置の不平等、合法的権益の侵害の中で、選択の空間と選択の情報が欠けているがために、彼女あるいは彼は、セックスサービスの領域に入るからである。

 私個人の観点は、弱者グループ(とくに貧困な女性)の生存と発展の環境を改善し、弱者グループ(とくに貧困な女性)の発展の自由や行為の選択肢や情報の認識度を拡大すること、そのようにして弱者(とくに貧困な女性)がセックスサービスの領域に、自由がないまま、情報を知らないままに入ることを減らすことである。それと同時に、セックスサービスの領域に入った者に対しては、できるだけセックスサービスの彼/彼女に対する傷害を減らし、彼/彼女の合法的権利を保護し、彼/彼女が生活を再建するための条件を創造することである。

艾曉明(中山大学中文系教授)

 私は王金玲先生の理論上の意見は正しいと思うし、理論的には私も賛成である。しかし、呂頻と栄維毅先生の意見は、実際的レベルでの対応についてのものである。すなわち、セックスワーカーがこのように声を上げている時に、主流のフェミニズムの学者・作家・専門家が具体的にどのようなことができるのか、ということである。

 私の一つの提案は、葉海燕を招いて、インタビューをできないかということである。もし主流(相対的に言えば、「中国におけるジェンダーと発展ネットワーク」)と周縁の中国女権工作室がもっと具体的に交流をしたら、みんなにより多くの情報を与えることができるし、そのことによって、セックスワーク合法化を支持するか否かについてより多くの基礎を提供できる。

 私個人の態度はと言えば、私はセックスワーク合法化を支持する。合法化によって引き起こされる問題については、さらに対策を探る。ものごとは結局のところ、一歩一歩やらなければならない。ただし、現在の私の観察では、合法化によって、非合法である状況よりは少し良くなるだろう。

 セックスワークの合法化については、理論的な面では、国際的なセックスワーク運動に多くの研究と議論がある。台湾の何春傷o教授らが編纂した叢書の中にも、この問題を専門的に議論したものがある。しかし、当面の急務は、主流のフェミニズム界と周縁の女性組織との間にもっと繋がりを作り、理解と対話を強めることだと私は思う。

栄維毅(中国人民公安大学教授)

 最近読んだ、何春傷o教授が編集した『セックスワーク:セックスワーカーの権利の観点(性工作:妓權觀點)』(巨流図書公司、2001年)によって、世界のセックスワーカー運動について初歩的な理解を得た。艾曉明教授の「当面の急務は、主流のフェミニストと草の根の女性組織との交流と対話だ」という観点に同意する。それは、フェミニストにとって、さらに大きなチャレンジになるかもしれない。うれしいのは、近年、中国に自分で権利を保護することに尽力するセックスワーカーの組織が出現したことであり、主流のフェミニストは、これらの組織を理解・支持できなければならない。

 セックスワーク合法化の問題について言えば、簡単に同意と不同意とを対立させてはならない。なぜなら、同意の理由も不同意の理由も、千差万別であり、たとえ同意しても、ジェンダー的立場は対立しているかもしれないからである。艾曉明教授が言うように、重要なのは、最も直接に利益と関係している集団であり、彼女たちが何を欲しているかということである。女性の人権について言えば、女性が置かれている具体的状況と切り離すことはできない。「女性の声を聴き、女性の主体性と能力を信じる」というフェミニズムの基本的立場は、セックスワーク問題の上でも体現されなければならない。女性の戦略的ジェンダー利益を実現するには、しばしば女性の実用的ジェンダー利益から出発して、実践可能な具体的なことから始めることが必要であり、香港の紫藤のやり方は学ぶに値する。

王金玲

 栄先生の観点に基本的には同意するけれども、「セックスワーク(性工作)」という名称は、「セックスサービス(性服務)」と改称することを希望する。

 私は1996年からセックスサービス女性に関する行動プロジェクトを開始し、10年あまりの間に、600人あまりの女性を調査し、さまざまなケースのざまざまな階層の女性約100人にインタビューした。

 私もかつては性取引の合法化はセックスサービス女性の悩みや困難を解消する良い方法だと思っていたが、このプロジェクトをおこなって、この集団に対する理解を深め、彼女たちの声を聞くにつれて、性取引の合法化はけっして解決の道ではないと思うようになった。実際、私が提出し実行したのは――
 ・実験的社会-心理-医学の新しいモデルのセックスサービス女性に対するエンパワメントであり、基礎的知識・教養の学習、技能訓練、自己保護、心理カウンセリング、家庭環境の再建、婚姻関係の再建、医学治療の新しい方法などの面で、セックスサービス女性の生活の改善・再建のために条件を作る努力をした。
 ・今日の中国の性取引の蔓延の主な責任は、セックスサービスをする女性ではなく、セックスを消費する男子にあるので、「売買春取り締まり」の重点は、セックスサービスをする女性ではなく、セックスを消費する男子に置くべきだという司法的提案をおこなった。
 ・貧困な山地に居住していて、他の土地での就労を希望している女性(とくに若い女性)と、労働者を雇うニーズが比較的多い発達した地区との橋渡しをして、彼女たちが誘拐されてセックスサービスに従事させられることを減らした。

 私がおこなったセックスサービス女性のエンパワメントプロジェクト、反誘拐プロジェクトの資料などから見ると、広西・雲南・四川・貴州の少なくない若い女性が、「仕事がある」という名目で誘拐されてセックスサービスの領域に入っている。もし私たちがもっと橋渡しの活動ができていて、情報伝達の活動ができていたら、これらの若い女性をセックスサービスの仕事に入らないようにできていた。このほか、私たちが、女児の入学率を向上させ、中途退学率を減少させたり(楊国才が国外の資金を募って雲南でやっているように)、女性に適した各種の技術訓練をしたり(高小賢が陝西でやっているように)、貧困救済プロジェクトをより女性向けのものにしたり(赤峰の女性が小額融資を組織しているように)、農村で女性の家庭的地位を改善する新しい風俗習慣を広める活動をしたり(丁冬紅・李慧英・梁軍などが河南などの地の農村でやっているように)、DVに反対したり(DV反対ネットワークがやっているように)、トータルな健康観の視点から女性の健康を促進する(雲南生育健康協会がやっているように)など、さまざまな面から、もっと多く、もっと有効に、もっと実際の活動をすることによっても、女性にもっと大きな、もっと良い生存と発展の空間を切り開くことができる。

 すでにセックスサービスの領域に入った女性に対しては、私の自分のプロジェクトの経験から言えば――
 ・関連する研修によって彼女/彼らの自己保護能力を向上させることに注意しなければならない(法律の武器を運用することによって自己を保護することを含めて)。
 ・合法的な権利が侵害されていないか否かに注意しなければならない(セックスサービスの期間も、セックスサービスをしていない期間も)。強制される、強姦される、さらしものにされる、ハラスメントされる、傷害を受けるなど。
 ・生活を改善・再建する能力を向上させることに注意しなければならない。
 ・醜く描いたり汚名化してはならないだけでなく、美化やロマン化もしてはならない。

 私は去年、「商業的性取引:両岸三地[大陸・台湾・香港]法律と公共政策専門家円卓会議」を開催した。この会議の紀要は、いま整理しているところである。この会議の前に開催した国内の「商業的性取引:法律と公共政策専門家円卓会議」の紀要はすでにネットに掲載している(关于商业性性交易的讨论)。

譚宏鋼(シドニー大学博士課程在学生)

 ポイントは、女権工作室と葉海燕が攻撃・抑圧され、黙らされていたとき、他の女性組織が態度を表明して(私は「彼女たちの主張を支持しろ」とは言っていないことに注意してほしい)、彼女たちの合法的な訴えに対する妨害に反対したか否かである。全体として、女性NGOはどれも穏健で、専門家はみな理論化に傾きがちである。愛知行は境遇が困難であり、発言しても政府は聞き入れないけれど、立場を明確にして声を上げた。女性NGOはみな穏健であり、だから境遇は比較的良い。しかし、声を上げないので、政府は何も聞かない。最終的な結果は同じであり、効果がない。女性運動を深化させるには、おそらく、中国の女性NGOと専門家が行動力を増すことが必要であろう。

 ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

 以上、今回の問題をきっかけに、研究者の間から、セックスワーカー自身の声を聞くべきだとか、セックスワーカー組織との交流を強めるべきだとか、葉海燕に対する弾圧に反対の声を上げるべきだとかいう意見が幾人もの人から出ています。陳亜亜さんは、2008年、「国内の主流フェミニストの視野の中では、周縁の女性集団は一貫して軽視されてきた。ここで言う周縁女性とは、主にセックスワーカーと女性同性愛者、トランスジェンダーである」(33)と言いましたが、今回の事件は、そうした状況に少し変化をもたらしたようです。

 王金玲さんと他の人々の間で意見の違いがあるようですが、王さんらによる実践と研究は、浙江省社会科学院「社会─心理─医学新モデル売春女性援助プロジェクトグループ」(1997年~2000年)によるもので、王金玲・高雪玉「女性商業性サービス者のエンパワメント:工作と経験(赋权于女商业性性服务者:工作与经验)」(34)としてまとめられています。王さんらの実践と研究は、浙江省女子労働矯正学校という、労働と教育による更生施設を舞台にしておこなわれたものですが、伝統的なやり方からは脱却することを目指したもののようです。王さんらの研究・実践と他の人々の主張との接点や対立点など(とくに矛盾しない点も多いと思うのですが)も、今後見ていきたいと思います。ただ、王さんの論文をざっと読んだ限りでは、王さんの議論は、直接にはセックスワーク合法化に反対する理由にはならないように見えるのですが……(もちろん、処罰の対象が、業者なのか、売春側か、買春側かという点によっても違うと思いますが)。

(1)2005~6年の葉さんの活動については、本ブログの記事「本年[2006年]の動向10―売買春に関する議論と行動」を見てください。また、中国民間女権工作室は、2009年9月、北京愛知行研究所と共同して「中国セックスワーク・セックスワーカー健康・法律人権報告(2008-2009)」を発表しましたが、この報告については、本ブログの記事「民間3団体がセックスワーカーの人権問題に関する報告を発表」に述べてあります。
(2)叶海燕「关于中国民间女权工作室未来的思考与决定」荼蘼花尽2010年4月26日。
(3)2010年6月10日外展调查小结」红尘网2010年6月10日、「2010年6月11日外展记录―暑]里去找生存的尊严?(1)」荼蘼花尽2010年6月12日、「2010年6月18日外展记录」荼蘼花尽2010年6月19日、「2010年6月24日外展记录」荼蘼花尽2010年6月25日、「2010年07月09日外展记录」红尘网2010年7月14日。
(4)公安部召开会议部署严打 全国将开展为期7个月严打行动」人民网2010年6月13日。
(5)给公安部,温总,胡总」荼蘼花尽2010年5月29日。
(6)"严打”的七月,是不是中国警察疯狂书写耻辱的七月??? 」荼傷イ花尽2010年6月22日。葉さんによると、拘留期間も15日までと決められているのに、「半年」の判決が下されたこともあったそうです(「公安警告『中國妓女節』發起人:別署ヒ事」NOWnews2010年8月2日)。
(7)北京爱知行研究所 武汉民间女权工作室「就扫黄、严打中禁止以安全套为证据的联合声明 」荼蘼花尽2010年7月7日。北京爱知行研究所は、「就严打、扫黄打非行动中保护性工作者人权问题致公安部的建议信(2010年7月2日)」(北京爱知行研究所サイト2010年7月5日)も出しています。
(8)「东莞武汉曝光“卖淫女”」『女声』44期(word)。
(9)公安部:游街示処ル反应基层公安轻视人权」人民網2010年7月26日[来源は大河網]、「公安部:坚决制止将卖淫嫖娼者游街示処ル」『南方日報』2010年7月27日、「売春女性の『市中引き回し』、今後はNG=公安部が禁止令―中国」レコードチャイナ2010年7月26日。
(10)叶海燕「公安部下发通知制止将违法人员游街示処ル」荼蘼花尽2010年7月26日。
(11)爱知行赞赏公安部关于尊重卖淫嫖娼者人格尊严的意见」2010年7月29日。北京愛知行研究所は、この意見の中で、「運動というやり方で売買春を取り締まり、末端の公安機関に任務の目標を与えることは、いきおい、公安機関の法執行において一連の違法な行動を引き起こす」として、以下のような例を挙げています。
 1.警察が街頭で意のままに女の子を売春婦と見なして捕まえ、のちに収容所での身体検査のときに女の子がまだ処女であることを発見する。
 2.警察が買春客を装っておとり捜査をする、あるいは売春者を利用しておとり捜査に協力させて、売買春という違法な活動を参与または誘導する。
 3.警察が意のままに各種の娯楽施設に突撃して、勝手に人々に売買春という罪名をかぶせて、人々のレジャー生活を損なう。
 4.現場での証拠収集が困難であるために、警察はしばしばコンドームを売買春の証拠にし、メディアがさらにそれを助長することが、娯楽施設でコンドームの使用を普及させる公衆衛生活動を妨げ、エイズ予防活動を妨害する。このことは、わが国の政府のエイズ防止教育に関する基本原則にも違反している。
 5.証拠収集が困難であるため、警察は、売・買春者を拷問して自白を強要して、任務を完成させるのに必要な証拠を不法に得る。
 6.警察が売買春を取り締まる機会を利用して、人々の金を強奪して、私腹を肥やす。
 7.売買春者の姓名を公開する。
 8.売買春者の肖像を公開する。
 9.売買春した者を引き回しにする。
 10.警察が売春した者に対してセクハラ・性的侵害をする。
 また、「運動というやり方で売買春を取り締まることは、多くの良くない社会的悪影響がある」として、以下の点を挙げています。
 1.コンドームを売買春の証拠にすることは、エイズウイルス感染防止のためにコンドームを普及する公衆衛生活動を侵害する。
 2.売買春する者が隠蔽された(あるいは「地下」の)状態に置かれるために、政府と民間の衛生活動をする者が、彼ら/彼女らを見つけて公衆衛生サービスを提供することが難しくなる。
 3.売春する者が大量に都市を離れて、小さな町に行ったり故郷に帰ったりするので、性病がいっそう撒き散らされる危険が存在する。
 4.運動として売買春する者を取り締まる行動は、公衆に、性病の予防は「悪人」を取り締まればよく、各人の自己防衛は必要ないかのような錯覚を与える。
 5.取り締まりの行動によって、売春する者は、犯罪者集団のグループの保護にさらに頼るようになる。
 6.取り締まりの行動によって、犯罪者集団は機を見て警察と結託して、警察の保護を求めるようになる。
 7.取り締まりの行動によって、売買春をする者はさらに隠れて、慎重になり、治安を脅かす隠れた要因が増大する。
(12)张贵峰「公安部"查处卖淫嫖娼禁游街示処ル"如何落实」新華網2010年7月27日[来源は、広州日報]。
(13)赤い雨傘は、2001年にベニスでセックスワーカーがデモをした際に使われたことから、セックスワーカーに対する差別や虐待に対する反対を意味する象徴になったそうです(「红雨伞:性工作者权利的象征」荼蘼花尽2009年5月20日、Red Umbrella Campaigns)。
(14)第一天在街头倡议合法化」红尘网2010年7月29日。
(15)流氓燕「我再一次旗幟鮮明地支持性産業合法化」(2006年6月4日)。
(16)性工作也是一种工作,我们要求性工作合法化!」红尘网2010年7月24日。
(17)武漢性維權人士被強制旅遊」中央社NEWS2010年8月4日。
(18)性工作者維權人士葉海燕談娼嫖無罪」BBC中文网2010年8月4日。
(19)公安警告『中國妓女節』發起人:別署ヒ事」NOWnews2010年8月2日。
(20)8月3日的活动布置」荼蘼花尽2010年7月24日。
(21)好消息,第二届性工作者日联欢活动开始报名了!!!! 」荼蘼花尽2010年7月16日。
(22)武漢性維權人士被強制旅遊」中央社NEWS2010年8月4日。
(23)北京爱知行研究所谴责武汉警方骚扰性工作者健康维权组」爱知行动BLOB2010年8月2日。
(24)性工作者叶海燕或因倡议性工作合法化被捕」国之声中文网2010年8月3日。
(25)《时事报道》:湖北为性工作者维权人士叶海燕被警方带走(2010年8月3号)」澳洲广播电台2010年8月3日。
(26)性工作者維權人士葉海燕談娼嫖無罪」BBC中文网2010年8月4日。
(27)Police detain China activist for sex worker rights”AP News2010年8月2日。葉さんの拘束については、英語圏では、他にイギリスの『ガーディアン』が報道しました(Tania Branigan“Chinese sex workers protest against crackdown”THe Guardian2010年8月6日)。日本では、共同通信が配信しました(「売春婦の権利擁護訴え、中国女性活動家拘束」MSN産経ニュース2010年8月2日)。
(28)叶海燕的三点声明――关于性工作者节」红尘网2010年8月4日。
(29)关注性工作者权益、呼吁性工作合法化的公开信(联名签署)(2010年8月4日)」北京爱知行研究所サイト。
(30)怎样解决卖淫问题」李銀河的BLOG2010年8月7日。
(31)期待一个从良的中国」红尘网2010年8月9日。
(32)「性工作合法化之讨论」『女声』45期(word)、「从性工作“合法化”之争看民间行动」『女声』46期(word)、「叶海燕,今天失去自由却是为了明天更多的自由(不斷補充精彩論述ing)」NGOCN社区(公益圈-社會性別)2010-08-04。
(33)陈亚亚「網絡的力量:女性主義者跨界合作的新途径」麓山楓HP2008年9月8日。
(34)高小賢・江波・王国紅主編『社会性別与発展在中国』(陝西人民出版社 2002年)378-395頁にも掲載されています。王さんらの研究・実践は、「新视角新对策防止性交易蔓延」として『中国婦女報』2000年4月1日付けにも掲載されています。

香港・紫藤による買春改革の試み

 香港のセックスワーカーの権利保護団体・「紫藤」は、2007年から、売春の男性客に対する働きかけを始めています。

 紫藤は、「セックスワーカーの病気と暴力に対する危険を減らすためには、当局の法律執行の態度と手段を改善することが重要だが、それと同時に、客にいかにしてセックスワーカーを尊重するかを教育することも軽視できない」、「すべての買春者がセックスワーカーに対する加害者なのではなく、彼らの中の多くはセックスワーカーを支持しており、一部の人々のセックスワーカーに対する劣悪な態度は、彼らのセックスワーカーと女性に対する無理解によるものかもしれない」(1)と考えました。

「男人組」と「男人夜」の開始

 そこで、2007年6月、紫藤は、買春している人を中心に、男性を集めて、「男人組(客人組)」というものを設立し、「男人夜」という定期集会を始めました。

 どのような方法でメンバーを集めたのかはわかりませんが、紫藤の報告を読むと、第1回目から非常にうまくいったようです。「討論を通して、私たちは、彼らに健康やジェンダー平等、セックスワーカーの尊重に関する情報を教育することができた。今回の男人組は、20名余りの参加者を集め、下品でない第1回目だった。大部分の参加者は中年で、草の根の階層の人であり、積極的に討論に加わり、また、私たちが彼らに与えた情報に満足した。実際、討論ののち、彼らはみなセックスワーカーに対する考え方を変えた。67歳のおじさんは、今後はセックスワーカーを大切に扱い、尊重すると私たちに述べた。」(2)

 ただし、紫藤の幹事の林依玲さん(3)は、もう少しリアリティのある話もしています。「私たちの最初の集いのときは、来たのは10人だけで、みな男の苦楽を語った。参加した客たちが最も喜んだ原因は、ここは、みんながプレッシャーなしに自分の話を分かち合える場だったからだ。社会の批判と変な目に直面しなくて済むほか、紫藤が定期的に挙行する『男人夜』の集いでは、誰も男性を指して『おまえは買春客だ』あるいは『おまえは悪いやつだ』と言わない」(4)

 紫藤ブログの「男人の夜ワークショップ後記」(5)という第1回目の記録を見ても、男性たちは、紫藤に対するイメージこそ良いのですが(セックスワーカーのために頑張っているなど)、各人の話は、自分の性の経験が主な内容のようです。

 ただし、次の2007年8月の「男人夜」の集まりでは、「恩客の10の条件」といって、良い買春のあり方を挙げるという、当初の紫藤の狙いにずばり沿った活動をがおこなわれています(6)(「恩客(benefactor)」というのは、従来、買春する客は、「嫖客」と呼ばれていたのですが、「嫖客」という言葉はイメージが悪いので、セックスワーカー運動の中で、売春婦を「妓女」や「小姐」から「性工作者」に呼び換えたのと同じように、買春する客のことを「恩客」と呼び変えたものです。「恩客」という言葉は、「セックスワーカーの顧客であることの汚名を取り去る助けになる」とともに、「自己のセックスワーカーに対する尊重と支持を示す」意味もあるそうです(7))。

 その次の9月の集まりでは、今度は客の側から見た、理想のセックスワーカーの条件を挙げました。こうした点は、一方的な押し付けにならないように注意しているのだと思います。

 けれど、このときは、同時に、セックスワーカー2人を招いて、どのような客が良くて、どのような客が嫌かも語ってもらっています(8)

 このように見てみると、「男人夜」は、男性客の主体性を尊重しつつ、客のあり方を変えていく試みであると言えそうです。

客が守るべき「10大準則」

 11月には、紫藤は、『客棧』という、客向けのニュースレターの発行を開始するのですが、その創刊号(9)に、買春の注意事項として、おおむね以下のような内容の10項目を発表しました。これは、上記の「恩客の10の条件」をもとにしつつ、それをいくらか変えたもののようです。

1.先に金を払う:最近、覇王餐を食べる(金を払わずにサービスを受ける)人が多い。もし小姐がサービスしながら、客が金を払わないことを心配してしていたら、どうしてあなたも十分満足できようか?
2.ブザーを押し間違えないように注意する:ブザーを押し間違えて、近所の迷惑になってはいけない。それによって訴えられる心配があれば、小姐もやる気にならない(注:これは、1室に1人のセックスワーカーがいる「一楼一鳳」タイプの売春について言っているのだと思います)。
3.礼儀正しく応対する:礼儀正しくすれば、彼女もおのずと心を尽くしてサービスするだろう。
4.ベッドに上がる前に「きれいに洗う」
5.酒に酔っているときは、また今度にする
6.価格をはっきりと尋ねる:初めにはっきりと値段を尋ねること。たとえば、「どのようにすれば1回と数えるか?」と。
7.安全第一:買春をするのは、楽しむためだが、性病は、体液か血液の接触によって伝染する。あなたと小姐の健康のためには、最も重要なのはコンドームをつけること!
8.リラックスする:緊張し過ぎてはいけない。セックスは、人類の行為のうちで最も普通ことの一つであり、たいしたことではない。緊張し過ぎると小姐が脅えるかもしれず、あなたも心ゆくまで遊べないだろう。
9.期待が外れても、失望する必要はない:あなたには、まだ多くの他の小姐のサービスを試す機会がある。
10.冷静さを保つ:思いがけないこと、たとえば警察が捜索をしたり、小姐がその場で値上げをしたりすることに出会っても、驚き慌てたり怒ったりはせずに、冷静にすれば、おのずと事態は好転する。

「男人夜」の各月のテーマ

 こんなふうに「男人夜」は始まりましたが、今までの毎月のテーマを列挙すると、以下のようになります(10)

2007年
8月:恩客の10大条件
9月:セックスワーカーとの対談
10月:第一次(?)
11月:男の眼の中の女神(性の技巧)
12月:多元的関係

2008年
2月:どのようにセックスワーカーを支援するか
3月:中国医学と性
4月:盗み食い(妻に隠れて買春すること)
5月:性愛の秘訣交流会
6月:客の社会的地位
7月:女は客や男をどのように見るのか?
8月:客の口述の物語『良い客の道(好客之道)』読後会
9月:女の心は海の中の針?(注:探すのが難しいたとえ) 女をどのように理解するか?
10月:非主流の好み、セクシュアル・マイノリティに対する認識
〃 :セックスワークを認識する
11月:人体の探索

2009年
1月:ドキュメンタリー「姉妹たちと紫藤(姊姊妹妹和紫藤)」上映
2月:世界に向けて出発(世界のさまざまな売春について)
3月:買春には道理がなければならない
4月:婚姻・愛情と買春
5月:性の治療
6月:『良い客の道』読後会
7月:香港のセックスワークの現状
8月:性のテクニック、両性のテクニック
9月:宗教から見た性の取引
10月:青楼[妓楼の意]情史:中国の読書士と青楼との不可分の縁
11月:セックスワーカー運動:香港のセックスワーカー運動の重大事件

2010年
1月:買春は単なる消費行為か?
3月:映画《村妓》の鑑賞と討論会

性のあり方を考える場、女性の視点に気づく場

 以上の各回のテーマを見ると、セックスワーク(ワーカー)の問題を中心にしつつも、性のあり方全体に話が及んでいることがわかります。

 最初の会で男性たちが自由に自分の性について語ったことは既に述べましたが、『客棧』も、「男人夜」について、「(性教育講座)」という注釈を付けて、「活動の中で、参加者はあらゆることを談じる。上は天文から、下は地理、男の生活・両性・性生活の中の苦と楽まで。」と紹介しています(11)。このように男性がいろいろ語りつつ、男性に、女性の側の見方も知ってもらうということのように思います。

 たとえば、2009年8月の「男人夜」は、「『性のテクニック、両性のテクニック』──性のテクニックに対する男性の誤解」というテーマでおこなわれましたが、この講座では、「性のテクニック=男らしさの魅力」という考えや「『狂抽猛挿[激しいピストン運動?]』が性の最高のテクニックである」という考えの誤りを明らかにし、加藤鷹さんという日本のAV男優のテクニックを参照したそうです(12)

 紫藤は、「男性にも性教育の課程を受けるニーズがあるのに、長い間無視されてきており、討論できる十分な空間と場所もなかった」と述べています。林依玲さんは、「男性は、以前はみな自分の考えによって、女性の性の過程における感じ方を推量していたけれども、男人組の集いの中で、女性の視点に気づき、セックスワーカーが、『良い客』の基準や経験を言うのを聞くことができた。男性がどのように自分をセックスワーカーたちの心の中の良い客に変えていくのかは、大きなチャレンジだ」と述べています(13)

 香港のある新聞は、「このグループは、セックスワーカーの権利と性教育を推進する場になり、また、男たちが互いに心の苦しみを打ち明ける小天地になっている」と述べています(14)

 ただし、「男人夜」に女性の参加者を招いた時、男性の参加者が「男は性を買ってもいいが、女は絶対いけない」と、ダブルスタンダードをあらわにしたこともありました。そのとき、紫藤の人は、「もし私たちが男の人を教育し続けようとすれば、私たちはもっと多くの努力をしなければいけない」と思ったということであり(15)、単純に「うまくいっている」ということではないです。

「男人組」の目標と任務

 昨年[2009年]11月には、「男人組」の「目標」と「任務」が発表されています(16)

[目標]
 「私たちは、客とセックスワーカーと社会大衆の間に、お互いに尊重し、平等に相対し、双方の利益になる関係のモデルと行為基準を構想・普及する。差別をなくさなければならず、そのためにさまざまな性に対するマイナスの観念の誤謬と無知を正面から指摘することが必要である。この目標を達成するための私たちの戦略の第一は、自分で手本を示すことであり、戦略の第二は、恩客憲章[約章]を普及することである。」

[任務]
 「長期的任務は、性の取引の売買双方の行為と役割をみな平常化し、そうした未来に向けて、社会教育をおこなって、社会の人々に、セックスワーカーに対する差別視のために彼女たちの肯定的な社会的機能を無視していることに気づかせることである。以上に述べたことを身を以て示すため、当面の任務は、買春にはマナーがなければならず、買春には品がなければならないことを広めることである。」

「恩客憲章」とは、以下のようなものです。
1.資産・職業・年齢・信仰・性的指向にかかわらず、あらゆる人を尊重する。
2.セックスワーカーのあるべき尊厳とセックスワーカーごとの独特の個性を尊重する。
3.セックスワーカーに与えるべき報酬を与える。
4.社会的的責任を引き受け、セックスワーカーたちが、彼女たちの職業に対するさまざまな政党のさまざまな立場に関心を寄せることを含めて、社会の発展に参与することを励ます。
5.セックスワークの職業が社会的に平等な協力援助と保護とを得られなければならないことを承認する。
6.セックスワークの売買双方の生活が平常化が促進されるように尽力する。

ニュースレターの『客棧』による宣伝

 先にも触れたように、紫藤は、2007年11月、『客棧』という、客に向けたニュースレターを創刊し、2010年1月までに、計8回発行しています(17)

 『客棧』には、客が守るべき「10大準則」のほか、性病についての知識、診療所の情報、警察に出会ったときの対応のし方などが掲載されています。最近は、毎号、セックスワーカーの声(「値段の駆け引きをしないでほしい」「セックスワーカーを尊重して、友だちだとみなしてほしい」など)が掲載されています(18)

 第3号は、「コンドームを取る=強姦!」という見出しがトップ記事です。この記事では、弁護士が、「女性が同意しないセックス」は違法であり、香港高等法院の判例も、「女性の側がコンドームを使用したセックスに合意していたけれども、男の側が途中でコンドームを拒絶するか、取り去ってセックスしたら、違法であり、『強姦』として訴えられうる」と指摘しています(19)

男人組の対外的な活動

 男人組は「男人夜」の活動が中心で、対外的な活動はあまり多くはないようですが、それでも、紅灯区に出かけて行って、『客棧』を配布し、買春客と対話したことが報じられています(20)

 また、2009年2月には、次のような活動予定が、『客棧』に掲載されています(21)
 1日:国際エイズデー:エイズ予防情報の宣伝
 6日:国際人権デー:ブースを出す、話劇の上演(国際人権デーは12月10日ですが、6日が日曜だったので、6日にしたのだと思います。)
 17日:国際セックスワーカーに対する暴力廃絶デー:デモと請願、街頭上演

 また、男人組の人々は、2009年、セックスワーカーの殺人事件が起きた時、自発的に募金を集めて、安全基金を作りました。また、あるセックスワーカーが病気になったのに、金がなくて治療を受けられなかったときにも、募金を集めました。このセックスワーカーは、「長年男にサービスしてきたけれども、そうした男たちが、自分が必要なときに支えてくれるとは思わなかった」と述べました(22)

中国大陸の葉海燕さんも客の「行為準則」を作成

 こうした紫藤の試みに示唆を受けて、武漢の「中国民間女権工作室」でセックスワーカーの援助にあたっている葉海燕さんも、2009年6月、以下のような、「買春客の最も基本的な行為準則」を作成しました(23)

1.コンドームを正しく使って、安全を保証し、健康的なセックスをする。
2.未成年者と性の取引をしない。
3.取引を強要しない
4.相手のプライバシーを保護し、写真を撮らず、ビデオを撮らず、証拠を残さない。
5.相手の要求どおりに支払う。
6.基本的な礼儀を守る
7.相手が提供する範囲を超えた性のサービスを強要しない。
8.偽札を使わない
9.性病とエイズを小姐にうつさない。
10.小姐の感情を尊重する。

 おおむね香港のものと同じ内容ですが、売買春の形態の違いのせいか、「ブザーを押し間違えない」はなく、かわりに、写真やビデオ、偽札が言及されていますね。

 紫藤のような活動が、どの程度の効果を上げるのかはよくわかりませんが、また何かわかったら、ご報告します。

(1)男人/客人組」『紫藤會訊』第22期(2007年8月)。
(2)同上。
(3)林依玲さんについては、「林依玲為性工作者爭取平等8年 『紫藤終會執笠盼不再歧視姐仔』」(『明報』2008年3月23日)という記事があります。
(4)香港嫖客俱乐部:努力把自己变成“贡献者”」『南都周刊』2009年10月9日。
(5)男人之夜工作坊後記 (2007-06-26)」(2007-06-26)紫藤BLOG
(6)男人之夜工作坊之十優恩客條件」(2007-08-14)紫藤BLOG。このときにまとめられた「10大条件」は以下のとおりです。
1.[セックスワークの場の]地域コミュニティの調和を破壊することを避ける
2.平常心
3.足りる金を持ち、先に金を払う
4.特別なサービスは、先に言明しなければならない
5.安全を重視する
6.チップ
7.良いコミュニケーション
8.小さなことにこだわらない
9.長期の顧客に
10.みだりに情にひかされない
(7)恩客天地」紫藤HP
(8)男人之夜工作坊之理想姐姐仔條件」 (2007-09-18)紫藤BLOG
(9)『客棧』第一期
(10)男人夜(2008 2月-5月)」、「男人夜(2008年 6月-9月)」、「男人夜(2008年10月-12月)」、「男人夜 (2010年1月-3月) 」、「男人夜(2009年5月-7月)」、「男人夜(2009年8月-9月) 」、「男人夜(2009年10月-12月) 」のほか、『客棧』の各号より。
(11)『客棧』2009年9月號[PDF]。
(12)『客棧』2009年11月號[PDF]。
(13)香港嫖客俱乐部:努力把自己变成“贡献者”」『南都周刊』2009年10月9日。
(14)嫖客推動恩客約章 尊重娼妓望洗脫雞蟲污名」『蘋果日報』2008-06-23[紫藤BLOG]
(15)性別平等 男人/客人教育」『紫藤會訊』第26期(2008年9月)。
(16)『客棧』2009年11月號[PDF]。
(17)発行順に並べると、『客棧』第一期『客棧』第二期『客棧』第三期『客棧』2009年9月號[PDF]、『客棧』2009年10月號[PDF]、『客棧』2009年11月號[PDF]、『客棧』2009年12月號[PDF]、『客棧』2010年1月號[PDF]。
(18)『客棧』2009年11月號[PDF]、『客棧』2009年12月號[PDF]、『客棧』2010年1月號[PDF]。
(19)『客棧』第三期
(20)性別平等 男人/客人教育」『紫藤會訊』第26期(2008年9月)。
(21)『客棧』2009年11月號[PDF]。
(22)香港嫖客俱乐部:努力把自己变成“贡献者”」『南都周刊』2009年10月9日。
(23)葉海燕「我们提倡嫖客最基本行为准则」2009年06月15日。

 ※なお、日本では、つとに2000年に渋谷知美さんが、「『売春肯定論』は『売春肯定論』を論じることで自動的に達成されるものではなく、『買春改革論』を伴わなければ単なる反動になる」という見地から、「買春改革論」を説いておられます(「買春改革論――松沢呉一『売買春肯定論』のあとで――」『クィア・ジャパン』2号)。渋谷さんは、最近出版された『平成オトコ塾』(筑摩書房 2009年)でも、「風俗嬢を一人の人間として尊重する」ことを説き、そのための次の4つのポイントを挙げています(205-209頁)。
1.気構え:風俗嬢にたいして「相手の自由を侵害しない意志」を持って行く。
2.風俗嬢にとって言ってほしくないことは言わない、してほしくないことはしない。
3.衛生に気をつける。
4.ストーキングをしない。

世界基金のプロジェクト中止で、中国民間女権工作室に打撃――中国のNGOの困難

 セックスワーカーのサポートをしているNGOの「中国民間女権工作室(中国民间女权工作室)」(以前の本ブログの記事「『第1回セックスワーカーデー』、中国民間女権工作室、セックスワーカーの互助団体の萌芽」でも取り上げました)は、昨年、「世界エイズ・結核・マラリア対策基金(世界基金)」(HP日本語による説明)のプロジェクトの資金援助を受けられることになりました。ところが、半年後、突然それが中止されたたために、たちまち窮地に陥りました。

 『民主と法制時報』の記事(1)は、このことを取り上げて、「『成功も失敗もプロジェクト次第』、女権工作室の境遇は、資金がネックになっている中国の草の根NGOの縮図である」と指摘しています。以下、まず、この記事のだいたいの内容を紹介します。

底辺のセックスワーカーの中で活動

 中国民間女権工作室(以下、女権工作室と略す)は、武漢市で、エイズ予防活動を軸にして、セックスワーカーをサポートする活動をしています。

 女権工作室は、葉海燕(流氓燕)さんら数人のグループですが、2005年から、葉さんは、「妓女維権熱線」というセックスワーカー向けの電話相談をしてきました(本ブログの記事「本[2006]年の動向10―売買春に関する議論と行動」でも取り上げました)。

 また、最近は、とくに「城中村」(都市の中の村)(2)と呼ばれる、出稼ぎの人々が住んでいる地区のセックスサービスの場で働く女性たちに働きかけています。こうした安価なセックスサービスの場は、セックス産業の最底辺に位置し、その周縁性ゆえに、「コンドーム100%計画」(エイズ防止のために、当局がすべての娯楽施設にコンドームを配備する計画(3))などの活動も行き届きにくいため、エイズや性病を駆除する活動の死角になっていました。

 女権工作室は、以前から葉海燕さんと友人だった女性の店主を通じて、まず、他の店主やセックスワーカーと親しくなり、次に、セックスワーカーのところに医薬品が入った箱や宣伝資料を持って出かけ、健康の知識を宣伝したり、コンドームを配布したり、疾病制圧センターに健康診断に行くように彼女たちに働きかける活動をしてきました。

 こうした活動を通じて、2008年から今までに、女権工作室は、武漢の30%のセックスワーカーの状況を把握したといいます。

中国の草の根NGOの困難――国外のプロジェクトの資金に頼る

 2006年、葉海燕さんは、女権工作室を民政局に登記(登録)して、法定のNGOにしようとしましたが、その答えは、「業務主管単位がないと、だめ」というものでした。

 中国の「社会団体登記管理条例」(日本語中国語[PDF])の規定では、法定のNGOである「社会団体(社団)」になるためには、民政部に登記する前に、日常の業務の管理監督を引き受けてくれる「業務主管単位」の審査と承認を得ることが必要です(4)。ですから、まず、「業務主管単位」を見つけなければなりません。

 しかし、葉さんには、見つけられませんでした。「NGOは政治的にデリケートな分野で活動することも多く、そのリスクを背負い、主管単位になってくれる政府機関もしくは準政府機関は非常に少ない。それゆえに大多数の草の根NGOは民政部門で登記できず、合法的な『社会団体』という身分が得られない」(5)と言われています。清華大学NGO研究所の王名教授によると、「中国のNGOの95%以上は、実際上現行の法律の認可を得ておらず、なされるべき保障を得ることもできていない」ということです。まして、セックスワーク関係の活動となると、中国でも売春は違法ですから、無理なのでしょう。

 「登録していないということは、正式の身分や公開の口座番号がなく、社会から寄贈を受ける有効なルートがないことを意味している」そうです。ですから、女権工作室も、2年あまりの長きにわたって、ずっと資金援助がない中で、困難な活動をしてきており、武漢の大学生のボランティアたちが多くの活動を担ってきました。

 しかし、2008年、「中国ゲイツプロジェクト[中盖項目。中国とビル&メリンダ・ゲイツ財団とのプロジェクト]」が、女権工作室に資金援助をしてくれることになりました。「中国ゲイツプロジェクト」は、正真正銘の草の根のNGO組織に資金援助することを主旨としていて、民政部に登記しているか否かを問題になかったのです。

 つづいて、2009年7月、第6次中国世界基金エイズプロジェクト[第六輪中国全球基金艾滋病項目]が、女権工作室が「湖北省女性健康センター」(無料で健康の知識の研修、および無料の健康診断とHIV相談・検査サービスをする)を設立することをサポートすることを決めました。このプロジェクトは、7年間かけて実施される予定であり、同センターの家賃と業務人員に対する補助金は、プロジェクトの資金から出ることになりました。

 かくして、武漢科学技術大学中南分校の卒業生1人と看護専攻の卒業生3人が女権工作室で仕事を始めました。賃金はわずか800元でしたが、彼女たちは意気込んで働きました。

 彼女たちは、武漢市の繁華街に85㎡の活動室を借り、武漢市の全セックスワーカーをカバーするエイズ防止ネットワークを作る構想を立てました。

プロジェクトがなくなると、たちまち窮地に

 しかし、2009年12月末、世界基金から、「2010年以降は、『湖北省女性健康センター』プロジェクトをサポートできない」という通知がありました。「NGOと各種の基金のプロジェクトとの間には、契約による制約はなく、『申告』と『審査し許可する』という手続きしかない」そうです。

 たちまち、女権工作室は、活動室の家賃と養成した業務人員の賃金が払えなくなりました。

 李妍焱編著『台頭する中国の草の根NGO――市民社会への道をさぐる』(恒星社厚生閣 2008年)は、その第5章で「草の根NGOの資金集め」を論じていますが(李凡・王慶泓執筆)、この章では、「資金不足は世界中のNGOに共通する悩みといっても過言ではない。NGO法人や寄付関連の税制度がまだ整備されていない中国においては、草の根NGOの資金調達活動がいっそう厳しい状況に置かれている」、「資金的に政府の援助を受ける可能性があるのは、基本的に法定NGO、すなわち社会団体、民弁非企業単位、基金会の3つ(6)に限られている」(81頁)、「政府からの助成金がほとんどなく、国内での公開募金活動も基本的に禁止されている状況下、国内の財的支援のツールが乏しく、中国の草の根NGOの財源は、海外のNGO・外国財団からの寄付と助成に頼る部分が大きい」(89頁)と述べられています。

 今回の事件は、こうした、「海外のNGO・外国財団が、プロジェクト助成という形で、その助成趣旨に合う草の根NGOを支援する」(90頁)という形も、不安定性を抱えていることを示していると思います(7)。実際、NGOで仕事をしていたある先輩は、葉さんに対して、「プロジェクトが続くことを当てにするな」「プロジェクトは短いものであり、今日サポートすると言っても、明日はサポートしなくなるかもしない、不安定なものだ」と忠告していたということです(8)

 今年1月1日、葉さんは、衛生部や市長に助けを求める手紙を送るとともに、インターネットでも、企業家などに助けを求めました(9)。しかし、残念ながら、今のところ、芳しい返事があったという話はありません。

 1月8日に葉海燕さんが発表した「2010年中国民間女権工作室活動計画」は、以下のような目標を掲げています。
1 リプロダクティブ・ヘルスの推進。病院と協力して、無料で婦人病の検査。
2 エイズ予防公益プロジェクト。
 1) 入浴センターを2010年の重点に。
 2) 底辺のレジャーの場はひきつづき推進。
 3) アウトリーチ(外展。この場合はセックスワーカーのところに出かけて働きかけること)を漢陽・青山・漢口のすべての市街区に広げる。
3 ボランティアの拡大、大学生集団と相互に交流
4 差別反対と政策的提起
 1) ひきつづきネットワークに立脚して、セックスワーカーの姉妹に関心をよせ、文字・ビデオの多様な形式によって、社会に対してセックスワーカーに対する差別をなくし、セックスワーカーの人権を尊重することを呼びかける。
 2) 専門の行動芸術唱道団体を設立する。
 3) 話劇《セックスワーカーのモノローグ》の舞台稽古をする。
 4) 第2回セックスワーカーデーを祝う。
 5) 2010年赤い雨傘(紅雨傘、レッドアンブレラ)セックスワーカー差別反対公益活動を繰り広げる。
 6) 「赤い唇ノート」を公開して、姉妹たちが自分で書いたtwitterを社会に推薦し、社会に姉妹たちの声を理解させる(10)

 5)の「赤い雨傘(紅雨傘、レッドアンブレラ)セックスワーカー差別反対公益活動」についてですが、赤い雨傘は、2001年にベニスでセックスワーカーがデモをした際に使われたことから、セックスワーカーに対する差別や虐待に対する反対を意味する象徴になったそうです(11)。女権工作室は、すでに2009年12月に「赤い雨傘」行動をおこなっていますが、この行動を報告したブログの記事は、十数名の若い人々が、赤い雨傘をさし、パネルを掲げて、セックスワーカーに対する警察などによる権利侵害をストップするよう訴えている写真を10枚掲載しています(「12月17日红雨伞行动」荼蘼花尽2009年12月18日)。パネルには、「呼吁警察執法人性化!」「請停止対性工作者的執法傷害」などの文字が見えます。このブログの記事には、このアクションが城管(都市管理の役人)に妨害されて、何度も何度も場所を変えなければならならなかったこと、それに対して抗議したことも書かれています。

 なかなか果敢な行動だと思うのですが、たとえばこうした行動なら資金援助なしでもできるでしょうが、上の「活動計画」で挙げられた活動の中には、規模を縮小せざるをえないものが多そうです。

 今年になってからの葉さんのブログを読むと、嘆きや苦しみとともに、中国の政治や社会に対する不満もつづられています。たとえば、1月24日の「誰が中国の女の政治家か? 中国の女の声はどこにあるのか?」と題した日記には、「なぜ、2009年の末や2010年の初め、私は女性界の声を聞くことができなかったのか? 中国には女がいなくなったのか?」、「もし婦連がこれ以上このように不作為ならば、もし中国の女がこのように沈黙し続けるならば、私は、すべての女性の公民に、婦連の主席を罷免することを提案する」とも記されています(12)

 それでも、葉さんは、今月、インドでセックスワーカーの組織と交流してきて、中国でもセックスワーカーのネットワークを作ることに意欲を燃やしておられるようです(13)

(1)“保障性工作者权益”NGO遭遇寒冬」『民主与法制時報』2010年1月18日。
(2)野村證券のサイトに解説があります(「城中村」(都市の中の村))。
(3)百分之百安全套计划。ネット上に日本語の記事もあります(「上海:娯楽スポットで『コンドーム100%計画』」 サーチナ2006/12/01、「重慶市の決断、『理髪店にコンドームを』」日経ビジネスオンライン2006年9月13日)。
(4)この1文については、李妍焱編著『台頭する中国の草の根NGO――市民社会への道をさぐる』(恒星社厚生閣 2008年)の113頁からの引用です。
(5)中国のNPOが、民政部門と業務主管単位とによって二重に管理されている問題については、王名・李妍焱・岡室美恵子『中国のNPO:いま、社会改革の扉が開く』(第一書林 2002年)の第6章「法環境――NPOをなぜ管理するか」(岡室美恵子執筆)参照。
(6)「社会団体」「基金会」「民弁非企業単位」のそれぞれについては、「中国におけるNGOの状況」(自治体国際化協会のサイト)参照。なお、ネット上での中国のNGOについての説明には、他に「中国のNGO」(国際協力機構サイト)もあります。
(7)王名・李妍焱・岡室美恵子前掲書は、「国際NGO・海外財団による支援の問題点」として、「海外組織に関する法律上の空白による活動存続の危機」「中国の草の根NGOの組織体制とアカウンタビリティの欠陥」「草の根NGOの役割に対する理解と期待に格差が見られること」の3点を挙げています(90-93頁)。
(8)“保障性工作者权益”NGO遭遇寒冬」『民主与法制時報』2010年1月18日。
(9)一个中国草根组织因为生存困难向社会求助!」紅塵網2010-1-01
(10)2010年中国民间女权工作室工作计划」荼蘼花尽2010年1月8日。
(11)红雨伞:性工作者权利的象征」荼蘼花尽2009年5月20日、Red Umbrella Campaigns(ICRSEのサイト)
(12)谁是中国的女政治家? 中国女人的声音在哪里?」荼蘼花尽2010年1月24日。
(13)建立性工作者自己的社区」荼蘼花尽2010年02月21日、「四天之后回来,有一些打算」荼蘼花尽2010年02月25日。

台湾の大法官会議:「売春を罰して、買春を罰しない」条項は「違憲」

 台湾では、今年6月、内政部が、売買春の「専区」を設置する方針を出して、さまざまな議論がおこなわれましたが(本ブログの記事「台湾:売買春の「専区」を設置する方針と人権・女性団体」)、11月、次のような新しい動きがありました。

司法院の大法官会議の憲法解釈

 11月6日、台湾の司法院(Wikipediaの説明[日本語])の大法官会議(憲法に関する判断をおこなう)は、社会秩序維持法の中の、売春を罰して、買春を罰しない条項(80条第1項第1款)(1)は、憲法第7条の平等権の原則(2)に違反しており、違憲であるとして、2年以内に失効させなければならないとしました(大法官解釈釋字第666號[司法院大法官HP])。大法官各自の意見書も発表されています。

 解釈の理由書では、社会秩序維持法の規定について、その目的は国民の健康や善良の風俗を守ることにあることは認めつつも、以下の2つの点で差別であると指摘しています。
 (1)性取引は売る側と買う側の共同のものであるのに、売る側と買う側とを差別している。
 (2)売春する側の多くが女性であり、とくに一部は社会的・経済的に弱者であるために性取引に従事する女性であるのに、彼女たちをさらに窮地に追いやることになるので、差別である。

 司法院の謝文定秘書長によると、大法官会議のこの解釈は、「売買春ともに罰すべき」とも、「売買春ともに罰するべきではない」とも主張しておらず、あくまで中立的なものだとのことです(3)。ただし、大法官による解釈の理由書は、国民の健康や善良の風俗を守るためには、行政機関は、性取引をする人に対して、健康の検査や安全な性行為のための措置をとったり、職業訓練などによって性取引を生活の手段にしなくてもよいようにするよう述べています。同時に、性取引の行為を制限する必要がある時は、処罰などの規定を設けることもできるとも述べています。

内政部などの対応(4)

 内政部は、当日の夜、セックスワークの「非犯罪化」「非処罰化」に向けて検討・対処すると表明しました。また、「専区」に関しては、原則的には公民投票ではなく、各県の政府や議会が決定するべきだと述べました。

 また、ある地位の高い警察官は、「現在、セックスワークの非犯罪化の方向に向かっているけれど、全世界にセックスワークの管理をしていない国家は一つもないので、『専区』か『禁区』を設けて、違反した者は処罰することになるだろう」と述べました。

セックスワーク労働権保障連盟――セックスワーカーを政策決定に参与させよ(5)

 日日春関懐互助協会(日日春)(Collective of Sex Workers And Supporters[COSWAS])は、大法官会議の解釈を、1997年の台北市の公娼の闘い以来のセックスワーカーと支援団体の闘いの成果として高く評価しました。日日春は、セックスワーカーの非処罰化の主張が多くの社会的支持を獲得してきたこと、以前はセックスワークの非処罰化に反対していた団体も、売春の非処罰化には賛成するようになったことを述べ、今回の決定は「アジアと華人社会に対して、肯定的な良い模範を示す働きをした」と述べました。

 そのうえで、日日春やセックスワーク労働権保障連盟(保障性工作勞動権聯盟)(日日春のほか、台湾性別人権協会(Gender/Sexuality Rights Association Taiwan)台湾同志諮詢熱綫協会工作傷害受害人協会愛滋感染者権益促進会国立中央大学性/別研究室風信子精神障礙者権益促進協会台湾国際労工協会基層教師協会、基隆市失業労工保護協会、柳春春劇社劇団角落関懐協会台北県慈芳関懐中心人民火大行動聯盟で構成)は、だいたい以下のような要求を出しています。
 ・成人の合意の上での性の取引は、売る側も買う側も罰するべきではない。ただし、性取引営業の公共の利益に関わる部分、たとえば公共衛生、場所、労働保護、周辺での犯罪の防止などについては、国家が適切で有効な管理の措置を取るべきだ。行政院や立法院は、売買春とも罰しないという立場に立ったうえで、「成人性取引管理法」を制定して、社会秩序維持法80条を廃止すべきである。
 ・場所に関しては、適切な制限はするべきであり、性取引の「専区」を設けることも一つの選択肢だが、中高年や弱者層のセックスワーカーの就労のために自営の生存空間を保障すべきだ。また、セックスワーカーと地域コミュニティとが共に決める意思疎通の場を設置すべきである。
 ・セックスワーカーを政策決定に参与させるべきである。内政部の劉玄兆前院長は、6月、「セックスワーカーの意見を取り入れなければならない」と述べたけれども、その後、内政部はセックスワーカーを政策の論議に招いていないだけでなく、私たちが電話で進み具合を尋ねても、返答ができる責任ある窓口さえなく、完全にカヤの外に置かれている。
 ・法改正をするための2年間の過渡期は、地方の県・市の首長は、警察に対して「セックスワーカーの取り締まりを成果に入れない」という政策を貫くべきである。たとえば台北市・台中市・高雄市の市長のように、イベントの期間、都市の外観を整えるために、弱い者(露店商人やセックスワーカー)をいじめるやり方はすべきでない。

反性搾取連盟――台湾は女性の体を売る上で世界の先頭に立つのか?(6)

 一方、「反性搾取連盟[反性剥削聯盟]」は、内政部が当日すぐに「セックスワークの『非犯罪化』『非処罰化』の方向で法改正する」と述べたことに対して、「多くの議論がある中で、にわかにこのような倉卒な対応をすることは、台湾を女性の体の売買において全世界の先頭に立たせることになる」という危惧を表明しました。

 反性搾取連盟は、勵馨社会福利福利事業基金会台北市婦女救援社会福利事業基金会(婦援会)台湾展翅協会(もと台湾終止童妓協会)、台湾女人連線基督教門諾会花蓮善牧中心中華民国基督教女青年会協会台北市晩晴婦女協会台北市女性権益促進会、中華恩加楽国際善工協会、愛慈基金会台湾少年権益与福利促進聯盟基督教台湾信義会基督教愛盟家庭文教基金会で構成されています。

 反性搾取連盟の人々は、おおむね以下のように述べました。
 ・アジアでは、性取引を全面的に合法化している国は一つもない。ヨーロッパでも合法化しているのは8ヵ国だけであり、非合法の国が19ヵ国、個人の性取引は違法でないが、組織的な活動(業者や仲介)を厳罰にしているのが19ヵ国である。
 ・性取引の実質的は、性的搾取であリ、もし性取引を全面的に合法化するなら、台湾の性的搾取の状況はさらに深刻になるだろう。セックス産業が産まれる真の原因は、国家が弱者の女性を大事にしていないことにあり、一種のジェンダーバイオレンスであり、売春は弱者の女性に対するきわめて大きな傷害と搾取である。これは絶対に公平な取引ではなく、まして一般の産業労働の交換関係ではない。やむをえず売春を「選択」しても、売春は彼女たちの貧困を解決せず、大部分の金は人買いやヒモ、業者の手中に入る。
 ・(台湾展翅協会秘書長・李麗芬):多くの大法官が、ドイツの「売春婦法律関係規範法(The Act Regulating the Legal Situation of Prostitutes)」を引用しているが、同法は成果が上がっておらず、施行5年後に全面的に同法の施行を続けるかが大きな論争になっている。
 ・(台湾女人連戦秘書長・蔡宛芬):性取引を合法化するか否かに関しては、各界に意見の違いがあるが、社会は「男が女を金でもてあそぶ」ことを許容すべきか否かを重視するべきである。社会はなぜか男の性欲に対して寛容で、「性取引」を議論する際に、「どっちみち禁止できない」などの意見が出てくる。そのコストは女性も含めた全国民が負わされる。政府にはジェンダー平等教育やトラフィッキング防止、セックスワーカーの転職訓練を重視してほしい。
 ・(立法委員・黄淑英):性取引の非処罰化≠合法化ではない。売春する者を処罰しないことには同意するが、将来台湾でセックス産業が発展することは希望しない。
 ・スウェーデンは「買春は罰して、売春は罰しない。搾取をする第三者は厳罰にする」というやり方で、性取引に従事する人の数を減らした。

 反性搾取連盟は、以下のような要求を掲げています。
 一、性取引が職業であること、ましてセックス「産業」であることに反対する。
 二、政府に、性取引関係のあらゆる公然とした客引きの情報と行為を厳禁するように要求する。
 三、性取引の中から利を得る第三者は処罰されなけばならず、そうしてこそ、いかなる形態の性搾取行為も途絶できると主張する。
 四、性を売る者の多くは経済的窮乏のために性取引に従事していることを理解しているので、性を売る者は処罰しないことには賛同するけれども、その労働権には反対する。
 五、買春客に補導課程を受けさせて罰金を払わせ、課程の関係費用は買春客に支払わせること、課程を受けることを拒否する者は罰金の金額を増やすべきことを主張する。
 六、政府は、女性のための福祉および就業政策を出して、女性が窮乏状況の下で性取引に従事することを選択しないようにさせなければならない。
 七、政府はジェンダー平等教育と人権教育の現在の成果を再検討し、具体的な改善措置を提出しなければならない。

両派とも国際的な応援も得て、県・市長の候補者に公開状

 女性に対する暴力撤廃国際デーの11月25日には、「反性搾取連盟」は、Equality NowのTaina Bien-Aimeさんやカナダ・韓国の性暴力反対組織の人々を招いて集会を開きました。
 参加者は口々に、次のようなことを訴えました。
 ・セックス産業とトラフィッキングは密接不可分な関係がある。
 ・もし合法化したら、台湾は国際的な買春天国になる。オーストラリアで合法化したら、女性に対する性侵害や性暴力は減らずに増え、他の国の人は、オーストラリアに買春に来るようになった。
 ・もし合法化したら、社会は、女性の体を商品と見なすようになる。
 ・オランダは性取引を合法化したが、多くのセックスワーカーはヒモや客による脅迫や暴力にあっている。ロッテルダムはセックス産業の「専区」の廃止を決定したし、アムステルダムは半分に減らそうとしている。 

 「反性搾取連盟」は、全国の17の県・市長の候補者に対して、選挙区内に「セックス産業の専区(紅灯区)」を設立ことに対する賛否を問う公開質問状を出しました。(7)

 一方、「セックスワーク労働権保障連盟」も、反性搾取連盟に対抗して、県・市長の候補者に対して、だいたい以下のような内容の公開状を出しました。
 ・性取引の政策は、複雑な公共政策の議題であって、一般的な道徳の是非の問題ではなく、「賛成」か「不賛成」か二者択一のみであるべきではない。「専区」は、性取引の実務的な管理の選択肢の一つであるにすぎない。
 ・県・市長の候補者が当選した後、専門的な作業グループを設立して、セックスワーカーの人権と公共の利益にともに配慮するという前提の下で、「どのようにして、その土地の事情に即した、有効な成人の性取引の管理政策を制定するか」を検討することを期待する。
 ・「セックスワーカーと性の消費者を処罰せず、実務的な管理をする」というのが、台湾社会の共通認識と世界の潮流である。日日春には、十年にわたる実務的経験と国際的な資料があるので、お会いして、各県・市が政策を制定する際に情報を提供したい。
 ・セックスワークは、性的搾取と同じではなく、セックスワーカーは、性的奴隷と同じではない。私たちはセックスワークの非処罰化を支持するとともに、反ヒューマントラフィッキングも積極的に支持する。合法化は、けっして完全にヒューマントラフィッキングやその他の犯罪を根絶することはできないが、合法化によって公権力はより有効な介入ができるようになる。セックスワークを非処罰化したのちに、国家はセックスワーカーを労働保護に組み入れなければならない。そうしてこそ彼女たちの労働条件を改善して、しかるべき賃金を獲得させて、不当な労働搾取を受けることを防ぐことができる。

 「セックスワーク労働権保障連盟」の主張にも、Global Alliance Against Traffic in Womenの創始者のLin Chewさんやアメリカ・オーストラリア・オランダ・イギリスのセックスワーカー組織の代表などから、声援が寄せられています。(8)

 大陸でも、葉海燕さんが「反性搾取連盟」の主張に批判を述べるなど(9)、国際的な注目も広がってきたように思います。

(1)「有左列各款行為之一者,處三日以下拘留或新台幣三萬元以下罰:
一、意圖得利與人姦、宿者。」
(2)「中華民國人民,無分男女、宗教、種族、階級、黨派,在法律上一律平等。」
(3)罰娼不罰嫖違憲 擬設紅燈區」『自由時報』2009年11月7日。
(4)同上。
(5)大法官撥開了性道迷霧」(2009-11-17)日日春関懐互助協会HP、
性勞聯1113採訪通知――内政部不要閉門造車,性工作者要參與決策」(2009-11-13)移民工資料庫
(6)反性剝削聯盟:台灣在販賣女體上領先全球!?」2009/11/13婦女救援基金會BLOG
(7)以上は、「婦援會參與11/25國際串連反對性產業合法化記者會」婦女救援基金會HP、「反對性產業合法 婦團盼候選人支持」中央社即時新聞2009/11/25、「婦團抗議性交易合法化開倒車」台灣醒報2009/11/25、「反對色情專區 婦團將訪縣市長候選人促表態」2009-11-25中時電子報
(8)給媒體朋友―性勞聯致各縣市長候選人的公開信」2009/11/25苦労網、「日日春:性産業合法 不一定得設專區」中央社即時新聞2009/11/25
(9)站出来反对性工作者合法化的是“反性剥削联盟”」(2009年11月30日)荼蘼花尽BLOG

«  | HOME |  »

プロフィール

遠山日出也

Author:遠山日出也
 検索から来られた方へ:このブログの記事を分類した一覧である「『中国女性・ジェンダーニュース+』記事総覧」を見ていただくか、下の「カテゴリー」欄を使われると、関連情報がご覧いただきやすいと思います。最近の行動派フェミニストについては、「中国の行動派フェミニスト年表、リンク集」をご覧ください。
 また、「中国女性・ジェンダー関係リンク集」(リンク集)も併せてご覧いただければ幸いです。
 恐れ入りますが、スパム対策などのため、コメントは私が拝見した後で表示させていただきます。
 私への連絡はtooyama9011あっとまーくyahoo.co.jpまで。

最近の記事

月別アーカイブ

カテゴリー

最近のトラックバック

最近のコメント

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

ブログ内検索

リンク

このブログをリンクに追加する

RSSフィード